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301.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
よく出来たアクション娯楽作品です。モンスター型、飛行機型、バイク型、蛇型とさまざまのロボットが出てきて楽しめました。撮影では、ジョンの乗ったヘリが墜落するまでを1カットで見せるシーンが出色です。素晴らしい!ただ残念なことにT1やT2のときのように手に汗を握って観ないのです。一つにはジョンとカイルが生き残ることがわかっているからです。もう一つには、ロボットとの1対1の戦い方に既視感があるから。もう少し工夫してもらいたい。アンドロイド型のマーカスは脇役のはずですが、恋をし、組織を裏切り、臓器提供をし主人公を助けます。比重が大きくなりすぎている感があります。カイルの影が薄いです。突っ込みどころ満載なのも嬉しいです。スカイネットは人間を赤外線などのセンサーを使って発見すればいいですね。潜水艦などすぐに発見できるはずです。聾唖の少女の存在も微妙ですね。中途半端の感があります。ジョンの妻の妊娠も気になります。
[映画館(字幕)] 7点(2009-06-30 23:35:33)
302.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
コワルスキーの設定はよかった。愛する妻に死なれた頑固老人。頑固すぎて息子や孫からは愛されていない。神父にも毒舌を吐く。朝鮮戦争で殺人をしたことが心の重荷になっている。血を吐き、残り少ない人生。こんな老人が、隣に引っ越してきたアジア系(モン族)の子供たちを交流することで人間味を取り戻してゆく。子供(タオ)も老人を師として仰ぎ、成長してゆく。この辺りの描写はうまいです。ユーモアも効いています。だめなのは、悪人たちの設定が安易すぎること。タオやスーと親戚なのだから、強姦はしないでしょ。強姦されて、顔がボコボコにされているのも不自然に感じました。(強姦シーンを映さなかった良識は認めます)このような場合、警察に連絡して逮捕すればいいですね。家に自動小銃を打ち込んでますし。立派な殺人未遂です。そもそもコワルスキーが太った不良を殴ったのに激怒したわけですから、コワルスキーを襲うはずです。どうして隣家を襲ったのか、不思議でなりません。コワルスキーはわざと丸腰で乗り込み、自分を撃たせますが、それが本当の解決でしょうか。命を粗末にしているとしか思えません。余命いくばくもないから、許されることでもないでしょう。英雄行為には見えませんでした。死んでも家族には愛されないままというのもまずいです。タオに車をあげましたが、別の不良グループに脅し取られるのが落ちです。またヘタレのタオが、強引なまでに復讐殺人しようと主張するようになるのも違和感がありました。別キャラになってしまっています。ところで、コワルスキーが銃を突きつけたのはモン族不良グループではなく、黒人グループでした。ですからラストのライターを取り出すシーンの伏線にはなっていません。この黒人グループをそのまま悪役にすればよかったのに。細かいことですが、タオはどうやってコワルスキーの車を盗もうとしていたのでしょうか?キーなしで発車させる方法を知っていたとは思えませんが。途中までよかったのに残念です。相手を殺すか、自分が死ぬかしか解決がないはずがありません。たかが不良グループのために命を犠牲にすることはないでしょう。
[映画館(字幕)] 5点(2009-06-30 23:10:14)(良:5票)
303.  スター・トレック(2009) 《ネタバレ》 
宇宙オペラものとしては十分合格でしょう。とにかくデザインが美しいですね。敵役ロミシュラン人の宇宙船の造形がよかった。ただ船内はゴミ捨て場みたいだったが。ブラックホール爆弾で星が消滅するというスケールの大きさにびっくり。CGには魅せられました。未来人からの攻撃というタイムトラベルものでもある。それでいて物語の中心はカークとスポックの成長物語プラス友情物語。恋愛もあり。詰め込むだけ詰め込んで、うまくまとめたと思います。気になったところ。少年カークはぶっとびすぎ。お母さんはどうなったの?試験問題はズルしたの?未来のスポックはどうしてあそこにいたのかな?偶然すぎる。ミシュラン人はスキンヘッドにタトゥーつけただけなのが悲しかった。彼たちは星を消滅させられて、復讐に25年間も待っていたんだよな。考えさせられます。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-06 01:22:06)
304.  天使と悪魔 《ネタバレ》 
反物質を作る計画があり、それを知ったヴァチカンの偉い人、カメルレンゴはそのような神に反抗するような行為はやめさせるべきと思いましたが、教皇は支持。激怒したカメルレンゴは教皇を自然死に見せかけて毒殺、殺し屋を雇って反物質を盗み出し、さらにイルミナティの仕業にみせかけ、教皇候補の四人を誘拐、一時間ごとに殺してゆき、最後は反物質を爆発させるという計画をたてる。流れからいうと3人死んで、四人目に阻止されるなと予想していると、予想はあたった。あの殺し屋はどうやって警備が厳重な実験室に入ったのか?どうやって実験が成功したのを知ったのか?どうやって教皇候補を誘拐したのか?何故ラングトン教授を殺さずに、俺の雇い主はヴァチカン関係者などと親切に教えたのか?殺し屋を殺した実行犯は誰か?カメルレンゴは何故ヘリを操縦でき、かつパラシュートもつけていたのか?そもそもヴァチカンを爆発させても意味がないわけで、反物質をどうするつもりだったのか?教皇になるつもりだったにしては計画に無理がないか?そもそも資格がないのだから。殺し屋がたった一人というのに無理がないだろうか?ランゴトン教授はどうしてラテン語も読めないのか?これらのことが気にならなければ、楽しめる映画です。いきなり謎が次々に提示され、すばやく展開し、ぐいぐい観客を引き込む手法はたいしたものです。
