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プロフィール
コメント数 348
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

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1.  鳥(1963) 《ネタバレ》 
久方ぶりにヒッチコック映画を見直してるのだけど、初見時に比べて格段に評価を上げたのがこの作品。(初見の10代は6点位の感想) 昔はレビュアーの皆様と同様最初の一時間がかったるく感じたのだけど、ヒロインの行動を観客が同体験する事で感じる(ペットショップで一目会った男の事を調べて会いに行くという倫理はムチャクチャだけど)非日常的な不安や焦燥感。元は恋愛=ときめきや恋の揺らめきによるものであった筈なのに、「鳥が人間を襲う」という突然の出来事によって説明不能の罪悪が襲い掛かる不条理を強調するものとして、やはり必要な一時間なんですよね。あとポイント:構図と編集=実際の鳥の襲撃にははそんなに時間を取ってないのだけど、そこに至るまでの画面構図設定と観客に適切な情報を提供する編集技術が上手く、現在に至る(エイリアンやモンスター等含む)動物パニック映画の表現の礎となっている事は特筆すべき点。特に印象的なのはCGやドローンなど無い時代にあんな俯瞰ショットを組み込んだガソリンスタンド襲撃シーン、素晴らしい。あとヒッチコックの嗜虐性。
[映画館(字幕)] 9点(2024-08-18 11:10:32)
2.  アイアンクロー 《ネタバレ》 
エリック一家を襲った悲劇は映画よりも現実の方が過酷だった。 レスラー志望の六男もまた、自死を選んでいた事、 フリッツ・フォン・エリックは晩年妻と離婚し一人身だった事、 三男デヴィッドの死は痛み止めとして使用していた鎮痛剤の 大量摂取、つまり彼も薬物中毒による自死であったといわれてる。  「過度な期待によって挫折するスポーツ選手、その再生」てのは 映画ファンとしては食傷気味な題材なので、客観的に見れば レビュー点数はこんなもんなんだろう、と思う。 だけどプロレスファン、特に「プロレス・スーパースター列伝」を愛読書とし、 土曜夜に「世界のプロレス」を見て80年代を過ごしていた私の様な オッサンには突き刺さりまくりで、泣けて泣けて仕方がない。  プロレスから離れ、唯一生き残った次男ケヴィン・フォン・エリックが 自分の子供達に声をかけられ涙を流すラスト。彼は昔、父親の教えを 忠実に守り過ごしていた日々を振りかえる。 時代錯誤な父親と教育に無関心な母親。でも確かに愛情はあった。 兄弟は皆若くして死を選び再会は叶わない。ただ確固たる絆はあった。 チャンピオンになれた期間は短かった。 それでも強いレスラーだった。 世間でいう「呪われた一家」では、決して彼らはなかった。  現実のケヴィンにはあまりにも事態が悲惨すぎて、そんな感慨に浸る には更なる年月が必要だったろう。もう心情的には無理かもしれない。 でもこの作品中、夢の中兄弟楽し気に抱き合うシーンを入れた 事で、この映画は世界中で身体を傷つけながら頑張っている プロレスラー、ひいては目標に向かって努力を続けている 市井の人びとへの監督なりのエールなんだ、と感じてしまった。  アイアンクロー、フォーエバー。  とはいえケリー・フォン・エリックでいえばディスカスパンチ (学生時代円盤投げの選手だったなごりから得た回転パンチ) の方が、アイアンクローよりも好きだったなぁ。  物理学者映画に埋もれてしまう前に、どうぞ。
[映画館(字幕)] 6点(2024-04-16 22:34:01)
3.  いつも上天気 《ネタバレ》 
