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281.  めまい(1958) 《ネタバレ》 
高所恐怖症のめまい、亡霊のめまい、悪夢のめまい、恋のめまい、罪悪感のめまい。いろんなめまいを見せてくれます。めまいと言うテーマが一貫して映画にちりばめられていて、それで評価が高いのでしょう。サスペンスと思っていたらラブストーリー。人間ドラマや心理描写が巧みというより、感情表現に徹してます。主人公の感情がそのまま映像になるよう工夫されており、それが斬新さですね。ヒロインが好みじゃないので感情移入できず。人妻、きつい目、太い眉、弱弱しい性格、どこに魅かれる要素があるの?前半のマデリンの部分は、夫婦で芝居をしてジョンを騙しているとすぐに分かりました。それ以外に考えられないからです。目的は何か?と案じていたら飛び降り自殺。ああ、交換殺人だとピンと来ました。案の定死体を検分しません。退屈でした。後半ネタバレしてからがらりと変貌。視点がジュディの恋する女心に変わります。愛を受け入れたいが真実は語れない。切ないです。感情移入しましたが、ジョンの性格が変りすぎて違和感が大。サイコになってます。ジョディが転落したのは罪悪感のため。尼僧の影が殺した女に見えて驚愕したのです。が、単なる事故転落死にしか見えないのは残念。本当に罪を受けるべきはエルスターなのに。だからカタルシスが得られないのです。気になったこと:①妻殺しにあんな手の込んだ芝居する?②ジュディは何故同じ町に住み続ける?エルスターも何故彼女を放っておくのか。③エルスターはお咎めなし?カルロッタのネックレスが証拠になると思うけど。④評決早すぎ!⑤アニメは幼稚すぎ。⑥マッキトリックホテルでの謎は?支配人もグル?⑦ミッジがカルロッタの肖像画に似せて自分を描いたのはジョンに振り向いてほしいから。それならその前に行動にでればよかったのに。⑧愛する人に二度も死なれたジョン。もう立ち直れないでしょう。⑨キスのシーンで波がザッブーン。狙いすぎですよ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-23 08:14:14)
282.  逃走迷路 《ネタバレ》 
戦前の映画でこれほど凝った映像を撮っていることに驚きました。心奪われるシーンが多いです。とりわけ火事の場面が出色。じわじわ画面を覆う不気味な黒い煙。食堂で順番に振り向いて立ち上がる群衆のカット。消火に入った男が直後に退路を絶たれ、紅蓮の焔の中に倒れる。何度も見たいシーケンスです。放水するダム。映画館で劇中映画と現実の銃撃戦のシンクロ。横転した巨船。自由の女神のシーンで次々と切り替わる視点。ゆっくり転落してゆく悪党。象徴性に富んでいます。ロマンスも楽しめる。ケインを信用しないパットが心開いたゆく経緯も面白い。激しく喧嘩しているのを見た老譲が「なんて仲いいんでしょう」と羨ましそうに言うところはツボ。蛇嫌いなのに「蛇使い」にされる。ケインにではなく、ケインを助けようとするサーカスの団員に心動かされてケインを信じるようになるのは斬新と思いました。他にもケインを善人と見抜く盲人、ケインを助けるトラックの運転手もナイスなど印象的な人物が目立ちます。最も驚いたのはヒゲ女ですが…。性善説を前提にした映画ですね。一方で悪党も善人らしく描かれているのはどうか?物腰の柔らかい大牧場主やチャリティー好きのサンセット夫人、嬉々と自分の家族のことを語る工作員。ちょっと待てよと言いたい。複雑な人間像を狙ったのはわかるが、巨悪として描かないと物語が成立しないと思う。敵役は上流階級のようなのでそのように描いたのか?祖国(ドイツ)のために身を捧げる殉教者として敬意を表しているのか。文化の違いからくる誤解なのか、しっくりきません。脚本も迷路にはまってしまったのでしょうか。そのせいか悪者が間抜けに見えてしまいます。気になったところ:①パットはソーダシティからどうやって抜け出したの?②ケインは地下室でスプリンクラーを作動させたあとどうやって脱出したの?③パットは部屋に閉じ込めらているのに注文したジュースが届き、お金を払っていた。④フライが自由の女神の階段で拳銃を落とした。そんな!ここは拳銃を持っているフライにケインが勇敢に立ち向かっていくほうがいいでしょう。⑤パットの看板文字や本の題名の小ねたは冴えていた。だが、パットが有名モデルであるという設定は生かされていなかった。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-23 03:03:42)
283.  知りすぎていた男 《ネタバレ》 
半世紀前の映画の演出法は現在とは随分違っていたんですね。いろいろと勉強になりました。オーケストラのシンバルと共に暗殺が行われる。旅でマッケナ夫婦に近づいてきた怪しい男が殺される。秘密を知った夫婦の息子が誘拐される。夫婦は自分たちだけで息子を探し出そうとする。歌で息子の居場所が判明。息子を探して戻ってきましたのオチ。極上の設定ですね。北アフリカの異国情緒とオーケストラも堪能でき飽きません。サスペンスなのにユーモアが随所に見られるのが特徴。またホテルに知人が大勢押しかけてきたり、剥製屋でドタバタを演じて見せたり、「息抜き」の部分があります。また敵のエージェント夫婦が高齢で善人だったり、拳銃で撃たれても血は見せない。これらは観客に安心してみてもらうためでしょう。当時の観客にとって息子が救助されてハッピーエンドになるのは当たり前だったでしょう。展開に手に汗握り、画面に釘付けになるような昨今のリアリティを追求した演出は望んでなかった。そういう要望に応えた演出でしょう。あざとい演出とは無縁で、品のよさを感じました。現代映画を見慣れていると、テンポがのろく、ゆるく感じられます。製作時代を考慮し、頭を切り替えて観る必要がありそうですね。気になったところ:①ジョーが暗殺現場を知ったのは警部に助けを求めにアルバートホールに行ったためで全くの偶然。たまたま警部が首相を警護していた。脚本でここが一番弱い。②サイレンサーを使えばいつでも撃てた。③大使館の敵ボスが捕まっていない。④子供があんな指笛を吹けるの?⑤スナイパーの顔はインパクトあった。音楽に合わせて乱闘、転落するシーンは絶品。⑥マッケイは大使館に子供がいるとどうしてわかった?ある意味「知りすぎていた男」だ。