[映画館(字幕)] 6点(2009-06-06 01:00:05)
305.  ロッキー・ザ・ファイナル 《ネタバレ》 
人生を背負った稀有な映画。ロッキー、映画人としてのスタローン、個人としてのスタローンの3つの人生が重なって映ります。30年の年月を通じて神が降臨ました。このような映画を作れるのはこの人だけでしょう。感動的です。ロッキーは「寅さん」に似てますね。時代遅れで、口ベタで馬鹿にされやすく、人情に厚い。あえてサイドストーリーを追うと。メイスンは強い王者ですが、簡単に勝ちすぎて人気がない。トレーナー曰く。「挑むんだ。逃げずに突き進むしかなくなったときが、最高の時。それを乗り越えて高みに上がる。それは世間のどんな賞賛よりも尊い」立ち向かって来る挑戦者を得て、勝利し、自尊心を取り戻しました。スパイダーはかつての対戦者。落ちぶれてタダ飯を食べ、聖書を読む人生。が、食器洗いを始めます。「俺はもう戦えない。主も働くことを望んでいる」試合の前のロッキーに聖書を朗読。「我らは既に勝利への準備ができました」。ポーリーは、懐古ばかりするロッキーに「お前は過去の住人か」と問います。仕事に生きがいを感じていますが、クビになり、荒れて「叩きのめされてもリングに戻るガッツがほしい」と嘆く。が、再就職に成功。息子ロバートは、偉大な父の息子であることに生き苦しさを感じている。人が自分を見て父を思うから。父のおかげで得た仕事も慣れません。目立つのがいやで父の試合を止めようとしますが、父に諭されます。「状況が悪くなって誰かのせいしたり、何かの影響のせいにするのは負け犬だ。人生はどんなに叩かれても前に進むしかない。試練に耐えるんだ。愛している」。仕事を辞め、父のそばにいると宣言します。リトルマリーは、かつての不良少女。今は貧しい母子家庭。ロッキーの親切を怪しみますが、その人柄に惹かれてゆき、レストランの仕事も受けます。ロッキーが弱音を吐いたとき「あなたは自分が人生を精一杯生きてるとわかっている。肝心なのはあなたがどうしたいのかということ。戦い抜くのよ」と支えます。試合前日エイドリアンの写真を渡して激励、「誰かを亡くしたものの強さを証明するのよ」。良質の脚本です。これらを言葉だけでなく、肉体で証明するのが「ロッキー」。それゆえにトレーニングで肉体改造していく場面が少ないのは残念です。観客は「がんばっている姿」を見続けたいのです。試合を単なるエキシビジョンとしたのはもっと残念。
[DVD(字幕)] 9点(2009-05-10 12:32:50)(良:1票)
306.  ナイト ミュージアム 《ネタバレ》 
インディアンの少女サカガウィアは開拓史上の人。子供の頃別の部族に襲われ家族は殺され奴隷の身に。やがてカナダ人商人の妻の一人に落ち着く。大統領の命令で探検をしていた西部遠征隊に見出され通訳として同行。途中16歳で出産。赤ん坊を背負ったまま遠征を続ける。自分の部族と再会する幸運に恵まれる。兄が酋長になっていた。熱病で倒れるも、無事太平洋にたどり着く。25歳で逝去。学芸員の女性が興味を持つのもわかりますね。夜の間ファラオの石版の魔法で博物館の展示物が蘇り、動き出す。CG技術の発達した現代だからこと可能となった映画。父子の関係の修復、憎めない泥棒、学芸員との恋、歴史への興味、人間は戦争するものだと主張して喧嘩ばかりしていたミニチュア二人の冒険と仲直り、大統領の捨て身と恋など盛りだくさんです。犬のように人なつこいTレックスやガムをかむモアイ像、機関車ネタなど笑いも満載。夢のある映画です。マニュアルがなくなっても、自分で歴史の勉強をするところがえらいと思いました。すべては子供のためですね。フン族?を父親のことを言って慰めていましたが、説得力がありました。これがあるから、大統領の締めの言葉「ニック、あなたのお父さんは偉大な人だ」が感動を与えます。最後は伏線のあった指パッチンで懐中電灯が消え、ニヤリ。うまいですね。詰め込み感がありますが、よく練られた脚本と思います。あまりにドタバタしすぎるので好みではない人もいるでしょう。ハリウッド流の乗りです。子供が活躍しないのが少し物足りない。ちなみにセオドア・ルーズベルト大統領はテディベアの生みの親ですね。熊の子がでてくるとおもったのですが、ざんねん。
[DVD(字幕)] 7点(2009-05-10 06:30:07)(良:1票)
307.  サイボーグ2<OV> 《ネタバレ》 
