1. ラスト・プレゼント
《ネタバレ》 鶴八鶴次郎なわけで、逆説的な愛情の深さ。おもしろうてやがて泣けるタイプは好きではないので、すれすれだ。おもしろさをきちんと打ち出してもいるイ・ジョンジェがいい! [ビデオ(字幕)] 8点(2016-01-18 17:33:38) |
2. ハピネス(2007)
《ネタバレ》 鏡像の巧い利用の二例。1)男への恋愛感情が定着した段階で、女が自らを鏡に映して幸福感を確かめる。2)男が去っていくとき、見送る女の背後のガラス戸に男の後ろ姿が写っている。後者の例は、この監督ホ・ジノの長回し手法の一環であって、見た目(主観ショットのモンタージュ)をできるだけ使わない結果である。長回しが、見た目ショットを切り詰めるのは、眼の話にしたくない、というか、身体や情況で映画が動いているのだよ、ということだ。とにかく、ホ・ジノ大好き。 [DVD(字幕)] 8点(2012-07-02 14:03:25) |
3. 映画は映画だ
《ネタバレ》 かつてのハリウッドの「ヘイズコード」に対する最も明快な返答である。暴力表現は「映画という枠組み」で提出されているにすぎないと絶えずことわればアリなのだ。ラストで「本物の」暴力として示されるものでさえ映画なのだ。すばらしい。ブレヒトの『都会のジャングル』という初期の名作も併せて想起した。つまり、ここでの暴力表現は「直接の」関係への欲求というせつないもの、なのである。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-11 16:15:16) |
4. アジョシ
《ネタバレ》 正視し難いくらいの残酷さ・阿鼻叫喚である。せっかくだからこの機会に、臓器売買の原因たる臓器移植や、「殺す正義」(死刑制度なども含めて)は、ほんとうに「あり」なのかどうか、深く考えてみたい。それくらいの問題提起をしているのでなければ、大いなる無駄ではないか、このような映画は。 [映画館(字幕)] 4点(2011-09-24 22:51:17) |
5. 気まぐれな唇
《ネタバレ》 ゆきずりの恋の映画に「なってしまった」というように見せて、不思議な充実感を放つ。映画館に足を運ぶというあたりまえのことが報われる典型例の映画。ホン・サンスの作品のなかでも白眉。 [映画館(字幕)] 8点(2011-03-06 22:13:03) |
6. 息もできない
いい映画だと思いますが、大島渚が60年代前半にやっていたことという感じもします。「暴力表現のかつてない必然性」というやつです。しかしこういう映画を観ると暴力表現は「感染する」ということも自覚しますし、けっきょく観客の知的エネルギーを消耗するものという感じもします。暴力の直接的な表現は極力控えて(かつてのフィルム・ノワールのように)隠然たる暴力についてはきちんと暗示するという方法の方が貴重であると私は思いますが、そうなると映画の質がまったく変わってしまいますね。 [映画館(邦画)] 5点(2011-02-24 00:50:57) |