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プロフィール
コメント数 230
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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1.  ミッション:インポッシブル/フォールアウト 《ネタバレ》 
2時間半の超大作で、シリーズの中でいちばん面白かったかもしれない。雷雲へ飛び込むスカイダイビングも、トイレのカンフーアクションも、バイク&トラックのカーチェイスも、パリの屋根伝いの疾走も、カシミール山岳地帯でのトップガンみたいなヘリ空中戦も凄かったです。 ただ、いかんせん内容が複雑で分かりにくい。IMFとCIAとMI6とアポストルとホワイトウィドウと東欧マフィアとが絡み合う六つ巴戦ですが、とくに英国MI6の関与が不可視なために、後から考えてみてもホワイトウィドウの取引の背景やイルサの行動に謎が残ります。 ジョン・ラークを暗殺しようとした組織は何だったのか?なぜホワイトウィドウはイルサの身柄を要求したのか?なぜ取引場所はパリからロンドンへ移ったのか?…そこらへんは自分のブログでも考察してみますが、辻褄は合ってる気がするものの、あまりに分かりにくいのは減点要素。そして、いちばん落ち度があるのはCIAだと思いますが、CIAの責任が問われないまま終わるのも腑に落ちない。
[地上波(字幕)] 8点(2025-06-02 11:49:16)《新規》
2.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》 
いままで見たシリーズ作品のなかで、物語はいちばん面白かったです。アクションの面白さじゃなく、物語としての面白さがありました。 米ソのような国家対立の話ではありません。米英の同盟関係から生まれたテロリストとの対立であり、最大の同盟国が諸悪の根源だった…という話。自国の軍隊が敵を育ててしまうように、自国の情報機関が敵を育ててしまうのですね。最大の敵が内側にいるところにリアリティがあり、誰が敵なのか分からない恐怖もある。国家の殺人に憎悪を抱くテロリストの動機にも説得力があります。 主役はイルサ・ファウストとソロモン・レーンの2人であって、イーサンはほぼ脇役です。アクション映画としてなら、イーサンの強さを見せれば事足りるだろうけど、物語としてはイーサンが強いだけじゃ面白くない。その意味でイルサ・ファウストとソロモン・レーンはとても魅力的でした。イルサ役のレベッカ・ファーガソンは、過去のヒロインと比べても存在感が群を抜いてますね。往年のロミー・シュナイダーのような知性的な雰囲気を漂わせながら、それでいてセクシーでもあり、切れのあるアクションもこなすのだから凄い。 最後はCIA長官がIMF長官に転任する結末でしたが、あんな間抜けな奴が長官で大丈夫?ってのはツッコミどころ。それから、冒頭のシーンで飛行機にしがみつくのはともかく、さすがに羽根に飛び乗るのは高さ的にも速度的にもありえなさすぎる。なお、シンジケートのメンバーはなぜスウェーデン語で話してたのか、何かしら前作との関わりがあるのかどうか、ネットで調べてみても分かりませんでした。
[地上波(字幕)] 8点(2025-05-24 22:40:15)《更新》
3.  ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 《ネタバレ》 
米ロの見かけの対立の原因はスウェーデン人テロリストだった…という話。イーサンたちは4人のチームですが、スウェーデン人側はたった2人で動いてる。実際のスウェーデンにも情報機関や特殊部隊があるらしいので、それをモデルにしてるのかも。それと同時に、このテロリストのモデルは、アルフレッド・ノーベルとヤン・ギィユー(あるいはカール・ハミルトン)の掛け合わせかもしれません。最後の対決は、もっとインドらしい場所でやればいいのに…と思うけど、インドは自動車の渋滞問題が深刻とのことで、実際にあのようなオートメーションの巨大立体駐車場が実在するのかもね。 ブダペスト〜モスクワ〜ドバイ〜ムンバイと舞台を変えながらスリリングな展開が続くのは面白いですが、相変わらず不可解なことも多い。妻は殺されてないのに遺体の一部が発見されたのは、またしても替え玉の女性が殺されたから? そして、報復の必要もないのにセルビア人を殺したのは、IMFの指示でロシアの刑務所に侵入し、ボクダンを脱獄させるためとしか思えない(Wikipediaの英語版にもそう解説されてる)けど、脱獄協力チームがその真のミッションを理解してないのも不可解。テロリストとイーサンとIMF長官が同日にクレムリンに結集するのも偶然すぎるので、これもIMFの指示でテロリストの動きを追ってたからと考えるのが自然だし、イーサンと分析官ブラントを引き合わせるのも計画通りだったはずだけど、長官がロシアの特殊部隊に射殺されるのはマヌケすぎます。そして何より、自殺してまでして核戦争を起こさせたいというスウェーデン人のカルト的な動機は説得力に乏しい。
