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181.  IT/イット〈TVM〉 《ネタバレ》 
【IT】実態が無く、見る側の恐怖を具現化したもの。それでもナイフを渡すことくらいはできる。ピエロの姿で現れることが多い。特定の人物にのみ見える。池、小川、水路、下水道、水に関係するところに出現する事が多い。7人が特によく目撃するのは彼らが”弱虫”で怖がりだから。恐怖におびえた人間を食べて生きている。バラバラ殺人が多い。巣に捕えて、蓄えておくこともある。特定人(ヘンリー)に憑りついてその人を意のままに動かすことが出来る。その姿を見たことや記憶は徐々に薄れてゆく。ITの影響は町全体に及び、過去の忌まわしい事件も人々の記憶から失われている。正確に30年周期で出現。ITは実態が無いが、本体は存在する。本体は蜘蛛に似た化け物。【弱点】①団結に弱い。恐怖が薄れるから。②銀の弾に弱い。その人の思い込みによる事で、信じることができれば何でも効果がある。【大人の七人】①一人が監視役として残り、他は町を出た。町を出るとITの影響が薄れ、トラウマを克服し、再対決可能まで心の成長を促すため。②残った一人はITの影響で死の考えに憑りつかれ、10年前に自殺をしそうになった事がある。そのとき下水道で銀の弾を発見し、記憶を取り戻した。③全員独身か、結婚していても子供がいない。子供がいるとその子はITに憑りつかれてしまうため。無意識に回避している。④トラウマを克服できなかった一人は、恐怖から自殺。⑤子供の頃にはITに吸引器の酸が武器になったが、再対決では効かなかった。信じる心が足らなかったからだろう。⑥ベヴァリーは暴力的な父への恐怖を、暴力的な恋人と決別することで克服できた。⑦ビルは銀色の自転車でITから逃れることが出来たと信じていたので、最後自転車で恋人を正気に戻すことが出来た。【感想】スティーブン・キングの幼少体験が濃く投影された作品。子供たちの演技は文句なし。幼少時の原始的な恐怖、実態がつかめず徐々に迫ってくる恐怖が見事に描写できてる。大人になってからのキャラに魅力が無い。対決するために町に戻ってきたのに、どんちゃん騒ぎなどして、緊張感が途絶するのが残念。対決ムードになってない。対決するのは分っているのに、最後近くまで弱腰なのも欠点。化け物の造詣が平凡。対決もあっけなく終了。制作がCG技術が確立されていない時期なので仕方が無いか。余韻の残るエンディングは秀逸。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-30 03:39:29)(良:2票)
182.  ナイト&デイ 《ネタバレ》 
若くないも二人が出会って、どうなるのかと観ていたら、まさかの恋愛に発展。あの女優、実年齢いくつ?そりゃあ無いよな、と思っていたら、おバカ度は増々アップ。リアリティの無いハイパー・アクションの連続で全然楽しめない。コメディになりきれていないのが、失敗の原因と思う。「裸の銃を持つ男」のように徹底的なコメディにすればよかったのに。 911事件以降、ハリウッドのアクション映画はボーンシリーズに代表されるようにリアル志向へシフトしている。そこへ集客力の落ちている二人が共演して、恋愛+虚構アクション。二人は「バニラ・スカイ」でも共演しているし、いまさら恋愛でもないでしょ。スパイアクション恋愛ものの女優はフレッシュな人に限ります。 永久エネルギー機関のバッテリーを高卒のオタクが発明したという設定はギャグなのか。そもそも男が女を連れまわす理由が不明。出演者がみんなシリアスに演じるので笑えない。アクションだけおバカなのだ。最後は男と女の立場が逆転。女が男を救い出す。というか強引に連れ出す。無事にCIAに復帰できたところなのに。
[映画館(字幕)] 5点(2010-12-28 16:34:36)
183.  イヴの総て 《ネタバレ》 
【イヴの計画】劇場に屯し、劇作家の妻に声をかけ、彼女のとりなしで女優マーゴに近づく。マーゴのツテで、女優としてデビューを図る。その後演出家か劇作家と結婚する。 【イヴの嘘と脅迫】夫が戦死などの同情をひく経歴はでたらめ。ビール会社の社長の愛人だった。劇作家の妻にガス欠の秘密(イヴを代理出演させるためのいたずら)をばらすと脅迫し、新作の主役をもらえるように依頼。公演前日隣人に「ナーバスになり公演をキャンセルする」と嘘の電話をかけてもらい劇作家を呼び出す。「劇作家からプロポーズされた」と批評家に嘘をつく。 【イヴの誤算】代理公演が成功したのち、つい口走った本音(マーゴ批判)が記事になり、マーゴ達から嫌われ、排除される。批評家は早くから嘘の経歴を見抜いており、誰とも結婚は許されず、彼の言いなりとなる。 【感想】イヴの罪と罰の物語。イヴは嘘と脅迫が功を奏して、あこがれの舞台スターになったが、批評家に嘘がばれ、彼の言いなりとなる。見どころはイヴが無垢な顔して、虚実取り混ぜ巧みに四人に取り入り、女優としてデビューに至るまでの経緯。徐々に虚飾がはがれてゆくところがサスペンスになっています。そのあとの四人との心理戦も見ごたえあり。 ◆ところで冷静に考えてみれば、イヴはあんな謀略を駆使する必要は無いと思いましたね。若くて、美貌で、何より実力があるのですから、普通にオーディション受ければ成功するでしょ。「音楽のような、火のような」演技で魅せればいい。だからこそ劇は大成功を収め、賞も戴けたわけです。実力も伴わないのに無理にスターにのし上がる話でないと成立しない話と思いましたよ。実力の世界なのだから、観客や批評家を唸らせる演技をした者がキラー(勝者)でしょう。誠意に欠ける嘘や行為があっても、実力があってスターになるのだから問題はないわけです。芸能界とはそういうものです。 ◆失望したのはイヴの演技の場面が全く無い事。話だけで終わらせている。オーディションの場面さえも省略。どこか空虚に感じました。裏話だけに終始しては本当の舞台は語れないでしょう。ピアノを弾かないピアニストと同じ。ところでスターを夢見る未婚女性が、結婚していたと嘘をつくかな? ◆名優ベティ・デイヴィスの演技はさすがです。実年齢以上に老けているのは残念ですが、泣いたり、叫んだり、怒ったり、甘えたり、見ていて楽しいです。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-27 18:20:37)
