1. ルートヴィヒ(1972)
異才ルキーノ・ヴィスコンティの遺作(確か?)。「ベニスに死す」を絶賛し,ほとんどマーラーそのもののような性格の主人公に共感し,感情移入してきた人たちにとって,柄がでかいぶん散漫な印象を与えたであろうことが,容易に想像できる。しかし,ドイツ統一という時代の大波に翻弄されつつも,自我を通し悲惨な末路をたどるバイエルン王ルートヴィヒ2世の生涯は,当時既に時代遅れであった絢爛たる様式美に溢れている。中世への憧憬と決して満たされることのない心の空洞と。豪華絢爛たる時代錯誤的19世紀末南独逸王侯物語。大河のうねりのように息の長いワーグナーの楽曲が,ヴィスコンティとルートヴィヒの人生の黄昏を鮮やかに彩っている。 8点(2002-01-18 22:17:37) |
2. O嬢の物語
なる程,↓お二人のご意見,大変説得力に満ちた内容で感心いたしました。異常性欲を純愛に昇華させることにそもそも無理があるので,私のように良からぬ興味本位で見た奴等は満足する訳がないのでしょう。 4点(2001-12-31 20:30:53) |
3. ネバーエンディング・ストーリー
とても上質なファンタジーだと思います。因みにこれをスピルバーグの作品と思っていた人が結構大勢いたそうです。ペーターゼン監督は「Uボート」や「エアフォース・ワン」で有名になりましたが,今から15年以上前にこんな素敵な作品を撮っていたのですね。音楽の良さも特筆もの。サウンドトラックのCDでは後半にクラウス・ドルディンガーの曲が集まっています。お薦めは勿論「バスティアンの飛行」とラストシーンの同じモチーフを使った「ハッピーフライト」ですが,リマールの歌うテーマ等の入った前半も含めて,名曲と言えるものばかりです。 9点(2001-09-23 14:33:33) |
4. 眼下の敵
海の男同士の手に汗握る死闘である。戦争という人類最大の犯罪行為に対して,褒め称えるつもりは全くないが,死力をつくして戦い抜く姿は感動的ですらある。ラストシーンも気持ちがよい。戦争映画かく在るべし,というお手本のような作品。 9点(2001-08-27 17:39:45) |