1. フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白
マクナマラが太平洋戦争当時、あの東京大空襲を指揮したルメイの直属の部下だった事は初めて知った。「さもありなん。あの上司にしてこの部下あり」正直そう思った。マクナマラはルメイのことを「非常に好戦的」だったと評している。が、日本人を“黄色い猿”程度にしか思わず、一晩で10万人を殺しても平気だったルメイと、ベトナム人の死者を戦争の経営状況を判断する為の“数字データ”としか見なかったマクナマラは、その植民地主義的、西欧帝国主義的な冷酷さに於いて“同じ穴の狢”としか思えない。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-22 18:50:40) |
2. ロスト・イン・トランスレーション
悲しくなるほど薄っぺらい映画だ。ソフィア・コッポラは現代人にありがちな、過剰な自意識に振り回される、空虚で平凡な人間の代表のような人だ。もっとも、彼女が自分の平凡さを自覚してしまったら、失望のあまり死にたくなるかもしれない。だから彼女に言ってあげたい。「無理に特別になろうとしなくていいんだよ、平凡さが君の個性なんだから。でも残念ながらクリエイター向きじゃない。困っている人を助けるような仕事をしてみたらどうかな?」 [DVD(字幕)] 1点(2007-12-04 00:53:33)(良:2票) |
3. ブラッド・イン ブラッド・アウト
「ゴッドファーザー」や「スカーフェイス」が最高のギャング映画だと思ってる方、これを見てください。まだまだ埋もれた傑作があるもんだなぁってビックリすると思いますよ。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-06-22 06:37:47) |
4. ブラッド・ダイヤモンド
これは素晴らしい映画だよ。ズウィック監督はハリウッドの商業的制約の中で、真実を描くことを完全に貫いたと感じた。キスシーンすら無いこの映画のロマンス部分ですら余計だと感じるなら、ドキュメンタリーを観ればいいだけのこと。これは映画なんだし、これほどの社会派映画は最近観たことがない。我々平和にどっぷり浸かった日本人は、このすさまじいまでの西アフリカの現実を目の当たりにし、どう反応すべきなんだろう?映画のラストで語られる「キンバリー・プロセス」以降、紛争ダイヤが世界市場に占める割合は0.1%まで下がったとダイヤモンド業界は主張するが、抜け道はいくらでもあり、例え0.1%だとしてもそれが貧困にあえぐアフリカの庶民を殺し合いに向かわせるには十分な量だと認識しなくてはならない。はたして自分の虚栄心を満たすために、あえてそのような危険を冒してダイヤを買うべきだろうか?化学的には本物と全く変わらない人造ダイヤを嫌うのはデビアス社(ヴァン・デ・カープのモデルだろう)の宣伝にのせられてるだけじゃないのか?先進国の消費者は結論はどうあれ、一度真剣に考えてみるべきだ。観客にこれほど問題意識を植え付けられたのだから、この映画は成功したんだろう。 [映画館(字幕)] 8点(2007-04-20 16:56:25)(良:3票) |
5. ダ・ヴィンチ・コード
《ネタバレ》 つ、つまんねー。これは映画じゃないよ。原作小説を紹介するための金のかかった“特番”ってレベル。もっと原作を咀嚼して大胆にストーリーを変えるべきだったね。案の定、ハンクスは魅力に欠けるし、トトゥもソフィーには合ってなかった。ついでに言えば監督もロン・ハワードみたいな安全牌じゃなくて、もっとシリアスなタイプにすべきだったね。ベストセラーが原作なんだから、スターを揃える必要なんて無かったし、その金を脚本家に回すべきだった。これはソニー・ピクチャーズのお偉方の失敗だね。金に目がくらんで創造性を忘れたら、こんなモンが出来てもしょうがないね。 [映画館(字幕)] 0点(2006-06-01 10:53:42) |
6. アメリカン・ビューティー
ちょっと真剣に考えてみよう。マスターベーションと本当のセックス、一体どちらがより幸福だろうか?自己の内面世界を完全に満足させる可能性があるのは前者かも知れない、しかし他者と共有した経験というのは、それだけでかなり美しいことなのだ。レスターの死に顔、キャサリンの喪失感はその事実に改めて気付いたことの証のような気がする。 [DVD(字幕)] 8点(2006-04-10 14:34:30)(良:1票) |
7. ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月
つ、つまらん!!!廉価版DVDを買ったけど、ソッコー売り飛ばす。ちなみに前作は大好きですよ。それだけに、この監督の作品への愛情と理解の無さにガックリ&ビックリ。何で前作がウケたのかはきちがえている気がするし、観客をバカにしすぎ。あとタイトルは“はちきれそうなわたしの12ヶ月”にするべきだったね。 [DVD(字幕)] 2点(2006-04-09 17:55:53)(笑:1票) |
8. キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
オープニングが秀逸。 [地上波(字幕)] 6点(2005-12-30 18:35:31) |
9. スターゲイト
竜頭蛇尾とはまさにこのこと。ことわざを一つ自分のモノにするにはオススメの映画。 [映画館(字幕)] 3点(2005-12-30 18:27:41) |
10. 友よ、風に抱かれて
ベトナム戦争をアメリカ側のみの視点で、しかもかなり限られたコミュニティを通して表現した小品。当時を経験した米国人にはグッとくる所もあるかも知れないが、それ以外の人にはあまり訴えてくる物は無いように思った。つまらない、というほどでもないが面白くは無い。ベトナム戦争映画好きにはフィッシュバーンの出演や、プラトーンと共通するセリフ、フルメタル・ジャケットとの比較など多少は見るべき物もある。 [地上波(字幕)] 3点(2005-12-30 18:20:48) |
11. ワンス・アンド・フォーエバー
ベトナム戦争を『プライベート・ライアン』のスタイルで撮っただけの“二匹目のどじょう”狙いの駄作。申し訳程度にベトナム側の描写を入れてはいるが、結局はベトナム戦争をポジティブに再評価したいというアメリカ人の潜在的願望がそこかしこに出てしまっている不純な映画。そもそもイアドラン渓谷の戦いはベトナム戦争の中で例外的な大部隊が衝突した戦闘であり、その意味では第二次世界大戦映画のような“ヒロイズム”表現するには格好の題材といえる。しかしそれ故にベトナム戦争の独特な歴史的意味合いを全く無視した、ただの古典的戦争映画になってしまっている。というよりもこれが制作者側の狙いなのだろう。勿論その目論見は映画のクオリティ同様失敗している。 [地上波(吹替)] 0点(2005-10-04 19:08:41) |
12. ディアボロス/悪魔の扉
アル・パチーノを本物の悪魔にするよりも、限りなく悪魔的な人間にしといて、フツーの法廷物で通したほうが面白かったかも。いろいろ細かい破綻はあるが、パチーノのゴリ押し演技と女優二人の裸に誤魔化された気がする。 [地上波(字幕)] 5点(2005-07-26 19:04:27) |
13. フルメタル・ジャケット
キューブリックの意図はどうあれ、曲がりなりにも“ベトナム戦争”を題材に取ったなら、そこに表現上のリアリティが無ければ、テーマも真実味を持ち得ないんじゃないだろうか。そう思うくらいこの“戦場”は“ベトナム”に見えないし、いかにも作り物くさい。ダナンの海兵隊基地はどうにもちゃちだし、フエ市街の建物も妙に天井が高かったりしてヨーロッパの戦場のようだ。おまけに“ベトナム戦争”の主役であるヘリコプターも一種類しか登場せず、しかもあまり見ないタイプのものだ。予算をケチったとしか思えない。また戦闘シーンもかなりユルい。テト攻勢の際のベトコンの倒れ方も、最後の戦闘で米兵が被弾した際の血糊も嘘くさい。“神は細部に宿る”と言うが、この時期のキューブリクには既に神を呼ぶ祭司としての力を失っていたようだ。 [DVD(字幕)] 4点(2005-07-26 18:44:28) |
14. タクシードライバー(1976)
デ・ニーロのこぼれるような笑顔に尽きる。こんな無垢で愛らしい、まるで天使のような、それでいて底なしの寂しさと虚無を抱えた笑顔があるだろうか?果たしてこれは演技なんだろうか?演技だということを忘れさせてくれるのが良い役者だとするなら、デ・ニーロは間違いなく名優だ。そして『タクシー・ドライバー』は彼の代表作だ。それが僕のこの映画に対する評価の全てかも知れない。 [映画館(字幕)] 8点(2005-04-26 18:19:29) |
15. エターナル・サンシャイン
《ネタバレ》 破局を迎えたジョエルとクレメンタインは話し合った結果、二人でラクーナ社の記憶消去手術を受けることに合意した。しかしそれは以前からクレメンタインを狙っていたラクーナ社の社員で友人のパトリックの策略でもあった。並んだベッドで記憶消去される二人だが、ジョエルは彼女との記憶を遡る過程で破局の原因がすれ違いによる誤解であることに気づき、仲直りの方策を思いつく。しかし手術は止まらず、隣の彼女にも伝えられない。ジョエルは激しく後悔し、記憶の中の彼女と共に“誤解を解く鍵”と“ラクーナ社に残したテープへ辿り着く鍵”を他の記憶の中に巧妙に隠すことにする。手術後全くの他人になって日常生活を送る二人だが、ジョエルはあるときふと記憶の中に隠された鍵の存在に気づき、ラクーナ社のテープへと辿り着く。盗んだテープで事実を知ったジョエルはクレメンタインを探すが、なんと彼女はジョエルの記憶を盗んだパトリックと幸せに暮らしていた。クレメンタインは記憶を完全に失っているので、しかたなくジョエルは挽回する機会が来るまでラクーナ社で働くことにする。記憶を消したと思って安心しているパトリックはジョエルを同僚として迎え入れる。その内彼女とパトリックは以前のジョエルたちのようにすれ違いはじめ、結局は彼等二人もまた記憶消去を受ける。