184.  ミッドナイトクロス 《ネタバレ》 
撮影技師ジャックが偶然録音したテープから、大統領候補の知事の暗殺事件の真相を知るところ迄はスピーディで良かった。映像フィルムにダビングして検証するところは成るほどと唸ったものである。真相を掴んだが、仕組んだ相手は大物で、既に警察に手が回っており、ジャックの証言は揉み消されそうになる。そして近づく殺し屋の影。一庶民対巨黒組織の対決かと思って後半に期待した。が、ここからはジャックとおバカキャラ、サリーの恋物語に転落。 ◆まずあの殺し屋がだめ。中盤で顔出しして怖くない上に、間違い殺人する馬鹿だった。言い訳は「彼女から誘ったんだ」。人格障害者だったのだ。がっかり。案の定、無関係な娼婦も殺しているし。典型的な無秩序型なのに、電話を盗聴したり、TVレポーターになりすましてサリーに近づいたりする知能犯でもある。これは無理な設定。巨悪の組織の犯罪どころか、たった一人の単独行動。しかも暗殺はこいつの独断行動。その組織は対立候補で、知事のイメージダウンを狙っただけで、巨悪にはほど遠い。どんどんしょぼくなってゆく。 ◆それでも最後には期待がかかる。どう解決するのか。犯人は部屋にいる女やジャックを襲えばいいのに、駅に呼び出すんだね。ホームで殺す計画なんて最悪の部類。失敗して来た電車に乗ってニューヨークへ。まるでギャク。女はワイヤを付けてるので、ジャックに現在地や行き先を知らせるところだが知らせない。馬鹿じゃしょうがないか。女を追ったジャックが車ですっとんで行く。この場面はスリリングだったが、事故を起こしてお休み。この中断はいただけない。犯人の方もその場で女を殺せばいいものをフィルムを捨てたり、女の口と塞いで高い所へ移動したりと異常行動。とても目立つ二人なのに誰も気づかない不思議。ジャックが駆け付けるも時既に遅し。泣くジャックの背景に花火が揚がるが、その合成のしょぼいこと。その前のスローモーションもさほど効果を上げてはおらず、この監督はセンスが無い。 ◆結局事件はうやむや。「被害女性は最後の力を絞って犯人を殺しましたが、力尽きました」だと。ジャックはどんな証言をしたんだ。真相を語れ!音声はあるんだから証明できる。映像フィルムはTVで放送されたのを使えば良い。女の最後の絶叫を映画に使うなんて悪趣味。被害者遺族の感情を考えたことがあるのか。◆サリーに瓶で殴られた男はどうなったのか?
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-26 21:02:37)(良:1票)
185.  二重誘拐 《ネタバレ》 
妻の行動がいちいち癇に障る。夫が誘拐たのにリフレッシュと称してのんきにプールで泳ぎ、孫の誕生日会を開く。夫の元愛人宅を訪れ、「夫はニューヨークが嫌い」「ファックならホテルですればいいのに」と嫌味を言い放つ。涙ひとつ見せない鉄面皮。夫の浮気の原因が分かる気がする。事件後、被害者遺族の家庭はむちゃくちゃになるが、この家庭は何事もなかったかのように暮らし始めるのじゃないか。夫妻が愛し合っていたとは思えない。それに犯人の車のナンバーくらいは覚えておけよな。 ◆犯人と誘拐された夫の登山が一日の出来事なのに、自宅では何日も経つ。少しくらいの時間軸の変更はいいけどこれはやり過ぎ。誘拐が新聞報道までされているのに、犯人が「FBIに知らせるな」は無いでしょう。犯人がぐずぐずしているから誘拐公開にまで踏み切ったわけだよね。 ◆犯人と夫の会話をメインに据えたいのが分るが、土台無理な事。誘拐という異常事態で、本当のことを言うとは限らない。夫は犯人の心を何とか開かせようとしているだけ。妙に落ち着いている。犯人もだらだらしゃべるが、無駄口に聞こえる。自分の過去、妻の事、高跳びの計画、そんなことを話して何になる?殺す予定だったのだからしゃべったのだろうが、本心とは限らず、こんなダメ犯人はいやだ。 ◆夫は成功者でプール付の家を持ち、家庭は円満、二人の子供は既に独立。犯人は貧困層、失業中で、婿養子。犯人は夫を個人的に知っており、誘拐を企み、実行。しかし夫から貧乏だったが皆から尊敬されたという父親の話を聞き、心がぐらつく。犯人は夫を殺害、金品奪取に成功したが、良心の呵責に苛まれ、実質的な自首。両者の違いを際立たせておいて、全く別の世界の住人のように見えても、実も同じ人間として心を通じ合わせることが出来る、という事がテーマなのだろう。完全に失敗である。妻は可愛くないし、夫もさほどの成功者とも見えない。何より犯人の家庭を僅かしか描いてないのが敗因。さほど貧乏には見えない。犯人の妻も登場せず、犯人がどれだけ追い詰められていたのか伝わらない。会話だけで共感は無理。 ◆「二重誘拐」の邦題は、誇大広告、違法広告の部類だろう。裁判を起こせば勝つと思うよ。どうせ誘拐するなら嘘邦題をつけてお金もうけをしている悪い奴らをターゲットにしてほしい。原題は犯人が犯罪を”清算”したという意味 ◆ダイヤと死体はどうなったんだ?
