1. 全部ゲームのせい
《ネタバレ》 何だか冒頭から波長が合わないというか…思えばドイツのコメディ作品て観たことがあったっけか?そもそも少なめのドイツ発コメディ作品。ドイツ映画と言うと社会派ドラマであれアクションであれホラーであれ、硬派で重厚な作品ばかりが思い浮かび、「コメディあったの?」と言うぐらいに記憶が曖昧です。多分、ほぼ観ていないと思います。 台詞も仕草も肝心のストーリー展開も、何かこうスッと入って来ないのです。独特の雰囲気と流れがあって、一つひとつのギャグと言うかジョークと言うか、それがどうして可笑しいのか解るには解るんだけれど素直に笑いに結び付かない感じ。これはもう感性に合わないとしか言いようがないです。 当然の如く登場人物に全く感情移入出来ず、観終わってしまえば最新の六角形ラケットを手にした全裸卓球だけが記憶に残っている状況。 決して面白くないのではないと思うのです。ただ、自分には合わない。あ、それって面白くないってことですね。3点献上です。 [インターネット(字幕)] 3点(2024-10-21 22:23:09) |
2. カット/オフ
《ネタバレ》 本邦の2時間TVドラマを思わせる思いっきりストーリーが絡み合う物語。てか、それを凌ぐ程に何が偶然で何が必然か訳が解らなくなりそうに強引に絡み合わされた物語。「これって要る?」とか「思いっきりミスリードじゃん!」と思われる展開も少なからずあり、もう少しコンパクトに出来たようにも思えてしまいます。 とは言え、2時間超の作品をさして中だるむこともなく一気に突っ走らせてくれたので、不平不満を述べたくなりつつも正直退屈することなく楽しんでしまいました。 かなりリアルな解剖シーンは観る者を大いに選ぶところでしょうけれど、スプラッターがあまり得意ではない私でも「よく作り込んでるな~」と感心しつつ概ね不快になることもなく観ていられました。生きている者が切り刻まれるのはダメなのに、死んでいる者が切り刻まれるのは大丈夫、というのもある意味不道徳かなとも思えますが。 結局、瞬間湯沸かし器的で父親としても少々難ありの検視官が、部外者でも素人でも何でも利用して正義というより愛娘のために暴走するお話といったところでしょうか。最後の最後まで予定調和とお約束感満載で、消化不良で引っかかる部分は多々あるものの、ある意味安心して楽しめる1本でした。(作品の盛り込み過ぎに釣られて混乱気味のレビューで失礼しました) [インターネット(字幕)] 6点(2024-08-29 11:17:14) |
3. ガンパウダー・ミルクシェイク
《ネタバレ》 これはハマりました。個人的にはコメディとして鑑賞。だって強過ぎるし殺し過ぎるしお約束の大行列だし。理屈は要らないですね。楽しけりゃいい!という作品でした。 ストーリーはストーリーと呼ぶべきなのか微妙なぐらい意外性なし。何回観ただろうかと思えてしまうぐらいの鉄板的物語。ただし、随所に盛り込まれている小ネタや小技やウィットに富んだ掛け合い。アイディア満載の演出にはただただ納得。 登場する女性たちの個性際立つ魅力からは目が離せないし、都合の良い時だけ子役的に使われてる子役の魅力も最高。要塞的図書館の中では飛び道具を手放して戦いつつ、最終決戦では只管ぶっ放すばかりの戦法なんて無茶苦茶過ぎてもう堪りません。マデリンは死なせないで欲しかったけど。 ラスト。サムはネイサンを撃つ気はなかったんだろうな。どうのこうの言っても運命共同体と言うか腐れ縁と言うか。脅しのようでいて脅しになっていないような台詞。 兎にも角にも手放しで楽しめたので満点!と言いたいところですが、自分のレビューの過去満点献上作品とのバランスなんてことを気にしてしまい、優柔不断ながら9点献上します。あ~面白かった♪ [インターネット(字幕)] 9点(2024-08-23 11:19:22)(良:1票) |
4. ありふれた教室