施術したジョエルはパトリックの記憶図から間接的に過去の自分のクレメンタインとの歴史を知り、記憶の中に隠していた仲直りの鍵の使い方を思い出す。そしてジョエルはクレメンタインの前に再び他人として姿を現す。当然のように惹かれ合う二人は以前と同じように付き合うようになり、同じようにケンカもしてしまう。またしても二人の仲は破局しそうになるが、思い出した“鍵”のおかげで乗り越える。そして二人の関係はようやく晴れて新しい局面へと進む。 ・・・と、こういう感じの脚本だったらカタルシスが増して万人受けするんじゃないかな~って思うんだけど、余計なお世話?でも映像表現がとても素敵なのにストーリーやテーマの掘り下げが不十分だったのが実に惜しい!なのでつい自分で改訂版のストーリーを考えてしまいました(笑) [映画館(字幕)] 7点(2005-03-31 12:16:13) |
16. ゼロ・エフェクト
不思議な映画だ。始まり方やキャスティングなどを見るとコメディかと思わせるが、実はサスペンスのシリアス感の方が全体を覆っている。これが味なのか?いや多分中途半端なだけだろう。しかし何故かその中途半端加減も悪くない。キャラが立っているのも捨てがたい。映画館で観たいとは思わないが、TVでシリーズ化してもらいたい作品だ。犯人役の女優が綺麗だ。 5点(2005-03-21 03:57:22) |
17. グッドフェローズ
少しでも犯罪者心理を知る者なら、殺伐とした世界に生きる犯罪者が本当に求めるのは“ロマン”や“男気”ではなく“ユーモア”だと言うことが解るはずだ。そういう意味ではロマンチシズムに傾きすぎた『ゴッドファーザー』よりも、この『グッドフェローズ』のユーモアに満ちた淡々とした描写の方がリアルなギャングの姿だと言えるだろう。そもそもギャングとは「自分以外を信用しない」連中であり、そんな連中がやれ「兄弟愛」だの「仁義」だのと言うのは、単に自分が身を置く世界の緊張感に耐えられないから生み出す“虚構”に過ぎない。彼等はそんな自分たちの不幸を直視しようとはしないし、“幻想”だと解らずに“ギャングの美学”に陶酔してしまう愚か者さえいる。だが結局彼等の大半が行き着くのはこの映画でも描かれるように、かつて自分が軽蔑していた“普通の生活”よりも悲惨な場所なのだ。レイ・リオッタ演じる主人公が麻薬に溺れてにっちもさっちも行かなくなる姿はユーモラスで素晴らしくリアルな犯罪者の実像だ。 [映画館(字幕)] 9点(2005-03-11 16:05:11)(良:1票) |
18. カラーズ/天使の消えた街
今観るとかなり安っぽい感じがするが、当時は結構新鮮だった。西海岸ギャングものが流行る前だったから、そのへんの社会状況の描写がまず興味深かった。黒人とヒスパニックと白人の関係や、刑務所とシャバとの繋がり、警察の捜査方法などデティールが割としっかりしており、その辺に興味がある人にはなかなかの佳作だと思う。また主演の二人もそれぞれハマリ役で、特にショーン・ペンはこれが一番輝いてると思う。彼ほどバカっぽい白人警官が似合う俳優はいない気もする。この作品が気に入ったら「ブラッド・イン、ブラッド・アウト」や「ボーイズ’ン・ザ・フッド」もオススメ。 8点(2005-02-20 02:32:57) |
19. コンタクト
昔のSFにはこういう上品さがあったよな・・。斬新で驚異的な想像力と純粋な知的好奇心にあふれたこの映画は、スター・ウォーズ以降に失われてしまった「真のSF映画」を思い出させてくれた。SFは絵空事や子供のための娯楽でなく、大人の血をたぎらせる壮大な夢だったよね。 [映画館(字幕)] 8点(2005-01-29 03:59:13)(良:2票) |
20. ミスティック・リバー
最初、観終わった後「あれ?何か大事な伏線を見落としたかな?」とまず思った。その位このラスト・シーンは映画の約束事(観客に何らかの結末、結論、ある種の満足感を与えること)を破っているからだ。自分が見落としただけで、本当はジミーの妻がケイティー殺しの真犯人なのでは?と思ったくらいだ。しかしその視点で再度見直しても、そうではないようだ。通報電話の不自然さを見逃していたショーンにデイヴへの殺意があったと思える描写も無い。とするとこの不可解なラスト・シーンで監督は一体何が言いたかったのだろうか。唯一考えられるのは、現実の世界はこの様に不条理がまかり通り、繊細で弱い者はどこまでも被害者であり続け、冷酷で、自己保身に長けた者が真実を忘却の彼方に追いやるのもまた彼等の弱さなのだ、という全く映画的でない「現実」を表現したかったということだろうか。しかしいくら屁理屈をこねたところで、1800円と引き替えに誰もが薄々知っているこの世の不条理を観客に見せつけただけのイーストウッドを支持することなど到底出来ない。この映画を観た後に一体どういった種類の感動や、感慨を得ろというのだろうか。ハッキリ言って私はこの映画は名優の演技力でコーティングされたタチの悪いクズ映画だと思う。 0点(2004-11-22 00:40:34)(良:4票) |