「レオン('94)」には大した感想はなかったものの、作中にこのMGMミュージカルが使われてるのを見て、監督リュック・ベッソンの趣味の良さに感心した記憶がある。そう、最良のジーン・ケリーが見れるという点で後世に残る一本。アスリート的なパワフルなダンスを身上としてる彼、「雨に唄えば('52)」でいえば有名なタイトル・チューンより、机/椅子の上でダンスをする「Moses Supposes(軽〜いドナルド・オコーナーとの対比含めて)」の方が個人的にはよい。そんな彼のアクロバティックなダンスの頂点が、ジャン・レノが目キラッキラさせて見てた「I Like Myself」。後年のダンス文化への影響という意味において、もっともっと評価されるべきなんじゃないのか。シド・チャリシーも良い。もともとバレリーナだったので前作「ブリガドーン('54)」の方が水に合ってるし、アステアと共演した「バンド・ワゴン('53)」も良いけど、彼女個人のパフォーマンスはこっちかな。以上パフォーマンスはYouTubeの「Warner Archive」で観れるから見て頂戴。でね、ここからなんすよ、私の強調したい事は。それは「幸福感の稀薄なミュージカルは作品としての魅力に欠ける」つまりこの作品、個々のパフォーマンスは素晴らしいのだけど流れる雰囲気がもう「ミュージカル、古臭くね」感がありありなんですな。「雨に唄えば」から3年でこの変化はなんなんだろ。冷戦状況下の社会的影響・新興のエンタメ/テレビの隆盛・何よりロックンロール(ビル・ヘイリー「ロック・アラウンド・ザ・クロック」は55年、エルヴィス登場は56年)の出現。時代の趨勢に呑みこまれてしまって抗えない、廃り感を感じさせてしまう点がこの映画の印象を薄くしちゃってんですよね。...だいたいなんで「巴里のアメリカ人('51)」「ブリガドーン」はソフト化されてるのに、この作品は無いのだ、おかしいでしょ。結局アメリカアマゾンでソフト購入しちゃったよ...。話が脱線しましたが、ミュージカル映画における幸福感ってのは結構重要で、最近でもデミアン・チャゼル「ラ・ラ・ランド(2016)」だってS.S.ラージャマウリ「RRR(2022)」にもちゃんとある。観客がダンスの世界に引き込まれるだけの雰囲気作りは大切。 今回レビューの点数は私の想い出補正と個々のダンスに関して、ってことで。長文失礼しました。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2024-02-25 06:52:34)
4.  ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~ 《ネタバレ》 
私はドキュメンタリーに啓蒙的要素を求めるひねくれ者。 であるからして、「才能がショウビジネスの闇に潰される」 という没落セレブに良くありがちな題材だし、 内容も想像の範疇内なので作品の評価はこんなもん。  彼女の生涯最後のワールドツアーである、 さいたまでの2010年2月ライブを見ている。 たまたまファンの友人(彼は1988年のライブを両親と 鑑賞しそのスケールとテクニック、まさに「天下を掴む」 直前の彼女を見て大感激したのだそうだ)と同行。 ライブ終了後、友人の表情に漂う「見なきゃよかった」 感は忘れられない。彼女はMCで語ってた。 「ステージが久しぶり過ぎて、ドキドキものなのよ」 観客はわかってた、緊張でなく限界だったこと。  但自分、このライブには満足というか、感動した。 何というのかこのツアーにカムバックをかけ、 声が出なくとも必死にステージをこなそう としてる彼女にテクニックとかスケールとか を越えた、一途さを感じたのだ。 あの頃には戻れない、だけど 酸いも甘いも味わった彼女には 新しい魅力・未来があるのではと。  でこの映画だよ。 歌が喜び/幸せを表すものではなく、苦役/義務となった事、 自分の幸せよりも愛情を与えてくれた周りに恩恵を施すこと を生きがいとしてしまった事。(だから夫のボビーもこの 映画目線でいえば、悪人ではない気がする。個人的だが) たぶん私がステージで見たのは、彼女が歌の喜びを 取り戻そうとするリハビリの一環だったのだ。 (その後彼女の体調不良は次のツアー場所:ヨーロッパで 顕著になり、結局ツアーは中止、生涯最後のものとなる)  そんな感想をこの映画を鑑賞してつれずれに書いてみた。 長文ですが気障に終わらせます。ありあした。  And if, by chance, that special place That you've been dreaming of Leeds you to a lonely place Find your strength in love