《ネタバレ》 非常に考えさせられる作品でした。 不寛容方式という御旗の下に生徒たちを厳しく指導する学校。また、盗難事件の犯人捜しにおいては平然と移民の子を疑う。そして、冤罪であることが判っても反省や謝罪はなく正当性を大上段から主張する。校内はルールによって秩序を保っているのだから。つまりは社会の縮図。 正義感が強く生徒に寄り添う姿勢の新任教師は、その正義感故に隠し撮りという行為に走ってしまった結果、窮地に追い込まれてしまう。生徒たちのための正しい行為だった筈が生徒からも保護者からも同僚からも糾弾される立場に。 言うまでもなく犯人捜しの映画では決してありません。ヒロインは正義感から隠し撮りをしたものの結果的には犯人捜しを行ったのと同様になってしまいますが、この場合の犯人捜しが齎したものは犯人の確定ではなく、校内に燻っていた半ば破綻している人間関係の露呈。 ヒロインは立場は違いながらも同じく窮地に追い込まれていた生徒と心の交流を果たすことが出来たのでしょう。しかし、その生徒は学校から、そして社会からも隔絶されたままに連れ去られていく。そこには何ひとつ解決と呼べるものはありません。 何気なく過ごしている日々が内包している本質的な悪意のようなものを感じずにはいられない作品でした。 ちなみに、邦題は「教室」ですが原題は「職員室」ですね。なぜ視点を変えて名付けたのか?しかも「ありふれた」?少々疑問というか疑義が残りました。 (追記)書き忘れていたことが一つ。エンドロールで流れるオーケストラの調べ。如何にも独作品という雰囲気の荘厳さを感じましたが、「真夏の夜の夢 序曲」だということを帰宅後にネットで知りました。思えば作品の冒頭でもオーケストラの調律のようなBGMが静かに流れていました。調律だったのか「真夏の夜の夢」の序盤だったのか、改めて聴いてみたいところです。(クラシックに疎い自分が悔しい) ネットで他の方が書いていらっしゃいますが、「調律音→完成された楽曲」で物語を表しているのでしょうか?だとしたら、エンディングはいま一つしっくり来ない気がします。もう一度鑑賞せねば。 [映画館(字幕)] 9点(2024-06-29 18:07:21) |
5. オールドピープル
《ネタバレ》 高齢化が進む中で高齢者が行き場を失ってしまう問題をテーマにした社会派ホラーなのかな?と思いつつ鑑賞しましたが、どうも違うようですね。 子どもが大人を襲う、という作品は過去にありましたが、これはシンプルにその逆バージョン。ただし、年端のいかない弱者である子どもたちが理不尽な大人を襲うことに対して、豊富な人生経験を積んできた高齢者が「お前らは何も苦労していないくせに!」みたいな論理をもって若年者を襲うというのは相当意味が違うような気がします。 確かに介護者が不足して劣悪な環境の中で施設に閉じ込められている高齢者が社会全体に激しい怒りを抱く、というのは解らないことはないのですが、だからと言ってまず手始めに介護者を殺戮するというのはどうにも道理が通らない訳で、テーマ性自体に疑いを持たざるを得ないところです。(冒頭殺されてしまう訪問看護の女性なんて可哀そう以外の何物でもありません。あんなに可愛いのに。) 一方、襲われる方もゾンビ相手じゃないんだから無慈悲すぎる殺戮のような気もします。ボスキャラはそれ相応に憎悪すべき相手ではあるし、ガラス片を手に大挙して押し寄せる者には配慮のしようもありませんが、いきなり高齢者だからというだけで手にかけてしまっているパターンもあったような…。 施設や古家で寂し気に辛そうに暮らす高齢者と、幸せな結婚を祝う陽気で何一つ不自由などないように見える若年者を対比して、起きるべくして起きた高齢者の狂気の反乱みたいな描き方に何かスッキリしない違和感が残る物語。最後の最後に言い訳じみたコメントが入るのも逆効果でした。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-06-06 14:59:37) |
6. エスター