[DVD(吹替)] 7点(2009-09-22 21:37:45)(良:1票)
284.  刑事コロンボ/秒読みの殺人<TVM> 《ネタバレ》 
殺人に関して。時間がなかったとはいえ、ミスが目立つ。関係者しか入れない、テレビ局の重役室で拳銃をぶっ放せば、まず内部犯行が疑われる。かつ手袋を映写室に置きっぱなし、拳銃をエレベーターの天井に置きっぱなしはいただけません。けどテープの時間を聞きながらの部分はサスペンス感がありました。肝になるアリバイトリック「フィルムの パンチ」は目新しく感心しました。警部が遠近両方メガネから殺人犯は知り合いだとする推理は見事と思いました。ここで内部犯行説が決定。アリバイトリックを見抜いたのは、映写技師が戻ってきた直後の場面を覚えていたから。近頃のテレビは暴力シーンが多いと嘆く伏線がちゃんとあり、脚本みごと。犯人を騙すニセ拳銃トリックはずるいです。ニセ拳銃を回収したからといって犯人とは限りませんしね。裁判では証拠にならないでしょう。もっとも感心したのは、犯人ケイの人生を鮮やかに浮かびあがらせていること。小さな家に生まれ、強い上昇志向を持ち、男性社会の象徴ともいうべきテレビ局で男と対等に渡りあい、成り上がろうとした。恋人である上司が昇進して、成功も恋も両方手に入れたと思った瞬間、別れ話となり、昇進の見込みもなくなる。それに逆上しての犯行。だが感情は抑えて、キャリアウーマンらしい冷静な殺人。一見動機としては不十分に思えるのですが、あの上司がいる限り昇進はありえないことを考慮すれば十分だったと考えていいでしょう。この女性ケイの過去を知っているので、ついつい感情移入してしまう。観る側は警部ではなく、ケイの立場になり、警部の行動にいらついたり、はらはらしたりする。丹精込めて作成した作品「プロフェッショナル」が、不本意な形で放映され、それの責任をとらされてクビに。さらにその放映がきっかけでアリバイトリックがばれる。切ない展開ですね。その一方でこんな自己中心的な女ははやく捕まってしまえとも思う。アンビバレントな感情を起こさせる強力な個性の持ち主です。犯行がばれても「私は負けないわ」と強気で言い放つケイにどんな人生が待ち受けているのか。そのとき出される「パンチ」。ケイのこれからの人生の暗示ですね。
[DVD(吹替)] 7点(2009-09-22 13:27:51)(良:1票)
285.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 
娯楽映画ではない。心の中では触れ合いを求めているのに、お互いの不信感のせいで、衝突(クラッシュ)してしまう人々のお話。不信の原因は人種の違い、文化の違いが大きい。英語が話せないからコミュニケーションが取りづらい。不信を増長させるのが銃の存在。不信が恐怖にまで拡大する。黒人は英語を話すが、犯罪者が多いので信用されない。黒人も白人を嫌う。ハリウッド映画を観るかぎり、人種や文化の違いによる衝突は永遠に続きそうです。希望はサンドラの「あなたは親友よ」と言った場面。あれは理屈ではなく、抱き合ったときに自然に出てきた感情。肉体が触れ合えば情も移る。単純なことだけど重要。透明マントで娘は助かったが、そのことで店主はあの娘は自分のために降りてきた天使だと思う。何と信じやすい人だろうか。そのキレやすい性格とあいまって、将来が思いやられる。というか殺人未遂で逮捕だろう。正義感の強い白人が、根の善い黒人青年を射殺するのは悪趣味と思った。観客に衝撃を与えるための演出。二人は同じお守り持っていて、そのせいで悲劇が起こった。皮肉にもほどがある。死んだ黒人の兄が刑事で、その母は兄より弟を愛している。兄は不当に扱われる。親子の間にもクラッシュがある。兄は思慮深く、清濁併せ呑むことのできる「大人」である。が、セックス中に電話を取ったり、母に「今白人をやってる最中だ」などと空気読めない発言をする。弟の敵は討てそうもない。タイ人を開放し、お金を恵んでやった黒人は、いつ成長したのか。ちょっと説教されただけ。未消化です。ディロンの差別意識は根深く、やみそうにありません。全体的に皆さんキレすぎです。もっとリラックスしましょう。本質的なことを言えば、「他人を信用するとは、自分を信用すること」。心を磨き、自分を確立することが未来を切り拓きます。脚本に作為が目立ち、人間の本質を描いているとは思いませんでした。皆さん後半で性格が変りすぎです。またタイ人を知性のない非文明人のように描いていますが、あれこそ人種差別による偏見ではないでしょうか。脚本にもクラッシュを発見。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-20 13:46:56)
286.  恋人までの距離(ディスタンス) 《ネタバレ》 
