981. ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男
《ネタバレ》 こんな生々しい話の監督がラッセ・ハルストレムだというのにまず驚き。しかし、やっぱりこういう方向の作品はあまり得意でなかったようで、俳優陣との息もどうも今ひとつ合っていない。奥さんとか女性関係がどうのこうのというのも、あまり機能していないし、おそらくは原作にそう書かれていたから入れたんだろうというところも見えてしまう。まあ、元ネタがもともと出発点だけでも十分スリリングな内容なので、そのアドバンテージだけで得はしています。しかし、この主人公はもともと巨大なでっち上げ話を迫真的に作り上げていたわけで、この「自伝」そのものも実はでっち上げとかだったら、それはそれで面白いのだが。 [DVD(字幕)] 6点(2017-10-03 02:12:40) |
982. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版
《ネタバレ》 導入部分で、ちょっとだけ時系列をいじることで、突如醸し出される壮大さ。魔術を見ているようです。その後も、4時間近くあるのに、無駄なシーンや台詞もなければ、無理矢理エピソードを入れて盛り上げ(ようとす)ることもない。一方で、これでもかというくらいのエキストラが象徴する、一つ一つのシーンへの気合の入れ方。きちんと別世界に連れて行ってくれるという点で、貴重な作品です。なお、個別のシーンで強烈だったのは、デボラとの路上の初会話のところで、群衆に埋もれると思っていた(というか埋もれていた)ヌードルスとデボラに、いつの間にかフォーカスが当てられている手品のようなくだり。それと、デボラとの楽屋での再会シーンで、メイクを落としながら話をさせるという豪腕の演出。●難点は、後で絶対何かあるだろうと思っていたジョー・ペシが、何もなかったこと。病院で一瞬登場するのは何だったんだろう? [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-10-01 02:43:38) |
983. 愛しのロクサーヌ
《ネタバレ》 古き良き80'sラブコメ、なはずなんだが、展開に工夫がなく、それぞれのシーンもありきたりなので、さほど印象に残らない。もっと馬鹿馬鹿しく盛り上げてこそ、ダリル・ハンナの美しさとラストの幸福感が強調されたはずです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-09-07 00:11:52) |
984. クリエイター
全然テーマがはっきりしていませんし、登場人物の造形も何とも中途半端です。したがって、キャラクター同士のぶつかり合いも起こっていないので、変化もドラマもありません。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-09-06 00:57:36) |
985. イントゥ・ザ・ワイルド
ありがちなエピソードつぎはぎロード・ムービーを危惧していたのだが、この出来の良さには驚いた。ショーン・ペンという人に監督の才能まであるとは思わなかった。余計な発想一切なし、ただアラスカを目指したいからと、粛々とそれに向けて進む主人公。そのコンセプトで作品全体が確実に統一されているし、陳腐な「自分探し」などとは無縁な潔さに溢れている。主人公と接する人はみんなどこか主人公と同じ匂いがするし(トレイシーだけ浮いている気はするが)、妹のナレーションを挟んでいく構成も効果的。遠・中・近や動・静を使い分けるカメラワーク、静謐ささえ感じさせる音楽もセンスが良い。 [DVD(字幕)] 7点(2017-09-02 00:56:28) |
986. 猿の惑星
《ネタバレ》 いや~、このオチを知らずに見られたというのは、本っ当にラッキーでした。見ている間も、「猿軍団に出会うまでやたら長くて、しかもどうでもいい風景ばかり映してない?まあ、60年代だからね」「猿が普通に英語喋るの?無理矢理でも、猿語か何か作った方がよくなかった?まあ、60年代だからね」などと思っていました。それが全部伏線だったとはね。自分の鈍さに感謝したい。●で、ラストの効果を劇的にしているのは、その前の人形のくだりで「やっぱり人間様は素晴らしい!」と上げておいての二段オチだということ。そして、場所がどうこうだけではなくて、「猿は人間から進化したのだ」という猿たちの主張を、「あ~はいはい、所詮猿が言ってることだからね」と思わせておいて、実はそれが全部真実を指していた、というように、見る側の世界や感情までを全部反転させているということ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-29 01:12:44)(良:1票) |