《ネタバレ》 観よう観ようと思いつつも微妙な尺の作品なので、鑑賞作品(ホラー系)を選ぶ度に手頃な尺の作品を観てしまっていた私。それもこれも本作が「ホラー」であると認識していたからで、今回やっと意を決して?観てみれば一番の感想は「ホラーじゃないじゃん!」でした。確かにWikiとかでホラーの定義を参照すれば本作は紛れもないホラー映画なんでしょうけれど、あくまでも個人的カテゴライズでは「サイコサスペンス」なんです。もっとも、「ホラー」「サスペンス」「スリラー」の境界なんてものは元々無いに等しいような気もしますが。 などと意味のない拘りで書き始めてしまいましたが、「ホラーじゃないじゃん!」の趣旨は「恐くないじゃん!」でして、それは決して「つまらないじゃん!」ではありません。実に楽しく鑑賞出来ました。これだけの有名作ながらネタバレ記事を回避し続けて来たことも功を奏したようで、肝心要の種明かしは今回の鑑賞で初見でした。 斬新なアイディアとは言えないでしょう。しかし、それを巧みに包み隠しつつしっかり伏線は張る。そして見事にその演出を生かし切ったイザベルさんの怪演。称賛されて然るべき出来栄えだと思います。 子どもの持つコワさを見せつつ、実は本当にコワいのは大人というお話。登場する子どもたちは皆子ども然としています。子どものコワさは無邪気にも通じるある種の清らかさであって、大人の濁り切って垢まみれのコワさとは本質的に違うもの。エスターのコワさが子どものソレから大人のソレに転じる流れが素晴らしかった。 少々しつこいような演出や多くの皆さんが指摘しているラストシーンの良し悪し等々、気になるところは少なからずありますが、約2時間飽きることなく楽しませてくれた作品にほぼ8点の7点献上します。 ちなみに、少々変化球気味の原題よりもさりげない邦題の方が良いかと思います。原題は、せめて不定冠詞を付けて欲しいところです。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-05-13 11:24:27)(良:2票) |
7. ブラッド・レッド・スカイ
《ネタバレ》 旅客機と言う閉鎖空間。凶悪で狂暴なハイジャック犯。早々にあぶり出され始末されてしまう航空警察。逃げ場もなければ闘うことも出来ない乗員・乗客。我が子を案ずる病弱な母親までもが躊躇うことなく射殺されてしまう。しかし、その母親には秘められた特殊な能力が備わっていた。彼女は不死身だったのだ。何故ならヴァンパイアだから。 いいですね。シチュエーションが大変魅力的。乗客の中にセガールさんやブルースさんのような超人的戦闘マシンがいて犯人たちを壊滅させる物語でもなく、機内で感染爆発が起きて絶望的な状況に陥るものの特異体質の乗客が感染することなく危機を救う物語でもなく、ギリギリ自己制御可能なヴァンパイアと機知に富んだ幼い息子が活躍する物語というのは新鮮でした。 しかも、犯行グループ抹殺のみならず、乗員・乗客で最終的に助かるのは善意のイスラム教徒と幼い子どもだけという絶望的なエンディングにもビックリ。あたかもハッピーエンドの如く迎えるエンディングながら、考えてみれば墜落事故に匹敵するとんでもない悲劇。踏み込んだ特殊部隊までもが全員犠牲になってしまうとは。 我が子の為ならどんなにでも狂暴になる母親ナディアのヴァンパイアっぷり、知性に溢れた愛息エリアスの冷静な判断力、テロリストに仕立て上げられ重傷を負いつつも勇敢に振舞うイスラム系男性のファリード。出演する人物も魅力的です。アメリカとドイツとの合作とはなっていますが、ハリウッド製のパニック・ホラーとはひと味もふた味も違う魅力を感じた佳作でした。 強いて言うなら、ヴァンパイアに咬まれた者がヴァンパイアに変わる様がかなりゾンビ映画的なあたりは、ヴァンパイアものがお好きな方には違和感があるかも知れませんね。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-12-25 11:22:08) |
8. ロスト・ボディ~消失~(2020)