変った観点からいうと、夫婦喧嘩も役に立つことがあるということ。一種のバタフライ・エフェクト。運命が動き出した瞬間が夫婦喧嘩とは面白い。これは内容にも関係します。二人の人生には苦しみや悩みがあり、その中で最大のものが愛情が続かないということ。ジェシーは恋人と別れたばかりで、親は離婚している。セリーヌも恋人と別れて殺意を抱くほど憎み、祖母は夫でない人をずっと愛していたという秘密があった。それが恋に対する恐れとなり、お互い惹かれながらも恋心に制限をかけていた。だが話をしてみると会話が弾む、弾む。恋の初期段階の男女のマシンガン・トークショー。共に知的で情より理性にまさるタイプ。内容は哲学的なものが多い。ここで重要なのは別れるまで14時間しかないということ。恋愛のタイムリミットもの。心に制限していても、夕暮れの観覧車の中でついキスを。女性のほうから誘いますね。「私とキスしたい?」男は断れませんよ。いい雰囲気になったところで電話ごっこ。女性の方から告白。つられて男も告白。お互い目を見ながらは、照れ屋の日本人には無理。セックスも女性から言い出す。恋愛がスムーズに運ぶには女性がさりげなくリードするのが一番。ここまでくればソウル・メイトと気づきます。行きずりの恋なんて論外。それでも理性にまさる二人は、もう会わないつもりで別れようとします。が、ここで「もう一度会いたい」と男が言い。「そう言って欲しかったの」と女がキラーワード。情が理性の壁を突き破った瞬間です。爽快でした。やっと気づいたんですね。二人は間違いなく再会しますよ。ところで「運命の出会い」のための演出過多なのが気になります。占い師が女の未来を語り、「人はみな星くずから生まれた」と言う。女と同い年だった13歳の少女の墓。ミルクセーキのような甘い詩をプレゼントする詩人。「ここに来て」という歌詞のレコード。結婚式をイメージさせる教会。赤ん坊をイメージする誕生の踊り。環境が人間より強いと感じさせる絵。虹の中で死んだ祖父を見た。別れた恋人を殺したい欲望。無心論者とホームレスの挿話。ちょっとやりすぎでは?と思いましたよ。それとも恋愛にはこれくらいのしつこさが必要でしょうか。とにかく、これほど知的な恋愛映画は他に知りません。限りある時間は貴重、人生でも恋愛でも、ということも学びました。ところで牛の芝居を観たかったのは私だけ?
[DVD(吹替)] 7点(2009-09-20 09:05:23)(良:1票)
287.  スティング 《ネタバレ》 
面白い映画ですね!さあお芝居の、はじまり、はじまり。紙芝居形式で、章ごとにイラストを配す。一見邪魔に見えるけど、肩を張らないで観てくださいという意味でしょう。軽妙な音楽をあいまって小粋な演出です。トランプ詐欺のオチは全すり替えという低レベルのものですが、その前にコンドーフがトランプの腕を披露しているので見事は手腕に見えるわけです。また披露の最後に少し失敗しますね。それも見てるので、最後までハラハラするわけです。このように伏線が効いてます。競馬詐欺でも、アナウンサー役が「いいのがない」とぎりぎりまで捜していたり、電信屋のオフィスを作るときもぎりぎりセーフというタイミング。演出がうまいですよ。フッカーは大金を得てもギャンブルですってしまうような子供だったが、最後は報酬を受け取らないほどに成長。彼の成長物語としても観れます。演技で光るのがニューマン。トランプ詐欺のときの演技は神がかりと思えるほど。堕落した詐欺師からボスへの変身ぶりは見事。ロネガンやヘン顔の手下など脇役の演技もうまい。愛を込めてアラを捜すと。最初の路上詐欺は三人組なのに、二人組とされているのはどうして?黒人差別の色濃い時代にルーサーが黒人で、黒人のための白人が復讐?復讐というが、路上詐欺にあった男はそのせいで殺されている。この男の死に責任があるはず。フッカーとコンドーフは女の趣味が悪すぎ。サリーノ(女殺し屋)はどうやってあの店の店員になれたのか?目撃者など気にせず殺して逃げればいいのに。詐欺師の同業者名簿って何?FBIの事務所オンボロすぎ。最上の詐欺は騙されたことにも気づかせないことだそうが、電信詐欺はそのうちバレそう。敵ボスの損失が50万ドルでは、破産に持ち込めない。敵ボスは足が不自由なので同情してしまう。敵ボスはもっとクールで冷酷な自分津にしたほうがよかった。ポーカーであんなに熱くなるのではたいした奴じゃない。敵が強くて大きいほど詐欺が成功したときのカタルシスが得られるのだから。とはいえ、一度観れば一生心にスティング(突き刺さる)する映画です。
[DVD(吹替)] 9点(2009-09-19 20:40:13)(良:2票)
288.  ミッドナイト・ラン 《ネタバレ》 
マフィアの裏帳簿が許せず、お金を騙し取って慈善団体に寄付してしまう会計士デューク。犯行発覚後にマフィアのボスに手紙まで出す。このすっとぼけた犯罪からして人を食っています。彼を追う二人の賞金稼ぎとマフィアとFBIの四つ巴の怒涛の展開。その過程を楽しむ映画です。それにしても飛行機恐怖症で乗車拒否されるなんておかしいですね。鉄道は大好きだからつい笑顔に。護送中なのに質問攻めにする。登場人物の中で最も変っているのはデュークです。キーマンです。ジャックは元刑事で正義感はありますが、賞金が目的なだけ。もう一人の賞金稼ぎマービンは脇役なのに出すぎ。同じような展開が続くと飽きます。デュークが小型飛行機に乗る場面は不要でしょう。飛び立つわけではなし、意味がないです。本当に飛行機恐怖症だったとしたほうがおかしみが残ります。同じ理由で、デュークがFBIに扮して店からお金を騙し取るところも不要。