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《ネタバレ》 実相寺監督作なので少し奇を衒った風に見える。
野球中継の聞こえる仕舞屋のような家に宇宙人がいて、変になれなれしいのはメトロン星人(第8話)と同類かと思わせる。終盤の戦いでは着ぐるみの格闘はほとんどなく、主に特殊効果で光の交錯による激闘の印象を出していた。音楽面ではM52(ディヴェルティメント)、M50(Sieste)、M51(フルートとピアノの為の協奏曲)といったクラシック風の曲を多用している。 今回の主人公は世田谷区在住で町工場に勤める青年である。ウルトラセブンの実在する世界を市井の庶民の目から見たエピソードらしい。 彼が趣味の天体観測に没頭し、仕事が疎かになっていたのは世間的には駄目な奴である。しかし彗星の発見者になったりすればその辺の連中を見返してやることもできるわけで、そうでなくても今回の思いがけない手柄により、近隣住民にも賞賛されていたのは名誉なことだったはずである。 それでも素直に喜べなかった理由はよくわからないが、もともと彼は人間嫌いでこの世界からの逃避が究極の夢だったらしく、その夢が実現するかと思ったとたんに失われた落差で、もう世間的な名誉などどうでもよくなってしまったのか。あるいは、清らかだと思った「星の世界」も地球からそう見えていただけの幻影のようなもので、実は覇権拡大の野望が渦巻く汚れた世界だったことに失望したのかとも思われる。終幕場面は、夢から覚めたあとの本当に何もない日常を、彼がただ生きなければならなくなったことの表現かも知れない。 なお劇中では専門家がアマチュアを小馬鹿にする様子が見えていたが、少なくとも天体観測の分野では、彗星発見のようにアマチュアの働きが評価される機会もなくはなかったはずである。しかしあえて皮肉をいえば、アマチュアの立場で評価されるほどのことはめったに起こらないので、プロの仕事で評価されるようしっかり務めろ、という教訓も込められていたかも知れない(不明)。 ちなみに少年の発言にあったように、恋人ができさえすればそれだけで今の現実が全く別の輝かしい世界に変わる可能性もある。しかしそれこそがこの青年には最高に難しいのだとは思われる。 ほかレギュラー紅一点のアンヌ隊員は甘ったれた様子もなく冷静な表情で職務に専念していたが、それはそれで可愛く見える。今回は謎解き役を当てられていて、少しいいところを見せていた(言っていたこと自体は意味不明だが)。 【かっぱ堰】さん [ブルーレイ(日本ドラマ)] 7点(2021-07-31 08:54:05)
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