《ネタバレ》 大雨の中、ちょっと問題ありな感じの女の子がいきなりクルマに乗せろと言って来る。優しい主人公は逡巡の挙句乗せてしまう。その優しさがアダになり、主人公は彼女に苦しまされ続ける羽目に。 彼女の言動や行動がいちいちウザったい。なんで主人公は強い意志を持って関りを拒否しないのか?いや拒否はするんだけれど結局押し切られてしまう。それがまたウザったい。 見事にハメられてしまいました。ストーカーまがいの彼女に対する反感を煽られていたと思ったら、結局感情移入してしまっていた主人公こそが悪だったという展開。ラスト近くまで解らなかったです。 内なる敵の物語。否、本作の場合には生まれることを許されなかった子の亡霊のようにも描かれています。しかも、最後の最後には主人公が内なる敵に勝ったのかの如く描かれています。心の奥底の闇を払拭したのか?あるいはぬぐい切れない罪悪感や後悔の念を克服してしまったのか? ダークファンタジー風味のサイコサスペンスの佳作。上から下に流れるエンドロールが印象的でした。 ちなみに、タイトルは原題の方が秀逸だと思います。邦題はちょっと主題から外れているように感じてしまう。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-07-31 22:05:07) |
9. アフリカン・カンフー・ナチス
《ネタバレ》 基本構想の奇抜さまでは良かった?かも知れませんが、そこで終わってしまった典型と言って良いのかも知れません。 なぜガーナなのか? なぜカンフーなのか? なぜハーケンクロイツじゃなくて卍なのか? なぜ関西弁の字幕、吹替えなのか? そもそもなぜヒトラーと東条英機なのか? 謎が謎呼びまるで意味不明。 主演の彼はガーナの俳優さんなのでしょうか?彼だけは演技がしっかりしているように思えます。 カンフーアクションも(主なキャストは)意外な程ちゃんとしているように見えます。 出来栄えはともかくとしてグロネタ、小ネタも適度に差し込まれてて退屈しそうでしません。尺もちょうど良いですし。 罪もない犠牲者多数の結構悲惨な物語なのに、観終わってみれば妙にほのぼのしてます。おおらかこの上ない。 いや~、製作者さんに失礼承知で言わせていただければ「これぞ珍品!」 個人的にはヒトラー&東条という基本設定がなければそこそこ楽しめたと思います。が、その設定はどうにも受け入れられませんでした。なので2点献上です。 (追記)ガジェット通信さんの監督インタビューを読み、少し謎部分が理解出来ました。+1点献上します。 https://getnews.jp/archives/3033160/gate [インターネット(字幕)] 3点(2023-03-23 15:28:10) |
10. 譫妄(TVM)
《ネタバレ》 ヒロインの精神科医と容疑者の関係には、ハンニバルシリーズのクラリスとレクターの関係を連想させるものがあります。ただし、こちらの二人はともに精神に脆弱さを抱えていて、いつ崩壊してしまうのだろうかという不安定さを常に伴っています。 尺の短さ故か、カーラのトラウマとなっている幼少期の出来事や、スパンガーの連続犯罪の実態は具体的には描かれていませんが、物語の流れと展開の中で朧気ながら浮かんできます。この辺りは脚本の妙なのかも。 落ち着いた重厚な雰囲気が如何にもドイツ映画(オーストリア合作ですが)という味わいで、これがTVMと思うと我が国のTVMにももっと期待したくなります。 ただ、愛娘を軟禁している経過(地下室の必要性あるのかしら?)や、肝心のオチの部分(それって何かしらの罪に問われるんじゃないかと)など、結構な「?」が残ってしまい、消化不良は否めません。 なので、思わぬ佳作との出逢い、と思いつつも6点献上止まりです。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-12-12 23:39:31) |
11. ANON アノン
《ネタバレ》 作品のテーマとも展開とも全く関係ないのですが、いきなり主人公が煙草に火をつけるのを見て萎えてしまいました。高度な科学技術によって人間の記憶までが一括管理されている未来社会において、公共の場の喫煙て有り得ないのでは?てか、そもそも喫煙文化が存続してる訳ないのでは? 道路事情も変です。なぜバカでかいセダンばっかり走っているのか?どう見ても大排気量のガソリン車。そりゃおかしいですって。 殺人事件の被害者にカミングアウトしていないレズビアンのカップルが出て来ますが、どうやって関係を隠して来たのか?だいたいからして、後から出て来る男女のセックスシーンも同様ですが、全ての記憶を管理されているのに堂々と出来ます?