やるならもっと彼らしい、生真面目な方法にすべきです。FBI捜査官もマフィアも保証金会社の二人もキャラが立っていて、楽しませてくれます。基本的に相手を出し抜こうとあくせくするのですが、反対に出し抜かれてしまうのですね。そのおかしみの繰り返しです。ほろりとさせる場面もあります。ジャックが別れた妻の家に行く場面。9年ぶりの再会というのに、お金を借りに行くのです。娘がやさしい子に成長していて、貯めたお金を使ってくれという。それだけは受け取れないと断るジャックの父情。彼は妻に未練があり、彼女から贈られた腕時計を大切にしていたのですが、旅の最後でこれをデュークに贈ります。未練を断ち切ったのです。これは娘の成長を見届けることができたから。又彼が警察を辞めた経緯にデュークが騙したマフィアのボスが関わっていて、それがデュークとの絆ができる一因となります。よく練られた脚本と思います。ラストで、ジャックは賞金をあきらめデュークを逃がします。友情のためですが、同時に賞金稼ぎから足を洗う決心をしたのです。ここで終わりであれば最高でした。デュークが隠し持っていたお金を渡すのは蛇足です。ジャックにとってお金は不要のはず。お金を稼ぐことばかりに腐心していた自分に気づき、精神的に成長したのですから。無一文であるからこそ、「歩いて帰るか」の台詞が効いてきます。無一文でも心の中は晴れやかです。来世でも観たい映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-19 07:12:20)(良:1票)
289.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
切ない映画である。ブッチとキッドは男の子なら誰でも漠然とあこがれる夢を具現したような存在。「幸福な子供時代」の象徴といえる。アウトローの集まる古き良き西部に住み、銃を華々しく撃ち放し、列車強盗や銀行強盗で大金を掴み、気の合う友達を持ち、女性にはモテまくり、長旅をし、ときに国外にも逃亡する。自由気ままに生きるとはこういうことだろう。だがいつまでも子供ではいられない。いつかは夢から覚めて、大人にならなければならない。決して顔を見せない追っ手が大人の象徴。逃げても逃げても追ってくる。追っ手は自分の内面の影でもあり、いつかは向き合って対決しなければならない相手。ラストで追っ手に向かって銃を撃ちつつ飛び出すのは、子供から脱却して大人になることの象徴、通過儀礼だ。誰もいつかは子供時代とは永遠にさよならしなければならない。映画は、その瞬間を鮮明に切り取った。ブッチは初めて人を殺したとき、夢の終りが近いのを悟った。それでもブッチは「次はオーストラリア」などと夢を語る。何度見ても心がひりひりする。過去を表す手法としてセピア色が随所で効果的に用いられている。一方未来は自転車として登場する。馬や馬車は最早時代遅れ。旅立つシーンで、ブッチが自転車を捨てる。自転車はよろよろと倒れ、車輪が空転するのをカメラが追う。二人の未来を暗示した見事な手法だ。二人は死んで、子供の夢も滅びた。だが、滅んだのはそれだけではないだろう。子供が自由に夢を見ることのできる社会そのものが滅んだのだ。映画の製作された時代の社会の現実は、ベトナム戦争、黒人差別、学生運動、麻薬の氾濫、ヒッピー運動、価値観の多様化、親子の断絶など、混乱を極めていた。もう子供が、子供らしい夢を見ていられる社会ではない。なんと嘆かわしいことか!映画の意図はそこにあると思う。キッズの登場シーンはずっとキッズのアップが続く。朝日を浴びて自転車に乗る二人の美しいシーン。写真だけで描かれるボリビアへの逃亡の旅。音楽と映像だけの銀行強盗シーン。印象に残る場面はいくつもあり、映画の技法の宝庫でもある。この映画を単にあまり賢くない悪党の逃亡劇として見ると面白みにかけるだろう。憎めない二人に乾杯。女性の心理が描けてないのが残念。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-19 02:45:58)(良:3票)
290.  ハロー・ドーリー! 《ネタバレ》 
ジーン・ケリーが監督なので、ダンスシーンには気合が入っている。屋外でのパレードや群舞シーンは映画ならではのもので圧巻でした。音楽もいい。『日曜は晴着で』『ほんの一瞬のこと』などは佳作で、映画「ウォーリー」にも効果的に使われていました。アカデミー賞の音楽賞を受賞したのも納得です。さて、ストーリーだが、四組の恋愛が描かれている。男やもめホレスと世話好き未亡人ドーリー。画家とホレスの姪。ホレスの店の店員コーネリアスと帽子屋の女店主アイリーン。もう一人の店員バーナビーと帽子店の店員。恋愛もので感情移入できるかどうかは、「女性が男性を好きだ」という感情が伝わるかどうかだと思う。ドーリーやアイリーンが相手の男性のどこを好きになったのかわかりにくい。ホレスは傲慢で、しみったれだし、コーネリアスは田舎者丸出し、共にハンサムではない。都会女性が魅かれる要素が見当たりません。それにドーリーは恋愛の策士で、自信たっぷりすぎます。応援する気にはなれないですね。やめといたほうがいいのでは?と余計な心配をしてしまいます。夫の生存中は毎日ニューヨークの高級レストランに着飾って現れ、お金をたっぷり浪費していたらしいのですが、そんな彼女がどうして田舎に引っ込んで、紹介業などしているのか?画家カップルの恋愛は途中、放りっぱなしにされ、結局最後まで詳細が不明です。そのあたりの脚本のツメをおろそかにして、ダンスシーンを撮るのに熱中している監督の姿が見えてきます。