987. グローリー/明日への行進
《ネタバレ》 単なる平坦な伝記ものになっていたらどうしようと思っていたのですが、時期と対象を絞ることによって、テーマを明確にすることに成功しています。穏健な非暴力運動が中核ではありますが、一方でマスコミのアピール力も活用し、大統領にも直接主張を伝えている。その辺のしたたかさが、成果をなしえることにつながったのだと思います。ただちょっと気になったのは、この時点で公民権法自体が存在しなかったかのような(この作中の行動によって制定されたかのような)描写がありますが、公民権法はすでに存在してて、セルマ大行進などの運動の効果としては、「それを強化する法律」ができたんですよね? [DVD(字幕)] 6点(2017-08-28 02:09:47) |
988. ハッスル&フロウ
《ネタバレ》 導入部は何かいかにも「退廃してるどうしようもない生活を描いてますよ~」という作為的な雰囲気があって今ひとつだったのですが、中盤のレコーディングのシークエンスは素晴らしい。たった1曲のために、金も設備もないチームが、あれこれと克服を重ねていく(その中には、高価なマイクを入手するためのえげつない手段も・・・)のを、延々と時間をかけて描いている。だから、その後の「この曲にすべてをかけた」という台詞に実感がこもってきます。さらに、スキニーとの対面シーンでは、鼻先であしらわれるのを何とかぎりぎりのところで突破していくスリル感。その後のトイレのシーンは、本来ならピークのはずなんだけど、ちょっとその前の伏線が分かりやすすぎかな。あと、ラストはあそこで終わりじゃなくて、もうちょっと引っ張ってほしかった(それか、本人は拘束中なんだけど世間ではあれこれ起こっている、のどっちか)。 [DVD(字幕)] 6点(2017-08-27 01:22:04) |
989. ダンディー少佐
どこまで行っても作品のテーマらしきものが見当たらないのが致命的。なので、いくらシーンを積み重ねても、「そうなりました」というだけで、必然性が何も存在していない。全体がちぐはぐなのです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-08-23 01:18:50) |
990. リリーのすべて
《ネタバレ》 画面の美しさ、色彩の落ち着きといった点は特筆すべきなのですが、それと反比例するかのように、登場人物に葛藤や衝突や逡巡がない。つまり、ドラマになっていないのです。トム・フーパー監督には、「英国王のスピーチ」でも「レ・ミゼラブル」でもその傾向がありましたが、演出に関しては、悪い方に加速してしまった感じです。一方で、それを大きく救っているのが主演2人の頑張りで、監督からは大した方向性の指導がなかったのを、役者自らがシーンの意味を考えて必死で役を作っていったのがよく分かります。ただ、脇役がほとんど物語の上で機能していないので、それにも限界はあったわけですが、それでもこの2人はよく頑張ったと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-08-20 00:18:00) |
991. レイジング・ケイン
《ネタバレ》 サスペンスとしてはまったくどうということもない内容なのだが、中盤では得意の長回しが炸裂したり、アンタッチャブルのセルフ・パロディみたいなシーンもあったりして、そこそこ楽しい。また、ここでのアイディアを後の「スネーク・アイズ」とか「ファム・ファタール」できちんとバージョンアップしているデ・パルマはやはり偉い。 [DVD(字幕)] 6点(2017-08-15 23:39:26) |
992. ターザン(1999)
フィルコリの、テーマ曲よりずっと格好良い"Two Worlds"に乗せて冒頭を一気に展開したところで、物語としては終わっていました。一番困るのは、ターザンがジャングル生活で何を得ていたのか、それが何一つ表現されていないということです。木々の間をあれこれ敏捷に動いているのは、作画で遊んでいるだけであって、人物表現とは言わないですよ。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2017-08-11 02:09:29) |
993. プリンス・オブ・エジプト
声優陣があまりに豪華なのにびっくりしたが、演技力が全然発揮されていないのにはもっとびっくりした。やはり、声優と俳優って、全然違うんですね。今さらのことなんですけど、それを改めてこれほど実感できる作品も珍しい。 [DVD(字幕)] 3点(2017-08-10 01:04:04) |