[DVD(字幕)] 3点(2010-12-26 11:03:06)(良:1票)
186.  誘拐犯(2000) 《ネタバレ》 
途中までは十分に楽しめた。”ハプニング誘拐”で、妊婦が予想外の行動を取るとろに魅かれた。赤ん坊の父親が裏社会の人間で、大金持ちという設定が面白い。しかもお金を払えば出元がばれるのでお金は出せないという設定。少々無理があるが許容範囲だ。思わぬ人間関係のつながりが明らかになり、サスペンス度は増す。しかし間違った出口に向かってしまったようだ。最終的には偶然の出来事が重なっただけの錯綜した物語という印象。複雑な人間関係をうまく処理できてない。というより人間が描けてないのだ。◆まず誘拐犯だが、これは生活の必要上、偶然耳にした情報から誘拐をするのだから、悪人であってはならない。いつしか妊婦と心を通わせ、妊婦を守る立場を堅持すべきだった。それが途中で人殺しのプロのような行動を見せるようになり、貧乏なはずなのに高価な銃を何丁も所持し、何人も人を殺す。これじゃあ感情移入できない。妊婦を解放するのが目的に変更したのだから、お金は放っておけばよかったのだ。それでうまく逃げおおせればハッピーエンドで好印象だったのに。 ◆妊婦は自分の子供を奪われたくないからボスの元から逃げ出そうとする。なら誘拐犯と協力をすればいい。それなのに銃をぶっ放す。それに産めば100万ドルの代理母報酬はありえない。相場は5万ドル。代理母なんていくらでもいる。又普通に考えれば、生物学上の母親(卵子提供者)はボス妻の筈だ。どうして妊婦の卵子が使われたのか?医者と普通にセックスして妊娠したということになる。代理母詐欺だ。子供が欲しかったのか、お金が欲しかったのかどっちなんだ。お金が欲しかっただけが、母性が目覚めて心変わりしたのか。医者と恋愛関係にあったのか?また医者はどうしてそんな無理な要求に同意したのか。父親を困らせたかったのか。困らせる方法ならいくらでもあるはずだ。結局赤ん坊は誰の子供として育てられるのか?当然医者の子としてだろう。だから最後のボス妻が妊娠するという都合のよいオチがある。そして妊婦の父が掃除屋だと?観客を馬鹿にするな! 【気になった点】①ボスが代理母に4人ものボディガードをつけて監視している。 ②ボス妻は異常行動が多いのに事件には絡まない。誰の子を妊娠したんだ。 ③女店員のあの目つきは何?④黒人ボディーガードがホテルの経営者を誤射した。⑤掃除屋は誘拐犯の足しか撃たなかった。 
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-26 02:02:34)
187.  U.M.A レイク・プラシッド 《ネタバレ》 
◆ホラーもの、パニックものとしては成功していない。緊迫感が薄く、いつまで経っても怖くならず、あれれという間に終了。いい画が取れてるし、音楽も良質、俳優も有名人が出ているのにもったいない。一言で言うと真面目さが足らない。怪物の存在を知りながら、あんな小さなボートで行動しないでしょ。 ◆怪物そっちのけで、登場人物たちがケンカしたり、いがみあったり、恋愛したりで忙しい。土台コメディタッチの動物パニック映画って無理でしょう?それってヘリコプターでワニを捕まえるようなものだよね。或いはワニ用の罠で保安官を宙吊りにするようなものか。笑いかパニックかのどちらかに絞りましょう。 ◆怪物がワニと分った時点で興味が半減。生態がわかっているし、大型銃で退治できる。しかもおばあちゃんが餌付け?エサが牛だと?おじいちゃんは食われた?ついでに小ワニも餌付け?開いた口がふさがらないとなこのこと。おとぎ話じゃないんだから。 ◆それにしてもあの博物館の女学芸員は何のために居るのか。もうちょっと必然性を考えてくれ。生物学者ならともかく、化石を扱っている人だよね。上司にふられたっていいながら、もう恋に走っているし。 ◆「ワニは水中で襲わない」と説明があったが、最初の被害者は水中の襲われた。
[DVD(字幕)] 5点(2010-12-25 03:46:24)
188.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
【実話】ウォルター・コリンズは9歳。犯人の甥で共犯者のサンフォードは16歳。拉致された少年達は性的虐待を受け、性的対象として客を取らされていた。それで逃亡出来ても家に帰りたくない心理が働いた。犯人は子供を誘拐するときにはサンフォードではなく、鬼畜の母親が手助けをしている。母親は終身刑。サンフォードは少年院。死体は生石灰と共に埋めたので骨の断片しか残っていなかった。埋葬場所とは別に3人の少年の死体が発見されている。犯人は裁判ではあいまいな供述に終始したが、収監後に罪の重さを悟り、詳細な告白をしている。偽証少年は継母との折り合いが悪く、家に帰りたくなかったのが家での動機。母親は事件の7年後に死亡。【感想】そもそも自分の子供を間違えることがあるだろうか?9年一緒に暮らして、5ケ月離れただけである。顔は違う、身長は7センチも低い。家族や親戚、少年を知っている誰に訊ねても、違うと明白に答えるだろう。映画でも教師や医者が証言している。母親は、最初に出会ったときにはっきりと拒否すべきだった。子供の問い詰め方も甘い。また完全に違うと確信したあとで、新聞に少年の写真を載せてもらい、両親に名乗り出てもらえばよかった。警察も病院も態度や手口があまりにもあくど過ぎる。あきらかに演出過多である。◆殺人事件が発覚してからは物語が動き出した。警察の腐敗体質が明らかになり、対警察の司法対決となる。正義感にあふれる牧師や弁護士、まともな刑事も登場する。