461. ハード・ウェイ(1991)
せっかくの面白そうな設定なんですけど、ジョン・バダムにこういうもろコメディの作品というのはやはり無理がありましたね。刑事のふりをした俳優と本物刑事のタッグなんかだったら、そのギャップとかそれぞれの特技の相乗とかでいくらでも笑いはとれそうなんですけど、バダム先生はすぐに真面目なアクション方面に走ってしまうので、素材が生かされないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-31 02:32:14) |
462. ラビット・ホール
《ネタバレ》 冒頭、庭園のシーンの意味ありげな導入に胸が躍り、エッカートがぽつんとスマホの動画を見ているシーンの気品に期待が高まる。・・・が、その後は、それっぽいシーンが細かく積み重ねられるだけで、消化不良のままに終わってしまいました。例えば、マイルズ・テラーが夫婦宅を訪れて「しまう」シーンなんて、まさに心理の重層的な綾が衝突する重要ポイントなはずなのに、そこもあっさり、後のフォローもなし。もったいないです。 [DVD(字幕)] 4点(2018-12-28 00:13:39) |
463. ヒンデンブルグ
《ネタバレ》 これだけの近代史を代表する大事件を採り上げ、しかもいろんな乗客も描写対象とするグランド・ホテル形式なのであれば、いくらでも盛り上げられそうなものなのに・・・結局は最後の方まで、各登場人物がそわそわごそごそしているだけであって、スリルもドラマもあったものではない。爆発以降の迫力の映像は、それまでとのギャップも相まって、思わず見入らせる力がありますが、要はここが撮りたかっただけなんじゃないの?という気がしてなりません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-26 01:12:12) |
464. ミッドウェイ(1976)
《ネタバレ》 ミッドウェー海戦というのは日米双方にとって重要な転機となった場面であって、まずそこをしっかり押さえてほしいんですけどね。それまでの経緯だとか、双方は何を意図してそこに至ったのかということだとか。しかし前半は、どうでもいいようなのんびりしたやりとりが続いて、緊迫感のかけらもありません。後半はまあ、戦闘の一つ一つのステップを押さえており、まだましでしょうか。ただ私は、日本人が英語でやりとりしていることよりも、これ見よがしに挟まれる(そして結果として映画を邪魔している)実際の記録映像よりも、同じ人のテロップや同じ軍艦のテロップが何回も表示されることの方が気になりました。つまり、制作側自身が、描き分けに自信がなかったってことじゃない? [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-25 01:17:23) |
465. 聖母マリア(TVM)
《ネタバレ》 なぜかビデオタイトルが「ジーザス」になっているのですが、あくまでもマリア側の視点です。したがって、イエスの出生~成長の前半は丁寧である代わりに、布教開始後のイエスのエピソードのあれこれはほとんどなし。しかし、それはそれで新鮮です。少年時のイエスがいじめに遭っている(!)とか、悩めるイエスにマリアが指針を与えるとか。最後のゴルゴダまでの流れもあくまでもマリア視点。したがってこれは、マリアの「受胎と子育ての物語」なのです。●しかししかし、もっと大事なことは、若き日のマリアを演じるのが、「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」の美少女、メリンダ・キンナマンちゃんだということなのです!そこからこの時点で15年近く経ってはいますが、凜とした美しさに衰えなし、というかむしろさらに開花しています。彼女のほかの映像作品はほぼ見る機会はないと思うので、これはとても貴重です。したがって、これがマリアであると言われても説得力十分。英語の台詞がちょっとぎこちないのはご愛敬。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-24 02:24:01) |
466. ザ・マスター
ストーリーはあってなきがごとし。ほとんど、監督の脳内二重人格会話を延々と聞かされているような感じ。本来は達者な役者陣に対しては、「こんな苦行によく立ち向かって耐えているなあ」という感心は起こりますが、これでは芝居の鑑賞はできません。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2018-12-23 01:24:48) |
467. ロンメル軍団を叩け
せっかくのロンメル軍団だトブルク砲台だとかいう設定をしていながら、誰が何をしたいのかがほとんど不明であり、しかも全体の雰囲気がやたらのんびりしている。差し迫った戦場の危機というものがまったくありません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-19 23:35:31) |
