1. ラストエンペラー
《ネタバレ》 ベルトルッチの作り出す華やかな映像美は、やや西洋から見た東洋のような印象もあるものの、素晴らしいの一言です。ただ、人間としての薄儀の姿を一貫して描いてるため、ある程度の歴史的な流れを事前に知って無いと彼の立場の変遷や心情を理解しづらいでしょうね。 [地上波(字幕)] 7点(2014-02-09 20:04:19) |
2. トゥヤーの結婚
《ネタバレ》 家族が生きていくために必死にもがく主人公に、容赦なく厳しい現実が訪れる。この展開が最後まで続き、ラストも物語の結末ではなく、同様の事態が今後も続いていくことを予測させるものとなっています。 中国の急速な発展が内モンゴルの荒野の一家族にまで大きな影響を及ぼしている状況を描いており興味深く感じましたね。 冒頭の涙の意味を分かり易く明かすことなく、ラストに同じシーンを持ってきたのも、見ている我々にいろいろ考えさせる効果があり巧みさを感じましたね。個人的には、観客に見解を投げるような終わり方はあまり好きではないのですが、この作品についてはこれで良いと思います。 「なぜ自分がこのような状況に置かれなければならないのか?」というような今後の運命に不安を感じた涙なのか、生活のためとはいえ夫以外の男性(しかも多少好意を持っていた男性)と結婚することに対しての後悔の涙なのかそれとも・・・・・。 [DVD(吹替)] 7点(2013-04-24 00:18:12) |
3. 芙蓉鎮
人間に感情や思考がある限り、もっと簡単に言うと人間に心がある限り完全な平等、完全なイデオロギーの実現などは絶対にありえないと思います。そういうことをある女性の姿を通じて描いてくれているとともに、中国の文化大革命とはなんだったのかということを伝えてくれる貴重な映画です。 まあ、文革の被害を描きながらも、体制側の人物は元々堕落していた一人を除いて断罪されることがなく、むしろ当時の世相が悪かったんだ的な流れになっているところが、今も続く中国の共産党一党独裁体制の状況を伝えてくれる形になっていて、いろいろ考えさせられますね。 また、恐らく数千年前からこういった権力の変遷を乗り切ってきた中国の人々の底力というか、適応能力の奥深さも教えてくれる映画だと思いました。 こういった素晴らしい映画を紹介していただいた、岩波ホール総支配人を長らく務めた高野悦子さんのご冥福をお祈りいたします。 [ビデオ(字幕)] 8点(2013-02-16 23:12:47) |
4. イップ・マン 序章
《ネタバレ》 まあ、「反日映画」であることは間違いないのですが、その一言で片付けてしまうには余りに勿体無い作品ですね。 ドニー・イェンのクールで激しい演技が見事にハマっているのは勿論のこと、池内博之やルイス・ファンも敵役でありながら、拳を通じてどこか分かりあえる部分があるような描き方をされていて単なる勧善懲悪的な物語では無いですね(まあ、部下役の日本人の演技にはちょっとイラっときてしまいましたが)。 とにかく、ストーリーも喜怒哀楽が全て詰まっているような濃厚な内容で非常に面白かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-19 23:18:54) |
5. ションヤンの酒家(みせ)
《ネタバレ》 夜更けのスナックで訳ありな美人ママの身の上話を聴いているような気分に浸りながら観賞してました。 急激に経済成長していく中国の中で、さまざまなものが変わっていく中でたくましく生きていく主人公の姿に共感を覚えました。 鴨の首は一回食べてみたいですね。あと、重慶のロープウェイも一度乗ってみたいと思いました。 [地上波(吹替)] 7点(2009-10-26 23:48:56) |
6. 戦場のレクイエム
《ネタバレ》 正直前半の戦闘シーンは生々しさや迫力は感じたもののやや退屈でした。しかし、生き残った主人公が部下たちの名誉回復に向けて動きまわる後半は本当に戦争というものの非情さを見事に描いていて見ごたえがありました。 国共内戦から朝鮮戦争への参戦といった中国の戦後史の様子が描かれているのも興味深かったです。 [DVD(吹替)] 7点(2009-08-10 09:07:17) |
7. レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