[映画館(字幕)] 6点(2023-01-04 07:32:05)(良:1票)
5.  電撃フリントGO!GO作戦 《ネタバレ》 
金もあり、女にも不足せず、尚且つ凄腕のスーパー・スパイ、デレク・フリント:という触れ込みで始まるこのスパイ映画の冒頭、ジェームス・コバーンの空手の型から(なにせ彼は一応ブルース・リーの弟子だし)「多分、この人は煩悩溢れすぎて『感じるよりも考えやすい』キャラなんだろうな」と観客に思わせてしまう位の緊張感のなさがこの映画の魅力なんだと思う。敵の組織に侵入する方法として「自分の心臓を止める」という民明書房にやり方が掲載されてそうな体術の持ち主にも関わらず、美女を侍らすフリントは下腹部がぽっちゃり気味でビキニパンツを着用、というある意味拷問なシーンもあり。しかも結構長い時間。 後年の「オースティン・パワーズ(’97)」シリーズは007というより、この映画にインスパイアされたんではないかな?と思うのですが如何でしょうか。 ...でもってこの映画を日本人にとって更に記憶に残したのはコバーンの吹替えフィックス、小林清志さんの演技力。毒針に付いていた料理の匂いから「ブィヤベィ~ズ!」=フランスからの刺客、と叫ぶコバーンは眉唾ものなんだが、小林氏の声で「ブイヤベースだ!」と言われるとなんか説得力が増す。贔屓目もあるが、コバーンの軽妙洒脱さをより強調する事でこのある意味くっだらない作品をちゃんと成り立たせてしまう「声優マジック(小林氏ご自身はあくまで「俳優」としてのスタンスを保ち続けられていましたが)」を堪能できる作品として、この点数。氏自身も印象的な吹き替えとして挙げておられるこの作品をもって、追悼文とさせていただきます。小林清志さん、本当にお疲れさまでした。 
[地上波(吹替)] 6点(2022-08-08 17:17:54)(良:1票)
6.  八月の鯨
「希望が叶う」事は現実には難しいかもしれない。 しかし「希望を持ち続ける」事はもっと難しいし、 保ち続ける事こそが最良の人生を送る一要素なのだろう。  この映画の素晴らしさが実感出来る様になってしまった 自分はもう爺様の一歩手前なんだろうな。 ただそれを恥かしいとは思わない自分の感性は まだまだ誇ってもいいのかな、と思う。  若人の時に見て「つまらん」と思った方、 年月を置いてもう一回見てみ。こころに刺さるから。
[映画館(字幕)] 8点(2022-01-12 15:31:45)
7.  拳銃の報酬(1959) 《ネタバレ》 
ロバート・ワイズ、というと「ウエスト・サイド物語('61)」、「サウンド・オブ・ミュージック('65)」「砲艦サンパウロ('66)」といった大作作家の印象が強いけど個人的には50年代までの作品群、それこそ「罠('49)」「傷だらけの栄光(’56)」、そして「地球の静止する日('51)」みたいな小品が好きだ。「黒人を主演にしたフィルム・ノワールの傑作」として紹介されてるこの映画を鑑賞したきっかけはロバート・ライアン好き+音楽(MJQにビル・エヴァンス+ジム・ホール)。3人の男が銀行強盗を実行、その破滅を描いた話なのだが顛末は「自滅」なので、サスペンスとしては他のレビュアー様と同様「最初からやめときゃ良かったやん!」という感想しか出てこない。但最近DVDで再見する機会が有ってこの作品、企画=主演ベラフォンテ+監督ワイズによる、好景気に沸くアメリカの暗部を描き出した社会派作品として感じるところがあったのでこの点数。黒人差別の件はすぐわかったが、今回見直してみて新たな発見だったのは前科者で極端な人種差別主義者であるアール(ライアン安定の好演)、彼は戦争体験によるPTSDを病んでしまっていたのでは?という点。(軍部が鎮痛剤/精神安定剤として供給したモルヒネの影響で、薬物中毒とPTSDに苦しむ帰還兵が社会に復帰できない=犯罪等の増加の一因となるほどの社会問題になってたのは有名な話)犯罪決行の前、時間つぶしで狩りに行くもウサギを打つことが出来ない→ラスト銃撃戦からのタンク大爆発も銃の流れ弾が、というよりも精神不安定でもたらした帰結なんだろうな、と。