468. スーサイド・スクワッド
何というか、各キャラクターの配役を決めて衣装をデザインして着せてみたところで、力尽きてしまったんだろうなあ。いや、最初からそれ以上のことをするつもりはなかったというか、目的はそこにしかなかったというか。大体、元締のはずのヴィオラ・デイヴィスがどこまでいっても人の良さそうな普通の小母さんにしか見えない時点で、すでに失敗です。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2018-12-18 01:42:07) |
469. ジャングル・ブック(2016)
CGはこれだけ頑張っているのに、何でこんなに面白くないんだろう?と考えていたのですが、結局、主人公の彼に、人格もなければ成長も変化もないからなのですね。したがってこれは、よくできたCG展覧会ではあっても、映画ではないです。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2018-12-08 00:01:20) |
470. ラ・ラ・ランド
《ネタバレ》 オープニングの怒濤のカメラ動きっぱなし長回しに始まり、息もつかせぬほどに次々にネタをぶち込んでくる。それでいて、やっていることはごくごくシンプルな、何も考えずに見られるラブロマンス。大体、主演2人以外の出番がほとんどない。やっぱりこの監督は変態です。ちなみに、最初が"Winter"である時点で、ハッピーエンドではないことはすでに予想できますね。でも、2人がそれぞれ追っていたものの重みを考えると、このラストは必然です(その前の、「あああそこでこうしてたらなあ」的未練がましさ全開の回想シークエンスも、アメリカ映画らしからぬ湿っぽさで、良い)。なお、演技面では、伸び伸びと素直さ全開のエマ・ストーンに比べ、ライアン・ゴスリングが全体的に棒読みなのが気になりました。●ところで、リクエストを訊かれて即答で"I Ran (So Far Away)"だなんて、君は一体何歳という年齢設定なのだ(笑)。それを即座に演奏してしまえるバンドもバンドである。 [映画館(字幕)] 7点(2018-12-03 00:53:46) |
471. 王様と私(1956)
《ネタバレ》 全体の作り方が何とも大らかなのですが、そこが良い。アンナと王様はあちこちでぶつかりそうになるのですが、そのたびに、「まあとりあえずいいか」で互いに何となくその場は収まってしまう。いきなり相手の首を取るようなことはしない。ビルマの美女とその彼のエピソードも、最後の処理はものすごく適当。一方で、劇中劇のシャム版「アンクル・トム」は、一部抜粋とかもったいないことはせず、フルで披露(これはこれで出来が良いんだ)。クライマックスのシャル・ウィ・ダンスも、よく考えると何でここで2人が仲良く踊り出すのかさっぱり分からないんだけど、そんなことを押し流すほどのパワーとインパクトがある。あれこれ深く考えずに初期衝動を完結させたことが大きくプラスに働いた作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-12-02 16:45:49) |
472. WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々
《ネタバレ》 なぜかジメジメした停滞した雰囲気のままで終わってしまいました。せっかく面白そうなキャラを揃えていながら、全部があっさりしすぎていて、生かされていないのです。導入部もあっさり、レスリングの試合もあっさり、母親や老人の処理もあっさり。もっと引っ張るべきシーンはいくつもありました。その結果、登場人物が衝突することも葛藤することもなく進んでしまっています。唯一ドラマを感じたのは、最後に地下室の階段でエイミー・ライアンが発する一言くらいでしょうか。 [DVD(字幕)] 4点(2018-12-01 00:51:07) |
473. スリーメン&ベビー
《ネタバレ》 導入部はワーワーうるさいばかりでほとんど出オチかと思っていたのですが、いざいったん落ち着いてからは、ポイントを絞ったシャープな進行で最後まで行ききっています。1シーンの登場で物語を一気に左右してしまうジャックのママ(セレステ・ホルム!)など、スパイスもなかなか。麻薬関係のあれこれを誘因ネタとして使っておき、さっさと中盤で引き上げる展開も正解。※例の「少年」のシーン、私も「あれ?」と思って、戻して確認までしてしまいました。みんな同じところに気づくんですね・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-11-27 00:46:03) |
474. 張り込みプラス
