1.《ネタバレ》 2016/7/9~8/6に全5話で放送したらしいが見なかった。
大枠としては原作・1983年実写映画版と2006年アニメ版の折衷に見える。最初と最後が実験室(「理科準備室」)なのは基本として、ラベンダーとか深町家に入り込むとか火事が起きるのは原作と1983年版の構成要素である。一方で主人公と男2人の人物設定はアニメ版に倣ったようで、都合が悪いとすぐやり直すとか、男の真剣な気持ちを無にするなどもアニメの主人公のやっていたことである。季節も同じく夏の設定で、ドラマの中心部分は2016/7/7~8/8の出来事だったが、これは放送の時期とも重なっている。
エピソード構成としては、第1話では過去作との関連付けに時間を使っていたようだが、2話と3話は独自の話を自由に作った感じでそれなりに楽しめる(泣かせるところもある)。第4話以降は早くもドラマ全体の終結に向けて三角関係の決着と別離が中心になるが、自分としては特に感動的とも思わなかった。ただ主人公の将来の方向付けに関して、アニメ版より簡単明瞭でわかりやすくできていたのはよかったかも知れない。
物語に関して言いたいことは多いが長くなるのでまあいいとして、それより根本的なところで疑問だったのは、これを見て主人公と未来人の関係を本気で応援したくなるのはどういう視聴者なのかということである。個人的には1983年版の段階から「時かけ」の未来人にはいい印象がなかったが、加えて今回の男はあまりに軽薄で厚顔無恥で狡猾なので見ているだけで苛立たしい。他人の記憶を改竄するのは過去作と同じにしても、今回はそれを明らかに自分の欲望のために利用しており、さらに集団圧力を利用して既成事実を作る卑劣な行動には嫌悪を覚えた。わざわざ憎まれるために出て来たようにしか見えなかったが、それでもこの未来人の思いが大事にされていたということは、要はジャニーズ目当ての人々に向けたドラマだったと思うしかない。
主人公の印象も、最初から良くはなかったが最終的にも悪い状態で終わった。吾朗ちゃんは無用の思いを早目に切り捨てて医学の道に進んだ方がいいと思うが、「おじょう」と呼ばれていた女子と仲良くなるのは構わない(むしろ勧める)。
なおゲスト出演者では、第2話の女子高生(演・高月彩良)と屋上の男子(演・森永悠希、いわゆる「机くん」)が印象的だった。男の方は気色悪いが役柄としてはこれがふさわしく見える。最後のダンスはよかった。