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1.  墨攻 《ネタバレ》 
 原作は未読ですが、1エピソード・1つの城の攻防戦にしぼったドラマ作りは、成功していると思います。スペクタクルを堪能できる良作だと感じました。  迫力を支えているのは、やはり、体を張ったスタントの人員たちで、また演出も人間同士が戦うことの「痛み」を感じさせるものであり、力強い作品に結びついていると思います。特に「痛み」は、攻防戦で死んでゆく人々の悲鳴や、処刑の残酷さなどを描くことで、観客に戦いの負の面を訴えていたのではないでしょうか。  ヒロインの結末は、賛否あるようですが、私は決して無駄な死ではなかったと思います。エンディングの、主人公が戦いの虚しさを悟り、平和を訴えてゆくという、より大きく困難な目標への旅立ちは、希望を感じさせる物語であり、主人公をそこへ導いたのはヒロインの死であったからです。  攻防ののち、王が主人公を邪魔に思い始め…というストーリー展開はありきたりですが、とっつきにくい題材において、ストーリーが単純でわかりやすいのは良い方向に働いていると思いました。多くの観客を意識した、エンターテイメント作品としての製作姿勢がうかがえるのではないでしょうか。  アンディ・ラウの抑えた演技も作品に合っていて、バランスのとれた一本だと思います。そして、アジア発のスペクタクル歴史娯楽作、という作品であることを嬉しく感じました。
[映画館(字幕)] 9点(2007-04-17 23:47:38)
2.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 
 大掛かりなモンスタームービーとして、かなり力の入った作品で、家族をテーマに、娘を取り戻そうとするストーリーも、なかなか良いと感じました。  しかし、全体の作りとして、いささかまとまりが悪いと思います。多くの方が指摘されているように、ウイルスや米軍の介入などは、必要な要素とは思えず、その分家族間のドラマを描いて欲しかった気がします。冒頭から怪物が暴れまくり、街がパニックになりますが、その危機感が持続しているとは言いづらいのも、マイナス点ではないでしょうか。  オーソドックスな展開として、1.夜中に怪物に襲われて、父親の前で娘がさらわれる 2.父親の言うことを誰も信じてくれない 3.娘から電話があり、家族が団結して助けに向かう 4.警察などと反目しながら、下水の怪物を探し当てる 5.怪物は人々の前に姿を現わし、パニックに陥る というものがまず考えられるが、家族の結びつきや、ラストの怪物退治のカタルシスは、こちらの流れの方がより高まると思います。  気になったのは、随所に見られるコミカルな演出です。病院からの脱出は、コメディ調にして誤魔化しているとしか思えないし、残弾の数え違いが原因で祖父が殺されるシーンは、笑えもしないし、悲しめもしないという、理解に苦しむものでした。 
[DVD(字幕)] 4点(2007-02-18 23:08:27)(良:1票)
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