50年代後半、映画界におけるヘイズ・コードが未だ効いている中、ベラフォンテ+脚本エイブラハム・ポロンスキー(映画公開当初はノンクレジット=後年名誉回復)は赤狩りのブラックリストに乗った人物。そういったポイントを踏まえて機会があればぜひ鑑賞下さい。あともう一点。音楽に参加したビル・エヴァンス(p)とジム・ホール(g)は後年大傑作アルバム「Undercurrent('62)」で共演し、この映画で使われた「Skating In Central Park」をプレイしてます。これが本当に、いいんだなぁ~。
[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-02 19:30:40)(良:1票)
8.  ストレンジャー・ザン・パラダイス 《ネタバレ》 
「予定調和を壊す空気・間」を堪能する映画。  1986年4月、今は無き有楽町スバル座での単館ロードショー。 中学3年生の自分が始めて一人でチケットを買い、劇場鑑賞したのがこの作品。 といってもちろんジャームッシュも主演ジョン・ルーリーも、(字幕の)戸田奈津子女史 だって知るわけない、単に親離れして、大人じみた背伸びをしたかっただけの事。  当時の世評としては「映画ファンには大好評、一般的には?」というのが通説。 そりゃあそう、80年代はまだ「脱力系ギャグ」という笑いは認知されてないから。 観客が想像するストーリーをことごとく外していく、ずっこけロードムービー。 ズレというか不調和を楽しむ映画として、私は彼の映画が好きだ。 気付いたら最新作「デッド・ドント・ダイ」までちゃんとスクリーンで追いかけている。  ヴィム・ヴェンダースやニコラス・レイ、そして小津安二郎を知ったのもこの映画だし、 音楽(スクリーミン・J・ホーキンスとかジョン・ルーリー、後にトム・ウェイツ)なんかも 彼から知った気がする。 彼の文化的教養に、自分影響されまくり。  そして齢50代になりつつある私、この度リバイバル上映(ヒューマントラストシネマ有楽町) にて鑑賞。「この映画が人生最初の映画館(おひとりさま)体験で本当に良かった」、 心底思ったよ。   この映画はぜひ、スクリーンで見て欲しい。 特に若い映画ファンに。
[映画館(字幕)] 9点(2021-07-11 19:36:53)(良:1票)
9.  スペンサーの山 《ネタバレ》 
この度TSUTAYAでのレンタル解禁を機に約30年ぶりの鑑賞。雄大なワイオミングの自然を背景に繰り広げられる、大家族の物語なのだが、後に同じようなストーリーラインを踏襲した作品が山の様に出てきている昨今では目新しさも何もないけど、最後まで(悪意/偽善といった負の要素を取り上げる事なく)希望溢れた作品展開にした事が私にとって好印象で+1点。でもって他のレビュアー様も述べておられるが、(実際インテリな役どころを得意としたとは逆に)ブルーカラーなお父さんを演じたヘンリー・フォンダもいいけれど、やはりこの映画を支えているのはモーリン・オハラの存在感。素晴らしい。 昔の廃盤ビデオや未DVD化映画がここに来て鑑賞可能になっていることが多くなっている流れでようやく見る事ができたこの映画、心が洗われますよ、という事で機会があればぜひ。
[ビデオ(字幕)] 8点(2021-03-11 13:50:09)
10.  春の珍事 《ネタバレ》 
野球シーズンの開幕に合わせて起こる「意外な伏兵」「ファーストラック」をスポーツニュース界隈では「春の珍事」と称する事が多いが、この映画は珍事どころか、奇妙奇天烈な話だと思う。能力が友情努力勝利ではないチート(ズル)である事も、キャッチボールの基本すらできてない投球フォームを見せるレイ・ミランド(これは多分わざと下手に見せている演技とは思うけど)も、「(盗塁を)刺す/殺す」という言葉をギャングの隠語と勘違いされるギャグも、ベタすぎる話の展開も。2020年代の映画人からすれば馬鹿馬鹿しい、それは否定しない。ただ私は何もない時代に創意工夫で面白い映画を撮ろうとしていた手作り感溢れるこういった「ホラ噺」が大好きだ。