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1.  単騎、千里を走る。 《ネタバレ》 
“千里走単騎”邦題まま。タイトルから『健さんが凄い距離を一人で移動する映画かぁ、あぁ、ラリーの奴かなぁ』と思ったんですがそれは別な映画でした。 映画人・高倉健の遺作としての『ぽっぽや』良かったです。そのあとの高倉健の蛇足『ホタル』が駄作だったので、「韓国の次は中国か…」って、不安の方が大きい作品でしたが、思いのほか見応えがあって、静かだけどとても面白かったです。  『単騎、千里を走る。』という三国志演義の関羽の…つまり、演者が仮面をかぶって踊って歌う伝統舞踊の演目の一つだったんですね。 人づきあいが苦手な剛一が、言葉の通じない雲南省で、頭を下げたり誠意を尽くしたり、徐々に目的の舞踊撮影に近づいていく様子がとても見応えがありました。 急な呼び出しでも対応してくれる通訳の女性(最初健さんの頼みを断って冷たいと思った)。日本語が殆ど解らないのに付き添ったガイドの人(最初インチキじゃないか?と怪しいと思った)。面会を許可した刑務所長(This is 中国!って政府人間だと思った)。ヤンヤンを連れ出しを許可してくれた村長(ヤンヤン孤児だから厳しくしてるのかと思った)。 なんかみんな良い人たちで。あちらに住んでる人たちって、ホントはこんな、優しくて、私たちを理解しようと一緒に悩んでくれる、ほのぼのした人たちなのかもな?って思えました。最近、中国に対して友好的な話があまり出てきませんが、この映画に出てくる人たちとは、平和で友好的な隣人関係が持てそうで、そうなると良いなと思います。  さて、日本パートというか、寺島しのぶパートは全部苦手でした。最初の面会(拒否)から、何でもう少し事前に交通整理しとかないねん!って思ってしまった。 そして中国に渡った際も、健一に言うなといわれてたのに、何で言うねん!って。そして剛一の努力を全部ぶち壊しにする健一の“単騎~”の気持ちを言っちゃうし。 最後は訃報は仕方ないにせよ、剛一にとって道半ばのあそこで、遺書読むか?しかも国際電話で!?(※剛一は移動中だし国内と違ってバッテリーの浪費は避けたい) 何かもう、李加民の舞踊が消化試合にように、どうでもよくなってしまって…  一度難関をクリアすると、次回以降その難関はスルー出来るのはちょっと気になりました。ヤンヤンの村の宴会中に鳴る電話…屋根に登らないと通話できないんじゃ?遭難した二人を助けに来た救急車と通訳…あそこは車が通れないからトラクターに乗り換えたんじゃ?簡単に入れるだけでなく観客とかグレードアップしてた刑務所のステージ…でも寂しさ倍増のパーティライトが好きさ! いろいろ書いたけど、あの当時のイメージ通りの健さんを観られて、良い映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2024-12-30 15:51:16)
2.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 
“Jurassic World”『ジュラ紀の世界』劇中のテーマパークの名前ですね。“World”には『神が創造した世界』の意味もあって、神の真似事で遺伝子組換え恐竜を創ることへの揶揄の意味もあるのかも? シリーズ3作、出せるものは出し切ったこのネタで、今さら何するの?と思ったら、リブートに近い続編でした。登場人物も舞台も状況も創り直し。でも今さら、恐竜が登場するだけでは観客は驚かない訳ですから、下地として過去3作の続きとしたんでしょう。 でも前シリーズも気がつけばもう14年(Ⅲが2001年)も前になるんですね。