《ネタバレ》 とても続編を作るほどの前作とは思えなかったので、ものすごくつまらなくなるのでは?と危惧しつつ見たのですが、案外悪くありませんでした。中盤、隣宅に盗聴器を仕掛ける(およびその後処理)という一点で延々と引っ張っているのが、テンションを維持しています。敵の悪キャラは前作のエイダン・クインほどには全然怖くありませんが、この作品ではむしろその方がよいのかも。ただ、まあ、途中まではお約束の「裏がばれそうになるのを思いつきと口先だけで何とか乗り切る」ネタが面白かったのに、最後はやはりカーチェイスと肉弾戦になってしまいましたね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-11-24 23:54:23) |
475. 張り込み(1987)
設定からしてもっと笑えるコメディになるはずなのですが、ジョン・バダムらしく一つ一つを妙に真面目に撮っているため、何か笑えないというか、むしろ真剣なハラハラの方が先に立ってしまうのです。ところどころ、ここはもっとネタとして引っ張ってもいいのに、という箇所はあるのですが。エンディングテーマにMr.ミスター"Is It Love"を使っているのはポイントが高い。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-11-24 01:31:40) |
476. レッド・ツェッペリン/狂熱のライブ
数カ所に挿入されるイメージ映像というか寸劇というかそういうものと、ごく僅かなバックステージ風景を除けば、ほとんどはステージの演奏そのまんま。ただ、一部の曲を除けば、すでにスタジオで完成していた楽曲とそれほど変わったことをやっているわけではない。あと、ジョン・ポール・ジョーンズをもう少し映してほしかった。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-11-19 02:22:23) |
477. 彼女はパートタイムトラベラー
《ネタバレ》 何というかこう、凄く切れ味鋭い初期アイディアが出たんだけど、描写や演出がついていけなくて不完全燃焼に終わってしまった、という感じです。この進行でいくのなら、タイムマシンを「本当と思わせる要素」と「ウソ・妄想と思わせる要素」を両方とも入れ込んでいかないと、スリルが続かない(その辺のやり方が上手かったのが「光の旅人K-PAX」でした)。また、謎めいた広告の文言はあれほど魅力的なのに、それが大して生かされずに終わったのも残念です。あと、サイドストーリーっぽい上司(?)と元カノの再会譚も、何だったんだか・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2018-11-16 00:51:10) |
478. アンストッパブル(2010)
《ネタバレ》 一番の問題は、いくつかの列車を出して衝突を煽ってみたりどこそこまであと何マイルとか言っていたりしながら、その位置関係がはっきりしないこと(電光板みたいなものはあったが、あれでは分かりにくい)。したがって、列車単体をいくら頑張って映していても、スリル半減なのです。また、こういうパニック系は、それに対峙する側がビシバシ作戦を繰り出しながら、それがことごとく跳ね返されていくところに醍醐味があるのですが、肝心の阻止側(人間側)が、あまり格好良くない。特に、職人側のデンゼルとの対比で頭脳側を体現する立場の人が最も重要になるのですが、ロザリオ・ドーソンではちょっと力不足でしたね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-11-14 00:55:49) |
479. 追跡者(1998)
《ネタバレ》 スナイプスは孤独な逃亡者にほとんど見えない、逆にダウニーは登場時から怪しさ全開。つまり、作品の前提世界が成立していないのです。それと、あれだけいろいろネタや背景をばらまいておいて、最後にあの病室のシーンだけで全部収束なんて、広げた大風呂敷を何もたたまずに終わってしまった気が・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-11-06 00:57:47) |
480. 奇蹟の詩 サード・ミラクル
《ネタバレ》 ある女性に関する「聖人認定」の手続、というのがメインなんだけど、神父が同時に調査員でもあるというのが頭に入ってきにくくて、中盤まではちょっとごちゃごちゃした印象です(しかも、エド・ハリスとアン・ヘッシュのロマンスっぽい部分、話としても不要な上に、年齢比的にも無理があるぞ)。しかし、敵役的な枢機卿がやってきて審問が開始してからは、一気に話が絞り込まれて、スリリングにもなってきます。あと、ただのプロローグっぽく見えたところが実は・・・という展開はポイントが高いので、+1点。 [DVD(字幕)] 6点(2018-11-04 00:43:40) |