1. ハリー・ポッターと秘密の部屋
原作未読です。が、ハリーがカッコ悪い。これはかなり致命的です。で、どうしてハリーが魅力的に見えないかと考えるに、全体の構造が勧善懲悪だからなのでしょう。ハリーには影がない。完全無欠の「選ばれた人」であって、その点で「穢れた血」という背景を持ちながらも、けなげな努力家であるハーマイオニーや、ボンクラながらも勇気のあるロンよりも人物的な魅力がない。また、ハリーはホグワーツの外では養父にすら頭の上がらない(あるいは上げない)小利口な態度をとるのに、自分を無条件に認めてくれる学院では人が変わったように活躍する。…内弁慶は格好良くないと思うのです。しかもそのことについて彼は自覚がない。いくら子供向けだといってもこれはちょっと…。あと、最後のシーンはそれまでに森の番人が校内の人気者であることを十分に描写しておかないと、とってつけたみたいでいただけません。ほかにもちらほらとちぐはぐな印象を受ける個所があります。原作か、あるいはシナリオに問題があるのでしょう。しかしながら、とにもかくにも学院のセットだけは圧巻。 4点(2004-06-29 01:11:44)(良:1票) |
2. 8mm
《ネタバレ》 弁護士が黒幕側として出てくるまでは、猟奇的なテイストと、事の真相を引っ張っていることとで楽しめました。が、中盤から後半にかけて失速します。そもそも弁護士もぐるだったというのはちょっと安易すぎはしないでしょうか。ここはもうちょっと捻ってほしいところです。その後の展開も家族とのぼやけたようなドラマがあったり、ボスキャラ(?)である覆面の男がただの殺人淫楽症だったりと魅力薄。トムが殺人にいたる動機付けも十分に描き出されているとは言いがたいですし…。 5点(2004-06-06 22:54:53)(良:1票) |
3. コールド・フィーバー
なんと表現したら良いのか分からない。でも、とても幻想的で叙情的。 7点(2004-05-18 16:00:10) |
4. 王は踊る
全体に掘り下げが少なく、何を描き出したかったのかが良くわかりません。単純にリュリについて語りたかったということも考えられますが、とりたてて作品とするほどドラマティックな人生とも言えないような気もしますし…。もう一時間ほどかけて、ゆっくりと見せたほうが良かったんじゃないでしょうか?映像はフランスが歴史的に絶頂の時期にあった当時の豪奢な雰囲気が漂っていて、大変綺麗でしたが。 5点(2004-05-05 15:20:58) |
5. ズーランダー
「さあ、笑うぞ」と構えて見なければ、楽しめるのではないかと思います。これからはリラックスを聞くたび、ベン・スティラーの決め顔を思い出すんだろうなあ。それにしてもD・ボウイは若いですね。 5点(2004-04-20 21:16:32) |
6. ボウリング・フォー・コロンバイン
《ネタバレ》 ガツンとやられた、というのが正直な感想でしょうか。アメリカ=銃社会、という既成概念を持っていた私には、カナダも同様の銃社会であるという事実は衝撃的なものでした。それでも銃による犯罪は件数はアメリカに比べてずっとずっと少ない。劇中ではアメリカとカナダとの違いは社会的弱者に対する政府等の公的組織の対応の仕方であり、貧富の差に原因があるのではないかというしさにとどめられています。決してRNAが諸悪の根源というわけではないらしい。(かといって、良いものとも思えませんが……)翻って、我らが日本も銃犯罪の少ない国としてサンプルとして挙げられていました。では、日本では社会的弱者に対するケアがカナダほど行き届いているかといえば、そんなことはない。また、アメリカ同様政治と企業との癒着なんてみんなが気づいている。パワーエリートはこの国にも確実に存在する。では、答えはどこにあるのか?それはおそらく公害のようにわれわれを取り囲んでいるのに目には見えず、いまだ顕在化していないものなのでしょう。すなわち、本作でそういったものを浮き彫りにしていったM・ムーア自身も言っているよう不透明な関連性にとどまっており、結局はコロンバインのボーリングなのだろう。など、いろいろ考えさせられます。私自身は情けないことに嫌米(恐らく、これもメディアによって作り出されたイメージでしかないでしょう)ですが、こういった作品を作れるかの国の懐の深さは素晴らしい。そして非常に面白かった。 9点(2004-03-10 02:49:26) |