そしてそれ以上にアメリカ映画界の野球、じゃないベースボールに対するリスペクトがこういった佳品にもちゃんとある事が嬉しいし、なによりこういった題材をつかわれても全く動じる事のないベースボールの「おおらかさ=器の大きさ」に感心してしまう。「私を野球に連れてって('49)」→「くたばれ!ヤンキース('58)」→「がんばれ、ベアーズ!('76)」→80年代の「ナチュラル」「フィールド・オブ・ドリームス」「メジャーリーグ」と続くアメリカン・ベースボール・ファンタジーの系譜の原点として、機会があれば。
[DVD(字幕)] 7点(2020-11-01 08:19:51)(良:1票)
11.  ラスト・シューティスト 《ネタバレ》 
私は(役柄上の擬態かもしれないが)俳優ジョン・ウェインの「過度な正義感」ぶったキャラクターが好きではない。にも関わらす、この映画は映画史史上最高の「役者人生の幕の降ろし方」を実践できた稀有な例なのだと思う。癌によって余命いくばくも無い名ガンマンが訪れるその町は多分、本名マリオン・ロバート・モリソンにとっての余生を過ごす為の理想の生活を具現化したもの。友が居て、愛した女性が居て、未来を託す若者が居る。だが人間モリソンなどはどうでもよいとばかりにガンマン、ブックス(の名声)に忍び寄る暗い影。この映画における敵役は彼の人生における障害弊害のメタファー、隠喩なんだろうな。(すげぇネタばれ):彼がやられる様が1.病で体力がもたない+2.若者を人質に取られる、で3.背後から打たれるという「どんだけジョン・ウェインに配慮してんのよ」的あざとさなんだけど、それを許してしまうだけの制作陣/役者の協力の度合いが私にとって好印象なので、この点数。特にローレン・バコールの美しさに+1点。 ...最近TSUTAYAの「発掘良品コーナー」にラインナップされたので機会があれば。
[地上波(吹替)] 7点(2020-05-17 19:52:39)
12.  死霊の盆踊り 《ネタバレ》 
おっす!おらNbu2!おらもレビュアー仲間にいれてくれよな!(野沢雅子さんの声で) という訳で今年最後の映画鑑賞、アラフィフおじさんがこの度32年ぶりのスクリーンリバイバル・HDリマスターを劇場で見ましたよ。もう何と言うのか...劇場で映画を鑑賞して「2001年宇宙の旅」「アラビアのロレンス」「燃えよドラゴン」を見たのと同等の衝撃=何にも感慨が起こらないという衝撃、虚無の感情が脳内を駆け巡った90分。 自分はこれまでワースト映画は見てきたつもり、だった。「デビルマン」=怒り:漫画史上空前絶後の傑作台無し、「北斗の拳」=哀しみ:バツが悪そうに演技する鷲尾いさ子や真剣に吹替えしてる神谷明、「シベ超」:驚き=情熱に対する映画の面白さがここまで反比例している実例、そして「北京原人」:おぱーい。...悪いなら悪いなりに感情感想を抱くし、込められるだろう。がこの作品、怒り哀しみ驚きおぱーいといった歴代のワースト作品に対して感じた要素がてんこ盛りにも関わらず、なんにも感じない。あるのはただ「他になにか有益な時間の使い方があったのでは」「何故俺は、劇場まで来てこの映画を見ているのだろうか」という禅問答。ラスト救助隊が助けに来た時、マジで「助かった~!」って思ったよ。巻き戻し早送り、ストップ出来ねーんだから。 で思ったんだ、これは映画ファンにとっての予防接種のようなもの、新井選手にとっての護摩行そのものだって。この先どんなにつらい映画ライフを送ろうとも「俺は『盆踊り』を劇場でお金を払って90分時間をかけて、鑑賞したんだ」って。心の苦しみ、全てオーケー。映画製作者や関係者にも希望の一本かもしれない。「下には下がある」と(それはそれで困ったことだが)。フェリーニ「道」でリチャード・ベースハートがジュリエッタ・マシーナにも言うてたやないか、「どんなものにも意味がある、この石ころにだって」。だから映画の内容はともかく1点を献上する。んじゃ、またな!  でもこの映画が人生最後に見た映画だとしたら...絶望だな。
[映画館(字幕)] 1点(2019-12-30 18:43:39)(笑:2票)