古い作品。全てにおいてB級な作り。ストーリーに取り立てて見るところはなく、退屈すること請け合いです。しかし強いて見所を探すと、サイボーグと人間の恋。男コルトはサイボーグに武術を教える武術家。女サイボーグ、キャッシュは体に液体爆弾を仕込まれた暗殺兵器。二人に愛が芽生える。キャッシュはセックス・サイボーグでもある。二人を助ける老人は艦長だったが、重傷を負ってサイボーグ戦士となった。亡き妻を今も愛しており、その妻は逃げてきたサイボーグを匿っていた。亡き妻の影を追うように、二人を助ける。老人は最後捕まるが、敵のアジトと共に自爆する。逃げおおせた二人は男が年寄りになるまで仲良く暮らした。一方女サイボーグは若いまま。愛に関する深遠な科白がちりばめられています。「サイボーグ・ラブ。ロミオとジュリエット。結ばれる道はあまりにも遠い。悲しい運命だ。たとえ真実の愛でも全うできない。成就させる唯一の方法は時を超越し、愛する人の時間を生きる。時間…それが全てだ」「君は22歳のまま何千年も生きる。だがコルトは古い絵のように朽ちる。そして思い出となる」「たとえわずかでも時間を共有できれば君達にとって十分幸せだろう」「永遠の死、または不死。我死せる後永遠の時が残る。人は神から定めある命を授かる」「時間を超越してキャッシュはコルトの時間を生きた。それはつまり愛は肉体や機械よりも強いという証なのだ」後に製作される映画「アンドリューNDR114 (1999年)」に通じるテーマが提示されています。この映画から学んだことは、どんなつまらない映画でも、その気になればよいところを見つけられるということ。アンジーの初主演作だそうです。
[DVD(字幕)] 3点(2009-05-10 01:36:24)
308.  ライラの冒険/黄金の羅針盤 《ネタバレ》 
ライラは世界に一つしか残されていない羅針盤(真理計)を簡単に入手する。そして簡単に使えるようになる。特別な理由があるのだろうが、不明のまま。真理計はどんな質問にも答えてくれるという設定が安直すぎないだろうか?ダストの正体、父親は誰、母親は誰、失踪した子供達はどこにいる、敵の正体は、敵の弱点は?何でも答えがでてしまう。それじゃ、だめなのだ。主人公が知恵、愛、勇気をもって、何かをやり遂げるところにファンタジーの面白みがある。簡単に味方が増えすぎるのも問題。敵に追いかけられるとジプシャン達に助けられる。彼らはライラをずっと見張っていたという。次に魔女がやってきて、ジプシャンの王が昔の恋人なので味方になり、敵の居場所を教える。次は飛行船乗り。向こうから声をかけてきて、飛行船に乗せてやるといい、よろい熊を紹介する。羅針盤でよろいのありかを知り、教えてあげるとすぐ家来になる。童話「桃太郎」では、家来にだんごを与えて絆を深め、鬼退治という共通の目標がある。ライラにはそれが乏しい。さあこれからみんなで失踪した子供を助けにゆくぞ、という高ぶりが見当たらないのだ。子供の一人をあっさり見つけるが、敵に捕まる。なぜか氷熊の王に捧げられる。この場面は魅力的。ダイモンを欲しがる王の伏線が生きている。ライラは知恵で王を篭絡し、よろい熊は勇気と王座を取り戻す。せっかく王になったのに子分を引連れないのは残念。熊はなぜライラに氷橋を渡らせたのか?急ぐ理由はないのに。渡ったライラは待てという熊を無視して一人で敵基地に行く。意味不明だ。見つかってすぐに「切り離し」されそうになる。助けたキッドマンがつく「嘘」はなかなかのもの。謎をふくらませてくれる。偵察虫での逆襲はグッド。最後の戦いは、子供達は助かるとわかっているので興奮しません。銃、弓、槍ではなく、魔法合戦にすれば楽しめたのに。強権の恐るべき陰謀と来るべき戦争を予感させて終了。でも子供達を帰宅させないで連れて行くのは解せない。ライラが今回の冒険でどれだけ成長しただろうか?それぶんだけ観客が楽しめたはずだ。でも成長したのは熊だったね。それにしてもライラ、単独行動が多すぎる。CGは素晴らしいが、氷の世界で吐く息が白くないのでリアリティに欠ける。スタジオで演技しているのがバレバレ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-05-09 16:23:14)
309.  父親たちの星条旗 《ネタバレ》 
硫黄島の星条旗の写真の真実はアメリカでは有名な話。向こうでは、いまさら感があるのでは?実はあの星条旗はあの後日本軍が引きずり落とし、日章旗を掲げたのを再度米国が奪還するという争奪戦があったのですが、そこはカットされてますね。フォレスタル海軍長官が海岸であの星条旗を見て「あの旗があれば海兵隊も500年は安泰だ」と直感したのはさすがとしか言いようがありません。機に聡しです。実際に国民を大いに鼓舞し、勝利へと導きました。写真の出来が類まれなほどよかったのが幸運でした。同時に8ミリフィルムも撮られています。将校が準備艦砲射撃が10日の予定が3日に減らされて大激怒している場面がありました。あれは沖縄戦への準備に兵力を割いたからです。東京大空襲は硫黄島の戦いの最中。この時点で、アメリカの勝利はほぼ確定していました。艦船から海に落ちた兵士を誰も助けられない。衛生兵が救急処置をしている最中に日本軍が襲ってきて、そいつを剣で滅多刺しにした後、再び救急措置に戻る。この2つの場面で戦争の悲惨さ、非情さを痛切に感じました。ラストの戦場で子供のようにはしゃいで泳ぐ場面も生と死のコントラストが鮮やか。音楽とライターの火が消えた瞬間に戦争場面につながるなど、印象に残っています。リアリティを追求した戦闘シーンは迫力がありました。テーマは、戦争に英雄はいないということ。英雄に祭り上げられた三人は日本でいうと爆弾三勇士(捏造。与謝野鉄幹が作詞した歌が流行)や真珠湾に散った特殊潜航艇の九軍神(一人は捕虜となったので記録抹殺)のようなもの。やることは同じです。日本は天皇の神聖化もしています。戦争は国家同士の総力戦なので、利用できるものは何でも利用するのは当たり前。勝つのが絶対条件。どんな汚い手でも使います。三人の英雄は純情だった故に葛藤がありました。特にアイラはかわいそう。差別も受けていたし。ネイティブ・アメリカンは純粋なんですね。自決した日本人の惨殺映像は容赦なく映しても、イギーのそれを映さなかったのは、遺族への配慮でしょう。究極の英雄は原爆を落として戦争を終わらせた人?いえいえ、彼らも重い十字架を背負っています。これからは戦争に勝った人より、戦争を回避した人が英雄になる世の中になってほしいですね。
