1. ウルトラセブン
《ネタバレ》 円谷プロダクションのウルトラシリーズの第3作である。ハードSFっぽい設定やクールなメカニックデザイン、また音楽面の充実によって当時の視聴者に強い印象を残しているが、特に個人的には主題歌や挿入歌を聞くと幼少時を思い出して切なくなる。 開始当初は子ども向けの教育的意図が見えたりもしたが次第に単なる娯楽路線に転じ、その上で参加した若手作家が好き勝手なことをやらかした面もあって、結果的に多彩な魅力を持ったエピソードが並ぶシリーズになっている。子ども番組とはいえ対象年齢不詳のようなところもあるが、見ている側が子ども番組と思っている限り、大人として受け取れるものが含まれていることに気づかないのは残念なことである。 また全49話を通した物語の流れも一応できているように見える。主人公は当初、自らを犠牲にして人助けをした地球人に感動して自分も地球人の手助けを始めたものの、少し気負い過ぎて現実に裏切られたところがあったらしい。その後は変に理想論など口にせず、とりあえず親しくなった地球人を手助けする中で、いわば同じ“人”として(第6話でいう「宇宙人」)、地球人への共感を深めていったように思われる。 地球人の女性に惚れられてしまったのはさすがに戸惑うところもあったのではと思うが、しかしもし自分が本当の姿を見せた場合に、果たして地球の人々はこれまでと同じように自分を扱ってくれるだろうか、という不安は生じていたに違いない。その懸念が最終話で見事に解消され、結果としては種族にかかわりなく同じ“人”として、心を通じ合わせた人々の物語になっている。 その一方で、当初は個人的好意で人助けしていただけだったのに、次第に地球人の守護神のように扱われ始めたことによる義務感もあり、終盤では心身の負担が耐えがたいところまで累積していたらしい。しかし最後は、彼の助けがなくても地球人は自分の力でやれるはずという希望を得て、傷つきながらも安堵して地球を去ったのだと思われる。 個別エピソードとしては、辛辣な社会批評という意味では第25話「零下140度の対決」、気の利いた作りという点では第33話「侵略する死者たち」を自分としては挙げるが、ただし世間一般の評価とは一致しないと思われる。 なお点数としては、そもそも子ども向けだったこともあり、不足の部分は見る側が補うとか不都合な点は見なかったことにするというサービス精神が要求される(昭和特撮に共通だが)。またエピソードごとの出来不出来もあるので満点ということにはならないが、とりあえずここは外見的に納得しやすい数字にしておく。 [ブルーレイ(日本ドラマ)] 7点(2018-01-28 21:29:57) |