1.《ネタバレ》 脱獄もの。無実の罪で死刑宣告され、刑執行が迫る兄を助けるために、自ら囚人になって刑務所に入り込み、ともに脱獄を謀るジーニアスな弟が主人公。刑務所の中で綿密かつ壮大な脱走計画が進められる一方で、刑務所の外で兄の元カノの弁護士が無実の罪を晴らすために奮闘。塀の内外の動きがタイムリミットがある中でダイナミックに同時進行していきます。とにかく囚人たちの強烈なキャラクターが面白い。癖のある人間が狭いところに集まっているので、そこには非日常的な濃密な日常があり、それだけで面白いと思いますが、そこに壮大な脱走計画の実行という共通目的が入り込んで、それに向けて協力したり反発したりの人間関係のあやがとにかく楽しい。一方塀の外では、政治権力による隠密組織が陰謀を推し進め、邪魔者は虫けらのように殺されていく。話が進むにつれてその一端が次第にあらわになっていくのがまた楽しい。われわれ大衆は陰謀論が大好きですからね。塀の中の囚人服を着た、一見して人間臭いキャラクターと、塀の外のスーツに身をまとった、一見すると冷徹で人間臭くないキャラクターとの対比が印象的ですね。全身の入れ墨に刑務所の設計情報、その他、脱獄のために必要な情報が埋め込まれているという少年漫画的な中二的設定もよし。