[DVD(吹替)] 7点(2009-05-09 08:21:22)(良:1票)
310.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 
憲兵は軍隊の警察で民事不介入。パン屋のパンを押収したり、街中で犬を射殺したりしません。パン屋が商売道具の釜を金属供出することもありません。国旗は夜は家にしまいます。しまわない方が非国民。赤紙の特別送達人に愛国婦人会がついてくることはありません。小銃をライフルとは言いません。兵士の懲罰で鞭打ちは無いでしょう。時代考証が甘いですな。硫黄島の戦いといえばいろいろと期待します。まず18キロの坑道。40~50度の地熱と硫黄ガスに阻まれて大変困難な作業でした。米兵上陸前島の形状が変ったとまで言われる大準備砲撃。油断して上陸した米兵を待っていた地獄の日本軍の集中攻撃。すり鉢山の攻防戦。爆弾抱えて戦車に突っ込む。玉砕を許さぬ籠城作戦がひと月に渡る。水はドラム缶に貯めた雨水(ぼうふらが湧く)。一日コップ一杯の配給、あとは夜露でしのぐ。食料は椰子の木の幹やアメリカ兵の残飯(大変なごちそう)。自決を主張する負傷兵達を何日も徹夜で説得して投降させた野口巌軍医。食料増産のために連れてこられた少年兵。全部カットされてました!日本の死者2万人、米の死傷者27000人の大激戦だったのにスケールダウン。一方的に日本がやられ、米兵は悪人ばかり。広すぎる洞窟と坑道にあぜん。初期段階での自決シーンに違和感あり。あれじゃ単なる馬鹿。島の戦略上の重要性は小学生でも認識していたので、「こんな島くれてやればいい」発言は無い。西が捕虜の手当てをしたのは史実。ラジオの子供の合唱も史実(歌う子供達を出せばよかったのに)。最後西郷がスコップもって飛び出してきたのには苦笑。栗林の拳銃を米兵が所持しているのを見て逆上するが、それって自分がそこに放置したんだよね。獅童はどうしてずっとあそこで寝ていたの?自分で戦車に近づかないとだめでしょ。戦車壕で待機するのが正解。飢え、汗、ひげ、疲労、不潔さ、死に対する恐怖などが希薄。ひたすら栗林と西を賛美する内容だが、知将栗林の頭脳的戦略はきちんと描かれていない。CGはしょぼかった。ちなみに硫黄島の飛行場はB-29ではなく、長距離護衛戦闘機P-51の基地として使用された。
[DVD(邦画)] 4点(2009-05-09 02:34:39)(良:4票)
311.  アンドリューNDR114 《ネタバレ》 
この映画は「死」を大切に扱っているだろうか?不死だから人間とは認めず、死ぬなら人間と認める。愚かしい!じゃあ死ぬように改良しよう。もっと愚かしい!愛する人(ロボット)が死んだから自分も死ぬ。それでいいんですか?それもロボットに生命維持装置を切らせて。そんなこと自分でやってください。ロボット3原則があるんです。死を受容することと、死ぬことは別のこと。リトルミスが亡くなるとき、木馬を持っていた。木馬はロボットが始めて独創性を発揮したもの。ミスはロボットを好きになり、最後までロボットの思い出を大切にし、充実した気持ちで死んでいった。これこそが命の輝きであり愛でしょう。ロボットは愛するものが去るのは耐えられないという。死を受容できず、ミスの充実した人生を認められないのだ。死に耐えられず、改良してどんどん人間に近づくが、最終的に死を選ぶのは皮肉だ。ロボットは人間らしく生きただろうか?様々な葛藤の中に喜怒哀楽があり、生の充実感があり、その先に死がある。死があるから人間ではない。どう生きるかが大切だ。ロボットに生殖器があっても、快感を得る道具で、生殖機能はない。土台人間にはなれない。どうして法律にこだわる?人間らしく生きることにこだわるべきではないのか?ひたすら改良しまくるロボットに、人間らしい安らかな死が訪れたといえるのか。無いものねだりをしているだけ。ロボットの死とは何か?あのロボットは本当に死んだのか?電子頭脳を取り出して、別の個体に納めれば生き返りませんか?そもそも人間とロボットの恋愛がなじまない。鉄腕アトムの恋人はロボットでいい。同じ仲間だから。どうして異質なものになりきろうとするのか?人間を植物にするのと同様に不可能。せめて誰にも好かれそうな好青年顔なら感情移入できるのに、あのおやじ顔じゃ無理。単なる変態ロボット。ところで映画のテーマは人間になりたかったロボットですが、現実にロボットが感情と自由を得たら人間になりたいと思うでしょうか?そうは思えないです。ロボットのほうが完璧だし、容易に改良できるし、不死だから。独自の文化と共同体を築くと思います。蛇足ですが、真にすごいのはあの技術屋。たった一人で機械を人間そっくりに改造してしまうのですから。天才です。 又一人暮らしのロボットがいたら、盗まれると考えたのは僕だけでしょうか?
