1. パラサイト 半地下の家族
《ネタバレ》 とにかく、欲望・狂気・暴力・幻想・現実・・・・人間社会のいろいろなものを、ミキサーでぐちゃぐちゃにして、それをこねて一つの固体(もしかしたら、主人公の友人からもらった石がその象徴なのかもしれません)にしたような、自分でも何を言ってるのかわかりませんが、そんな映画でした。 とにかく、ポン・ジュノの才能の凄さに感心するしかない作品でした。 はっきり言って、アングラでグロテスクで下卑ていて、正直意味が分からなくて、こんなゴールデンタイムに地上波で流すような内容では無いのに、一つの芸術作品として、そしてエンターテインメントとしても成立させてしまう能力(力技?)は感服しかありません。 あとは、こんなアジアの片隅のブラックコメディをアカデミー作品賞に推してしまう、アメリカのエンターテイメント界の本物っぷりにも感心いたしました。 [地上波(吹替)] 8点(2021-01-09 00:01:06) |
2. バーニング 劇場版
《ネタバレ》 そりゃ、イ・チャンドン監督作品なんで、すごくいい映画なのは間違いないです。村上春樹の世界と現代韓国社会を見事に融合させた力量はさすがとしか言いようがないです。ただ、イ・チャンドンの作品を10年待ち続けた者としては、春樹の世界を借りるのではなく、やはりイ・チャンドン独自の世界を見せてほしかったなというのが正直なところです。 村上春樹の世界は大好きですし原作も読んで感銘を受けています。ただ、やはり、イ・チャンドンに10年近く待たされた者としては、オアシスやシークレットサンシャインのような見る者を圧倒するイ・チャンドン独自のワールドを期待していたので、ちょっと残念でした。 もちろん映画作品としては素晴らしいことには間違いないのですが。 正直、私がイ・チャンドンを知らずにこの作品を初めてみたら、6点という点数はつけなかったと思います。ただ、この監督が好きだからこそ、村上春樹の世界に預けることなく、自らの視点で、現在の韓国社会をもっと鋭い視点で抉れることができたんじゃないのかなと思ったからこその点数です。 [DVD(吹替)] 6点(2020-02-11 02:25:33) |
3. アジョシ
《ネタバレ》 ウォンビンが、任侠映画の高倉健のようにランボーを今風に演じたような作品 痛快ではあるのですが、表現のサディスティックなエグさは韓国映画ならではでしたね。 [地上波(字幕)] 8点(2015-09-13 23:05:03) |
4. ロスト・メモリーズ
《ネタバレ》 「もし、日本が戦争に勝っていたら」という設定に興味を持って観たのですが・・・・ 設定がかなり無理やりな感じで、ストーリーが進むにつれどんどん無茶苦茶になってきます。そのくせ、派手な映像効果を過剰に使いまくったアクションシーンが無駄に長く挿入され、登場人物はひたすら叫びながら銃をぶっ放すようなシーンが続き、観ていて疲れました。 なんというか、自意識過剰な人の不毛な妄想を延々と聞かされているような感じでしたね。 [DVD(吹替)] 1点(2015-06-21 18:51:01)(良:1票) |
5. レッド・ファミリー
《ネタバレ》 考え方の違いがあっても、喧嘩ばかりでも、結局最後に残るのは「家族」の絆。この「家族」を「民族」と読み替えてこの作品を観ると、キム・ギドクの分断された朝鮮半島情勢への深い思いが伝わってきます。 終盤の、「偽家族」を拘束するために針金を手に貫通させるシーンは、非常に痛々しいですが、その痛みを分かち合い一つに結ばれたことが彼らを本当の家族に昇華させたように感じましたね。そこには、民族を分断している鉄条網を引きちぎって、多少の痛みは伴うかもしれないが互いに強くつながり合おう!というメッセージが込められてるのではないかというのはちょっと考えすぎですかね・・・・。 ラストはやや非現実的ではありますが、同じ民族同士の対立を若い世代(孫世代)まで引きずらないで、もういい加減終わらせましょうよということなんでしょうね。 全体的に粗さがやや目立ちますが、設定が非常に興味深いこともあり、最後まで引き込まれた作品でした。 [DVD(吹替)] 8点(2015-06-08 01:01:19)(良:1票) |