映画ではある程度のリアリティが必要なので、成功した舞台の脚本をそのまま流用してもアラが目立つのです。ただ女性とキスどころか、女性に触ったこともなく、かつ田舎も出たことがない青年が、一日だけ休みをとって女性とキスするまで帰らないと都会にでてゆく設定は魅力的でした。自分の殻を破ろうと冒険に出る青年は誰でも応援したくなります。サッチモの扱いにも疑問です。出番はほんの少しで、メインストーリーには絡まず。もっとリスペクトして欲しかったです。それにしてもあんな豪華な造りのレストランは日本で観たことがありません。舞踏の伝統のある国ならではのものです。ミュージカルだから細かいところにはこだわらず、素直に音楽とダンスを楽めばよいという主義の人にはうってつけの映画です。古き良きハリウッド・ミュージカルの最後を飾る映画でもあります。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-18 21:18:47)
291.  ドリームガールズ(2006) 《ネタバレ》 
歌、ダンス、ファッションが洗練されていて良いですね。ビヨンセの美貌は特筆もの。ただミュージカルに特有の感動が薄いのが難点。ドリーム・ガールズの成功物語で終るべきところを解散コンサートをラストにもってきているからいけないのです。エフィがリードからはずされたのが気に入らず脱退しましたが、それは本人も納得したこと。それにも関わらず非常にかたくなとなり、何年も仕事をせず、兄のCCと話もしないのはちょっと異常です。娘の父であるカーティスに子供が生まれたことをいわないのも納得できません。再起しようと努力しないのでしょうか。彼女の苦悩が伝わってこないのです。そのエフィが最後にドリーム・ガールズの元メンバーとして一曲だけステージに立ちスポットライトを浴びますが、それで感動が得られますか?カーティスが観客席の少女を自分の娘と気づくのも無理があります。気づいたとしても、見ている側では感動はしません。この物語を別の面からいえば、ドリーム・ガールズやそのスタッフが強引な手法で成功をしようとするカーティスに振り回される話です。汚い手を使ってでもヒットさせようとし、エフィの再起の芽もつぶしてしまう人間なんて誰も同情しません。ジミー(エディ・マーフィー)の死にも責任があります。そんなカーティスとエフィの間がうまくいかないのは眼に見えています。ですので親子の対面も感動しないのです。もうひとつ、ディーナがカーティスから離れ、自立する物語があります。こちらは成功していると思います。自立宣言の力強い歌ぶりは感動的でした。で、クレオパトラはどうなったんでしょうか?もうひとりのメンバーは不倫で、同情の余地なし。エディ・マーフィーは個性がありすぎて、コメディにしか見えないですね。重みの欠ける映画となった一因です。男女関係も内輪でくっつきすぎですよね。ジェニファー・ハドソンの歌はソウルフルで魅力的ですが、どの歌の歌い方も一本調子なのですぐに飽きてしまいます。しっとりしたスローバラードなどを聞かせてほしかったです。ビヨンセという歌姫が最高のパフォーマンスを見せてくれたことに感謝。ジャクソン5もどきやビートルズ、キング牧師などの小ネタは冴えていました。ある意味スタイリッシュな映画です。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-18 08:07:22)
292.  ジャイアンツ 《ネタバレ》 
古い価値観が時代と共に剥落してゆく物語。テキサスの大牧場主ベネディクト家の当主ビックは美しい娘レズリーと結婚する。その未来派薔薇色に見えたが、人生は彼の思い通りには進まない。姉と妻の諍い、姉の死。妻は夫に従順に従わない女権主義者で、家の習慣を守らず使用人と仲良くしたり、村に出入りする。息子は跡を継がずメキシコ人と結婚、姉娘の夫は独立して小さな牧場主になるといい、妹娘は仇敵ジェットを好きになる。戦争で、牧場の一部をジェットに売らなくてはならなくなる。レストランでの殴りあいで、打ちのめされる。妻はその姿が「英雄に見えた」という。どういうことか?それは長年メキシコ人に偏見を持ち、差別してきた夫が、メキシコ人のために体を張って、殴りあいをしたからだ。喧嘩に負けても、真に弱いものの味方になったのだから、精神的には勝利。心の勝利者こそが人生の真の偉人(GIANT)という物語。ジェットに目を向けよう。レズリーと初対面のとき彼女はすでに結婚していた。最初から報われない恋だ。が、これは脚本のミスだろう。未婚の彼女に恋心を抱き、失恋する設定でないと、あとの物語が続かない。土地かお金か選ぶときに土地を選んだのは、レズリーの近くに住みたい気持ちがあったから。石油採掘に成功し、成金に。病院を寄付する善意も見せる。空港を作ったり、ホテルを経営したり、ビジネスの才能もある。ラズと付き合うのは、母の面影を追っているため。が、前半に彼の恋愛感情に触れる場面がほとんどないので感情移入できず。ビックが彼を嫌っている理由も不明。ジェットが石油を掘り当てたとき、ビックも採掘すればいいのに思った。当然石油が出て、邪魔できたはず。二人とも不器用な人間だ。ジェットは人生の敗者?失恋の空白を酒とお金で埋めるような生活を25年も続けてきた。だが悔い改めるのに遅すぎることはない。これから失った人生を取り戻すことは可能でしょう。ジェットを悪人として描き、最後は破滅する物語にすればインパクトがあった。少なくとも彼の苦悩をもっと描くべきでした。レズリーは村人を助ける活動をしていたが、その成果があいまい。政治にまで口を挟もうとしていたが、どうなったのか。このあたりが中途半端で、女の自立物語としてのカタルシスを得られない。また四代の物語なのにビックの父や祖父が登場しないのも未消化の原因。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-16 02:41:29)