恐竜映画というジャンルの火を消さない意味でも、巨大生物のCG技術継承の意味でも、創られるべくして創られた続編でしょうか。  パーク→ワールドへ。アトラクションの一つ一つに22年の進化が観られます。レールを走るジープだったのがガラスの球体の乗り物に。グッズ類も細かいところまでよく出来てます。ふれあい動物園なんて良いですね。メインはインドミナスという新種で、姿が消せて、人間を騙せて、殺しを楽しむという、まぁ恐竜をベースとした怪獣です。色も白くて愛嬌がなくて不気味です。  やっぱりこういう方向かぁ…って、公開当時は想像の範囲内って思っていましたが、今回改めて観ると、人間+恐竜vsハイブリッド怪獣の構図がけっこう楽しめました。ラプトルと人間のチームでインドミナスを追跡なんてインパクトある画だったし、ラプトル4匹がオーウェンを見るシーンはゾッとしました。 そして今までチラッとしか出ていなかったティラノが、溜めに溜めてここで出るのかって場面で出てくるのはアツい。やっぱりハイブリッドなんかじゃなく生の恐竜だよ、これが観たくてこの映画観てるんだよ。  よく出来たリブートだったと思いますが、本作で初めて女性の死者(画面上初)が出ました。まぁそれは仕方ないとして、初めて人に殺される恐竜(ヘリの傭兵が翼竜を撃つ)がショックでした。何かこう、直接人の手で恐竜は殺さないっていうルールのもとに映画を創ってると思っていたものだから、あんなにアッサリ撃ってしまって、こっから先は何でもアリなんだなって思ってしまいました。
[映画館(字幕)] 6点(2024-09-06 15:25:34)
3.  ミスター・ガラス 《ネタバレ》 
“Glass”『ガラス』。ミスターはついてないんだな。 三部作とのことですが、アンブレが1作目、スプリットが2作目前編、本作を2作目後編と考えたほうが、なんかスッキリしそうです。 前作で24人格のうち数名(8名らしい)しか出なかったのが、21(?)名分の人格が出てきていたそう。ライトを浴びるたびに人格が変わる、ジェームズ・マカヴォイの演技は凄い。これ、前作でこれだけの人格が出ていたら、観る側がパンクしていたと思うし、前作でヘドウィグやパトリシアといった特徴ある人格を強調していたことが、本作で凄く活きている。  アニャの続投は予想の範囲内だったけど、パッと見で“ダンの息子だ!”って解ったジョセフの再登場は嬉しかったな。イライジャ・ママもおんなじ俳優さんだったのも嬉しい。 そして本作のテーマ、『スーパーヒーローは実在するか?』を、精神科医との討論で崩していく展開は予想外で面白いと思った。大槻教授ザ・ムービー。出来ればその方向で、もう少し引っ張ってほしかった。あの女医さんも実は特殊能力者ってオチを予想したけど、ちょっと違ってたな。  最後はアンブレの世界観を壊さない、ヒーローVSヴィランの対決。そこまでは良いとして、その先この結末で良いのか?って思ってしまう。ヒーローが勝ちも負けもしないで、あぁなってしまうとは…予想外だったけど、「で?結局なんだったの?」って消化不良な感じも残る結末。 予告編とか凄く面白そうなんだけど、映画を観終わった後、観る前以上の満足感を得られないんだよね。もう少しエンタメ寄りな作品になるよう、アドバイスしてくれる人を身近に置いたら、満足感の高い映画が撮れると思うんだけどな。チアガール4人を手錠掛けて吊るすなんて画を思いつくとか、やっぱ映画の観せ方が上手い人だと思うよ、シャマラン監督。
[DVD(字幕)] 5点(2024-06-19 22:36:06)
4.  カンフーハッスル 《ネタバレ》 