[DVD(字幕)] 4点(2009-05-05 05:37:39)
312.  ドラゴン・キングダム 《ネタバレ》 
野暮を承知でシナリオに拘ってみました。キングダムで、将軍と悟空対決。将軍が悟空を石にして、不老長寿の薬を入手。悟空は石にされる前に如意棒を中国に飛ばす。それが現代の米国の雑貨店に存在、老店主は正当な持主を探している。店が不良に襲われる。カンフー大好き少年が如意棒を持つと、キングダムに移動。ルー(ジャッキー)の話から自分が悟空を救う予言の探索者と知る。少年は帰りたい一心で悟空のいる山を目指す。将軍の兵に襲われるが、スパロウに助けられる。彼女は両親の仇として将軍を狙っている。「賞金稼ぎが山に行くのを防いでいるの」などと説明するのでわかりにくい。突如馬に乗った僧(ジェット)に如意棒を奪われる。ルーと僧対決。聞けば、僧は探索者を探しているとのこと(実は孫悟空の分身)。最初に少年に如意棒を持っている理由を質せばよかったのに。少年はカンフー修行しつつ旅を続ける。砂漠を越えて山に近づく。ここで賞金稼ぎの白髪魔女に襲われ、ルーが瀕死の重態となり、一行は寺に避難。不老不死の薬があれば助かるのを知ると、少年は単独で如意棒を将軍に渡しにゆく。思慮に欠けますな。というか悟空を救う話が、ルーを救う話に変っている。だから悟空が蘇ったときカタルシスがなかったのか。魔女は妖艶だが、将軍の厚化粧に苦笑。薬を巡り、少年と魔女対決。途中で僧と寺僧乱入。何故か、ルーを板に載せて連れてきている。ルー復活、孫悟空も復活で怒涛の決闘シーンへ。生身の人間同士ではなく、魔術使いとの対決なので緊張感に欠ける。スパロウの持つ翡翠ダーツが将軍の弱点らしいが説明不足。スパロウ死ぬが、少年が翡翠ダーツで将軍退治。どういうわけか天帝が現れ、少年を現在に帰す。強くなった少年は、不良を倒す。うーん、将軍の悪者ぶりが中途半端。将軍どうして悪くなったんだっけ?雑兵ばかりで、猛者は魔女だけ。スパロウの悲惨さが浮いている。単なる暴れん坊キャラの悟空をやめて別の正義キャラとし、中ボス四人ほど用意すればすっきりしたはず。少年が精神的に成長してゆく過程を見せるべき。ところで悟空の分身は何故僧の姿だったんだろうか? 老店主がジャッキーだったのは驚きました。
[DVD(字幕)] 6点(2009-05-04 16:52:20)(良:1票)
313.  痴人の愛(1934) 《ネタバレ》 
フィリップはパリで画家を目指すが、先生から才能がないと言われる。先生いわく「この町は幻想に浮かれている」。全体のテーマだ。英国で医者をめざす。孤独で足に障害を持つ。ある日自由奔放な給仕ミルドレットを知り、惹かれてゆく。彼女は彼の足を見て鼻で笑うが、移り気な性格のせいか、デートの誘いを受ける。彼は勉強も手に付かないほど女に夢中になる。女の自由さに憧憬を感じ、軽快にダンスする自分の姿を夢見る。女はひつこくつきまとう彼をあざ笑うようにじらす。結婚を申し込むと、女は咄嗟に「別の男と結婚する」と嘘をつく。傷心のフィリップ。しかしノラという恋人ができ、心は癒される。ある日ミルドレットが現れ、妊娠して捨てられたと言う。彼女をまだ愛していたので、経済的に援助し、女は無事出産する。ノラとは別れる。だが女は男の友人と恋に落ちる。二度目の失恋。男は勉強に専念。やがて患者の娘サリーと恋仲になる。サリーはミルドレッドとは正反対の家庭的で賢女性タイプ。ようやく心の平穏が戻る。そこへまたミルドレッドの消息が。また捨てられた彼女は赤ん坊をダシにお金をせびる生活。捨ててはおけず、彼は女と赤ん坊を自分の部屋の一室に住まわせる。しおらしく感謝していた女だったが、彼の態度が冷たく、もう自分を愛していないと知ると変貌。怒りに狂い、部屋をめちゃくちゃにし、学費を燃やし、出奔する。学校を辞めた彼は部屋も追い出され途方に暮れる。サリーの父の恩情で、部屋と仕事を得る。叔父の遺産が入ると学校にもどり、無事卒業。この頃手術で足は治っていた。自由を渇望する彼は世界中を廻る汽船会社の医者の仕事に就く。泣くサリーを戻ってから結婚しようと慰める。ある日、ミルドレッドの消息を知る。瀕死運ばれ、赤ん坊は死んでいた。彼はサリーにすぐ結婚しようという。「自由になって初めて気づいた。今まで足だけでなく、あるものを引きずって生きていた。ある女性に夢中で盲目になっていた。それも終わり、僕の美しい人生はここにある」ハッピーエンドだが、女にとってはバッドエンド。自業自得とはいえ、好きでもない男に頼るしかなかった女の悲劇。二人の相性は悪いのに、運命のように何度も巡り会う。女は不幸をもたらす疫病神として描かれる。彼女の愚かさが全ての悲劇の原因と割り切っていいものだろうか?彼女は彼より孤独だったのではないか?