◆コリンズが生きているかどうか。映画では逃亡しているが、そのときサンフォードも一緒に車に乗って追いかけている。彼なら顛末を知っているはずである。映画では子供だが、実際は16歳。捕まえたか、逃がしたかくらいは覚えている筈だ。これは希望を持たせるための演出。犯人の極悪母親を出さなかったり、実際にはいない生還した子供が出したり、監督は食わせ者だ。「脚本の95%は実話」という宣伝文句の95%は嘘。売れる映画作りに徹している。主演女優は、老けすぎ。【疑問点】①初対面で母親が違うと言っているのに警察が無理強い。②誘拐の日に子供の面倒を見るのを頼まれた知人が登場しない。③狭い電話交換所でローラースケート。④母親化粧が濃すぎ。寝起きの顔も化粧。⑤アカデミー賞の予想ができるくらい映画を見てる。子供とは見に行けなかったのに。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-24 09:53:59)
189.  ドクトル・ジバゴ(1965) 《ネタバレ》 
金も時間もたっぷりかけた文芸大作。現在ではほどんと見ることができないタイプの映画。ロケーション、美術、大量のエキストラ、音楽、どれも申し分ない出来栄えで視聴に値する。 ◆戦争、革命、社会変革、価値観の変更。厳しい冬、慢性的な物不足、飢餓と隣り合わせの暮らし。生き延びるだけでも大変な時代。それだからこそ愛に飢えた魂同士は強く結びつき、燃えあがる。共に妻子ある身だが、愛が無ければ生きられない。ラーラの夫が革命家であることもあり、二人は時代に大きく翻弄される。 ◆ジバゴは両親を早くに亡くし、知人に引き取られる。裕福な家庭に育ち、望み通り詩人兼医者になる。政治にはさほど興味がない。義父母の娘と結婚。ラーラは母との慎ましい二人暮らし。母は俗人ビクターの愛人。ビクターに犯され、心の傷を負う。革命家と結婚し娘を授かるが、夫は家庭を顧みない。夫は戦場に行ったきり行方不明に。二人は運命に翻弄されるかのように何度も別れと出会を繰り返す。 ◆ラーラの夫は理想に燃える革命家であったが、後に冷酷な戦争指導者となる。最後は逮捕され自殺。この魅力的なキャラを中途半端にしか描かなかったのはどうしてか?人間性を失った彼と、最後まで失わなかったジバゴ。彼を描くことで好対照であるジバコを際立たせることになるのですが。 ◆ラストは尻切れトンボ。ジバゴの妻子はどうなったのか。ラーラの最後は?ラーラの娘は母とどうやって別れたのか?伝記なのだから、きちんと見せるべき。それに重要なアイテムのバラライカ、持ってるだけで何故誰も弾かないのはどうして? ◆物語として物足りないのは、ジバコが英雄的人物ではないという点。高潔で優しい人物であるが、何かを成し遂げるわけでは無く、思想も持たない。常に受け身である。医者として戦場に送り込まれたり、拉致されたりするが、さほど活躍するわけではない。ラーラとの不倫も偶然的要素が強い。いわば等身大の人間だ。彼の詩が紹介されないので詩人であるという深みが出てない。人間は、戦争や革命といった時代の奔流には逆らえないが、恋愛も同様だと原作者は言いたいのだろうか。歴史的背景を除けばメロドラマだ。ジバコが精一杯生きているは伝わるが、喜怒哀楽をあまり表出しないので共感しづらい。ラーラは憎悪のビクターのお陰で助かり、ジバコと一緒だった死んでいた。ジバコは、ビクターに完敗した感がある。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-24 04:07:03)
190.  サーカス(1928) 《ネタバレ》 
魅力の無いヒロインだ。娘は義父から虐待同然の扱いを受けて、泣くばかり。チャップリン(C)に優しくされて好意を持つが、好意どまり。占いで好きな人が近くにいると暗示を受け、ハンサムな綱渡り師が現れると恋のとりこになる。しかし再び義父に叱責されると、サーカスを出てゆくCに「連れてって」と懇願する。Cが綱渡り師を連れてくると喜び、プロポーズを受諾、義父の元へ戻る。一人では何もできず、知能は幼児並み。◆恋のパートも弱い。Cが娘に会ったとき一目惚れしなかった。お金を稼ぐのは自分のためで、娘のためでは無い。したがって良く練られたラストシーンだが、ペーソスが薄い。◆Cの映画ではリアルな女性像は描かれない。女性は類型的、あくまでお飾りにすぎない。可憐だが、独立心が無く、誰かの助けを必要としている不幸な存在。簡単に言えば、不幸な境遇にある幼い娘。◆自立した女性が登場するのは「モダンタイムズ」から。演じたポーレットはCの3番目の妻となる。若く見えるがCと出会った時点で離婚経験があった。彼女は私生活でも活発で、好奇心旺盛、面倒見が良かったらしい。Cと離婚した妻の元にいた息子達とが週末に会えるように取り計らったのも彼女。彼女の存在がCに与えた影響は大きい。◆フロイトの分析によれば、「Cは非常に単純な人間で、不遇だった少年時代を忘れられず、何度も演じ続けている」とのこと。Cは完璧主義者だが完璧な人間ではない。Cは自分が弱者だと感じていたので、自分よりも弱者に対して深く同情してしまう。世間を脅威と感じており、恐れていた。弱い者しか信用できなかったとも言える。助けを必要とする娘、子供、動物などには強い同情を抱くが、成熟した大人に対しては恐れを抱いていたのだろう。自分に狂気の血が流れているのではなかと恐れ、母親のことも周囲には隠していた。◆ドタバタ喜劇の基本は追っかけとばかりに、追っかけシーンが繰り返される。笑われているのに、本人はそのことに気づかない。本人は周囲を笑わせる気が無いのがおかしい。子供のお菓子を盗む食いするシーンに6週間もかけ、綱渡りは700回以上もやったという。完璧主義の極致、芸人魂の発露である。Cは得意げに演じているが、他の出演者は楽しそうには見えない。ヒロイン以外の共演者を育てるつもりなどないのだろう。良くも悪くもCのCによるCのための映画である。