[地上波(字幕)] 7点(2025-05-17 15:33:48)
4.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 
映像にも設定にもリアリティがあって面白かったです。 遺伝子操作の結果、《保護色&赤外線抑制&高い知性》などの能力をもった怪物が出来上がってしまったのですね。もちろん、それに起因する事故は「想定外」ではなく、適正に情報を共有していれば防げたことですが、日本の福島原発を見ても分かるとおり、個々の利害に囚われて情報共有や危機管理が後回しになれば、こういう事故はいつでも起こるりうるわけです。CEOがインド系で科学者が中国系なのもありえそうな話だし、恐竜を殺人兵器として利用しようとする発想が、かつて白人が黒人を奴隷化したことの隠喩になっていたのも的確です。 ヒロインや兄弟などの主要人物が善玉すぎないのもリアルでした。登場人物に安易な共感をさせないことで、勧善懲悪的なベタな話になるのを避けているわけなので、それが作品の欠点だとは思いません。インドミナスとティラノサウルスの対決シーンを長回しの移動撮影に組み合わせた映像もよく出来てました。 ただし、インドミナスとラプトルの知性の高さが極端すぎて説得力に欠けます。すでに共食いをしていたインドミナスが、なぜラプトルのことを「同種」と認識して共闘するのか不可解だし、そのラプトルたちは、なぜ人間に攻撃されてもなお主人公を襲わずにインドミナスのほうを裏切るのでしょうか? その行動原理が飛躍しすぎてて理解しにくい。
[地上波(字幕)] 8点(2025-05-04 00:37:11)
5.  スター・ウォーズ 《ネタバレ》 
第1作をちゃんと観たのは初めて。…といっても、金曜ロードショーのカット版ですが。 もうちょっと見所があるかと思ってましたが、正直「バックトゥザフューチャー」あたりと大差ないほど漫画じみた映画。キューブリックやタルコフスキーのSF作品とは雲泥の差がある。もしこれをルーカスでなくコッポラが撮っていたら、もうすこし大人の鑑賞に耐える映画になったのでは?…と考えてしまう。唯一、オビワンケノービと出会った星の砂漠の映像にはマカロニウエスタンっぽい魅力がありましたが、それ以外の部分にスペクタクルとしての感動は皆無。例によってジョン・ウィリアムズの音楽も過剰です。ノーカット版なら多少は印象が変わるのかしら?? ルークとハンソロとレイア姫が生き延びるのは知ってるので、次々に襲いかかる危機にもまったくハラハラしません。そもそも、設計図を託されたロボットの脱出を見逃したり、ファルコン号の二重底みたいなアナログ戦術を見逃したりと、帝国軍は全般的にアホっぽいのですが、デススターの構造的欠陥はさすがに脆弱すぎるでしょ。最後は爆発シーンで終わりますが、同盟軍による破壊が先だったのか、帝国軍の惑星攻撃のほうが先だったのか、映像的に分かりにくい…(^^; 戦闘経験のないルークがいきなりニュータイプみたいなパイロットになるのも唐突すぎるし、ルークだけが生き残るトップガンみたいな空中戦も予定調和的なうえに長すぎます。最後の最後にハンソロが助けに来て、ローマの休日みたいな叙勲式で大団円を迎えるベタベタな展開も子供じみている。ロボットが活躍する時代なのに、砂漠の星の住人が「農業で生計を立ててる」のも意味不明だし、宇宙空間で「水平が保てない」と言ってたのも意味不明でした。
[地上波(字幕)] 7点(2025-04-26 12:58:20)
6.  トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》 