“功夫”『カンフー』。これは良いとして英題“Kung Fu Hustle”『カンフーぺてん師』??…ハスラーのハッスルだと思うんだけど、こんな訳で良いのかなぁ?まぁ、シンはハッタリだけのチンピラ。豚小屋砦の達人5人も正体を隠してた。最強の火雲邪神も奥の手はインチキ。シンに秘伝書を渡した仙人も…だからまぁ、これで良いのか。  少林サッカーが大好きなので、この作品も素直にハマれました。斧頭会に囲まれて絶体絶命の場面で3人の達人が立ち上がるシーンは鳥肌ものの格好良さ。DVDでここばかり何度もリピートしてしまいます。シンと相棒も安定の面白さ。痛面白いナイフ投げのシーン最高。アイス売りの娘から小銭を奪うところ、相棒がラムネを差し出すところで胸がジーンとなってしまう。 少林サッカーと比べ、序盤のボス殺害シーンがちょっと残酷で少々鼻に付いてしまうけど、琴の暗殺者が猫を切るシーンがまたセンス良くて、ここは良い意味で裏切られた気分。このシーンのミスリードのために序盤に残酷シーン入れてたのかなぁ?って思えるくらい。猫上手い。  漫画チックに脚をクルクルさせてのチェイス・シーンとかは、まぁ、私はあまり得意ではありません。気持ちがすとんと落ちたところで唇ブルブルのシン。こういうのも、ちょっと…達人3人のカンフーは素晴らしかったけど、それを凌駕する大家夫婦のカンフーが体技ではなくCGメインなのも、最初ちょっと残念に思ってたっけ。今ではそんなに嫌いじゃないけど。 火雲邪神は強敵感があっていい味出していたわ。シンとの対決もアツいものがあったけど、やっぱ最後はCG合戦かぁ。 シンは大家夫婦の死んだ息子。って訳じゃないんだよね?たぶん。  ただね、ツッコミどころはいっぱいあるけど、キラリと光るセンス。他の映画じゃやらないであろう、ウケるかスベるかギリギリのギャグ。観終わった後の満足感。笑いあり涙ありの99分間。少林サッカー同様、当時のチャウ・シンチー映画には不思議なパワーがあるんですよ。
[地上波(吹替)] 7点(2023-11-22 22:52:45)
5.  グリーン・デスティニー 《ネタバレ》 
“臥虎藏龍”『伏せる虎・隠れる龍』=まだ世に出ていない才能の持ち主。みたいな意味のようです。邦題はムーパイの碧名剣を表したんでしょう。まぁ、竹林や野山の緑が目に鮮やかなので、本作の映像を脳内で蘇らせる邦題になっていますね。 私の中では中国の歴史ファンタジー物の先駆けの印象が強いけど、『武俠映画』というカテゴリ分けがあったのは今回初めて知りました。 ジャッキー・チェンがカンフー+スタント映画に傾倒していった一方で、ワイヤーアクションとCGをミックスして、こんな美しい映像を創るなんて!と、当時驚いたものでした。  アクションは見応え充分。もちろん本格カンフー映画じゃないから、役者さんの演武と言うより演舞かな。最後のイェンが空を飛ぶCGを観ての通り、まだあのレベルのCGの時代に、ワイヤーを駆使するなどして、とても綺麗な舞に仕上がっていたと思います。武術家とイェンの食堂の乱戦はテンポも良くてカメラもバッチリ決まっていたし、シューリンとの姉妹対決は色んな武器の特性を活かした闘いが観られて、割と長時間なんだけど飽きさせない。この場面の重たい棍棒が持ち上がらないの、可愛い。続くムーパイとの竹林の舞も、綺麗なんだよな。竹の細い部分にちょこんと乗っかってるのが幻想的。登場人物が空を舞う時に余計な効果音を入れないのも、ファンタジーっぽくって良いですね。  ストーリーは正直良くわかりません。あまりにも良い所で出てくる神出鬼没のムーパイ。名前も容姿も中ボス・クラスなジェイド・フォックス。あとやっぱりイェンの行動がとにかくメチャクチャで…結婚式から家を飛び出して、気が付けばさすらいの剣士みたいになってるのって、急展開過ぎてどこか観飛ばしたのかと思ったわ。まぁでもそういうご都合主義っぽい所も、ファンタジーっぽくて良いですよね。 ストーリーより何より、今考えると中国・香港・台湾・米国の合作ってところが一番ファンタジーかも?