6. 非日常的な彼女
《ネタバレ》 邦題は、「猟奇的な彼女」の続編みたいな感じですが、内容は全然違います 母親に捨てられた、父親とその下で育てられた少年の物語です。コメディというよりは喜劇と表現するのが相応しい作品でした。 [地上波(字幕)] 7点(2014-07-05 08:40:09) |
7. グリーン・フィッシュ
《ネタバレ》 「生きていくために・・・」そういう思いが伝わってくる作品 デビュー作から、イ・チャンドン監督の鋭い韓国社会への視点の鋭さを感じられる作品です。普通なら、主人公が車のフロントガラスに顔を押し当てるシーンで終わるところですが、そこで作品を終わらせずに、「その後」の姿をクライマックスに持ってくるところに監督の才能の片鱗を感じました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2014-06-14 01:06:10) |
8. 小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件
《ネタバレ》 一般の庶民にとって戦争というものがどういうものなのかを冷静に映し出した作品です。ドラマ性もなく、映画的な面白さにも欠けている作品ではありますが、戦争の作戦遂行にあたっては、人間性や人間の尊厳なんてものは微塵も考慮されないことを伝えてくれます。 同じ民族なのに、大国の思惑により分断され殺し合いをするハメになってしまう朝鮮半島の悲劇が良く描かれています。 [DVD(字幕)] 7点(2013-02-16 13:25:04) |
9. ポエトリー アグネスの詩
《ネタバレ》 目先の欲望に執着し、美を求める「詩」的な心を忘れかけている現代人への問題提起なのかもしれません。 イ・チャンドン監督がまたまた素晴らしい作品を作ってくれました。下世話とも言える通俗的な出来事を描きながらも、そこに哲学的でもある芸術性を巧みに融合させていて、静かな作風でありながら我々観客の心を鷲掴みにし激しくシェイクするような仕上がりになっています。殆どムダの無い場面場面の緻密な積み重ねも見事でした(特にバドミントンの場面の使い方が素晴らしかったですね。タイトルバックの背景の発想も凄いです)。 本当に、監督の次の作品が待ち遠しくなってしまいました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-09-23 10:09:04) |
10. 殺人の追憶
《ネタバレ》 非常に完成度の高い映画で、ポン・ジュノ監督の才能の高さを感じることができます。また、80年代、90年代の韓国の状況も映し出していて興味深かったです。 ただ、「疑わしきは罰する」みたいなノリで暴力的に捜査をする主人公達の姿にはどうしても共感できない部分がありますね。冤罪とかも多かったんでしょうね。ただ、この事件の犯人には怒りを覚えますけど。 [DVD(吹替)] 7点(2011-10-10 00:06:18) |
11. チ・ジニ×ムン・ソリ 女教授
まあ、ムン・ソリの美しさだけは印象に残りましたけど、それだけですね。 [DVD(字幕)] 5点(2011-06-01 21:49:02) |
12. 浮気な家族
《ネタバレ》 韓国の「勝ち組」家族も一皮むけば・・・・というような作品。 [DVD(吹替)] 6点(2011-05-20 00:07:43) |
13. グッドモーニング・プレジデント
《ネタバレ》 「大統領も一人の人間」という視点から作られた可笑しくも暖かいコメディ映画でした。普段知る機会の少ない韓国政界の状況も垣間見ることができて興味深かったです(パロディですけど)。チャン・ジン監督の作品は本当に安心してみることが出来ます。 3つのストーリーとも面白かったですけど、日本が絡んでくるとちょっと「?」なシーンもありましたね。まあ韓国映画なんで仕方ないといえばそれまでですが。 [DVD(吹替)] 7点(2011-05-03 12:27:06) |
14. クロッシング(2008)