とても面白かったです。前作とはずいぶん印象が違う。前作は、緊迫感が乏しいわりに、戦意ばかりを高揚させるプロパガンダ映画って感じだったけど、今作は緊迫感が強いぶんだけ、かえって戦意を萎ませる映画じゃないかと思う。 前作の主人公には「友人の死を乗り越える」というミッションがあったものの、技術的な優位性は一貫してたので負ける気がしなかった。あの映画を見てパイロットに志願する米国人が多かったのは、映画のなかの勝利を追体験したいと考える観客が多かったからだと思う。でも、今作を見てパイロットになりたいと思う人は少ないでしょう。なんせ無人機の時代にあって、優秀な有人戦闘機に課せられるのは、まるで使い捨ての特攻みたいな任務なのだから。全体的に悲壮感の漂ってる映画だし、いちおう最後には勝利するけれど、それはあくまで映画のなかのフィクショナルな勝利であって、あれを現実にやらされたら生きて帰れないのは誰にでも分かる。敵国に先制攻撃を仕掛けたり、殺人をおこなってる点では前作と同じだけど、これは上質なエンタメフィクションであって、現実の戦意を高揚させる映画とは思えない。むしろ「戦争は無人機にやってもらうほうがよい」と思わせるためのプロパガンダ映画なのかもしれません(それを肯定するわけじゃありませんが)。 ちなみに、若い世代の観客は、なぜあの女優がヒロインなのか分からないでしょうが、前作をリアルタイムで見た世代にすれば、その容姿や演技のうんぬんはともかく、彼女が「ジェニファー・コネリーだ」という事実そのものが重要なのよね。わたしも、そういう感慨だけで見てました。なんせ美少女だったときの記憶しかないから(笑)。きっと制作者側もそれを狙って起用してると思う。
[地上波(邦画)] 9点(2024-11-16 02:10:46)
7.  トップガン 《ネタバレ》 
金曜ロードショーで視聴。初見だったのですが、あからさまなプロパガンダ映画だったのでドン引きでした。冷戦下で、まるで第二次大戦中のような映画が作られていたとは…。敵機を撃墜して大喜びしてましたが、SF映画ならともかく、現代を舞台にした軍人の映画でそれを平然と描いてることに唖然とします。他国の海域での敵機の撃墜は、端的に殺人であるだけでなく、状況的にも自衛の範疇を超えてるし、国家戦争の引き金になりかねない。 冷戦下の諜報活動を描いた「ミッションインポッシブル」も、考えてみればプロパガンダ映画かもしれませんが、それ以上に露骨です。しかし、この映画がきっかけでパイロット志願者が殺到し、冷戦を終わらせることに繋がったのなら、政治的な効用はあったってことでしょうか?  制作規模は大きかったかもしれませんが、映像作品としての魅力にも乏しく、ゲスなヤンキーのあんちゃんのサクセスストーリーは、ほとんど安っぽいキムタクドラマのようでした。この映画に魅了される大衆の心理は、戦争の本質を考えるうえでも無視できないものがある。 一昨年の続編は評価が高いようですが、とりあえず来週の金曜ロードショーも見てみるつもりです。
[地上波(字幕)] 6点(2024-11-09 01:42:11)
8.  M:i:III 《ネタバレ》 
初期3作の中ではいちばん面白かったです。考える間もないほどスピーディーな展開で、どんでん返しもアクションも見応えがあった。当時のイラク戦争に対する批判にもなっていたと感じます。 ただ、あとから考えてみると、マスグレイブがリンジーを救出させたのは不可解だし、チェサピーク湾橋で大規模な武装組織を出動させた背景も謎です。デイヴィアンが妻の替え玉の女性を銃殺した理由も分からない。そもそもラビットフットの所有者は誰だったのでしょうか? そこらへんについては自分のブログで考察してみます。
[地上波(字幕)] 8点(2024-06-26 10:58:25)
9.  ミッション:インポッシブル 《ネタバレ》 
トム・クルーズの映画ってほとんど観たことなくて、このシリーズも初視聴です。テレビシリーズも観たことありません。 ストーリーが複雑でよく分からなかったのだけど、見終わった後にWikipediaで確認して、なかなかよく練られた話なんだなと理解できました。ビロード革命を経て世界遺産になったチェコのプラハから物語が始まるところにも歴史的な背景があります。ネズミのいる天井裏から人力で宙吊りにするシーンとか、狭いトンネルのなかをヘリコプターが飛ぶシーンとかは、ツッコミどころを笑いつつも手に汗を握りました。 ただ、全体的なテイストにテレビっぽい安っぽさがあって、あまり映画としての魅力を感じない(テレビシリーズに親しんだ視聴者にとってはそれが魅力なのかもしれませんが)。敵とはいえ、エマニュエル・ベアールやジャン・レノやジョン・ヴォイトが殺されてしまうのも無慈悲だなあと思いました。スパイ映画って、そういうものなのでしょうか?
