21. アメリカン・ビューティー
《ネタバレ》 これはやられました。構成がうまいっ!という感想です。もちろん、一本筋の通ったテーマの主張があったからこそです。 序盤から曲者がたくさん登場し、風呂敷広げすぎて大丈夫かと冷や冷やしましたが、それぞれ無駄な配置がありませんでした。 特に隣の盗撮兄ちゃんは単に気味悪い添え物かと思っていたら、彼が核となるテーマを一番語ってくれていたのは意外や意外。 そして、最後の収束のさせ方が素晴らしかったと思います。 ラストだけでも多くの感想を語れる名ラストシーンではないでしょうか。 最後近づく銃口には身震いする怖さもあり、さりげなくどんでん返しの結末もあり、・・・と開けてみたら想像以上にお得だった福袋といった感じです。 暗くなりがちな内容なのに明るさを失わず、品のない会話や描写が多いのに印象が悪くなく、殺されたのに「ハッピーエンド」的な感覚で後味が悪くない、という珍しい作品でした。 [DVD(字幕)] 9点(2011-01-26 13:57:15)(良:2票) |
22. L.A.コンフィデンシャル
《ネタバレ》 重厚すぎず軽快すぎず、暗すぎず明るすぎず、広い層に無理なく受け入れられるという印象を受けました。 バド、エド、ジャックの三者三様の個性が楽しい・・・この3人での連続刑事ドラマにしてほしいくらい。 ジャックがあっさりと・・・は少し残念でしたが、彼は前半一番の存在感があったと思うので、全体のバランスからするとちょうど良かったのかもしれません。 真犯人は、ある意味刑事ものにはよくあるパターン・・・奇をてらったどんでん返しを狙わなかったことにより、王道行く仕上がりになったのではないでしょうか。 とはいえ最後はベタではなく、なかなか捻った終わり方。 あの終盤の流れから、爽快な後味で終わらせたのはお見事! 「終わり良ければ全て良し」と言いますが、本当にうまくまとめ上げたと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2010-11-17 21:31:18)(良:1票) |
23. トイ・ストーリー3
《ネタバレ》 ここでの高評価を知っていたので、惑わされないようハードルを上げて鑑賞したつもりですが、お見事!の一言。 <以下、かなりのネタバレです^^;> 保育園でのドタバタはいつものパターンだったので流石に平凡な印象でした。 しかし、保育園脱出からエンディングまで、いい意味での裏切りの連続・・・もし、焼却炉で熊がボタンを押していたら普通の作品だったと思います。 それにしても、短時間で、よくぞここまで詰め込んでまとめ上げたものです。 ラストで女の子に譲るところは不覚にも涙が出てしまいました。 おもちゃ一体一体を紹介するところは、まさに舞台の終わりに各出演者が名前を呼ばれて挨拶するような感じで、このシリーズの大団円を表現していたと思います。 間違っても、おもちゃを譲り受けた女の子を使って「4」は製作しないでほしい。そう思うほど1~3それぞれ「テーマ」が明確で、3部作として完成していると思いました。 [DVD(字幕)] 9点(2010-11-03 13:56:05)(良:2票) |
24. 街の灯(1931)
《ネタバレ》 ラストの表情ワンカットのみで、ここまでいろいろ考えさせるところが凄い! 彼女の目が見えることになった嬉しさ、どんなに尽くそうが一緒にはなれない切なさ・・・ 一体どっちなんだろうと考えつつ、やはり嬉しさと切なさなどが複雑に入り混じってたんだろうと思います。 序盤からコミカルなシーンを散りばめ、コメディとして充分楽しませてくれたうえで、この美しいラストシーンに持っていく展開に敬服します。 [DVD(字幕)] 9点(2010-10-20 18:27:43) |
25. 明日に向って撃て!