293.  サンセット大通り 《ネタバレ》 
売れない脚本化が、過去の栄光にすがりついて生きる往年のハリウッド女優と出会い、愛人となり、その狂気の愛から脱出できず、殺されるという物語。撃った女優は本当に狂ってしまう。終始興味を惹く展開で、意外性があり、退屈はしない。脚本がすぐれていると思うが、疑問に思うこともある。最初にプールの死体を見せる必要はなかっただろう。最後は殺される。誰に?ノーマに。いや、そこはひねってあるだろうと予想したが、ひねってなかった。死体が誰かはわからないように提示すればよかった。死体が状況を解説する映画はリアリティがなく、笑止千万。死んだ後のことは蛇足だろう。ノーマは終始オーバー演技だが、ずっとそればかりなので、後半いささか鼻についた。演出過多なのだ。撮影と勘違いして演技するノーマの顔のアップで終るエンディングは不要。ギリスを撃ったあとの狂気の顔をアップで見せればいいのだ。無声映画のように。死体がライトアップされたプールに落ちるのもやりすぎ。その必然性がなく、ただ派手に見せたいだけ。意表をつくチャップリンの真似は必然性がない。まさにハリウッド流。ところでギリスに殺されるほどの落ち度があっただろうか。彼を慕うベティを屋敷に呼んで正直に全てを話し、人生をやりなおそうとしたではないか。その矢先に殺された。悲劇なのだが、演出過多のせいで、どこか喜劇のような印象さえ受ける。ノーマは大金持ちで、時々お客も来るのに、何故屋敷があれほど荒れ果てているのか不思議である。ノーマはギリスの前ではお金持ちのふりをするが、本当は落ちぶれて貧乏という設定の方がしっくりくる。ノーマがスターの面目を保てるほどのお金持ちなら、あれほど過去にしがみつき、精神を病むこともないだろう。ベティが婚約者を捨ててギリスを好きになる展開も説得力に欠ける。なにかロマンティックな出来事が必要だったろう。ギリスはギリスで野望に燃え、ノーマを利用してハリウッドで成功しよう(あるいは金持ちになろう)と企んだが、最後にとんだしっぺ返しを受けるという展開であれば見ごたえがあった。野望と狂気のせめぎあい。それがハリウッドなのだから。少し詰めが甘いように思えた。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-15 21:29:40)
294.  アフリカの女王 《ネタバレ》 
脚本はよく出来てます。中年の牧師の妹が、飲んだくれのおんぼろ汽船の船長と、不可能と言われる激流くだりをなしとげ、魚雷で敵国ドイツ軍の砲艦ルイザを撃沈する。途中、あまたの障害、苦難に遭遇し、それに格闘し、打ち勝つうちに二人は恋に陥る。最後は失敗に終わったと思わせておいて、どんでん返しが待っています。障害の多彩さは見事です。小説なら最後まで退屈せず、楽しく読めたと思います。リメイクすれば、そこそこのヒットが見込める作品です。で、映画ですが。まず砲艦ルイザが小さくてがっかりしました。ドイツ人をお人よしのように描いたのは逆効果。あくまでも「巨悪に立ち向かう正義の二人」という路線を貫くべきでしょう。お人よしのドイツ人の乗る小さなルイザを爆発させても、カタルシスは得られません。オルナットのキャラですが、もっと酷い荒くれ男にすればより面白くなりました。女に従順すぎるのが欠点です。大好きなお酒を勝手に捨てられて、怒ることもできないんじゃ、だめ人間です。不可能な作戦にはもっと逆らいましょう。わがままで傲慢、まるで言うことの聞かない男を女がどうやってその気にさせるか、そこが見所になる筈です。ローズは敬虔なクリスチャンで、か弱い中年淑女ですが、死の激流下りを恐れるどころか、楽しむという勝気のところがあります。そのアンバランスが魅力なのですが、勝気さが中途半端にしか描かれず、感情移入しにくいです。いっそうのこと、ローズが冒険を通じて、自分らしさと自由を取り戻す「自分探しの旅」にすればよかったのです。ローズの心の成長をもっと見たかったです。それにしても牧師さん、あんなことで死ぬなんて…。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-11 02:37:53)
295.  キング・コング(2005) 《ネタバレ》 
ハリウッドの超娯楽大作のお手本のようなもの。次々と映し出されるスペクタクルに心奪われ、息つく暇もありません。主題はコングとアンの心の交流。コングがアンに惹かれてゆく様子は丁寧に描かれています。このときの表情豊かなコングは必見。アンも何度もコングに助けられた経験から感情移入してゆきます。つかの間のスケートの場面は実に見事な演出です。悲劇で終ることを知っていますから、泣けますね。島で一緒に眺める夕焼けとニューヨークで見る朝焼けは二人の愛の象徴で、本当に美しい。映像の美的センスが随所に光ってます。コングが町であばれているのを知ったアンが自らコングの前に姿を現すのは、コングを留められるのは自分しかいないことを自覚しているから。コングが最後にアンを降ろすのは、死を覚悟したから。よく出来ていますが、アンがもっとコングに語りかけた方が、より感動的になったでしょう。また、コングがアンを助けるために暴れだす脚本にすればもっとよかったでしょう。さて人間ドラマの方ですが、こちらは中途半端です。