101. ギルバート・グレイプ
《ネタバレ》 少し前にある御方から「ギルバート見てないのってモグリだよ」なんて言われてしまったのでさり気な~く見てみる事にしました(笑)さすがにアクションやアドベンチャー等といった娯楽映画ではないため見方によってはかなり退屈な映画なんですが、それでも人間ドラマだけで2時間も人を惹きつける手法は本当に素晴らしいです。養う家族がいるために今まで自分を殺してきた主人公がある女性と出会うことで自分の在り方を考える、そしてそれが原因で家族はすれ違いの毎日、やっとの思いで分かり合えたと思ったら、重荷でもありながら最愛の人との死別…しかしそれらは決して物悲しいものではなく、全編を織り成す柔らかな旋律や雄大な自然、感傷的な情景などが重なり合ってとても暖かで、また爽やかなものになっています。普段はあまり好きではない ディカプリオも今回は好感が持てました。 8点(2004-04-21 18:54:33) |
102. ローマの休日
皆さんの言うとおり、へプバーンはショートよりロング・ヘアーの方が似合ってますね(笑)決して実る事のない、身分違いな恋だけれども、湿っぽくなる事がなく、むしろ、階段のシーンや真実の口等の笑いの要素を組み入れながら正当な恋愛ストーリーに昇華させているところが凄い。使い古されたネタ?いやいやこれがオリジナルというものでしょう。 8点(2004-04-21 18:42:24) |
103. 80日間世界一周
《ネタバレ》 優雅で上品な英国紳士のほんの戯言。「80日あれば世界一周が出来る」「いや出来ないね!」「出来るね!」「じゃあお前行って来いよ」「んじゃあちょっくら行ってくるわ」とあっさり旅に出てしまうところに妙な憧れを感じます。男のロマンってやつですかね(笑)気球に乗ってアルプス上空を優雅に飛ぶ場面(ここでかかるテーマ曲がまた優雅だこと)、闘牛をやったり、お姫様を助けたり、曲芸をやったりガンマンになったりとその後も見せ場のオンパレード。特に「神聖な牛に何するんじゃボケィ!」と群衆に追っかけられるパスパルトゥは見ていてとても面白いです。そして旅の最後、もう駄目だッと思ったら思わぬところに活路が!特に最後の「旅の終り」「賭けの終り」「大英帝国の終り」「映画の終り」を全てひっくるめた「これで、おしまいだ」という台詞がなんと皮肉の効いてる台詞だろう!冒険映画の傑作ですな。 8点(2004-04-16 20:45:12)(良:2票) |
104. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
物語前半までは群衆劇のごとき演出で主人公となる一人一人の描写をし、津波によって船が転覆、天地がさかさまになるというダイナミックな映像からは「いかに脱出をするか」という脱出劇に切り替わるこの手法が上手い。タイタニックに影響を与えた映画だそうだが、こういっては悪いと思うが比べる事自体が間違ってる。パニックそしてヒューマンドラマ両要素をバランスよく盛り込んだ傑作。 8点(2004-04-16 20:31:00) |
105. クール・ランニング
《ネタバレ》 一度も雪を見たことないジャマイカ人がいきなりボブスレーっていうのは物凄いことなんですけど、それが人々に教えてくれた事ってのは「やる事の意義」ではないでしょうか。国民の気体を一一身に背負い、最後まで自分たちを捨てなかった彼らには非常に共感できる。それにゴールする事ではなく完走する事、参加する事に意義があるというラストも一般的なサクセスストーリーなんかよりも遥かに良い。 8点(2004-04-16 19:13:24) |
106. プリティ・リーグ
野球映画といえば一般的には【メジャー・リーグ】だと思いますが、ぶっちゃけこちらのほうが遥かに面白かったです。様々なマイノリティを持ちながら「誰よりも野球が好き」という理由で選ばれた女性たちが自分たちのプライドを賭け全力でぶつかる、その姿を時には可笑しくまた時には感傷的に描いていてとても楽しいし、“いつも姉の陰に隠れている妹が立派に羽ばたいていく”というある種のサクセス・ストーリーとしても充分に面白かったです。それにしても、戦争の真っ最中だってのに物凄く平和ですねぇこの方達は(笑) 8点(2004-04-16 18:47:09) |