公衆の面前で営んでいるようなものですって。あぁ恥ずかしい。 そもそもここで行われている記憶の操作とかは、ほぼ超能力の世界。これがあくまでも現実世界のことならば。「マトリックス」の世界みたいな状況だったら話は違いますが、生身の人間に出来る技じゃないでしょう。 どうもアイディア先行で製作決定したものの、ストーリー自体に厚みを持たせられずにツギハギ的になってしまったように思えてしまいます。 いきなりヒロインの全裸が出て、その流れで彼女と刑事さんが良い感じになっちゃってみたいな軽さもマイナス点かな? 期待して観始めただけに、余計に残念な仕上がりでした。 [インターネット(字幕)] 4点(2022-12-02 21:45:40) |
12. ザ・ドア 交差する世界
《ネタバレ》 タイムリープもののようでいてパラレルワールドもののようでもある。宗教色のある実は死んでました系とも受け取れるし、単純に夢物語とも思えます。SFなのかサスペンスホラーなのかヒューマンドラマなのか?シンプルながら難解さを纏った佳作ですね。 自分的には、パラレルワールドの存在を通して、結局は失ったものを取り戻すことは出来ない、与えられた運命の中でもがき苦しみながら生きるしかないのだ、といったテーマと受け止めました。 この場合のパラレルワールドは、意識下のものではなくあくまでも実在する位置付け。なので矛盾(と思い込んでしまった状況)の排除は避けられないのですね。もう一人の自分を殺しても時間軸は元々ずれているから未来に何一つ影響しない。もっとも、本来的には連続性のない異なる世界ですから、仮令二人の自分が存在しても何一つ問題はないのでしょうけれど。 いろいろと解釈が可能で、観終わった後振り返って反芻できる。こういう作品は大好物なので9点献上です。 ちなみに、邦題の副題「交差する世界」については、パラレルワールドが交差しているとは思えないので不要と感じました。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-11-01 10:47:32)(良:2票) |
13. 湿地
《ネタバレ》 アイスランドが舞台の作品は珍しいと思うのですが、この色調、この空気感、北欧の映画に通じるものがありますね。重く寒々しくBGMとも相まって只管に不安を煽られます。 主人公の刑事(名前が難し過ぎます)は、映画に登場するベテラン刑事あるあるの気難しく陰気なタイプ。そのくせさり気なく優しさも身に着けている。この刑事をメインキャラに据えたシリーズものの映画化なのですね。 ストーリーは一見バラバラに感じるファクターが、神経線維腫症という難病をキーに次第に収斂していくというもので、流石原作がベストセラーというだけあって、短めの尺の中で特に破綻することもなければ難解になり過ぎることもなくスッキリと纏め上げられていると思います。 個人的には、この物語は小説で読む方がずっと面白いだろうと思いました。映像として鑑賞するよりも、小説として自らの脳内でイメージを膨らませて読み込んだ方が、ハラハラドキドキの連続のような気がします。可視化しないことで、犯人は誰だかクライマックスまで分からないという推理作品ならではの楽しみ方が出来るような気がします。 ドライブスルーで羊の頭が買えることとか、いざ実食となると目玉からいっちゃうとか、アイスランドの人々の珍しい生活ぶりも分かったりして、トンデモなく重苦しいテーマにも拘らず興味深く一気観出来た作品でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-10-07 23:40:27) |
14. ガンズ・アキンボ