[地上波(字幕)] 7点(2024-06-08 15:43:05)
10.  ジェーン・エア(1944) 《ネタバレ》 
養母や教育者からの虐待、友人との死別などの苦難を乗り越えた孤児の少女が、ワケありな金持ちツンデレ男と結ばれるまでのベタベタなシンデレラストーリー。握手どまりのボディタッチが今でいうムズキュン要素にもなっている。 そこに「美女と野獣」みたいなゴシックホラー要素が加えられており(ちなみに原作の主人公は美女ではありません)、その過剰なほどのサスペンスタッチな演出がエンタメ映画としての面白さになっています。音楽もバーナード・ハーマンなので、どこかしらヒッチコックのサイコスリラーっぽく、実際のところ舞台設定も「レベッカ」に似ています(原作のほうは「レベッカ」より「ジェーン・エア」のほうが先ですが、映画は「ジェーン・エア」より「レベッカ」のほうが3年先です。ただし、映画「レベッカ」の音楽はフランツ・ワックスマンだったのでバーナード・ハーマンではありません)。 なお、物語を簡略化するためだと思いますが、原作における「テンプル先生」や「セント・ジョン牧師」の役割が、この映画では「リバース医師」によって兼任されています。それ以外にも原作からの変更はあると思いますが、長い小説を簡潔にまとめてるので、原作の内容を手っ取り早く把握するには最適な映画。 ちなみに、モンゴメリの「赤毛のアン」でもフランス系アカディア人が差別的に描かれてますが、その原型ともいえる「ジェーンエア」でも、ジャマイカ出身の妻が狂人であるがゆえに監禁されているという人権度外視の反コンプライアンスな設定。しかも、その妻が死んだことをこれ幸いにヒロインの愛が成就するという差別的なトンデモ結末です。このあと何度か映画化されてるようだけど、現代的な人権規範に適合させるには原作の内容を大幅に(ポストコロニアリズム的に)改変する必要があるはずです。 また、キリスト教にもとづく児童教育が、産業革命期の英国においてさえ中世の魔女狩りみたいな発想で子供を虐待してることに驚かされますが、原作者が通った実在の学校がモデルだそうです。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-04-12 13:25:30)
11.  マトリックス 《ネタバレ》 
ちょうど四半世紀前の映画ですが、たとえば「21世紀の早い段階でAIが完成する」とか「人間を培養液で栽培しながら仮想世界に住まわせる」といった話は、かなり現実味を帯びてますね。しかしながら「死体を分解して人間の養分にする」ってのは(理論的には可能だろうけど)そうせねばならない理由がいまいち見えないし、核融合の技術があるにもかかわらず「人体が放つ電気エネルギーがマトリックスの動力源として必要」ってのも意味がわからない。そもそもヒューマニズムの葬り去られた時代において、人間に利用価値がなければ生かしておく意味もないのかもしれないけど、人間なしにAIだけが存続しつづける世界に意味があるのかも疑問です。 もしAI側が、人間の反乱分子を抑えたいのなら、もっとマシな仮想現実を見せておけばいいのだし、その場合、個々の体験する仮想現実が他人と共有の世界である必要はなく、それぞれ別々のパラレルワールドを体験させておけばいいのよね。 当時としては先駆的な作品だったと思いますが、千葉県を舞台にしたウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」や士郎正宗の「攻殻機動隊」などを基礎にしてるとあって、今から見ると日本のマンガやゲームを実写化したネットの配信ドラマみたいに見えるし、登場人物のコスチュームや虫みたいな形のロボットも、ただのコケオドシとしか思えず、ちょっとダサくて安っぽい気がします。 日本国内に元ネタとなるコンテンツがあったのなら、こういう実写作品は日本でこそ作れたはずだと悔やむべきかもしれません。たとえば「精神的な鍛錬でヴァーチャルな身体能力を高める」という発想も、おおむね「ニュータイプがモビルスーツの能力を高める」という発想に近いんじゃないかと思います。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-04-09 02:39:36)(良:1票)