[地上波(吹替)] 7点(2023-04-12 23:41:10)
6.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 
-Fury- “怒り”主人公の戦車に付けられた名前。 戦闘シーンは迫力があり生々しい。戦場で戦車がどう使われたか、どんな戦い方があるのかがよく分かる。大砲を撃つ、機関銃を撃つ、踏む(痛い!)。 戦車の弾も①厚い装甲を貫く弾②炸裂して鉄片を撒き散らす弾③人体にこびりついて燃える弾(怖い!)。 本物のティーガーⅠ戦車が出るのも凄いことのようで、シャーマン戦車をバッタバッタと倒していく。  前半部分で戦場の悲惨さ、不条理さをキツめに描写しているため、多少の変な描写にも目を瞑って観られたけど、後半から素人目にも嘘くささが目立ってしまったのが残念。 合唱行進するほど士気の高い武装SS大隊300人を発見してから、戦闘に入るまでの長~~~い準備時間。ノーマンが走れる距離のちょい先に大隊が居たんだよな?戦車を包囲されてから反撃するフューリーの面々と、一箇所の敵に単純な反撃を繰り返すゾンビ並みの知能のSSの方々。 コレ、戦闘が終わってみたら敵は訓練上がりの少年兵ばかりってオチか?って思ったけど、そうでもなく。そもそも序盤に少年兵が、パンツァーファウスト1発で味方戦車を丸焼きにしてるし。少年兵のより威力の弱いパンツァーファウストしか持ってないSS大隊の謎。  戦闘が終わり、若い兵士に見逃されるノーマン。私コレ、ドイツ兵から見えなかったんだと思ったんだけど、見逃したんだとしたら意味不明。さっきまで歌を歌ってた仲間がコイツ等にたくさん殺されたのに、見逃す意味って何?そりゃ序盤に捕虜の射殺シーンがあるけど、ノーマンもそうなるとは限らないし…こんな後半から逆算すると、いろいろ変な映画だなぁって思える。 ドイツもアメリカもどっちも悪いことをしてるけど、射殺された捕虜はアメリカ兵の上着を着ていた事を強調していたから、どこかでアメリカ兵を殺した悪い奴って印象付けしているし、下品な戦車兵たちもドイツ人女性をレイプまではしないで、同意の上で抱く。そんな所がアメリカが酷いことをした理由の言い訳に思える。だけどどうにも、兵士というより海賊や山賊みたいな登場人物たちに、魅力を感じにくかったな。
[インターネット(字幕)] 4点(2022-03-13 15:15:44)
7.  ラストエンペラー 《ネタバレ》 
~The Last Emperor~末代皇帝。300年に渡る清朝の最後の皇帝となった溥儀の生涯を描いた映画。溥儀は満州国の初代と末代の皇帝でも、あるね。 日曜洋画劇場で2週に渡って放送されたの(当然吹き替え版)以来、久々の鑑賞だったけど、まず驚いたのがみんな英語で話していること。最近は現地人は現地語で再現されることが多いから、一昔前の映画に感じられた。 セットの豪華さが凄い。西太后が崩御する部屋の豪華さ。即位式のスケール。お隣だけど異国の文化感、大陸の王朝の大きさが良く出ていた。…もっとも、映画撮影のための想像や創作の部分もかなりあるんだろうけど、ただただ装飾の美しさと様式美に圧倒される。 溥儀の皇帝として我儘と権威っぷりを観せて、実は紫禁城の中だけの皇帝だと知らされ、国内で最も力ある存在から、乳母のアーモ1人すら奪い返す力がないことを見せ付ける“一瞬にして突き落とす”観せ方が酷い。 溥儀が力(当然の権利)を示そうと、宝物庫の目録作成を指示しながら、辮髪を切る時の目ヂカラ。西洋人に劣らない貫禄と美しさのジョン・ローンだからこその名場面。カッコイイ。 これが子供向けの偉人伝だったら『紫禁城を追い出された溥儀は、天津で楽しく自由に過ごしましたとさ。』で終わりそうなもの。その後は何とも不幸の連続のような人生。ここまでで17年。ここから戦犯としてハルビン駅で自殺を図るまで25年くらい。前半に比べ後半が短い気がする。もっとも、辛い内容が多いので映画的なバランスを考えると微妙だけど。 老人になった溥儀が子供にコオロギの壺を渡すシーンが、何とも幻想的で忘れられない。
[地上波(吹替)] 7点(2021-06-27 19:39:57)
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