[ビデオ(字幕)] 7点(2010-12-14 14:26:57)
191.  チャップリンの黄金狂時代 《ネタバレ》 
アラスカのゴールドラッシュとシエラ・ネバダ入植団の悲劇(カニバリズム)が元となっている。欲のために命を落とし、或いは生きるためには同胞をも食べる。チャップリン(C)の創作アイデアの元は常に悲劇や不幸である。「街の灯」「モダンタイムス」「独裁者」「殺人狂時代」「ライムライト」全て悲劇・不幸を扱っている。彼が「悲劇を笑い飛ばそう」という強い精神力の持ち主であり、それはCの不遇で過ごした少年時代に由来する。彼自身の言葉「しばしば悲劇が笑いの精神を刺激してくれる。笑いとは反骨の精神だ。たとえば大自然の威力の前では、自分の無力ぶりを笑うしかない。笑わなければ気が狂ってしまうだろう」狂気と天才は紙一重である。 ◆空腹のあまり靴を食べたり、相手が鶏に見えて殺そうとしたり、小屋が崖から落ちそうになると、相手を踏みつけて床を登ったり、ブラックユーモア炸裂である。悲劇の切迫度が高ければ高いほど笑いの密度が増す。Cは、幼少時代のひもじかった日々、それでも母親が笑わせてくれたことなどを思い出しながら撮影していただろう。靴は甘草で作られていたが、食べ過ぎたために副作用の下痢に悩まされたそうだ。プロ根性というものだろう。大勢のエキストラや特撮を使ったりと、気合が入っている。 ◆冒頭、Cの後をつける熊が登場する。一歩間違えばCは食われてしまっていただろう。だが偶然Cは助かる。Cはそのことを知らない。後に熊は小屋に現れ、射殺され、C達に食われてしまう。これが運命の皮肉だ。運命はCの預かり知らぬところで決定され、所詮人は運命を受け入れ、笑い飛ばすしかないのだ。 ◆もう一つの主題は恋。Cは単純に金持ちを夢見て金鉱探しに参加。しかし失敗して町に降りてくる。そこで酒場娘に一目惚れ、今度は娘と約束したディナーの資金を稼ぐために仕事に励む。だが約束の日に娘は現れずに失恋、失意のどん底へ。一方娘は約束を忘れていたことに気づき、小屋を訪ねるがCが不在。ディナーの準備の様子でCの恋心と失意を知る。そなんときCは山の相棒と出会い、二人で金鉱を見つける。期せずして夢は叶った。凱旋の船上で二人は再会する。皮肉にも立場は逆転していた。Cは金持ち、娘は落ちぶれて二等席。Cは昔の服装をしていたが、娘はそれでも好意を示した。身分を証し、キスしてハッピーエンド(サイレント版)。純愛は黄金に勝る。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-13 16:07:30)(良:1票)
192.  チャップリンの放浪者 《ネタバレ》 
バーでのヒゲの酔っぱらいのユダヤ人、ジプシー生活をし、娘を虐待するユダヤ人など、ユダヤ人を揶揄・軽蔑するような描写が目立つ。当時の典型的なアメリカ市民のユダヤ人に対する感情の反映だろうか。チャップリンの兄シドニーは異父兄弟で、半分か4分の1ユダヤ人の血が混ざっているとされている。後の「独裁者」を知っているだけに意外だ。 ◆流しの楽師である放浪者は、バーで一騒動起こした後、ユダヤ娘のところにやってくる。娘を好きになったのではないが虐待されている姿を見ると同情し、二人で逃げ出すことに成功する。二人での生活が始まったかと思うと、話は急転換。画家が娘の姿を気に入り、絵に描く。娘は画家に恋をする。その絵が評判となり、観に来た客の一人が描かれているのは自分の生き別れた娘と気づく。母と子は再会し、放浪者とは別れる。しかし娘の気持ちは変わり、放浪者を迎えにくる。ドタバタと恋と母子の再会、短い上映時間の割りに物語性に富んでいる。 ◆放浪者は娘に恋をしているようにはみえない。バイオリンを聞かせたあとにお金を要求するし、顔を洗ってやるのも実に乱暴だ。それに娘は画家に恋をしている。だから最後に娘が放浪者を迎えて来る場面でも感動は湧かない。まだまだ脚本が未熟のように思える。
[ビデオ(字幕)] 4点(2010-12-13 03:32:56)
193.  モダン・タイムス 《ネタバレ》 
アイデアの発端は、チャップリン(C)が、大恐慌により大量発生した失業者に同情したからだ。労働者階級出身で貧困裡に育ったCにとって労働者の困窮は他人事ではなかったろう。失業者が増えたのは機械化が進んだためと単純に考えたらしい。◆これだけ資本主義批判を全面に出せば、共産主義者と勘違いされるのも無理は無い。独や伊で上映禁止。単純作業のしすぎで病気になるなどの描写からは、資本主義の発達は人間を堕落させると考えていたようだ。工場長だけがのんびりとジグソーパズルで遊ぶ。デモ、ストライキは真面目に描かれる。浮浪娘の父は警官(国家権力)の発砲で死ぬ。Cは米国籍を申請せず、外国人である。当然当局の反発を買い、後の”追放”の遠因となった。◆過度なまでに機械化・自動化された工場の描写は時代を超えたインパクトがある。傑作とされる所以である。ただ何故ナット締めだけ自動化されていないのかという疑問があるが。◆昭和11年、時代はトーキーを過ぎてカラー時代。前作「街の灯」ではサウンド、本作では歌声を入れた。サイレントにこだわったのは、キャラである”浮浪者”がしゃべると生々しくなり、観客を現実に引き戻してしまうからだ。トーキーに対抗するためには、アイデアを満載して観客を飽きさせないことだ。前作から5年もかかったのはそのため。