12.  怒りの葡萄 《ネタバレ》 
四世代家族12人が家財道具すべてを載せて1台のボロトラックでオクラホマからカリフォルニアへ横断するなんて、そんな無謀なことが本当に出来たのかと驚いてしまいます。米国の最貧困層の実態を暴いた映画は、日本の「万引き家族」や韓国の「パラサイト」にも劣らぬほどの社会の恥部を曝け出したといえるし、西部劇の名手であるジョン・フォードが、あえて南部の白人社会の負の側面に目を向けたことも重要だと思う。 いわゆる「ダストボウル難民」という呼称は比喩ではなく、本当に難民キャンプで人権の剥奪された生活を強いられたのですね。今でもそうかもしれませんが、黒人やヒスパニックやアジア系に対する差別もさることながら、白人どうしの間にも激烈な格差や差別があったということ。なぜドナルド・トランプが米国南部で支持されるのかを考えたら、これはけっして過去の問題ではないと思います。 殺人罪の服役から仮出所してきた男を出迎えた家族が「さすがだ!脱獄してきたんだろ?」と口々に称えるさまをユーモラスに描いてますが、これはいかにも独立心の強い南部人の価値観や気質を表してるのかもしれません。蓮實重彦は、ショットの分析をとおして「フォードは男性主義者ではない」という主旨のことを言ってますが、そもそも(ボブ・ディランなどにも言えることだけど)南部の立場から表現することには、つねに政治的な両義性がともなうのだと思う。南部の白人たちが、女性や黒人などの「弱者」に対して加害的になるのは、ほかならぬ彼ら自身が経済的に虐げられる立場だからでもあろうし、それはすなわち南北分断という米国社会全体の構造的な問題なのですよね。したがって、切り取られた部分だけを見て「南部の白人が加害者か被害者か」を論じるのは不十分なのだといえる。 とはいえ、やはりジョン・フォードのひとつひとつのショットが明確な意志で切り取られてることには感嘆してしまうし、ショットの的確さこそが映画の美しさになるのだと思い知らされます。なお、説教師のケーシーが登場する場面はどれも神秘的で、とくに序盤の出会いのシーンは、なんとなくロッセリーニの「フランチェスコ」を想起させました。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-04-09 02:05:33)
13.  ゴーストバスターズ/アフターライフ 《ネタバレ》 
世評が低いので期待してなかったけど、想像をはるかに超える出来のよさに驚いた。最後のゴーザとの対決は、もっと派手に壮絶にすべきだったと思うけれど、そこへ至るまでの展開には何の不満もありません。ゴーストバスターズの続編はこうあるべきという模範的な内容になってる。実際に死去していたハロルド・ライミスを物語に組み込み、第1作の37年後の物語として納得感のある設定と物語になってる。悪くいえば、あまりにも模範的で「続編」の枠組みに縛られすぎともいえるけど、よく練られた脚本には違いないし、主人公の女の子もちゃんとハロルド・ライミスの孫に見えます。 第1作から解釈を進めた点があるとすれば、それは「幽霊」と「ゴースト」を区別したことですね。人間が死んだら幽霊になるけれど、それはオバケではないってこと。今作のCGの最大の見どころも、やはりハロルド・ライミスの幽霊をリアルに出現させたところだと思います。 子供達を活躍させるために広大なオクラホマへ舞台を移したのも良かったし、小さなマシュマロマンも可愛かったし、相変わらず口の減らないビル・マーレーも楽しかった。科学好きの学校の先生は、生徒たちと一緒に戦ってくれるかと思いきや、ほとんど役に立たず、あっさり鍵の神に憑りつかれたのは意外でした。主人公のお母さんは色気のある美人だと思ったら、シガニー・ウィーバーと同じ役どころだったんですね。でも、わりとあっさり黒人の女の子と入れ替わってしまった。そこらへんの顛末も、もうちょっとドラマティックに盛り上げるべきだったかもしれません。2時間超えの映画ではあるけど、終盤の展開にかんしては、あと20分ぐらい伸ばして派手に盛り上げてもよかったかな、とは思う。鍵の神が破壊したゴーストの封じ込め施設もちゃんと修復すべきだったし、アジア系の男の子にももうすこし終盤の活躍の場を与えてほしかったし、その他大勢のクラスメイトやバイト仲間たちにも終盤まで役割を与えるべきではある。 これはすなわち「死後のゴーストバスターズ」であると同時に「隔世遺伝」の物語でもありますが、チェコ系アメリカ人だったアイヴァン・ライトマン以上に、息子のジェイソン・ライトマンのほうが先祖返りして一層チェコっぽい奇想のセンスが強まってるように見えて、それもまた隔世遺伝かなと思いました。
