1.《ネタバレ》 映像化作品が原作を超えられない例は沢山ありますが、個人的にはこの作品は超えてると思います。原作を少しアレンジして人物描写を深くし、ドラマ性を高める手法が功を奏してなかなか感動できる青春ものになってるから。落ちこぼれ高校生たちが学歴最高峰といわれる東京大学の合格を目指すストーリーを主軸に書かれたこのドラマはウケ狙いのコメディじゃなくて、苦くても痛くても社会の現実に打たれながらも自力で生きろ!の意氣込みが描かれた、良いドラマでした。以下は原作にないこのドラマの、良いアレンジ部分。
*主人公の弁護士・桜木健二が少年時代に暴走族として世間に無意味に刃向って生きてきた経験から、社会の本質と底辺の人間の扱われ方、そこからの生き方を現実味を持って物事を語れている。ヤクザ・大企業の社長・その他世間の成功者を相手に対峙しても正論で論破する技量を持ち、アクシデントや窮地にも微動だにせず対処して切り抜ける様は、役者の技量もあるが威風堂々とした凄味に溢れている。
*従来の教師の代表格の井野真々子は、おっちょこちょいでも生徒を真剣に想うという人間味ある設定が、桜木に振り回されながらも認められていた役として適任。
*生徒の矢島勇介を喧嘩早くても一本氣で思いやりあり、水野直美を甘えたがりだが素直になれないひねくれ者と設定して、このふたりを幼馴染の認められない初恋同士と位置付けた事で思春期の淡い恋愛も最小限度に描けている。両者の母親が生活苦で子供に満足な学業をさせられない葛藤と愛情の描き方も上手い。
*他のオリジナル生徒キャラにも、それぞれ現実的な家庭問題を背負わせており感情移入に一役買っている(緒方…優秀な親に蔑まれる。香坂…全くの放任。小林…甘やかし。奥野…弟との差別)。
*負けた者はなじられる事。しかし負けても【敗者】とは違う事を身をもって諭す桜木。 突き放されたのに心から感謝する一同。
久々の爽やかドラマでした。
※若干トリビア……特進クラス生徒の6人の役者さん達は、自分の地の性格と正反対なキャラを演じていた。