舞台時代から培ってきた芸の数々が惜しげもなく披露される。集大成といってもいいだろう。笑いと涙に社会風刺も加わり、映画としての完成度は高い。 ◆浮浪娘はたくましい。食べ物が無いと盗んで妹たちに食べさせる。父が死に、施設に収容されそうになるが、逃げだし、ダンスの仕事を見つける。独立心があり、労働者の希望の象徴として描かれる。◆浮浪者は真面目に働こうとするが、失敗の連続。それでも浮浪娘のために家を持とうと、くじけない。遂には職を得るが、浮浪娘が微罪で捕まりそうになり共に脱走。二人の気が合うのは、性格が似ているからだ。失敗しても笑いを忘れずにいれば、いつか明るい未来がやってくるさとあくまでも前向きな姿勢で終る。深みあるテーマにしては単純なラストだが、二人の歩みは軽やかで力強く、爽快感がある。単純さの中にこそ真実がある。Cの定番である”別れ”で終わらなかったのは、労働者に対するエールが強く込められているからだろう。”甘さ”を指摘するより、ヒューマニズムあふれる名作として讃えたい。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-12-13 02:16:06)
194.  チャーリー(1992) 《ネタバレ》 
◆監督はチャップリン(C)の作品よりも、私生活、特に女性遍歴に興味を持っているようだ。女性の年齢を強調し、必要以上に裸を見せる。C本人が観たら激怒すること間違いない。 ◆Cが成熟した女よりも少女に興味を抱くのは、恐らく彼の完璧主義的性格が原因だろう。不幸な生い立ちのせいで、理想の高い家庭像を抱いているが、それにはCの言うことを何でも聞いてくれるタイプの妻が必要。1から全てを教えて理想通りの妻に育てたいのだ。だがそれはうまくゆかず、離婚再婚を繰り返す。 ◆映画ではCが恩人の元を去り、独立したのはお金のためだとしている。貧困育ちの彼が人一倍お金に執着するのは理解できる。しかし、それよりも彼の完璧主義的性格の方が主因だと思う。自分の思い通りにやらないと気が済まない性格なのだ。彼が監督、脚本、プロデューサー、主演、音楽を一人でこなしたのは偶然ではない。そうせざるを得なかったのだ。それだけの実力があったし、成功も収めてきた。だがそれ故に多忙となり、疲弊し、家族のことがおざなりになる。それが私生活の乱れにつながる。 ◆貧困時代が興味深い。兄や母との涙の別れ、孤児院の所員との追いかけっこ、ひょこひょこ歩きの集荷人、盲目の少女など、彼の後の映画のモチーフがさりげなく紹介されているのが心憎い。舞台時代のパフォーマンスが見れるのも嬉しい。初恋の女性ヘティに求婚したとき「愛の言葉もなくて?」と言われ、「言葉なんて必要かい?」と返すところは、彼の後のサイレントへの執着を暗示している。 ◆「浮浪者がしゃべったら魔法を失う」という彼の主張は的を得ていると思う。しかし同時に彼の限界でもある。初の完全トーキーは「独裁者」。最後の長い演説を聞かせる必要があったからだが、世界中に愛の言葉を伝えたいという情熱が、自分の壁を打ち破ることにつながったことは興味深い。監督はその演説シーンのスクリーンにペンキをかける。監督がCファンでないことは明らかだ。 ◆母親には限りない愛情を注ぐ一方で、父親に対してはひどく冷淡だ。終生嫌悪していた二番目の妻に対しても同様だが、一度嫌いになると許せないらしい。世界に愛を伝えたCが、自分の父を愛せないとは皮肉なことだ。伝記映画で父親が一度も登場しないのは不自然だし、残念だ。父不在が彼を幼少期から独立心を育ませた。彼が渇望していたものは常に愛であり、作品に強く反映されている。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-12 19:55:16)
195.  スモーク(1995) 《ネタバレ》 
生きるということはタフなこと。若い頃は無茶もするし、心に傷を負い、大切なものを失うこともある。片目や片腕は人生で喪失したものの象徴だ。四千枚もの街角の定点写真は時間の象徴であり、あっという間に過ぎていったと感じられるものだが、じっくりと見返せば見えてくるものがある。人生をそんなに急がないで、時には煙草一服くゆらしながら、休憩してゆきなさい、という趣旨の映画。◆完璧な人生など無い。作家は最愛の妻を失っているし、黒人少年には両親がいないし、煙草屋は恋人と別れた心の傷を持つ。正直だけで生きられたら良いが、実際の人生はそうはいかず、時には嘘をついて相手を煙に巻くことも必要だ。嘘にも種類がある。自分の利益のために相手を騙す嘘、世間を乗り切るための処世術としての嘘、相手を思いやっての優しい嘘。害にもなれば薬にもなる。煙草も似たようなものだろうか。◆作家は生きる気力を失くしていたが、少年との関わり合いで世間との関わりを持つようになり、煙草屋の体験談を元に、作家として復帰する。少年は嘘の名人だったが、作家と出会い、作家に父のような感情を持ち、まじめに働くようになり、遂には実父との再会を果たす。煙草屋は、元恋人と再会し、実の?娘と会い、過去のわだかまりを捨てて、お金を渡す。が、小説のようにうまく収まったわけではない。作家の妻の喪失感は消えることは無いだろうし、少年と実父との関係もぎくしゃくしたままで、煙草屋の娘は悲惨な運命が待っていることが予想される。それでも一歩一歩、毎日を刻んでゆかなければならない。お互いに心を開けば、街角の交差点にように人生が交差し、物語が生まれる。素晴らしいことだ。◆最後のモノクロ場面は、作家の書いたクリスマス・ストーリーの映像化であり、回顧場面では無い。作家は煙草屋の語りがあまりに出来過ぎていたので、嘘と断じたようだが、真相は不明だ。煙草屋の「秘密を分かち合えないで友達とは言えない」の科白から推せば、真実と思われるが、何が真実かは重要では無い。真実と嘘の間には少しの違いしか無い。人生は重いが、同時に煙草の煙のように軽い。長く生きているとそういうことも分ってくる。そういうことをしみじみと感じさせてくれる大人の映画である。◆全員が煙草を吸うのは演出過多。自動車工が高価な葉巻を吸うだろうか?17歳に煙草を吸わせるのも疑問。娘に救いが無さすぎる。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-10 18:45:13)