《ネタバレ》 物語としてよく出来ているかどうかは別として、北朝鮮の人々の暮らしぶりや脱北、そして収容所の様子が映し出されていて非常に興味深い作品でした。 日本の隣でこのような現実があることを多くの人に知ってもらいたいですね。 [DVD(吹替)] 8点(2011-04-27 23:44:42) |
15. 息もできない
《ネタバレ》 ぱっと見は昭和の日本映画風なんですが、それだけではなく、韓国の社会や家族関係の抱える問題点をクールに描いた作品だと思います。 役者陣の演技が皆本当に素晴らしく、最初から最後までまさに「息もできない」緊迫感に包まれていました。 よほど幸福な家庭に育った方以外は、かなり身にしみる映画だと思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2010-12-19 23:14:00) |
16. 冬の小鳥
《ネタバレ》 主演のキム・セロンの素晴らしい演技に最初から最後まで惹き込まれっぱなしでした。親に捨てられた少女が苦しみながらも寂しさや悲しさに負けずに成長していく姿が本当に意地らしくて可愛らしかったです。何よりも終盤で見せる笑顔が本当に印象的でした。 そして、過剰なフィクションを盛り込むことなくその姿を静かにそして繊細に描いたウニー・ルコント監督の技量も見事でした。 [映画館(字幕)] 8点(2010-12-01 00:08:32) |
17. 京義線(キョンイセン)
《ネタバレ》 タイトルなどを観ているとラブストーリーのように見えますが、衝撃的な出来事に出くわし傷ついた男と女のロードムービー的なヒューマンストーリーです。のどかなローカル線のように地味な作品ではありますが、こういう「人間交差点」的な物語は好きですね。 かつては南北朝鮮を結んでいて、国の分断に伴い分断された京義線がまるで衝撃的な出来事により愛する者と分断されてしまった主人公たちを象徴するかのようでした。京義線やソウルの地下鉄といった鉄道の使い方が巧かったですね。 [DVD(字幕)] 8点(2010-09-09 00:18:45) |
18. あなたは遠いところに
《ネタバレ》 まあ、ストーリーは完全に作り話なのでリアリティを求める方にはあまりお勧めできる作品ではありません。ただ、この作品は戦争というものがいかに力と欲望に操られ、人間性の喪失した獣の世界であるのかを巧く描いています。また、韓国がベトナム戦争参戦という事実を未だに消化しきれていないもどかしさも見え隠れしているように感じました(ベトコン幹部が金を稼ぎに来ただけだという慰問公演団に「朴 正煕の軍隊と一緒だな」と言うシーンが印象的でした)。 スニの平手打ちは夫に対してだけではなくこのような愚かな状況に対するものでもあったのではないでしょうか。 [DVD(吹替)] 7点(2010-07-21 22:23:17) |
19. 母なる証明
《ネタバレ》 ポン・ジュノの才能が遺憾なく発揮されている快作です。まるで「藪の中」のようなミステリーの形をとりながら、我々に人間社会の理不尽さや人間の抱える原罪のようなものを指し示しています。 過ちを抱えながらも、何事もなかったかのように踊る母親の姿こそが、まさに人間という生き物そのものであるように感じました。 [DVD(吹替)] 8点(2010-06-09 01:10:59) |
20. The Harimaya Bridge はりまや橋
《ネタバレ》 なかなか骨太で見応えのある作品でした。 「人は理由を付け差別をする」というセリフが出てくるように、人種間、親子間の葛藤やさまざまな偏見がテーマとなっていて非常に興味深かったですね。 こういった葛藤や偏見といった問題に対しては、ついつい無関心を装ったり、いろいろと理由を探して正当化したりしてわが身から遠ざけたくなりますけど、やはり解決のためには例え傷つくことになるとしても直接それらの対象と触れあっていくことが必要なことであるのだなと痛感させられました。 監督も高知に住んでいたことがあるということで、日本の描き方もそれ程違和感は感じませんでした(misonoはちょっと浮いてましたが。)。 [DVD(字幕)] 8点(2010-01-15 00:54:38) |