《ネタバレ》 2人が、カッコいいアンチ・ヒーローに仕立て上げられておらず、どこかダサい雰囲気を醸し出していたことで、彼らのおかれた時代遅れの状況がうまく表現されていたと思います。 悲惨な話のはずですが、終始ほんわりと明るい雰囲気だったのも好印象でした。その象徴でもある「雨にぬれても」がこの作品の挿入歌であることを、映画ビギナーの私は恥ずかしながら初めて知り、ちょっと得した気分になりました(「スティング」のBGMでも同じ思いをしました)。 こういった雰囲気でしたので、ラストを惨殺シーンではなくセピアの静止画面にしたことは無難だったと思います。タイトルどおり「明日に向って~」と言う感じで・・・ [DVD(字幕)] 9点(2010-10-10 15:35:05) |
26. 駅馬車(1939)
《ネタバレ》 100分足らずの時間内に、よくぞここまで人間ドラマとアクションを盛り込んだものだと感心してしまいました。各乗客がそれぞれ個性的で、無駄なく使われていたと思います。 戦闘シーンは見応えがありましたし、最後の決闘シーンは一瞬でしたが、それによってカッコよさが増したように思います。 また、アル中ドクターが随所でいい味を出しており、ラストの粋なはからいで後味もよく締めてくれました。 一歩間違えば「ごった煮」になりそうな危うさがありましたが、バランスよくまとめ上げていたと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2010-10-03 11:51:07) |
27. レナードの朝
《ネタバレ》 このように病気を題材とした作品は、感動をもたらすための演出が過ぎると白けてしまうでしょうし、かといってガチガチに医療のリアルさばかり描写するとわかりにくくエンターテイメントとして疑問符がつくと思います。 私はこの作品の題材となった病気の現場、現状を知りませんが、想像するに、この演出とリアルさのバランスが非常にとれている作品だったと思います。 奇跡がおきた夜の感動、自らの身体が動かなくなっていく絶望感、最後に女性を見送る際の切なさ・・・箇所箇所でいろいろな感情が胸にわき、考えさせられました。また、これらのシーンが観ている者に対し押し付けがましくなく、さりげなく描写されていて落ち着いた作品になっていると思います。 [DVD(字幕)] 9点(2010-09-05 22:11:01)(良:1票) |
28. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 終盤の急展開に鳥肌が立ちました。とにかくハッピーエンドになってくれと願いながら観ていたので、モーガン・フリーマンが悲惨な運命にならなかったときはホッとしました。そして、エンディングのどこまでも広がるきれいな海・・・もう大満足です。ストーリーの明の部分と暗の部分とが自分にとってちょうどいい配分でした。 [DVD(字幕)] 9点(2010-04-06 21:33:10) |
29. 素晴らしき哉、人生!(1946)
《ネタバレ》 どストレートに心温まる作品でストレスなく見れました。人生の転落からラストまでが20分程度というわずかな時間だったのが少し意外でしたが、そのことで最後のほうがダラダラせずしまった感じで良かったと思います。最近のアメリカにおけるサブプライム・ローン問題に端を発した大不況を連想してしまいましたが、現実にはこんな心温まる話はまずないでしょうね。 [DVD(字幕)] 9点(2010-03-22 14:17:54) |
30. アンタッチャブル
《ネタバレ》 各所に名シーンがちりばめられていて飽きさせません。キャラクターも印象に残りますし、爽快感と悲壮感のバランスもよく鑑賞後も気持ちよい余韻に浸れました。最後のほうで主人公がヒットマンを突き落としたのはちょっと蛇足というか無意味なシーンに思えて残念です。 [DVD(字幕)] 9点(2010-03-12 09:50:34) |
31. ジョーカー
《ネタバレ》 近年のいわゆる”エピソード・ゼロ”作品には良作が多いと感じますが、、 本作ははその中でも異彩を放つ秀逸な出来だと思います。 強引な点が目についたのも事実です。 たとえば、最後のデ・ニーロが絡む一連の流れなど「これはないわぁ」というくらい無防備すぎ。 ただ、そんな粗さも吹き飛ばすほど、初っ端から最後までノンストップで徹底的にエグらえるエグられる・・・ 救いの無い生活の中の「ささやかな幸せ」さえも儚く消し飛ばす演出も見事(と言っていいのか?) 当然ダークな作風は承知のうえでしたが、予想の上をいかれました。 やはり陰のDC・・・DCはこうでなくては。 しかしながら、他の作品とは異質すぎで絡ませるのは難しいでしょう。 むしろ、これ1本だけで広げないほうがいい・・・そんな異様な一本でした。 [映画館(字幕)] 8点(2019-10-12 18:22:33) |