196.  白いドレスの女(1981) 《ネタバレ》 
これでもかと畳み掛ける蒸し暑い夏の描写、汗染みの服、退廃的なジャズのメロディ、犯罪の匂いのぷんぷんする映画だ。◆遠くのホテルで火事がある。愛人との情事を楽しんでいる弁護士ラシーン。「放火らしい」と呟く。対岸の火事と思っていたが、やがてそれは自分に降りかかる厄災の火の粉だった。映画全体を象徴するうまい冒頭シーンである。音楽やカメラワークが洗練されており、質を高めている。映画作りを良く知った監督の作品と思う。◆男は人妻の色香に溺れる。独身で女性をつまみ食いするのが趣味、元々溺れやすいタイプだ。米の弁護士は数が多く、皆高所得とは限らない。仕事面でミスが多く、うだつは上がらない。◆女は男に、夫の悪口と財産の多さを強調して吹き込み、殺人へと誘う。すっかり騙された男は、殺人を実行する。だがそれは女の巧妙に仕組んだ罠だった。◆それにしても夫殺害の実行は、お粗末すぎる。自宅で殺し、廃屋に運び、発火装置で燃やす。発火装置を知人の放火マニアに作ってもらっているので、証拠も証人も残る。家に侵入しても音をたてて気づかれてしまう始末。もっと別な方法があったはずです。眼鏡の紛失も女の仕業とはいえ、気づかないのはうかつなことで、夫が外出したストーリーなのに車はそのまま。電話がかかってきたというが、記録は無い。これではきっとレンタカーの記録も残しているのだろう。弁護士にしては杜撰すぎる。◆誰が見ても証拠一つ残らない完全犯罪計画が破綻する様子を観たかったのに残念である。そこがこの手の知的犯罪映画の肝と思うがどうであろうか。計画が破綻してゆくサスペンス、犯人の焦り、犯罪を補完する次の手立てなどが無く、あっさりした印象である。あの立場で男は、ジョギングをしている暇は無い筈である。◆女が放火マニアに相談して、発火装置を作るのも解せない。告げ口されれば終わりである。そもそも二人に接点があったのか?女は身代わりのアンの死体を焼いて逃亡をするが、死後に焼かれたことは、調べればすぐに分ることである。これがわからない警察はありえないだろう。◆女の入れ替わり(名前を交換)であるアンの登場場面(男が女と誤解して卑猥な言葉をかける)や二人の情事を目撃した少女等は、徐々に綻びてゆく完全犯罪の伏線として魅力的であった。◆悪女映画としては成功している。
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-10 14:01:38)
197.  熱いトタン屋根の猫 《ネタバレ》 
【制作メモ】リズ26歳。妻役に惚れ込み自ら売り込む。制作中に夫が不慮の事故で逝去。1月程撮影中断、心痛で5キロ痩せる。前半の肉感的なセクシーさが後半には無いのはそのため。原作では次男と親友はゲイの関係だが、当時のプロダクション・コードの規定でそれは表現できなかった。自信ゲイであった原作者はこれに激怒。【次男】裕福な家庭に育ち、両親から愛され、美貌の妻を娶り、アメフトの花形選手。だが幼馴染で相互依存関係だった親友の自殺で人生が暗転。妻と親友の不倫を疑い、死に関係していると怪しみ、同居離婚状態。父親から愛されたことがないと感じ、愚昧な兄夫婦を蔑視。世界は虚偽に満ち溢れていると思い込み、失職、アル中に。【父】傲慢、専制タイプ。浮浪者の父を恥と思う。がむしゃらに働いて成功を収めた。妻を愛したことは無い。長男とは馬が合わず、次男を溺愛する。余命幾許も無いことを知らされる。【長男】従順、小心者。父に愛されず。美男美女の弟夫婦と対照するように正反対に描かれる。【感想】密室劇のような重苦しさ。回想シーンを挟まず、すべて会話により進行。鑑賞後爽快感が少ないのはそのため。◆表向きは仲良しだが、心の底では愛しあっていない家族。父の余命が宣告される。常に自信満々の父も死に直面し、さすがに落ち込む。そこに感情の隙間が生まれ、人生を絶望している次男と心を通わせることができた。そもそも余命を知るきっかけは、次男のことを心配し、真相を解明しようと懸命になったことだった。◆父は父を恥と感じていたが、本当は愛し、愛されて幸福であったことを思い出す。妻から愛されていないと感じていたが、そうではないと気づく。子供を愛していたと思っていたが、上辺だけだったと思い当たる。◆次男は親友の死を妻のせいにしてきた。だがそれは自分に責任があることを認めないための逃避だった。◆長男は父の愛を得られなかった腹いせに父の財産を狙っていたが、父のことを本当に愛していたことを知る。◆意表をつくのが次男妻から父への妊娠しているという嘘のプレゼント。虚偽だが相手を思いやっての嘘は美しい。父は嘘と知りつつ喜ぶ。長男も受け入れる。虚偽もまんざらではないと気づいた次男は妻を許す。この閃きが原作を名作たらしめている一因だろう。人生や家族関係は難しいが、このような奇跡も起こり得るのもまた人生である。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-03 14:48:28)
