1.《ネタバレ》 昔見たテレビドラマが見たくなったので見てみました。金庫破りの達人ながら、地道に生きることをモットーに、技を封印し、口八丁のインチキセールスで生計を立てる小林薫。(本人にその自覚がないという意味で)天性の恋愛詐欺師、玉置浩二。玉置浩二が暴力団の母親に貢がせた上に散財した800万円を、保証人にさせられた小林薫と二人で、暴力団に締め上げられながら半月ごとに50万円ずつ、小林がセールスをやったり、玉置が女達から借りてきたり、二人で酒場の流しをしたりしながら、必死に返済していくという話。全体的にコメディータッチで、特に小林薫は口角がニンマリと上がりっぱなしで、コメディーモードに入り過ぎの感はあるのですが、締めるべきところで締めることができる役者なので、そこは安心して見ることができます。小林薫は安定しているのであまり驚きではないのですが、玉置浩二には本当に驚かされました。出色の演技です。このドラマを見る前までは、玉置浩二は音楽活動では暗くてきつめの化粧をしており、軽薄とは縁遠い存在と思っていたのですが、スケこまし、女たらし役が驚くほどにハマリ役でした。これが演技ではなく“素”であったことは、彼の後の人生がおいおい証明していくわけですが・・・。柳葉敏郎を筆頭に暴力団組員たちは、コミカルで戯画的な描写になっていて、ややもするとただのおふざけ番組に成り下がりそうなところですが、そうならないように思いっきり吊り上げてバランスを取っているのが、コメディーモードに全く与しない篠ひろ子の存在感です。芯の強い大人の女性を演じ切っています(本人はコメディーに混じりたかったかもしれませんが・・・)。