13.  恐怖の報酬(1977) 《ネタバレ》 
この度2018年11月にデジタルリマスター化した【オリジナル完全版:121分】がスクリーンで上映されたので早速行ってきましたよ。私は監督フリードキンの、くどさというのか余計なショット・演出の羅列が好みでないので「フレンチ・コネクション」も「エクソシスト」も正直苦手。但この作品についてはそのくどさがまさにジャストフィットで、彼の最高傑作という世評もわからなくはない。特に物語佳境の有名な「ブランブランな吊り橋をニトロ積んだトラックでわたる」あのシーンはもう笑うしかない。オリジナルであるクルーゾーの「恐怖の報酬(53年)」の方が好みなのでそれとの差別化、という事でこのレビュー点数にしたが、意外と楽しめたという意味ではもう+1点でもいいくらい。印象的だったのは3つ。1. 53年版オリジナルにおけるラストの「あちゃぁ~」的流れよりもこのリメイク版のラストの方がより良い、という意見には100%同意。2. 原題が53年オリジナルは「THE WAGES OF FEAR(LE SALAIRE DE LA PEUR)」=文字通り直訳/恐怖の報酬なのだがこのリメイクは「SORCERER(ソーサラー)」=魔術師/呪術師なんですよね。ジャングルの熱/呪術に演者・観客も呑みこまれてゆくのか。3. 音楽。これこそまさに「ダサかっこいい」。53年オリジナルを先に見てからの方がいいかも。
[映画館(字幕)] 7点(2018-11-24 19:56:12)(良:1票)
14.  質屋 《ネタバレ》 
シドニー・ルメット監督の初期作品として映画評論家の町山智浩氏が「トラウマ映画館」で取り上げられたこの作品がようやくDVD化=販売/レンタルされたので、何十年ぶりかに鑑賞。ニューヨークの貧民街で質屋を営むユダヤ人、もともと大学教授で幸せな家庭を持っていた彼だがホロコーストによって人生が一変する。お金のみが生きる糧。自分を慕ってくれる者はいるものの人々の優しさに触れる度に思い浮かぶ過去の辛い経験。町山氏曰く「ユダヤ系が中心のアメリカ映画界が始めてホロコースト(によるPTSD)を題材にした作品」であり、「アメリカ映倫が始めて女性の裸を映し出すことを認めた」映画であるそうな。という事で今の映像表現に慣れている我々からすればもっと刺激的な、刹那的なインパクトが足りないとは思うが戦争終結から20年経ってようやく取り上げた事を考えれば、その傷の重さがわかろうというもの。演出的には過去のフラッシュバック情景が増長すぎる気がするが、監督ルメットの特長である手持ちカメラでとらえたニューヨークの風景(名カメラマン=ボリス・カウフマンの撮影)+クインシー・ジョーンズの音楽も相まって雰囲気抜群。そしてロッド・スタイガー。「夜の大捜査線」の警察署長と同一人物であるとは思えないでしょ、素晴らしい。  最後に一言。今回のDVD化は嬉しいが、字幕はちょっと物足りない。約30年ほど前のソニー・ビデオライブラリー版/wowowの「トラウマ映画館」で見た際には言及あったユダヤ系・黒人ヒスパニックに対する蔑称が省かれている。「作品の意図を尊重する」という意味でもう少し考慮しましょうね、映画会社の皆様。という事で機会があれば(解説資料があればなおOK)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2018-05-13 10:16:32)(良:1票)
15.  クリスティーン 《ネタバレ》 
この作品に関しては私は映画関係者に、ふざけるなと言ってしまいたい。私は初期キング作品のファンで「ペット・セメタリー(83)」位までは原本と辞書を照らし合わせて読んでいたほどである。この作品については映画化が先に来て翻訳/文庫化(87年)は後だったので、最初見た時は「車が殺意を持って人に襲い掛かる」という点と58年型プリマス・フューリーの造形、車が自然に治ってゆく描写のみ印象に残った程度であった。で原作小説を読んでみる...なんじゃぁ~こりゃぁぁぁぁああああ!