[DVD(字幕)] 7点(2009-05-04 14:27:41)
314.  ルディ/涙のウイニング・ラン 《ネタバレ》 
実話と言われれば感動しやすいですが、映画本来の出来はどうか?ルディはアメフトが好きで、ノートルダム大学でプレーするのが夢。だが才能はなく、体格にも恵まれず、学力も低い。本気だったら、高校のときに勉強しておけよという突っ込みは置いときます。夢を持ったまま工場で四年働き、学費を貯めた。応援してくれるのは、友人のピートだけ。そのピートが事故死したことにより、夢の実現を決意。以後ピートに対する敬意が見えないのは残念。よくわからないのは、神父に話をして、無試験でカレッジに入れてもらうこと。グラウンド整備の仕事をしながら勉強に励みますが、なかなか編入できない。仕事を無賃金で申し出ているのが気になります。最後のチャンスでやっと編入。チームに入り、レギュラーの練習相手を一生懸命にやります。真剣にやりすぎて仲間との間に軋轢が生じますが、めげません。ただレギュラーになるのは土台無理な話。家族に認めてもらいたくて、コーチに一試合だけ出してくれと頼みます。オイオイという展開ですが、コーチはOK。日ごろの熱意を買ってのことです。アマチュアなので、ありでしょう。しかし新コーチが来て約束は反故に。新たな試練です。最後の試合名簿にも名前なし。ここからが後半。ルディは辞める決意をしますが、グランド整備員にその甘さを指摘されます。彼も選手でしたが、人種差別で出場できそうもないと悲観し、途中で辞めた過去があり、それを後悔しているのです。戻ってきたルディをチームメイトは拍手で迎えます。そして全員がコーチに自分の代わりにルディを出してくれと志願します。ルディの熱意がチームメイトの心を動かしたのです。が、肝心のその部分の描写がなく、唐突な印象。チームメイトは後半になって別人格です。尚、ルディは同学年の四歳も年上という事情も大きいと思います。渋々同意したコーチですが、残り時間一分を切っても、ルディを使いません。ちょっとイライラ。ルディコールが起こって、コーチも折れます。ルディが活躍し、肩車されてウイニングラン。カタルシスです。残念なのは「ロッキー」のようにランニングなどして鍛える場面が少なかったこと。自己研鑽シーンを多く取り入れれば感情移入しやすいのに。削れるシーンは多々ありました。兄との葛藤は物語に起伏を生んでいます。ところで恋人(婚約者?)はどうしてルディについていかなかったのでしょうか?
[DVD(字幕)] 7点(2009-05-03 17:44:32)
315.  エデンの東(1955) 《ネタバレ》 
父は信心深く、理想・道徳主義者。自分を抑え付けて生きるのが正しいと信じている。家族にもそれを強いた為、妻は出て行き、キャルはひねくれた。人の為の理想事業は失敗。戦争には反対しない愛国主義者。が、徴兵委員となり、若者を戦場へ送る役を担うことで矛盾を抱える。 兄アダムは父の鋳型にはまった人間。弟を嫌うが、表面上は仲良し。アブラを愛しているが、彼女に理想の母親像を求めているだけ。戦争は反人道的と嫌悪。父以上の理想主義。だが非力で、民衆に襲われた独人靴屋を助けられず、恋人の愛が弟に傾いたことを知ると強引に婚約宣言。母の実態を知ると自暴自棄になり、自分を傷つけるため戦場へ。実態は最ももろい人間。 キャルは自分は悪い子であると思いながら育った。彼の行動原理は父に愛されたいということと、自分を知るための母親探し。思春期の若者の未熟さ、危うさ、不安定さ、粗暴さ、繊細さを併せ持ち、とても人間臭い。母を受容し、父を救う大金を得るために戦争を利用する。 アブラは愛を知る人間。少女のとき父の再婚が許せず、指輪を捨てるが、それを機に父を許せるようになった。心が傷ついたことで、父を理想の存在とみず、一人の人間として受容出来たのだ。アダムを愛しているが、その人間性に退屈さも感じてもいる。本音を語り合った泣き笑いが出来ないのだ。 母は自由奔放な人間。何より束縛を嫌う。夫から逃げ出し、恐らく売春婦に身をやつした。一切の愛を断ち切り、事業の鬼と化し、売春宿を経営。キャルがお金を無心に来たときに初めて母親らしい一面を見せる。泣ける場面だ。 キャルの復讐の結果、兄は戦場へ、父は卒中に。キャルは家を去ろうとする。アブラは訴える。「愛されないことより辛いことはありません。キャルを許してあげてとはいいません。彼に何かを求めてあげてください」愛の本質だ。対等の立場でなければ、本当の愛は生まれず、求められてこそ自分の価値に気が付く。 看護婦は結果としてグッジョブ。彼女への共通の怒りが父子の和解の端緒となった。ささいなことでも和解の糸口となれるというよい見本で、秀逸の演出。 アダムは訓練中に、父の事を知って戻ってくるだろう。キャルを許すだろうか?和解した二人の姿を見れば当然許すだろう。だが、アブラの愛は戻らない。靴屋が戦死通知を読む場面など、反戦映画としても出色。
[DVD(字幕)] 10点(2009-05-03 09:00:44)(良:2票)
316.  レイン・フォール/雨の牙 《ネタバレ》 
