2.《ネタバレ》 開始当初よりかなり攻めていたこのシリーズも、season3ではヤバさがMAXに到達しています。働き盛りの年齢なのに、仕事をしたくないからと言って安易に生活保護を受給しようとする小瀬ちん。案の定断られると、今度は某左翼政党の運動家らしき人物を引き連れて市役所に乗り込み、「揉めると面倒くさいから支給しとくか」という理由で生活保護を勝ち取ります。さらには、一般社会で生きていけない無職を上から目線でこき使うNPO法人の代表者までを登場させ、世間一般では正義とされている人々の化けの皮を剥がしていきます。また、顔は綺麗なのだが明らかに知的障害のある希々空や、バッチリ入れ墨の入っているヤクザ・柏木など、今のテレビでは映すことをためらうようなサブキャラもどんどん投入。よくぞここまで踏み込んだものだと感心しました。
そして本シーズンの核となっている上原まゆみの洗脳エピソードですが、こちらも地上波で放送されたものとは思えないほどのエグさでした。占い師に頼りがちな心の弱さを突かれて生活をどんどん浸食されていき、結婚詐欺師に家族もろとも家を乗ってられてしまうまゆみ。ヤクザ者同士の暴力や殺人は頻繁に登場してきたこのシリーズですが、一般人がここまで明確な犯罪行為に巻き込まれるエピソードは珍しく、その衝撃度はかなりのものでした。また、結婚詐欺師役を演じる中村倫也のねちっこい演技や、アイドル出身とは思えないほど気合の入った熱演(ラスト2話はほぼ下着姿)を見せた光宗薫の努力もあって、一秒たりとも緊張感が途切れることがなかった点も高評価です。前シーズンまではAV女優を多く使っていたために演技力には目を瞑る必要があったこのシリーズですが、本シーズンに関してはそうした見る側の匙加減が不要だったことは有難かったです。
問題は、どのエピソードにもウシジマがほとんど絡んでいなかったという点であり、私は山田孝之の演じるウシジマが大好きなので、彼の活躍をもっと見たいところでした。さらには、season1では硬派だった柄崎のキャラがどんどん壊れていったことや、高田が空気同然の存在感だったこともマイナスであり、カウカウファイナンスの面々は総じてうまく動かせていません。綾野剛に至っては本編にまるで関与しておらず、彼の登場シーンはファンのための顔見せ程度だった点も残念でした。