《ネタバレ》 細かいことは気にせず、とにかく金のかかったド迫力の映像を楽しむ痛快娯楽映画ですね。孫権=劉備連合の策略はズバズバはまり、曹操軍は翻弄され愚かな姿を晒しまくります。クライマックスの戦闘シーンはまさに炎が織り成すファンタジーといった感じで見応えがありました。 映画館でぜひ見てもらいたい作品です! [映画館(字幕)] 8点(2009-05-05 19:58:10) |
8. レッドクリフ Part I
《ネタバレ》 まあ、何百年もの間人々に愛され続けている三国志ですから、ストーリーは面白くて当たり前。とにかくこの映画の素晴らしいところは、とにかく金を惜しまず使ってオールスターキャストによる超絶娯楽映画に仕立て上げていることにあります。 戦闘シーンでは超人たちが敵をバッタバッタと倒していきますし、太鼓ひとつで何万人もの兵士が綺麗に陣形を整え、変えていくという某国のマスゲームもびっくりな統率のとれ具合もすごいです。もちろん、イケメン俳優と美女のラブロマンスもしっかり押さえています。金城武の孔明が意外にハマってましたね。 なんと言いますか、細かいことは気にせずに楽しむことがこの作品の正しい観賞法ではないかと思います。 パートⅡも楽しみです。 [地上波(吹替)] 8点(2009-05-02 22:28:30) |
9. 初恋のきた道
《ネタバレ》 素朴で派手さはない作品ですが、ストーリーが進むにつれてじんわりと感動の波が押し寄せてきましたね。チャン・ツィイーの神がかり的な可憐さも本当に素晴らしかったです。 何というか、「人を想う心」の強さを感じさせてくれる作品でした。 [地上波(字幕)] 9点(2009-02-07 23:18:19) |
10. 靖国 YASUKUNI
《ネタバレ》 いろいろ話題になった作品ではありますが、途中までは結構中立的に靖国問題を描いているように感じました。まあ8月15日に靖国神社に集まる人々は右寄りであれ左寄りであれ強い思い入れを持って来ている方が多いですから、その日の光景を撮ることによって「日本人の本音」の一部を引き出すことには成功していると思います。(右寄りであれ左寄りであれ)考え方が完全にファシズム志向に陥っているように見える人たちや、「靖国問題」を利用して現体制批判や自分たちの主義主張の推進を図っていこうとしてるようにしか思えない人たちの言動や行動も生々しく映し出されていて非常に考えさせられました。 しかしながら、後半に突如流れる戦時中の写真やニュース映像の羅列がこの作品を完全にぶち壊してしまっていて非常に残念でなりません。 [DVD(邦画)] 6点(2008-11-16 22:45:45) |
11. キムチを売る女
《ネタバレ》 非常にアートな映画です。とにかく、整然とした構図や色彩等が緻密に構築されていて映像に全く隙が無く本当に素晴らしいです。 ロケーションもまるでこの世の果て(見たことはありませんが)のような荒涼とした雰囲気を醸し出していて非常に惹きこまれましたね。 内容的には、音楽やセリフも少なく非常にシンプルではありますが、我々の想像力を大いに刺激してくるものになっています。 個人的には主人公にああいうラディカルな行動をとらせない方が良かったように思いますが、素晴らしい作品であることには間違いありません。 チャン・リュル監督は今後も注目していきたいです。 [DVD(字幕)] 8点(2008-02-15 19:16:25) |
12. 鬼が来た!
《ネタバレ》 凄い映画に出会ってしまいました。脚本は完璧と言っていいほど良く練られていますし、リズミカルでテンポ良くしかもユーモラスな場面が散りばめられて進行していくこともあり2時間20分の間ずっと心を握られっぱなしでした。何といっても、まったく展開の予想がつかないので本当に衝撃の連続という感じでした。 キャストも非常にすばらしく、特に香川照之の窮地に追い込まれた兵士の狂気が入り混じったような演技は凄まじかったですね。音楽も、「軍艦マーチ」が非常に効果的に使われていたと思います。反日感情の強い中国の作品ではありますが、日本軍(兵)の描き方についても変に偏ったものではなかったので、あまり違和感を感じることなく受け入れられましたね。日本が悪いとかそういうレベルを超えた、中国という国が本来持っている戦争観が出ているような気がします。 後味は決して良くはない(というか非常に悪い)ストーリーではありますが、多くの人に観てもらいたい作品です。 [DVD(字幕)] 10点(2007-11-23 19:48:41)(良:1票) |