《ネタバレ》 チェルノブイリ原発事故の真相をドキュメンタリーではなくドラマとして再現。爆発後、炉心上部の屋根が吹き飛び、黒煙をもうもうと吐き出し、変な色の光を発し、制御棒の破片などの瓦礫が散乱する絶望的な事故現場を、リアルに再現したことが、まずは偉業だと思います。冒頭アバンではある男の自殺からはじまり、本編に入ると、時は1986年4月26日に巻き戻され、爆発が発生し、視聴者は、その後の現場の混乱状況に放り込まれます。これを体感できるだけでも、映像化の価値は絶大です。最終話(第5話)まで見ると、混乱でよくわからなかった状況が、だいぶ把握できるようになり、続けざまにもう一回、第一話が見たくなります。序盤をあえて説明過多にせず、映像の力で語らせた手法は成功だと思います。爆発の直接の原因は、運転中の炉を使用した実験にありました。緊急時を想定し、タービンの慣性を利用して所内電力を確保する可能性を探るため、あえて低負荷運転を行ったのですが、これが炉内状況の不安定化を招き、さらにいくつかの実験重視の強引な判断が重なり、核分裂反応が急激に進んで炉心爆発に至ったようです。この経緯を詳しく知らなかったので勉強になりました。福島みたいな事故を予防するためにやったと言えなくもない実験によって、よりにもよってチェルノブイリ級の事故を招いてしまったというのですから、皮肉なものですね。
【camuson】さん
[インターネット(字幕)] 8点(2023-02-19 21:11:23)