《ネタバレ》 凶悪でダークな世界に、二丁の拳銃を両手に取り付けられてある日突然送り込まれた戦闘能力ほぼゼロのダメ男。拳銃をボルトオンされているから食事も出来なきゃトイレにも行けない。可笑しいやら悲しいやら痛々しいやら、しかもそれを演じるのがダニエル・ラドグリフさんとなるとこりゃ笑うっきゃない?「スイスアーミーマン」の時も衝撃を受けましたが、この人はこの手の常識ハズレな役が大好きなんでしょうね。 マイルズがニックスと闘うところまではダメ男パワー炸裂のブラックなコメディと言ったところですが、ニックスの過去が描かれやがて二人が共闘する流れの中でしっかりヒューマンドラマ的要素が込められているのが、予定調和と言えばそうかも知れませんが好感を持てるところ。決して諸手を挙げてのハッピーエンドではないものの、ラストはきっちり納まるところに納まってくれて後味は良いですね。 設定から展開まで結構観る人を選ぶ作品ではありますが、自分的には思いっきりハマりましたので9点献上します。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-09-11 11:08:32) |
15. 熟れた快楽
《ネタバレ》 信仰に疑念を抱き人生に悩み苦しむ熟年の主婦、妻の苦しみを自らの事として受け入れることはせず只管に妻を所有したがるだけの夫、性犯罪者の心理を追求するうちに倒錯した性の虜になってしまった脳科学者。物語はこの三人だけによって展開していくという舞台劇的な作品です。 邦題は大いに的外れ。メインテーマは「愛」もしくは「心の解放」そして原題どおり「新たなる至福」と受け止めました。ですから、手段としての性行為やポルノといったパーツは散りばめられてはいますが、R指定であることはあまり意識せずに鑑賞出来る奥深い作品だと思います。 悩み苦しんでいたヒロインが、第三者に救われていくのではなく自らの強さで新たな世界に踏み出して行く。その結果として、少なからず問題を抱えた二人の男が救われていく。(夫の方は救われていないかも知れませんが)彼女は、信仰によってでも科学によってでもなく、彼女自身の生きる強さによってこそ救われたということなのでしょうね。 思いがけず出逢えた佳作に7点献上です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-02-11 13:49:25) |
16. アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲
《ネタバレ》 前作については、馬鹿馬鹿しい中にも社会に向けられた鋭い視線を感じて高評価しましたが、これは全くの別物と受け止めました。前作の作品世界を踏襲しつつギャグやパロディを次々に繰り出して来るものの、ことごとく滑ってしまう。個人的に感性が合わないだけかもしれませんが正直なところ殆ど笑えませんでした。前作をSF社会派コメディとすれば、今作はSFドタバタコメディといったところでしょうか。そもそも、人類の起源は地球外知的生命体であり、彼らが創造主というところに話を持っていったところで、前作はもうどうでもよくなってしまった感がします。前作製作時に思い付いていたけれどボツになったネタをここぞとばかりに詰め込んだような印象で、無理無理続編にしなくても、新作として製作した方が良かったような気がします。さらに、ラストシーンで次回作ありな感じが見え見えなところからも、余計に印象が悪くなってしまいました。邦題もイマイチしっくり来ません。どのあたりが逆襲なんだか?もっとも、原題も良く解りませんが。 という訳で、続編ということを脇に置いた上での3点献上です。 [インターネット(字幕)] 3点(2021-12-07 23:45:38)(良:1票) |
17. 帰ってきたヒトラー
《ネタバレ》 強烈な風刺劇ですね。タブーと禁句の地雷を潜り抜け、よくぞ製作&上映出来たものだと思います。主演のオリバー・マスッチさんは、ヒトラー役のリアリティを追及するために抜擢された舞台俳優さんということですが、顔立ち風貌と言うより、語り口と存在感がまるで本物かと思わせるぐらいの完成度じゃないでしょうか。現代の問題点や政治の望ましい在り方を訴える彼の言葉の数々には、気を抜くと頭から信じて支持派になってしまいそうな説得力を感じます。作り手は、決してヒトラーの存在と主張を肯定していないであろうにも関わらず、あたかも彼の主義主張を世界に向けて肯定的に発信しているかのような錯覚に陥ります。それも、すべて脚本の妙と主演俳優の力量に依るものだと思います。これはコメディ?いや単純に笑えるものではないですね。劇中のヒトラーの言葉と、彼に関わる周囲の人々の振る舞いとその変化を通じて、現代社会が解決すべき問題点について投げかけている優れた風刺劇と受け止めました。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-11-25 23:32:41)(良:2票) |