アンとドリスコルの愛が微妙。なのでドリスコルが生命をかけてアンを救出に向かう坑道に説得力がありません。元来この俳優は表情が乏しい上に生気がなく、愛とか冒険とかに向いていません。完全にミスキャストです。その点カールの表情の豊かさはどうでしょうか。欲望にとりつかれた現代人を憎いほど自然に演じていますね。バクスターはもっと悪者キャラにすれば物語にメリハリができました。ヘイズとジミーの友情はカットできます。原住民の扱いがひどいですね。孤島に住んでいれば争いがなく、平和に暮らすはずですが。途中から出なくなるのもマイナス。そもそもあんな恐竜や巨大昆虫、蝙蝠などが大量にいては人間は絶滅すること間違いありません。いくらなんでもやり過ぎです。登場するのはTレックスだけで十分です。他にも岩がコングの顔になっているとか、バクスターのポスターがいたずら書きされるとか、不要なものがある。あの船でコングをどうやって運んだか?大事なとこがカットされてましたね。普通ならコングの他に、原住民、巨大な骨、恐竜、昆虫などどれかを運ぶでしょう。どれもこれも大発見ですから。コングの島での暴れようがすごすぎたので、ニューヨークの場面では、スケールダウンの感が否めません。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-10 04:12:31)
296.  ガタカ 《ネタバレ》 
SFとサスペンスとヒューマンドラマと恋愛の見事に融合した作品。不適格者ヴィンセントにとって宇宙へ行くとはどういうことか?それは天上であり、神に近づくことであり、差別され続ける地上社会を逃れること。夢であり、自己実現であり、存在理由の根源なのだ。それが故にどのような手段、たとえ違法であろうとも宇宙に行こうとする。DNAの優劣で身分や職業が決められてしまう社会への挑戦でもある。彼の身分詐称、偽装工作は徐々に剥がれてゆくが、理解者も増えてゆく。DNA提供者のユージーン、恋人のアイリーン、弟の刑事、検査官。宇宙に行くことで、彼の夢は達成されたのだろうか?ユージーンの場合を考察してみよう。彼はDNAエリートだが、エリートの世界ほど競争の激しいものはない。銀メダルしかとれずに挫折し、車に飛び込んで自殺未遂。(エリートならもっと確実に死ぬ方法を選ぶはずだが…)下半身不随に。生活費を得るため、ヴィンセントにDNAを提供するが、次第に彼の夢に向かう生き方に共鳴してゆく。エリートが不適格者(生まれながらの敗者)に心を打たれたのだ。だがこれが悲劇の引き金となる。ヴィンセントがユージーンであるためには、入れ替わった自分が消滅しなければならない。彼はヴィンセントに自分を託し、自分を消滅させる。バッドエンドだ。そもそもこの物語は「偽装工作すれば夢が叶う」というメッセージに受け取られかねない危険性を孕んでいる。偽装にばかり焦点が当てられるからだ。ラストは正々堂々とジェロームとしてではなく、ヴィンセントとして宇宙旅行に行かなければ本当の自己実現にならないだろう。検査員が偽装に目をつぶったように、社会もそれを受け入れる素地がある。弟も競泳で負けて、兄の”努力の賜物としての体力・気力”を知ったのだ。「DNAよりも努力がまさる」がテーマ。「DNAよりも偽装工作」の印象が残るのはまずい。自殺は生命の軽視。努力の大切さを知ったユージーンこと再出発すべきだろう。別人として偽りの人生を続けることがどれほどの重荷になるか、容易に想像できる。誰もが6本指のピアニストのように成功できるはずだ。SFとしての欠点も目立つ。コンタクトや身長伸ばし手術や弱い心臓などは安易に見抜けるはず。殺人事件も監視カメラを見ればいい。また個人情報が保護されていないのは不自然。階段シーンや恋人が全てを悟るシーンなどとてもよかったです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-06 17:26:37)(良:1票)
297.  G.I.ジョー(2009) 《ネタバレ》 
武器や戦闘アクションシーンが好きな人向きの映画。善悪がはっきりと分かれていて、とてもわかりやすい。簡単に敵の基地がわかって、もぐりこめたりします。武器も自分で作っておいて、それをわざわざ盗むとか、チープ感満載です。そーいえば、ライバルをほめただけの理由で自分の武道の先生を殺す少年とかでてきて、完全にお子様向けの作品ですね。ナノテクを使ったユニークな武器が登場しますが、中途半端で終わります。どの場面をとっても緊張感がないんですね。CGが満載なのだが、残念ながら質は高くありません。カーチェイスはパワードスーツの人間が活躍しますから、少しは楽しめました。いまだに日本と中国の違いを理解できないハリウッドを確認するにはうってつけの作品です。あ、そうだ、最後がよくわからなかったですね。「戦いはまだ始まったばかりだ」と追い詰められた悪役がいいますが、ナンバーのついた部屋が現れ、閉じ込められます。あれは独房なのでしょうか。それにしても、あの悪人、大統領になりすまして何をしでかすことやら。知能の低いことに決まってますがね。次作は見る必要なさそうです。
[映画館(字幕)] 6点(2009-09-01 00:53:38)
298.  オペラ座の怪人(2004) 《ネタバレ》 