(松田優作風に)まずこの作品はホラーの体を装った素晴らしい青春小説である事、そしてクリスティーンの殺意の根本は、元の持ち主であったローランド・ルベイ(作中では車をアーニーに売り飛ばした後、直ぐ死んでしまう)=青春時代~老年に至るまで何一つ幸せの無い(と思いこんでいた)男の怨念→「あいつら良い気になりやがって」という恨み節というポイントがまるっきり抜け落ちてるじゃないか。名翻訳家深町眞理子氏がこの作品の翻訳をしていることもこの原作を愛している理由なのだが、彼女も翻訳あとがきでこの映画化に関して「そりゃないよ」と述べているくらいなのだから本当、なんて改悪をしてしまっただよなんですよこれ。「クリスティーン」「クージョ」「ファイアスターター(炎の少女チャーリー)」については映画じゃなくて原作を読んでいただきたい。と思いきやこれらみな絶版扱い。トホホ。
[ビデオ(字幕)] 3点(2018-05-08 21:37:10)
16.  ミュージックボックス 《ネタバレ》 
世の中にはまだDVD化されていない名作が多いのだが、このコスタ=ガブラス監督の一本もまたしかり。戦争犯罪を犯したとされる父親の為に弁護士の娘が無実を証明すべく立ち上がり、周囲の協力を経て裁判で勝利しそうなところまでもってゆく。が、証拠を集めれば集めるほど彼女には疑念がわいてくる...作品における前半~中盤に至る法廷サスペンス劇も内容の重さに気が重くなりそうなのだが、本当の衝撃は後半、彼女が戦争犯罪の現場となるハンガリーへの旅で見つけた事実と証拠品=ミュージックボックス(オルゴール)の出現によってやってくる。そして最後に彼女がとった決断。被害者がいる以上「犯罪」には結局、時効という概念は無いのだという観点もわかりつつ、「改心」という余地を全面否定してもよいものなのか、戦争犯罪の責任は国家/個人どこまで及ぶものなのか(この父親役アーミン・ミューラー=スタールの演技が上手すぎる)...まぁこのピーチクパーチク述べている私の感想の意味は、本作を見てからどうぞ皆様、ご判断下さい。「Z」「戒厳令」「告白」といった初期監督作に比べればわかりやすい+初見時の衝撃=高校生の自分に与えたインパクトを考えて+1点追加。TSUTAYAでも紀伊国屋書店でもジュネス企画でもどこでもいいから、ちゃんとソフト化してください。お願いだから。【2021年追記:とレビューを書いてはや3年。この度TSUTAYAの「良品発掘コーナー」にて待望のDVD化。この調子で「Z」「戒厳令」「告白」のDVDレンタル化も、宜しくおねがいしま~す】
[映画館(字幕)] 8点(2018-04-12 00:39:46)
17.  フープ・ドリームス 《ネタバレ》 
貧民街の黒人少年二人が才能を見込まれてバスケットの名門高校に入学し、自分達の夢=NBA入団→「フープ・ドリームス」を叶えるべく努力する姿を4年間にわたって記録したドキュメンタリー。なのだがこれは「井の中の蛙が大海を知ってしまう」残酷さが描かれている。才能あった少年ウィリアムは怪我でひざの手術をし周りとついていけなくなったあげく、ガールフレンドが自分の子供を出産した事で心が折れてしまう。もう一人の少年アーサーは才能が花開かないまま奨学金のバックアップが足りなくなってしまい、名門高校を退学。公立高校に再入学し目標であったトーナメントには出場出来たが名門大学に進学できるかはわからない。日本でいうところの「野心/ハングリー」という言葉の意味合いが諸外国ではまったく違う、重いのだという感慨を初見時の私は感じたものでした。あれから20年の時が経ちますが貧困から脱する為の「スポーツ」の意味はますますもって増大しつつあります。そしてマニー・パッキャオやレブロン・ジェームス、リオネル・メッシの下には何千何百万人のウィリアムやアーサーがいるのだと考えさせられました。DVDは廃盤ですが、Netflixとかでは視聴可能のはず...多分。少々上映時間長いけど機会があれば。
[映画館(字幕)] 8点(2016-08-01 17:29:13)
18.  旅情(1955) 《ネタバレ》 