32. ボヘミアン・ラプソディ
《ネタバレ》 いわゆる洋楽オンチです。 クイーン・・・???です が、出てくる曲、曲・・・耳にしたことがあるものばかり。 例の”足踏み”が始まったときは、こちらも自然と足踏みしてしまいましたし、 (地方のシンプルな映画館です IMAXうんぬんじゃありません^^;) 背景を知った上での「ママー・・・」の演奏シーンはホント泣けました。 難点は、ストーリー自体が起伏にやや欠けたこと。 ただ、これは実話ベースだから仕方ないでしょう。 圧巻のライブエイドで即終了となる潔さも◯ 最近は「伝説(レジェンド)」のフレーズが安売りされていますが、 真の「伝説」というのがよくわかりました。 そしてフレディ・マーキュリー・・・その個性に魅了されました。 まずはCD買います・・・ [映画館(字幕)] 8点(2018-11-16 13:00:11)(良:1票) |
33. LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
《ネタバレ》 少し前にたまたまチャンネルを合わせたテレビ番組やっていたのを思い出しました。 その時に食い入るように最後まで見てしまいましたが、これが良い意味で予告編になってくれたようです。 本作も最後まで食い入るように見ることができました。 映像、音楽、サクサクと進む構成・・・すべてが心地よかったです。 グーグルアースを絡めてくるあたり、いかにも現代ですね・・・ 作品のネタに使えそうなテクニックを実話が先にやってしまった感じがします。 最後の最後にきての”ネタバレ”も心憎い。 ほんと、アンビリーバボーですね(^^; [DVD(字幕)] 8点(2017-11-01 23:17:44) |
34. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 オープニングから雰囲気よく、期待は膨らみました。 父親を亡くしたばかりの主人公が博士らにあっさり協力するなど、随所で人間ドラマが淡々と進んだことは難点に感じられましたが、全体としては大満足です。ここまでストレートに反核をぶっ込んできたことにも、いい意味で裏切られました。 ゴジラの本格的な登場までけっこう引っ張られたものの、このやり方には大賛成。むしろ中盤も後姿だけで顔見せしなくてよかったくらいに思ってます。 引っ張った挙句の戦闘の迫力に知らぬ間に見入っていました。不覚にも汗拭き用のハンドタオルをグッと握りしめながら…。 いやはや、これを見たかったというのをやってくれた。 大爆音が響く場面と静かになる場面の切り替えは見事。パラシュートで降下する際の主人公目線の戦闘シーンに身震いです。 形勢不利と思いきや粘り強く立ち上がってくるところなんかはまさにゴジラ。 そして、お約束的なラストシーンを持ってきてくれたことに何故か安心(あのまま寝て終了したらどんなに失望したことか)。なぜ倒れているゴジラに安易に近づいているのか?…という理屈で言えばたいへんおかしな場面ではありますが、無性に嬉しくてそんなこと吹っ飛んでしまいました。 結果としてゴジラは人間の味方であるかのように描かれていたのは意外や意外。まさかゴジラと艦隊が並走するなんて…(^^; 要するに人間など眼中にないということですか…ゴジラのスケールの大きさを感じさせられました。 [映画館(字幕)] 8点(2014-07-25 22:13:15)(良:2票) |
35. チョコレートドーナツ
《ネタバレ》 映像と音楽の構成がとても心地よい。冒頭のショーから車内の流れの段階では、こんなに癒される結果になるとは思いませんでした。 もちろん内容は心地よいばかりではありません。単に勝つことだけを目的とし手段を選ばない裁判のやり方には、彼らに対する偏見の強さが滲み出ていてやるせない思いです。 静かに、かつ、唐突に結末が訪れたとき、胸に刃を突き付けられたような気がしました。 そして、ルディの必死に何かを訴えるかのような力強く切ない歌が忘れられません。 ルディに目が行きがちですが、静かなる中に熱い魂を感じさせてくれた弁護士ポールの存在感も抜群でした。 およそ1時間半、安易なお涙頂戴ではなく、温かい愛情と社会の闇とのコントラストが織りなすストーリーが素晴らしかったです。 [映画館(字幕)] 8点(2014-06-01 22:27:51) |
36. ベン・ハー(1959)