[地上波(字幕)] 8点(2024-03-30 00:27:41)
14.  KUBO/クボ 二本の弦の秘密 《ネタバレ》 
CGアニメは、ディズニーをも上回るのではないかしら? 昔のNHKの人形劇みたいな風合いもあり、とくに折り紙の表現は独創的で素晴らしい。 三味線や雪山の猿が出てくるので江戸時代の東北地方に取材してるのかと思ったけど、大魔神みたいな仏像が建ってたり「三種の武具を探す」とか「鷺が魂を運ぶ」とかはヤマトタケルの東征神話を意識してるようでもある。また、月の帝の娘との婚姻譚は竹取物語のようでもある。その他の細かいモチーフについての話は、長くなるので自分のブログに書きます。 日本的なモチーフをさまざま寄せ集めたところが、日本人にはかえって一貫性なく思えてしまうかな。最後は三味線をギターに置き換えて、ビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」のカバーで締めてるけど、そこまで深い意味があるとも思えない(ジョージ・ハリスンはこの曲を「易経」に触発されて作ったらしい)。 簡単にいえば「長女の結婚を許さなかった男の罪に、その孫が立ち向かい、一族の不幸を終わらせるまでの物語」であり、いってみりゃ「もしもロミジュリに子供がいたら…」みたいな話なので、物語の類型からいえば、あえて日本を舞台にすることもなく、ヨーロッパでもアメリカでも中東でもどこでもいいんじゃないかって感じ。技術的には8点つけてもいいけど、物語にはさほどの深みを感じなかった。
[地上波(吹替)] 7点(2024-03-20 22:00:42)
15.  ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 《ネタバレ》 
第1作よりは、だいぶ面白かった。ゴシックファンタジー的なテイストの映像も雰囲気があってよかったし、バックビークの動きのスペクタクルも見事でした。 とはいえ、さすがにシリウス&ルーピン&ペティグリュー&スネイプの4人の過去の関係については、映画を観ただけではよく理解できず、「なんか敵味方の入り混じる複雑そうな話だな」と思うばかりでした。そもそも学校側が誰の味方なのかも謎だった。ややこしい部分はあえて端折ってるのか、それとも表面だけをなぞる形にしてるんでしょうか? 水辺の対岸に現れたシシ神さまは、どう見ても「もののけ姫」でしたね。それから、空飛ぶホウキや、透明人間マントや、タイムワープ時計などの道具も、どんどん「ドラえもん」的になってる気がする。
[地上波(吹替)] 8点(2024-01-27 02:01:55)
16.  ハリー・ポッターと賢者の石 《ネタバレ》 
なにげにちゃんと観たのは今回が初めて。映像はそれなりに凝ってますが、話の展開が早すぎて雑な印象。ニコラス・フラメルの石の話が出てきたあとは、だいぶ話が繋がってくるけれど、前半部分はつながりのうすい散漫なエピソードの羅列で、原作を読んでない人間には何をやってるのかよく分からない。とくにハグリッドが迎えに来るまでの序盤は、最低でも30分ぐらいかけて丁寧に描いて欲しかった。 原作一巻分を1本の映画に詰め込む前提に無理があるのだろうから、もっとエピソードを絞って脚本化すべきと思うのだけれど、ダイジェスト的にでも全エピソードをつめこんで映像化するのが映画の役割だったのかしら?? イギリス人はこれで満足してるのかなあ。BBCあたりがテレビシリーズにしたら、もうちょっと丁寧で質の高い作品に出来そうな気がします。 ちなみにFilmarksは4/5点。映画comは3.7/5点。意外なことに、みんシネが5.5/10点でいちばん低い。実際、6点前後が平均点として妥当なところだと感じます。
[地上波(字幕)] 7点(2024-01-13 03:00:04)
17.  タイタニック(1997) 《ネタバレ》 