107. エボリューション
この作品のTVスポットを見たときは、まさか【X-ファイル】で堅物のFBI捜査官を演じたドゥカヴニーがコメディに出るとは!と思ってしまいました。それから暫くは彼のイメージもあっていささか遠ざけてた、というより存在を忘れたんですけど、この前思い出してやっと見てみました。前半は「お!ちゃんとX-ファイルやってるね!」と思ってましたけど、後半になるにつれてどんどんコメディ色が強くなっていき、そんな感じは見事に吹っ飛んでいきました。いやぁでも面白い。4人の個性的なキャラクターはどれも魅力たっぷりでテンポも良く最後まで飽きさせない。確かにエイリアンは少々グロいけど、尺度も丁度良く、個人的にはアメリカ賛美映画だったインデペンデンス・デイよりも楽しめました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2004-04-04 21:50:28) |
108. フレディVSジェイソン
《ネタバレ》 元々この企画ってのは結構前からあって、確か13金の9作目である【~ジェイソンの命日】の後には大まかな事は決まってたと思いましたけど、やはりどちらかが生き残るかとかって言う事や権利の問題などでここまで遅くなってしまったんでしょう。ホラー界の2台巨頭であるジェイソンとフレディが真っ向から衝突するってのはシリーズのファンはおろかホラーファンにはやっぱたまらないものがありますね。他のホラー界幹部(マイケル・マイヤーズ、チャッキー、レザー・フェイス)と比べてぶっ殺してる人数が段違いな二人ですから、当然ストーリー序盤から人がボンボコボンボコ死んでいきます。後半のバトルるなんか腕が飛んだり目を突き刺したし殴るは蹴るはぶん投げるはでもう完全なスプラッタ・コメディ。大体フレディが「俺の事皆忘れちまったんだよぉ~」なんて犠牲者に愚痴をこぼすって時点でもう完全なコメディですよ。普段なら「ホラーにロックはいらない」な俺なんですが、これに限ってはホラーではなく完全なコメディなので全然気にならなかった、というより現実世界でフレディとジェイソンが“炎のリング”(勝手に銘銘)で対局する時の極限にまで歪ませたギターの音がたまらなくカッコいいんですわ!シリーズのファンもそうでない人も、グロが平気ならぜひとも一度見てみてくださいな。蛇足…やっぱりジェイソンはケイン・ホッダーの方が良かったかな。 8点(2004-04-03 16:38:59)(良:2票) |
109. ミート・ザ・ペアレンツ
《ネタバレ》 テレビスポットの、嘘発見器の尋問シーンが物凄いインパクトがあったので、ああいう感じで物語が進んでいくのかなと思ってたら、案外普通に(と言っても普通って程普通でもないが笑)進んでいった。しかしそこが良かった。あくまで主人公は恋人の親父に好かれようと悪戦苦闘するがそれがことごとく裏目に出てしまうところが物凄く面白い。結末も、普通にハッピーエンドで終わると思ったら、それだけで終りにさせなかったところがまた良い(笑)せっかく信頼の輪(サークル)を築き上げたのにあの後あんなこと言ってあぁぁぁ!それにそれを見てた親父の表情が徐々に変わってくのも面白い!この後また一波乱ありそうだぜ(笑) 8点(2004-03-30 14:40:52) |
110. チャップリンの独裁者
一見喜劇映画ながら実はナチス統治下の社会を強烈に風刺してるってのが凄いです。特にラストの(映画史に名を残すといっても過言ではない)名演説シーン。これがもし今だったら、と考えると、ただ奇麗事を並べてるだけに思えますが。この時代(1940年)というように考えると、これは映画という枠を超えチャップリンが心の丈をぶつけた全身全霊の言葉だということは想像に難くないでしょう。今も尚衰える事を知らぬ、底知れぬパワーをもった作品です。 8点(2004-03-20 20:47:15) |