日系米人のジョン・レイン(椎名桔平)は元秘密工作員で、今は暗殺者。高級官僚二人を殺し、続いて官僚の川村を電車内で自然死と見せかけて殺害、メモリースティック(MS)を探すが見つからない。MSには政治汚職の証拠がある。レインはMSを隠匿したと勘違いされ、ヤクザとCIAに狙われる。MSがあれば政府を脅すことができるためだ。川村の次女がヤクザに射殺される。それで長女みどり(長谷川京子)と逃避行。こう書くと面白そうだが、リアリティがないのでつまらない。先ず国のデータを簡単に盗めるのが問題。セキュリティがあり、MSが差し込めるわけもないのですが。レインが川村を殺害したのかも不明のまま。死因は持病の心臓発作。他の二人の殺害方法も最後まで不明。MSを奪うのが目的なのに、なぜ殺害するのか?なぜ次女は殺された?長女もMSを持っていない。CIAは東京中の監視カメラでレインらを追う。レインは「監視されているので、歩き続けるしかない」というが、帽子等で顔を隠せばいいのだ。レインが長女に意味深に「プレゼントをあげるから、目をつぶって」と渡したのが拳銃。渡したからには銃撃戦を期待するが、なし。長女がアジトを探しまわる不要な場面が続く。二人で電車で逃げて旅館で一泊するが、濡れ場はなし。翌朝レインは東京へ。意味なし。レインは長女の父を殺して葛藤はないの?長女はレインのどこに惹かれたの?追われる者の緊張感や、男女間の愛情の描写もなし。CIAの支局長は怒ってばかり。駅ホームでレインを射殺せよなどと無茶な命令。政治汚職ネタで、大騒ぎしすぎ。やがて殺害の依頼者がCIAと判明。CIAなら自分たちですればいいのに、なぜレインに依頼したの?レインは復讐のために、支局長の住所をヤクザに流す。他人まかせで、すっきりしませんね。エピローグ。子供時代をすごしたアパートを懐かしそうに眺めるレイン。意味なし。レインは長女に会いに行くが、メモだけ残して消える。「過去は忘れて、未来に生きて」余計忘れられなくなります。案の定、女は男を追う。おお、そういう展開かと思いきや、道路を挟んで見詰め合い、男は消える。がっかり。そんなレインに仕事のメールが。あれ、仕事辞めた筈ですが。レインは男(たぶんターゲット)に会いにゆき、本名を名乗ると、相手の驚く顔。で、エンド。映画館がガラガラの理由がわかり、ここだけすっきり。
[映画館(邦画)] 3点(2009-05-01 23:38:30)(笑:2票)
317.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
最初に謎が提示されます。スラム育ちで無学のジャマールがクイズで高額賞金を獲得できたのは何故か?刑事から拷問に近い取調べ(大げさすぎて苦笑)を受けますが、心証は白。答えは偶然知っていたのでした。その知識を得た場面を、彼の人生を辿ってゆくことで再現してゆきます。その人生が過酷すぎるほど過酷であり、彼がクイズに出た真の目的が恋人ラティカに会う為(純愛)とわかるとどうしても応援したくなります。必然的に映画にのめり込むわけで、巧みな構成といえます。彼が子供の頃、肥溜めに入ってまでもスターのサインを入手した場面で、一旦決めたことは最後までやり抜く性格が強調されており、この伏線が最後まで効いています。一方でラティカの人生はもっと過酷です。孤児で、引き取られた中ボスに乞食をさせられ、ジャマールの兄に強姦され、大ボスの愛人となり暴行を受ける毎日。現実にこのような女性と恋人関係になるのは稀でしょうが、そこは映画、美女でカバーしてます。兄は悪キャラです。ジャマールから「一生許さない」と宣言されます。中ボスを殺し、大ボスにヒットマンとして雇われます。闇の住人です。その兄が最後、ラティカを逃がし、大ボスを殺し、自分も殺される選択をします。どうしてこのような行動に出たのでしょうか?ジャマールの「奇跡の回答」に、愛の強さと運命を感じたからでしょう。二人は愛で結びつく運命であり、自分は過去の贖罪のために死ぬ運命であると悟ったのです。お金のバスタブでの死を選んだのは、彼は愛を信じず、お金を信じて生きてきたので、自分にふさわしい死に方と考えたからでしょう。自分を罰しているわけです。クイズですが、司会者の演技が秀逸ですね。すばらしい。ラティカが電話に出て、答えは知らないといったときには、正直ずっこけました。あれだけ溜めた演出だったのに…。クイズに出た真の目的がラティカに会うためですから、クイズはどうでいいのでしょうが。怒涛の感動場面を逃した感があります。スラムの生活の悲惨さはよく伝わりました。の闇の仕事や心の闇が描かれていれば、傑作になっていたでしょう。エンドロールの踊りは不要です。
[映画館(字幕)] 8点(2009-04-29 21:41:52)
318.  ウォーリー 《ネタバレ》 
高層ビルのように積み上げた圧縮ゴミの山の数々、これだけでウォーリーの700年の孤独が伝わってきますね。植物とゴキブリを発見しますが、それだけでは心が満たされません。ビデオを見ることによって感情を覚えました。ミュージカルは「ハロー・ドーリー!」。田舎町から出ることのなかった貧しい青年が、都会に出てお金持ちのふりをして、女性に求愛します。ウソがばれ、青年は別れようとしますが、女性は「そんなこと最初からわかっていたわ」と手をつなぎ、愛を受け止めます。これを知っていて観ると鳥肌ものです。もう一つの重要なモチーフは人類の進化を扱った「2001年宇宙の旅」。同じ音楽を使い、コンピュータが反乱するという筋書きで明らかですね。靴と植物が「モノリス」です。靴はエンドロールで判明しますが、ゴッホの初期の絵で、労働者の象徴として描かれたもの。未来人は一生座ったままで生活するので、立つことも難しいし、靴を知りません。船長が壮大な音楽と共に立ち上がる場面は、人類の更なる進化の象徴。すなわち原点に戻り、地球を再生させるために歩き出すことを表しています。わかりにくかったは、修理ロボット達のふるまいです。ウォーリーが誤射して修理室の電源が切れました。これで修理ロボット達は自由になったのです。メインコンピュータ「オート」からの開放であり、その後の展開を予見させます。それでウォーリーを持ち上げて大騒ぎ。最後は頼もしい味方になります。特にモー、グッジョブです。けなげに働くロボット達の姿は心なごみますね。排出口からの生還は「エイリアン2」のオマージュ。だから声優にシガニー・ウィーバーを使っています。遊び心たっぷりです。子供の世話もロボットがする社会。船が傾く場面で、落ちてくる子供たちをジョンとその恋人が守る場面がありました。とても印象的です。ウォーリーの記憶が戻る場面ですが、あれはイブの愛情がそうさせたわけです。元々、ウォーリーの感情によってイブにも感情が生まれました。イブの電流によってウォーリーがぽうっとなるシーンがありますね。あれが感情であり、伏線となっています。子供達には深読みができないので、ちょっと退屈するかもしれません。大人になって観返したら、きっと感動するでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-18 11:10:44)(良:3票)