使われている楽曲はミュージカル史上最高レベルのものであることは間違いない。この映画は台詞は最小限で、基本的に舞台のミュージカルの筋をたどる。そこが好みの分かれるところ。映画だから芝居を中心に描いて欲しかったという人は多い。ミュージカルファンなら、映像として見れただけで満足だろう。ファントムについて考えてみた。彼は醜く生まれたせいで、母親から捨てられ、サーカスの見世物小屋で不当な暴力を受ける。反発した彼は脱走するが、その際人を殺める。そして同情を寄せたオペラ座に寄宿する少女ジリーに匿われる。彼は孤独を友として成長するが、やがて音楽の才能に目覚める。やがて少女クリスティーンが現れる。彼は彼女の才能を見出し、何年もかけて音楽的指導をする。天涯孤独の彼女にとってファントムは父であり、師であり、父が天国から遣わした音楽の天使であった。また彼にとってクリスティーンは、彼の音楽に翼を与えるものだった。彼女のデビューが決まり、成功を収める。が、喜びはつかの間。彼女に言い寄る男ラウルが現れたのだ。彼は彼女を独占したいがために、劇場に脅しをかけたり、殺生さえも辞さない。劇場の仕掛けた罠を知ってか知らずが、上演中の自ら作曲したオペラに出演し、クリスティーンと競演する。このときが彼の絶頂期。彼の才能が人々に認められた瞬間だった。二人の愛は成就したかに思えた。だが、彼女が仮面をはずしてしまい、一転逃亡劇へ。彼女が仮面をはがしたのは、世に出る勇気をもちなさいということだろう。最後の場面で彼女は、ファントムと結婚するか、ラウルを死なせるかの選択を迫られる。彼女はファントムにキスをする。このキスが彼の運命の呪縛を解いた。生まれて初めて愛の何たるかを知った彼は運命を受け入れ、ラウルを解き放ち、自らは去る。彼の過酷な生育歴を考慮すれば、彼の奇妙な行動もある程度納得がいくだろう。彼は誕生の瞬間から世界中を敵にまわしていたのだが、最後は愛に目覚め、自らは最愛の女性の愛に値しないと気づき、彼女を別の男に譲る。彼に同情できるかどうかで、この映画の評価が決まるだろう。ファントムは最後のシーンで死ぬべきだった。命と引き換えに、過去の罪を贖罪しなければならないからだ。その方が悲劇性が高まり、より一層感情移入できるのだ。最後のバラの挿話は蛇足。CGを使用した映像は美しかった。
[DVD(字幕)] 7点(2009-08-09 16:28:28)
299.  ハリー・ポッターと謎のプリンス 《ネタバレ》 
無駄が多く、緊張感に欠け、中だるみしている。ヴォルデモートとの戦いに焦点を絞るべき。人が襲われたり、死んだりしてるんだから、もっと真剣になりましょうよ。スポーツやったり、恋愛やったり、はっきり言って無駄です。みんなで知恵を勇気を絞って、強力な敵をやっつけるのがこの手の映画の王道。それがどうですか?ロンもハーマイオニーも全然力になっていない。ばらばらですよ。新任先生も記憶を引き出させるための存在でしかないのですね。本来なら全生徒、全先生が団結して立ち向かうべき問題ですよ。愛と勇気と自己犠牲と感動を見せてください。殺人があってものんきな学園生活おくりますか?敵役の方が命をかけて、真剣にやっている印象がありますよ。見せ場の魔法にしても、既視感が強く新鮮味がありません。ホレ薬とか普通の毒薬とか、陳腐なものはやめませんか?予想ですが、校長は死んではいないのでしょう。仮死の魔法でもかけられたというオチと思いますよ。
[映画館(字幕)] 4点(2009-08-04 04:49:28)(良:1票)
300.  ノウイング 《ネタバレ》 
最初に魅力的な謎が提示される。その正体が明らかになるにつれ、人類滅亡という壮大なスケールの物語であることがわかる。最後は地球はフレアに飲み込まれ、全生物は滅亡。心優しい宇宙人がノアの箱舟的発想で、選別した人類を宇宙船で連れ去ってゆく。飛行機、地下鉄、フレアのCGは迫力があった。多方面からのカットを小気味よくスイッチし、ほどよい時間に編集されており、見るものを飽きさせません。この監督の次回作も観たいと思いました。さて、この手の映画の評価は、鑑賞後ストーリーを検証してみて、納得できるかどうかにかかっています。1.少女は予言の数値を受け取ります。最初は意味がわかりませんが、やがてその意味を知ります。それなら、彼女の正しいことは簡単に証明されるはずです。何しろ全部あたるんですから。世界中から注目されること必至です。2.宇宙人は未来を知っており、全知全能に近い存在。でも何度か子供達をさらうのに失敗していますね。わざと?4.宇宙人が予言のメッセージを送った意図は何か。テレパシー能力があるかを判断するため?未来を知ってるなら、誰を連れていくかもわかるはずですが。5.ジョンと息子、ジョンと父の関係はうまくいっていません。その関係が修復されるのがサブストーリーですが、上っ面だけの修復で、失敗しています。5.あの黒い石はどういう意味があったのか?6.ケレイブ(息子)も取り付かれたように数字を殴り書く場面がありました。あれは何の数字だったのか?未来はほとんど残ってないのです。7.女先生が、まだ数字を書いている少女の紙を、時間だといって、無理に取り上げますね。あんなことしないでしょ。8.飛行機と地下鉄の事故がありますが、あれに家族をからめればよかったですね。悲劇性が高まります。自己犠牲の要素も取り入れるべきでした。9.ルシンダは何故、ベットの裏にメッセージを書いたの?10.ルシンダはどうして娘の死ぬ日を予言できたんだろうか?娘にそれを伝えた理由は?11.ねえ、宇宙人ってフレア止められないの?12.宇宙人は何故間際になって人類を連れていくのだろう。もっと何年か前から計画的にやったほうがいいのでは?
[映画館(字幕)] 6点(2009-08-04 03:47:28)(良:2票)
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