111. ミクロの決死圏
典型的なSFって感じですね。縮小技術やレーザー光線の実用化などの科学技術は目覚しいほどに進歩しているのに対し、医療技術が対して変わっていないってのがなんだか可笑しいですが、それすら気にならないほどにこの作品はすばらしいです。映像は確かに時代を感じさせるものだし、特撮もCG合成全盛期である今の人々から見れば物凄くショボイというのは確かなんですが、しかしながらCGに引けを取らないほどの神秘的な情景を見事に映像化していますし、僕は脚本(ストーリー)第一で映像技術は二の次三の次なので、全然気になりませんでした(むしろよくここまでという感じです)ミクロの世界で起こる様々なトラブルやサスペンス要素が上手く絡み合って、今見ても充分見ごたえのある映画になっています。毛細血管や肺胞、毛様体などの言葉が出てくるため、なんだか生物の授業を受けてるみたいですけどね(笑)それにしても、人間の体というのは劇中でも言っているように物凄く神秘的な存在ですね。まさに外宇宙に対する内宇宙といったところですね。 8点(2004-03-13 03:36:11)(良:1票) |
112. ウエスト・サイド物語(1961)
《ネタバレ》 いや、随分変わったミュージカルですね。現代版ロミオとジュリエットと呼ばれているらしいですけど、まさに看板に偽りなしです。ミュージカルながら人物の描写はきっちりと(ミュージカルだから荒いというわけではないが)されていますし、救われない最後も印象的です。確かに最後は幸せになって欲しいという感じはありますがこれはこれで良いと思います。それにしても、やっぱりミュージカルってのは大変そうですね。普通の演技をするだけならまだしもああいう激しいダンスなどもやらなければならないんですから。そう云う面でも、役者たちの頑張りには本当に脱帽します。 8点(2004-03-11 02:40:34) |
113. この森で、天使はバスを降りた
タイトルと話が矛盾している気が…と思いました。が、それ以上に話が重いです。決して消せない過去を持ちながらそれでも必死に生きていこうとするパーシーやハナ、以前にどんな罪を犯していようとそれを全て受け止め、ひたすらに彼女を信じようとするシェルビー、それと対象に過去にこだわり、ひたすらパーシーを犯罪者にしようとするネイハム、そして好奇の目をそ注ぐ町の住人が、人間の愚かな部分を象徴していると思います。彼女が死んで初めて本当の彼女を知るということは本当に愚かですね。決して救われない最後ですが、それでも見終わった跡、何処となく清々しい気分になれますし、ギリアドの雄大な大自然や穏やかな旋律がとても印象に残る良い作品だと思います。 8点(2004-03-11 02:33:34) |
114. ボーイズ・ドント・クライ
同性愛をテーマに据えた映画、といった言葉で切り捨ててしまえばそれでお終いですけど、ことはそう単純なものではないですね。実際、性同一性障害に悩む人も結構いると思いますし。確かに周りの目から見れば異常かもしれないけど、本人であるブランドンからすれば彼女(彼)はれっきとした男であり、そういった障害をもちながらそれらを全て受け止めて彼女(彼)を愛したラナのような大らかな心で接する事が大切なんじゃないんでしょうか?周囲とは異質の存在だからといって“化け物”の一言で切り捨てるのはあまりにも不条理だと思いますけどね。日一つだけ確かな事は、この物語の中で異常なのは明らかにブランドンではなく、ジョンとトムの2人の方ですね。 8点(2004-03-10 15:24:29) |
115. ブギーナイツ
登場人物がそれぞれ夢を持っていることが素晴らしい。ポルノ映画ながらただサービス精神満点の作品ではなく、映画として一つの“作品”を作りたいと思ってるジャックや自分の取り柄をいかしてスターになるというダーク等の擬似家族の形成、崩壊、再生そしてそれぞれの道に歩んでいくというストーリーはベタながら非常に見ごたえがある。やはりポール・トーマス・アンダーソンとは只者ではなかったんだなぁと思った。 8点(2004-03-06 19:37:02) |
