2. 翳りゆく夏
《ネタバレ》 江戸川乱歩賞を受賞した小説が原作です。原作は未読ですが、ドラマの原作再現率は非常に高いそうです。 この作品は派手な演出は無く、かつ俳優陣の抑えた演技で「粛々と」ストーリーが進行して行きます。 観ていて引っかかる箇所が無く、ストレス無く作品に集中出来ます。構成が素晴らしいです。 俳優陣も本当に素晴らしい。 渡部篤郎は物語の中心ですが、特に自己主張が強い訳でも無く、掴みどころがなく飄々とした雰囲気で、しかし着実に取材を進めて行きます。この人はこういった役柄が本当にお似合いですね。とても好きな俳優です。 その取材の過程での事件関係者とのコミュニケーションによって事実を積み重ねて行きます。粛々と。 橋爪功は新聞社の社長という役柄で、社主の意向には素直に従いますが、業界・世間の裏を知り尽くしたやり手の社長らしくとても癖の強い演技が良いアクセントになっていました。 そして菅田将暉。今までこの世代の所謂若いイケメン俳優を一括りにして、正直興味はありませんでしたが、この作品で考えが変わりました。役柄そのものの、純粋で真っ直ぐさが滲み出て来るような演技にはとても目を見張るものがありました。シリアスな映画作品で観てみたい俳優ですね。 積み重ねて事実によってラストに大きなどんでん返しはありますが、武藤息子の年齢や、他の登場人物については細かい人物描写があるのに、唯一武藤元妻についてはほとんど語られていない事などから中盤で大体の推測はつきます。 が、ネタばらしの展開が良く、最期まで緊張感は途切れません。 そしてラスト。本当の物語はここから始めるのでしょう。 とても衝撃的で重い話ではありますが、事件に関わった人物が止まった時間を進めてそれぞれの人生を始めていく、ある意味希望が持てるラストでもあると思います。 久々に嵌った、非常に面白い作品でした。お奨めです。 [DVD(日本ドラマ)] 10点(2017-10-11 10:28:22)(良:1票) |