《ネタバレ》 私は、某世紀末救世主伝説を例えに出すことが多いのですが、あの作品を実写化するとしたら本作のように作らねばいかんと思いました。 何といってもあの馬車レースシーンなんですが、どうやって撮影したかと思わされた時点で作り手側の勝利なんでしょうね。 その場面を含め壮大な映像に驚かざるを得ませんでした。1959年当時にこれを鑑賞したとしたらどう感じたんでしょうか。 個人的には政教分離ならぬ映教分離(?)の原則なので、宗教色の強いところは取っ付きにくかったです。 というわけで馬車レース後が尻すぼみな印象。某世紀末救世主伝説が、某カイオウを倒した後も連載引っ張ってから消えるように終わってしまったのと似たような感覚です。 あっ、また下手な例えを出してしまいました(^^; [DVD(字幕)] 8点(2014-04-04 23:38:11)(良:1票) |
37. キャプテン・フィリップス
《ネタバレ》 大袈裟な脚色もなく淡々とした緊張感が続き、よくあるアクション映画のお約束に慣れた身としては非常に新鮮でした。 いくら貨物船とはいえ小さなボートに梯子引っかけられて制圧されたのがまずショック。 そして敵も船長もアクション映画あるあるの"奥の手"を一切持っていない。ご都合いいラッキーも起こらない。 船長がペンを拾い上げてさて反撃!かと思いきや、家族宛ての遺書!さらに堪えきれず喚く…そこに何の計算もへったくれもありません。 ソマリア人もただただお人よし。単身丸腰で敵艦に乗り込んだあげく最後は一人逮捕される。 屈強な米軍人に囲まれるそのか細い姿はただただ憐れで同情を禁じえませんでした。 途中「最初から3万ドル持って逃げてりゃよかったのに…」と思った矢先に、船長から同様の言葉がソマリア人に投げかけられました。 その時のやり取りが本作唯一のドラマ的な会話のように記憶していますが、結局はこのやり取りにに尽きるように思え、とても印象に残りました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-03-26 22:39:59) |
38. サイド・エフェクト
本作に関してはルーニー・マーラの静かながらも強烈な個性にはまってしましました。 美人ながら幸薄い雰囲気の役が本当に似合っていたと思います。 動と静のギャップの激しさにも惹かれました。 これだけでも見た甲斐がありました。 もちろんジュード・ロウも良かったですし、女医とのまさかの関係発覚など見所はたくさんありましたが、個人的にはやはりこの女優の存在感に尽きます。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-03-24 22:54:22) |
39. LIFE!(2013)
《ネタバレ》 再三見たようなストーリーではありましたが、映像と音楽に乗せられてしましました。 おそらく映画館の効果で好印象3割増し。その影響で点数も3割増しになっていると思います。 正直なところ、妄想がブツ切りに続く序盤は退屈でした。 また、現実描写があまりにもリアリティがないため、妄想と現実との区別がつきにくく、いつ妄想オチになるのか疑って鑑賞していたことも事実です。 ラストも平凡です。 ただ、色々考えることはなしに「癒し」を得るには極めて良作だと思います。 下品なシーンがなく、ストレスになる展開もなく、無害な作り。 クスリ程度の笑いや小ネタ的な伏線の使い方のうまさ。 そして、髭面の新上司も含めどこか憎めないキャラクターの面々。 そういった要素が相まって後味は爽快でした。 まさに「元気があれば何でもできる」の映像化。 粗捜しすることなく「馬鹿になれ」の精神でおおらかに鑑賞すればきっと楽しめます! (※なお、吹替に関しては一切関知しておりません。) [映画館(字幕)] 8点(2014-03-19 23:58:29)(良:2票) |
40. 大統領の執事の涙
《ネタバレ》 始まりから予想外の緊張感。かと言って重すぎるわけではなく見やすい内容でした。 話がだれそうなときに暗転する事件がおこるなどメリハリがある構成で飽きることもなかったです。 主演俳優は非常に味があって役にはまっていたと思います。 上の者に対する気の利いた受け応えや残業続きで家庭不穏なんてところは、勤勉な日本のサラリーマンに通ずるところがあり妙な共感を覚えました。 本作は、父息子の対立が見所なのはもちろんですが、妻の人物像も見所の一つかと思います。 正直最初はいけ好かない残念なキャラクターでしたが、どんどんどんどん母として妻として全うな人物になっていくのは思いがけなく印象に残りました。 終盤の「他国の歴史には口を出すが…」の自国批判のクダリはよくぞ言い切ったという感じです(こりゃアカデミー賞候補にはなりにくいですかね(^^; ) 本作を鑑賞してオバマ大統領誕生というものがまた違ったものに見えてきました。 もちろんこれでハッピーエンドという単純なものではなく、人種差別がまだまだ続く根が深い問題であることを思い知らされる作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2014-03-08 20:32:34) |