18. アウトランダー
《ネタバレ》 予備知識ゼロの状態で鑑賞。始めは、未来の地球の宇宙船が事故の衝撃でタイムスリップしたのかと思っていましたが、話が進むにつれ状況を理解。 スピーディな展開は退屈こそしないまでも、現地の言葉を自由に操ること以外、主人公が高度な文明を持つ星から飛来した知的生命体であることの必然性が見出せず(武器は早々に失ってしまうし、最新鋭の武器なしでも強過ぎるし)、人喰い怪獣とて元々現地に生息していた伝説の魔獣という位置付けでも良いような気がしてならず(事実、最初はそう思ってました)、SF作品であることは回想シーンとエンディング以外、意識することなく鑑賞可能。 俳優陣も渋く揃えてますし、多少の既視感を伴ったりお約束の展開が連続したりするものの、クリーチャー系のアクション映画として視覚的には十分に楽しめます。ですが、SF作品としての設定が殆ど生かされていないことがただただ残念。 あと少しだけ工夫してくれれば、かなりの高得点を献上出来る作品だと思うのですが、どうにも残念な6点献上です。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-03-31 14:16:34) |
19. スタング
《ネタバレ》 これぞB級・C級モンスターパニックとでも言うべき、単純明快かつ荒唐無稽な作品。なんと言っても、子犬が掘っただけの穴から、いきなり飛び出す大量のハチ。(多分スズメバチ)オードブルの肉料理なんかアッと言う間に平らげてしまう。刺された人間には卵を産み付け(女王蜂の支配下にある雌が産卵するのかどうかは知りませんが)、卵はあっという間に宿主を内側から平らげ大成長。人体内部にさっきまで居たのに、出た瞬間には人体より巨大化するという逞しさ。大邸宅は破壊され女王蜂(?)は屋根の上で高見の見物。こりゃ手に負えませんて。巨大化の種明かしは園芸用素人合成化学肥料?じゃ、他の虫たちもヤバいじゃん。あ、食物連鎖でスズメバチが既に駆逐しちゃったのかな? 命からがら逃げ延びた主役の二人の運命は、エンディングでのドンデン返し(ありがちかも)から推しはかるしかありませんが、ま、到底無事とは思えません。てか、人類の危機かも。シリーズ化出来ますよね。予定はあるんでしょうか? TVシリーズ「ミレニアム」でファンになったランス・ヘンリクセンさん(すっかりご高齢になられましたが存在感は変わりませんね)が、まずまず重要な役で出演していることで、若干甘めの6点献上です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-29 23:46:07) |
20. ZMフォース ゾンビ虐殺部隊
《ネタバレ》 ストーリーの背景はゲームを原作にしたあの大ヒット作品に類似。ただし、こちらはかなり雑。何故ルーマニアの田舎町なのか?何故都合よくそこに原発があるのか?米軍は秘密裏に町全体の抹殺を図るべく精鋭部隊を送り込むのだが、精鋭たちはあっさり軍に騙されて利用されただけ。主人公を始めとして人物描写は結構頑張ってるけれど、百戦錬磨の精鋭の割にショボい。そのうち一人はどう見ても日本人じゃないお姉さんが日本人という謎の設定。挙句の果てに終盤に合流する民間人が大活躍。時間設定もかなり雑。タイムリミットが意味をなしていない。そして、ラスボス登場は予定調和か?とは言え、そこそこ見入ってしまったので3点献上。決して極端につまらないわけではないのだけれど、兎にも角にも雑な一本でした。あ、お子さんと一緒に視聴する際には、残虐シーン以外にもエンディングのサービスカットにご注意を! [CS・衛星(字幕)] 3点(2019-01-14 02:20:24) |