116. ライアー ライアー
相変わらずなジム・キャリー。意志とは無関係に口が動いてしまうところで、必死にそれを押さえようとして右往左往する時の仕草がとてつもなく可笑しい。特に自分の手(に持ったペン)と格闘しているシーンなんかは【死霊のはらわたⅡ】のアッシュを思い出してしまいました。いや、しかしこの人って本当にブルース・キャンベルにクリソツですな~。 8点(2004-02-15 20:24:08) |
117. わが谷は緑なりき
恥ずかしながら未だに僕はフォード監督の作品は【駅馬車】しか見たことがないんですが、それでも彼の才能の素晴らしさを垣間見るには充分だったと思ってます。何しろ普通の娯楽作品ながらあれにはちゃんとした人間ドラマが丁寧に描かれているし、映画というものを心得ている人なんだなと思いました。そして今回は【わが谷は緑なりき】前者と違い、なまじっけな娯楽作品ではないけれど、笑うシーンや愉快なシーンなどがありこれもまた娯楽映画とは違った面白さがあります。これを見て思った事は、幸せってなんだろう?お金じゃなくて、ひもじいながら楽しく生活する事なんだと思います。それが前半の、頑固親父や肝っ玉母ちゃんのいる家庭の描写、そして後半の不本意な結婚をしたアンハードの描写等でよくわかります。どんなに辛く苦しい事があっても美しい思い出はいつも心の中にある。私のの谷は…緑だった! 8点(2004-02-12 19:25:51) |
118. ウェディング・プランナー
所詮僕はただのボンクラなので充分楽しませてもらいましたよ~。特に石像のシーン(笑)それにしても、マッシモは良い奴だ!! 8点(2004-02-02 00:10:34)(笑:1票) |
119. 風と共に去りぬ
この映画から受けた初めての印象はやはり【不朽の名作】そして【やたら長い】というものでした。まあ、小さい頃見た時と違って今では4時間超の映画も普通に見ているので見返してみても特に長すぎとは思いませんでしたけど、映画史に燦然と輝く傑作という印象は今でも変わっておりません。恋愛叙事詩というのはその主人公にどれだけ感情移入できるかが主な評価対象だと思いますし、その点に関してははっきり言っていつまでも昔の男に揺れ動いている優柔不断なスカーレットにはとてもじゃないが感情移入できなかった。が、南北戦争前夜から戦争終結後までの人間の内面の移り変わりを丁寧に描いている作品であるし、3時間52分という時間すら忘れてしまうほどの濃厚で見事なストーリー展開は充分評価に値する作品だと思う。 8点(2004-01-26 01:37:16) |
120. ヘルハザード/禁断の黙示録
《ネタバレ》 邦題でかなり(というか物凄く)損をしている映画です。 原作はラヴクラフト「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」。ラヴクラフトの作品の中でも最高峰と目される作品の一つです。 ラヴクラフト原作の映画化は駄作というのが常ですが(代表選手がダンウィッチの怪など)、これは舞台こそ現代に移し、多少の脚色はなされていますが、割と原作に忠実に描かれています。 しかし、最も注目すべきは一つのホラーとしてしっかりと作られているということです。 ある謎が浮上して、その謎を解明するにあたって身の毛もよだつ真実に行き当たる、とう定番のストーリーですが、序盤から落ち着いた描写で丁寧に話が進んで行きますので、安心して見ることが出来ます。 また、血や肉が散乱した場面や実験の失敗作等醜悪な怪物は出てきますが、直接的な描写はないので、この作品のもつゴシックホラーの雰囲気と上手く溶け合っています。 とくに、終盤近くの地下洞窟の描写は雰囲気が出ていて良いと思います。 映画化されたラヴクラフトの作品の中では(原作の良さを伝えていると云う点で)大変よく出来た作品だと思いますし、一つのゴシックホラーとしてもかなり上位に位置する作品だと思います。 [ビデオ(字幕)] 8点(2004-01-23 14:29:29) |