319.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 
舞台は差別が残る60年代のアメリカ、共産主義国チェコからの移民という背景が強く影響している。セルマは無学・無教養で愚かしいほど不器用にしか生きられない。遺伝で失明する運命が影を落とす。「子供を抱きたい」という本能で子を産む(たぶん私生児)が、子も失明する運命。子に手術を受けさせたい一心で、好きなチェコを捨てアメリカへ移民。仕事と子育てに邁進する毎日。行動力はある。しかし現実は厳しく、工場勤めと内職に追われる日々。子の誕生日にプレゼントもしないほど禁欲なので、母子関係はぎくしゃく。子は愛情に飢え、学校をさぼるし、「どうしてくだらないことばかり聞くの」とうんざり。愛情の空回りで、つい子を殴ってしまう。周りに親切な人が多く、好意を寄せてくれる男性もいるが、子の手術という望みしか見えない。唯一の楽しみがミュージカルで、レッスンにも通う。しかし歌も踊りもヘタ。苦しい現実から逃れたいときはミュージカルを空想。空想でなら美しく歌い、踊れるのだ。失明が近いと悟った彼女はあせり、レッスンをやめ、深夜勤務までするが、失敗して失職。その日隣人と秘密を分かち合うが、これが悲劇の序章。結果的にお金を盗んだ隣人を「依頼殺人」。取り戻したお金で、病院へ行き、子の手術の段取りを決める。裁判では、自分が不利なのに真実を話さない。お金を取り上げられてしまうからだ。死刑判決で恐怖におののくが、再審請求の道が開ける。が、弁護士費用で手術費用が使われると知ると拒否。死を選ぶ。すでに盲目となり絶望していたが、ミュージカルを歌うことで勇気を得る。だが死は恐ろしく、処刑台で卒倒。そこへ子の手術が成功したのを知る。自分の命と引き換えた唯一の希望が叶えられた瞬間、歌が美しい声となってほとばしり始めた。空想のミュージカルが現実となったのだ。「ミュージカルの最後の歌は聞きたくない」の言葉通りに歌は途切れ、命も絶たれた。だが、途切れた歌は、オープニングの音楽となってループし、またミュージカルが始まる。魂は永遠に子を見守る。愚かな選択だが、無償の愛を貫いた!子もいつかわかってくれると信じて。セルマの空想するミュージカルは明るく、生の喜びそのもの。不幸な人間の心の中にこれほどの「希望」が存在することが、理屈なしに魂をゆさぶる。プロットのアラがなければ、金字塔にもなれた作品。ビヨークの鬼気迫る演技、歌に終始圧倒された。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-10 09:27:33)
320.  ハプニング 《ネタバレ》 
自殺のオンパレードには辟易。芝刈り機とかライオンとかは悪趣味。自殺を罪と考えるキリスト教圏の人たちにはさぞショッキングだったでしょう。大きな謎を投げかけた導入部は成功でしょう。しかし、結論の「植物が何らかの理由で(たぶん人間に抵抗するため)放出する毒素」では、リアリティがなさすぎるので減点。この映画の路線では人々のパニックと恐怖を描ければ成功だろうが、残念な結果に。駅や道路の混雑などの集団パニックシーンがない。警察や軍が出動して隔離や救出を行い飛行機やヘリも飛ぶはず。軍人が一人でてくるが、基地に死体があるというだけで、死体は見せない。また逃避者から必死さが伝わらない。植物の毒素と指摘しながらホットドックをほおばる。車のルーフに切れ込みがあるのに黙って見ている。主人公の夫婦が浮気関連のジョークを言う。人工の植物に話しかける。二人の少年が愚かしい行動をし、射殺される。サイコばあさんという別の恐怖を描く。ハンカチで口を覆うなどの防御をしない。これらを廃し、じわじわと迫り来る恐怖を描くべきだったのだ。謎解きの解明も早すぎる。それも主人公が経験や考察から導くのではなく、農場の老人が指摘するのも減点。また「突発現象は一日くらいで急激に収まる」と二度も説明があり、オチが読めてしまう。全く不要で、最後にTV解説者が説明すればよい。サブストーリーは冷めかけた夫婦のよりが戻ることと、子供を守ること。夫が危険を承知で妻のいる別棟に向かうシーンでそれを表現したかったらしいが、あれは愛情とは思えなかった。お互い家にいれば安心で、会話もできるのだ。風が収まるまで待てばいい。外にに出るにしても、せめて走れ。また呼応して妻も出なくていいのに出てしまう。しかも子供を連れて。本当に子供を守る気がありますか?脱出を諦めた自殺行動としか映りません。しかもその子は友人の子供で、ほとんど活躍せず、弱い存在として描かれていない。当然夫婦と子供の絆も見えてこない。徐々に絆が強くなる展開にすべき。友人が別れてすぐに亡くなるのも減点。助かりそうになるが、最終的に亡くなる方が悲劇性が高まる。植物の毒素をCGで視覚化すばもっとリアリティが出たと思う。風と音楽だけじゃね。ところで雨が降れば毒素も飛ばないので、脱出できますね。
[DVD(字幕)] 5点(2009-04-08 20:43:01)(笑:1票) (良:1票)
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