いきなり暴言から始まる事をお許し願いたいのだが、私はこの映画におけるロッサノ・ブラッツィの役柄が大嫌いだ。不仲であるとは言いながら妻帯者、でもって「ビフテキが食べたくてもお腹が空いてたらラビオリを食べなさい」ってそこまで自分の下半身に忠実になってどうするねん!そこにマイナス点を入れる事にした。…ところがそれ以外は本当に名作。ベニスの街を映し出すショットの見事さ=主人公ジェーンにとっての「夢の世界」であったんだな、という点に物凄い説得力を感じてしまうし、小道具の使い方/カメラやくちなしの花などは印象深い。何より当時47歳のヘップバーンがアラフォーのハイミスを演じてしまって全く違和感を感じさせない、その存在感(恋へのよろめき・揺らめきを感じる)・演技力の素晴らしさは今の映画界には不在なのだなぁと思う。そして監督リーンの作品がやっぱり自分にとって一番映画が「総合芸術」だと感じさせる。多少の贔屓目がどうしてもついてしまうのでこの点数。【(2018年9月追記):上の方のレビューを拝見し、カトリック教会そして信者の、離婚に関する考え感覚に付いて私失念しておりました。何とも恥ずかしい限り...とはいえやっぱりロッサノ・ブラッティの役柄は苦手なのでこのままに。日々これ、勉強ですな。】
[映画館(字幕)] 8点(2016-05-09 13:44:00)
19.  ご冗談でショ 《ネタバレ》 
マルクス兄弟の、世の中の常識や権威主義に対し痛烈な皮肉をもって対応するこのスタイル(植草甚一先生曰く「シュールレアルな喜劇の出発」)、現在の風刺劇やコメディに多大な影響を与えているのは間違いありません。ただ字幕から情報を得なければならない我々にはチコやハーポのボードヴィル芸はともかく、グルーチョの風刺がわかりづらいのが難点。という訳でソフト会社は格安ビデオを販売するだけでなく、ちゃんとした解説書を付け加えてだしましょう。…話がそれました。なんといってもこの作品の白眉は大学教授グルーチョがヒロインと陽光下、アヒル池で舟遊びをしている際に歌う「Everyone Says I Love You」。ウディ・アレンがオマージュとして取り上げるのもむべなるかな、というほどの幸せに満ちてます。ま、最後はヒロインを池に叩き落とした挙句、浮き輪を求める彼女に対してトローチを投げつけるという期待通りの行動を見せつけますが。ボードヴィル時代の作風をそのまま踏襲している「ココナッツ(29)」「けだもの組合(30)」「いんちき商売(31)」と比べ、比較的屋外撮影を多用するようになったこの作品の名声こそが、彼らにとって三弾飛びで言う「ステップ(ジャンプはもちろん「吾輩はカモである(33)」)」的成果を遂げた作品なのでしょう。多少甘目なのですがこのシーンで+1点。 
[ビデオ(字幕)] 8点(2013-11-04 15:20:49)
20.  パシフィック・リム 《ネタバレ》 
という訳で「ジャイアントロボ」「ジャンボーグA」「大鉄人17」が好きだった40過ぎのおっさんが遅ればせながら見てきましたよ。全米BOX OFFICEでも最高はたしか3位、日本でも飛行機映画に押されっぱなしで興行的には失敗の類に入るかもしれないが、この映画にレビューを書きいれた皆様と同様私も声を大にして言いたい。これは絶対に劇場で見るべき作品であり、昔TVの前に座りアドレナリンを出しまくりながら特撮ヒーロー物を鑑賞していた幼少時への回帰体験に他ならない。ラストへの帰結(バトルシーンの深海への移行/また核兵器かい)だけが不満だがイェーガーのガタピシ感や必殺技のオンパレードに胸アツ。敵役を「UMA(未確認動物)」といったチンケな表記にせず「KAIJU」で通した事、ラストのレイ・ハリーハウゼンや本多猪四郎への敬意も含めて日本人が喜ぶようなツボ(何せ「スパイダーマン」までロボットアクション化してしまった国民だし)をこれでもかと示した監督ギレルモ・デル・トロには本当に感謝。昔スクリーンで「燃えよドラゴン」「大脱走」等を見て感じた幸せがよみがえってしまったよ、本当に。今度は吹き替えで見てこよ~っと。  
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-26 11:46:06)(良:1票)
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