994. 誘う女(1995・米)
不愉快な人物の不愉快なだけの人生(主人公だけではない)を延々と見せつけられるだけの作品。このような内容をわざわざ映画化することに、何の意味があるんだろう・・・。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2017-08-08 00:16:45) |
995. ザ・マペッツ
《ネタバレ》 まさに設定から予想される展開そのまんま。しかも、ウォルターとの友情譚がスタートだったはずなのに、途中からウォルターはどこかに行っちゃってるし、何よりも各マペットの個性がほとんどゼロで、ワーワー騒いでるだけに見えるのは痛い。仲間が集まることによる連帯の力というものがいいたいんでしょうけど、それが台詞で言われているだけであって、実体を伴っていないのです。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2017-08-06 23:35:18) |
996. アナと雪の女王
《ネタバレ》 姉妹間の確執を描いた映画ってあまりありませんから、その角度では貴重な作品かもしれません。ところで、私にとっては、何も知らずに無邪気に一直線に進むだけのアナは割とどうでもよくて、それよりも、膨大な抑圧を強靱な理性で支えることを強要されながら育ち、しかも両親の急逝によって盛大な梯子外され状態になってしまったエルサが、何とも不憫で、痛ましくて。最後はもちろん、穏やかで、笑顔で、人々にも受け容れられるのですが、「そんなにあっさり解決しちゃっていいのか?エルサよ、あなたの本当の敵は、何事もなかったかのようにすべてを丸め込もうとする、この映画の制作者そのものなのではないか?」と訳の分からない煽りをしたくなるところでした。また、その意味では、両親には両親の葛藤があったはずで、その辺を超スピードですっ飛ばしている導入部については、もう少し丁寧にできなかったのかと、不満が残ります。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-08-05 23:59:32)(良:3票) |
997. サウンド・オブ・サイレンス(2001)
「精神科医が患者からキーとなる秘密を聞き出す」なんて、誰もがいろんなことを期待する設定だと思うが、結局はそのへんのサスペンス・アクションと何も変わるところがない。そもそも、本題に入るまでが長すぎです。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-08-01 01:28:47) |
998. イーグル・アイ
《ネタバレ》 後から考えれば突っ込みどころは満載なのですが、敵の正体には素直に驚きましたし、SDカードの手がかりからのくだりもなかなかでしたし、見ているときは一直線に楽しみました。ただ、ラストが物理的破壊というのは作品のオチとして不十分ですし、ロック解除のために主人公が狙われたんだったら、何とかしてもう一度ロックするとか、何かこう、この敵ならではのやっつけ方というのが欲しいところでした(それを考えると、そのもう一次元上を行くオチを、制作者としてのメッセージを込めてまで提供した「ウォー・ゲーム」は凄い)。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-07-31 02:10:51)(良:1票) |
999. 王になろうとした男
白人以外は人間と思っていないアングロサクソンの自大思想が全開の作品。登場人物がそうなのは別にいいのですけど、この作品は制作のベース自体がそこに行ってしまっているので、何をやってもフォローになっていないのです。見所は、軽薄でアホっぽいマイケル・ケインが見られるのが貴重、という点のみ。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2017-07-31 02:08:49) |
1000. マネー・ショート 華麗なる大逆転
何か、「グッドフェローズ」とか「カジノ」の金融版みたいだなあ、と思いながら見ていました。一つ一つのシーンや台詞に必然性がないので、いくらもっともらしいやりとりがしつこいくらい積み重ねられても、後に残るものがないのです。ナレーションもどきも邪魔だし・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2017-07-29 01:56:18) |