1.全10話に9,000万ドルもの製作費がかけられただけあって、ルックスの説得力は桁違い。都市、宮殿、衣装、武器、調度品など画面に映るものすべてに手抜きがなく、その時代の再現に成功しています。ファーストカットを見ただけで「これは並の時代劇ではない」ということが伝わってくるほどの迫力であり、第1話は画面に映るものに見とれているだけで1時間が経過してしまいました。
最近の海外ドラマとしては珍しくテンポはゆったりとしており、クリエイター達は矢継ぎ早な展開で視聴者を楽しませることよりも、凝りに凝った美術をじっくりと見せることを優先したようです。その結果、5話までは話がほとんど進まず、時に退屈させられた点はマイナスでしたが。
もうひとつ本作が特殊なのは、カンフーマスターがマルコ・ポーロに稽古をつけたり、忍者軍団がフビライ暗殺に送り込まれたりといった誤った東洋文化のアイコンが豪快にぶちまけられていることであり、重厚な時代劇の合間にこうした俗っぽいものを見させられるため、高級中華料理とサッポロ一番を同時に食べさせられているかのような不思議な感覚を抱かされました。サッポロ一番もおいしいので決して悪い気はしませんでしたが、珍しい崩し方をするものだと思いました。
また、個性や行動原理が不明確な登場人物が何人か居た点も気になりました。例えばコカチン王女。権力争いに翻弄される悲劇の美女としての一面と、恋人を殺害してでも現在の地位を守ろうとする狡猾な策略家としての一面とが交互に披露され、結局彼女は何を考えているのかがサッパリわかりません。またクトゥルン姫も、初登場時にマルコ・ポーロを逆ナンして即騎乗位で青姦となかなか豪快なところを見せるものの、その後はマルコ・ポーロとの接点はほとんどなく、それどころかビャンバと恋に落ちて婚約までするために、あの青姦には一体何の意味があったんだろうかと思ってしまいます。
良い点も悪い点もある癖の強いドラマですが、見るべき点は多いため引き続きシーズン2と番外編も鑑賞したいと思います。