1.《ネタバレ》 国民的喜劇映画『男はつらいよ』へのオマージュと見せかけた『時をかける少女』(あるいは『時をかけるおっさん』)。てっきりマンネリズムをゆるく楽しむ趣向の王道喜劇かと思いきや、さにあらず。常に想像の斜め上を行く超展開に痺れっぱなしでした。同じ1日を1200回以上繰り返す異常な世界。実は笑いごとでは済まされない狂気の欠片が、ほのぼの人情喜劇に合うはずもなく。そのミスマッチがたまらないのです。『もう誰も愛さない』(1991年・フジテレビ)が“ジェットコースタードラマ”なら、『また来てマチ子』はさしずめ“ハンマー投げドラマ”。一点で高速回転、加速をつけて途方もない彼方へ飛んでいく物語。室伏もビックリですよ。キーエピソードは“初日”最終回となる第4話と、邪神が降臨した第7話でしょうか。どちらも神エピソードに認定。結局どこに着地するのかと思ったら、これ以上ない大団円で、これまたビックリ。裏の裏は表とはこのこと。関東ローカルだからこそ可能だった実験ドラマでしょうが、この面白さと完成度は、キー局プライムタイムどころか、世界に通用するエンターテイメントでございます。正直皆さんに声を大にして教えたい気持ち半分、こっそり自分だけの秘密にしておきたい気持ち半分。それだけ本気でこのドラマが大好きになってしまいました。さて、最後に主演の小林歌穂ちゃんについて。第1話の感想でシリーズを通じての大化けを予想しておりましたが、期待以上の成長ぶりに驚きました。もちろん、まだ粗削りではありますが、その存在感は絶大です(第7話の『歯なしおばあちゃん』は必見!)。クズ社長という良き相棒を得て、コンビ芸のスキルまで身に付けました。このまま、まっすぐに、素敵な女優さんになってください。