198.  ゴジラ FINAL WARS 《ネタバレ》 
◆観客動員数は100万人にとどまり、シリーズ・ワースト3。製作費20億円で、興行収入12億円、テレビ放映視聴率もたった5.8%という散々な出来で終わったゴジラ最終作。冒頭の「田中友幸、本田猪四郎、円谷英二に捧ぐ」という文字が痛々しい。内容のほとんどが軽薄なパロディで、ゴジラや怪獣たちに対するリスペクトが無く、ゴジラ映画を愛するコアのファンには見るのが辛い映画となっている。子供が見ても楽しめない。楽しめるのはアンチ・ゴジラ・ファン?「晩節を汚す」という言葉がぴったり。東宝は大いに反省していることでしょう。◆特撮の出来や脚本がうんぬんというより、姿勢の問題なのだ。1984年の復活以来ずっとシリアス路線できたのに、最後の最後でおちゃらけ路線。行きあたりばったりの展開に口あんぐり状態だ。◆気になった点。 ①怪獣の場面が継ぎはぎだらけという稚拙さ。125分もあるのに。 ②馬鹿にするためだけにハリウッド・ゴジラを出している。 ③ロケットランチャーでエビラを倒す。他と整合性がとれない。 ④キングシーサーは正義の味方のはず。モスラだけがいいとこどり。 ⑤「人類にミュータントが見つかる」などというB級設定。 ⑥怪獣映画に不要な人間のアクションパートが多すぎる。 ⑦事務総長など死んだと思った人物が生きていた。 ⑧X星人が仲間割れする。 ⑨X星人に操られた尾崎が小美人からもらったお守りで殴られると正気に戻る。 ⑩ミニラが登場し、途中で巨大化する。
[ビデオ(邦画)] 3点(2010-10-15 07:08:14)(良:2票)
199.  ウォンテッド(2008) 《ネタバレ》 
◆一番凄いと思ったのは、ネズミを千匹も捕まえたことかな。実際やってみると大変だと思うよ。それに一匹、一匹に時限爆弾を仕掛けるのだから。 ◆一番不可解なのは、ウェズリーの父親クロスだ。息子を守るのなら、電話するとか、手紙出すとかしなさい。金銭的援助くらいしてやってよかったと思うよ。それに何故息子を轢き殺そうとしたり、実際に腕を撃ったりしたのか。呼び出したいのなら電話するか、弾丸を届ければよい。 ◆一番不思議なのは、貯金の残高が増えたり、減ったりするところ。 ◆一番驚いたのは、親爺の協力者(弾丸製作者)が、川に落ちたウェズリーを救出したところ。いったいどうやったらそんなことが出来たのか?病院に運ばれたのを連れ帰ったのか。 ◆一番がっかりしたのは、フォックス(アンジー)の360度回転同士撃ち+自殺弾。一人一人との対決が見どころになった筈なのに残念。 ◆一番知りたいのは、1000年も続く「運命の機織り機」の正体の謎。暗殺すべき人物の名前が暗号の二進法で織られて出てくるらしいが、同姓同名がいたらどうなるの?「Death Note」じゃないけど、名前を知られていなければセーフ? ◆一番疑問なのは、飛び杼を掴んだり、蝿の羽を撃ちぬいたり、弾丸を曲げることは訓練で可能としても、超ジャンプや超カー・アクションはどうやってできるようになったのかということ。 ◆一番ひっかかるのは、スローンはクロスを殺すのに息子を暗殺者に仕立てるという手の込んだやり方をし事た。普通に考えれば、息子を人質にとり、おびきよせればよかったのだ。 ◆一番バカバカしいと思ったのは、ウェズリー最初の暗殺方法。わざわざ走っている電車の屋根の上から会議室を狙うなんて。相手に近づいて撃てばいいじゃないか。 ◆一番欲しいと思ったのは、あのすぐに傷が回復する風呂。特許で食っていける。 ◆一番哀れなのは、ウェズリーに勘違いで射殺されたネズミ爆弾男。「流れ弾にやられた」なんてウェズリーを庇っている。
[DVD(字幕)] 5点(2010-10-13 05:53:22)
200.  偽牧師 《ネタバレ》 
◆チャップリンお得意の巻き込まれ型のドタバタ・コメディ。次から次へとハプニングが起こり、気の弱い主人公が事件に巻き込まれてゆきます。そこそこ笑えるので見て損はありません。 ◆一方で、後期の名作に到る過渡期の作品として観れば、尚興味深いものがあります。 ◆脚本にいくつかの難点があるように思います。 ①男はいくつかの罪を冒している。入獄に到った何らかの罪と脱獄の罪。そして牧師の服とお金を盗んだ罪。母娘のお金を悪人から取り戻したというだけで、これらの罪がチャラになるだろうか。 ②男がどういう罪で刑務所に入ったか不明。ジャン・バルジャンのように男に同情すべきようなシナリオを用意すべき。脱獄も同様。偶然脱獄のチャンスが訪れたとか、どうしても誰かに会わなければならないとか。それが無いので人間が描けていない。少なくとも悪い男ではないという点をもっと強調すべき。その前にあんなドジな男が脱獄などできるはずないと思うのだが。 ③男は教会ではお金に執着を見せるが、母娘の家ではお金に無頓着。それは娘に対する恋心に起因するものだろうが、このところが弱い。心変わりする決定的な契機が欲しい。 ④ラスト・シーン。男は保安官の親切心に助けられるのですが、これが弱い。これが当時のチャップリンの限界か。後のチャップリンなら男は収監され、その悲劇性と社会批判とで観客の心をつかんだはず。喜劇と悲劇の両立の域に達するまであと一歩の作品。笑いだけにこだわった作品。 ◆それにしてもカメラのズームもパンも無いが、当時は技術的に難しかったのでしょうか。ピントを合わすのに一苦労したものと推測します。それでも今でも笑えるのは、やはり凄いことです。
[ビデオ(字幕)] 5点(2010-10-11 02:16:23)
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