予算的にも技術的にも、よくこれだけの映画が撮れたなあと感心します。脚本も緻密に練られていますが、そのうえで演出や特撮などを完全に制御できなければ、これだけの作品を実現できませんよね。 商業的にみると、レオナルド・ディカプリオのスター性や、セリーヌ・ディオンの歌の素晴らしさや、ラブストーリーの魅力だけでなく、歴史的な悲劇への関心もあるし、巨大なスペクタクルへの興味もあるし、ヒットの条件がいろいろ揃ったオールマイティな作品。さらに実際の映画を見てみると、メカニカルな部分の面白さがあったり、歴史科学ドキュメントとしての面白さがあったり、当時の欧米社会の内実を垣間見せる側面もあったりします。 タイタニック号は上流階級の人々を乗せた豪華客船というイメージがありますが、じつは三等旅客や船内の肉体労働者は貧困層だったわけで、上部と下部に分かれた船の構造がそのまま欧米の社会階層を象徴しており、そこからロミジュリ的な身分違いの恋が生まれ(デッキに立つヒロインを見上げるディカプリオは、バルコニーに立つジュリエットを見上げるディカプリオに同じ)、最後にはあらゆる階層の人々がもろともに沈んでいく物語的ダイナミズムが構成されています。 ヒロインが船首に立ってバックハグされるシーンが有名ですが、じつは物語的にいうと船首よりも船尾のほうが重要で、ヒロインは最初に自殺を試みたときにも最後に船が沈むときにも、同じ場所で貧しい絵描きの男に助けられます。船体が縦になった後、いったん真っ二つに折れて、ふたたび縦に沈んで船尾が没するまでの実際の経緯を、天地がひっくり返るようなスペクタクルや人々が海に落下していく恐怖だけでなく、主人公の男女が生き抜くドラマティックな物語にもうまく活かしている。 前半では、貧しい絵描きの青年が偶然にも船に乗り込んで上流階級の人々に交わっていく恋と冒険とが描かれますが、後半には、斧で手錠を断ち切るホラー展開とか、浸水する船内でのパニック展開とか、縦になった船から人々が転落していく恐怖とか、明るい星空のなかを沈んでいく船体のスペクタクル的な美しさとか、長時間の映画にもかかわらず最後まで見どころが多い。細かい点でいうと、汚い唾を飛ばしたり、コートを盗んだり、ポケットに宝石を入れたり、企業利益を重視する社長が船長に会話したりするシーンまでが、すべて後半への伏線として繋がっていく脚本も上手いです。 主演の男女以外にもたくさんの登場人物がいて(実在の人物がかなり含まれるらしいのですが)、それぞれに最後の選択が違っており、そこからキャラクターの背景も浮かびあがるのですね。とくにヒロインの婚約者の男と従者は、ピストルを振り回したり、幼い子供を利用したりして、それまでにも横暴な方法で成り上がった米国の一族であることが想像されます。
[地上波(字幕)] 10点(2023-07-02 01:04:24)(良:3票)
18.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 
「エール」のほうを先に観ました。基本的なストーリーは同じですが、細かい部分でアレンジが加えてあります。「エール」はよく言えばリアルなのですが、そのぶん下世話すぎて醜悪なところもあるし、登場人物にもスッキリと共感しにくいところがあります。「コーダ」のほうは、下世話な要素が抑えられていますし、人物造形もよりシンプルになっており、両親にも共感しやすいし、兄貴や彼氏や女友達の位置づけも明確になっていて、全体として納得感を得やすい形に整えられている。 それにしても、目のつけどころさえよければ、リメイクでもオスカーが取れてしまうということですよね。 余計なお世話かもしれませんが、「コーダ」を先に見てしまった人は「エール」を見ないほうがいいかもしれません(笑)。
[地上波(字幕)] 8点(2023-06-17 14:01:47)
19.  エル・シド 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 勧善懲悪的な図式ではなく敵味方が入り組んだ関係で、しかも敵対関係が和解に転じたりもするのだけど、映画はあくまで叙事的な描写にとどまっているため、人物(とくに妻シメンや恋敵ロドリゴや王アルフォンソ)の心境の変化などが分かりにくく、主人公の「正義」の所在がどこにあるか把握しにくいのも難点。さらに妻のシメンは、主人公を愛したり憎んだり和解したり出家したり投獄されたり出獄したりするのですが、その変遷も唐突で分かりにくい。もっとテーマを絞ってコンパクトな物語にまとめれば分かりやすくなるのだとは思う。 …とはいえ、あえて明快な物語やテーマに収斂させないところに、かえって叙事詩的な崇高さがある気もするし、実際、すべてのカットの絵画的な美しさに酔ったり、ミクロス・ローザの音楽に胸を踊らせたりしてるうちに、長尺の上映時間が思いのほかどんどん過ぎていって、それを堪能するのに3時間が長すぎるとは感じませんでした。イタリア映画の魅力とハリウッド映画の大作主義が幸福な形で結合しており、格調の高いスペクタクルはほんとうに中世の一大歴史絵巻を見ているみたい。どうやったらこんなものが作れるのかと驚嘆してしまいます。これを見てしまったら、その後の「スターウォーズ」なんかが安っぽい二番煎じにさえ思えてくる。前半の頑なな表情のソフィア・ローレンも、まるで神秘的な中世宗教画のように見えました。 あらためて主人公の正義について考えてみると、あれは単純な「忠義」ともいえないし「愛国」ともいえないし「信仰」ともいえない。異教徒を救う一方で恋人の父を殺したりもするし、祖国に身を捧げながら王の悪行を弾劾したりもする。それでいて、憎しみを乗り越えるべく和解にはつねに開かれている。これは「善政主義」ともいえるし、寛容な「国際主義」「平和共存主義」ともいえます。その点が現代的なテーマにも触れていると感じました。いつの時代にも肉親こそが憎み合うのだし、平和主義者こそが国内では売国奴と呼ばれてしまったりする。愛国右翼や宗教右翼を倒して左翼どうしが手を結ばなければ国際和平は実現しないのかもしれません(ちなみに、この映画でキリスト教とイスラム教の共存しうる世界を描いているアンソニー・マンはユダヤ人です)。 それにしても、これはGYAOに限った話かもしれませんが、音楽の音量に対してセリフの音量が極端に小さかったのは、リマスターの技術的なミスでしょうか?
[インターネット(字幕)] 9点(2023-02-24 15:25:31)
20.  ゴーストバスターズ(2016) 《ネタバレ》 
GYAO の無料動画で視聴。第1作以外は見てないし、その第1作も38年前に見たっきりです。  期待値が低かったわりには、かなり面白かった。シガニー・ウィーバーの役どころを頭の弱いイケメンに代えたのを含めて、まるごと男女を逆転させた配役ですね。セリフはいちいちシャレが効いていて、けっこうエッジのある下ネタが入るのも笑えました。特撮も良く出来ていたと思う。第1作のメインキャストがこぞってゲスト出演して、ちゃんとマシュマロマンも登場して、「シャイニング」や「サタデーナイトフィーバー」などのパロディが入ってたのも楽しい。 ただ、物語にいまひとつ「回収感」が乏しかったのは残念。(もしかしたら9・11を想起させないための配慮かもしれないけど)オバケを退治した後は、破壊の痕跡をふくめて何も無かったかのように原状回復されていて、バスターズたちはさほど称賛されることもなく、主人公がコロンビア大学に復員するでもなければ、出版した本が飛ぶように売れるわけでもない。オバケに勝利した達成感や納得感がないので、見終わったあとのカタルシスが薄い。 それから「オルドリッジ邸の悲劇」「刑場跡地に作られた地下鉄」「大虐殺の場所に建つホテルでレイラインが結ぶ」「霊界とのバリアを除く第4の大変動」などなどの話が散りばめられるわけですが、それらのエピソードも最終的に回収されることはなく(かといって実際の歴史に取材してるわけでもなさそうです)、ただそれっぽいネタを散らかしただけで終わってる感じ。悪役であるローワンの人物像の掘り下げも不十分で、全体的に物語の背景的な厚みが感じられません。 せっかく中華料理店の階上でオフィスを構えたのに、店員が中国人ではなく、中国的な描写が皆無なのもちょっと不満が残ります。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-31 00:59:28)
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