Menu
 > レビュワー
 > よしのぶ さん
よしのぶさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  影の車 《ネタバレ》 
母の愛情を独占したい幼少期に、母の元へ通ってくる愛人がいて、二人の艶場を目撃してしまったとしたら、その愛人が憎くてたまらないだろう。六歳のときにその愛人を実際に殺してしまった男の悲劇の物語である。大人になって妻帯者の浜島は、幼馴染で今は未亡人の泰子と再会して、不倫関係に発展していくが、泰子には六歳になる男児がいた。いつまでも懐かない男児に対して浜島は、自分に殺意を持っているのでないかと疑念を抱く。男児の気持ちは痛いほどわかるのだ。毒入り団子を誤食したり、居眠り中にガスが漏洩する事件が発生すると、浜島は恐怖におののき、泰子の家に近づかなくなった。事情を知った泰子に勘違いだと諭され、宿泊した夜に事件が突発した。便所から出た浜島の前に斧を持った男児が出現、慌てた浜島は男児の首を絞めてしまう。刑事から、「まだ六歳の頑是ない子に殺意などあるはずがない」と詰難されると、浜島は「あるんだ!」と封印した忌まわしい過去を告白する。 人間の心理を鋭く抉った深みのある作品だが、共感はしなかった。 普通の人は、懐かない子供はいるが、殺意までは抱かないだろうと考える。けれども、浜島は実際に殺人を犯しているので、恐ろしくて仕方がない。罪の意識が妄想を生み、惑乱したのだろう。しかし、例えば六歳の男児が自分に対して殺意を抱いているとして、恐怖を覚えるだろうか。鉈や斧やナイフを自由に操る、田舎育ちの子供でない限り恐くはないだろう。やはり設定に無理があるのだ。 映画は二人の日常生活を平坦に描くが、特に前半は非常に退屈した。二人の仕事ぶりと不倫に到る感傷的通俗劇が丁寧に描かれるのは良いが、事件らしきものが何も起こらないのだ。短編映画を長編映画にした弊害である。浜島の妻が夫の浮気に気づくとか、泰子が保険金殺人などに関わるとか、より複雑な構想が望まれる。また、殺人は未遂に終わるので悲劇性が薄い。 原題は「潜在光景」で、「影の車」は「潜在光線」の収録された短編集の題名だからややこしい。影の車って何だろうと、ずっと考えていた。
[DVD(邦画)] 6点(2015-02-06 13:17:39)
2.  怪獣島の決戦 ゴジラの息子 《ネタバレ》 
観客が、ゴジラ映画や怪獣映画に期待するものといえば、第一に恐怖を感じたいということだろう。ホラー映画としての位置づけだ。これは同時に巨大生物に対する畏怖の念を感じたいということにも通じる。生命賛美でもあるのだ。次に壮大で迫力ある場面を見たいという欲求がある。具体的には怪獣同士の凄烈な格闘場面、怪獣による街・ダム等の人工物の荘重な破壊場面、原始生命の象徴である怪獣と科学の象徴である軍隊との熾烈な戦闘場面を見たいというようなことだ。これらの要素を満たす怪獣映画が高評価になるのは自明のことだ。 翻って本作品を品評すると、厳しい結果になってしまう。可笑しく擬人化されたゴジラ父子では恐怖や畏怖の念を感じないし、どこか華奢にみえてしまう敵怪獣では格闘場面に迫力がでないし、人工物破壊場面も最小限に留まる上、人間との戦いは皆無だ。 その代わりといっては何だが、人間劇部分に幾分かの目新しさがあるのが救いだ。無人島にいる謎の美少女、復員の途中で研究のため島に留まった考古学者、人類の食糧事情を解決する目的で秘密裡に行われる斬新な気象改造実験、どのような困難が立ちふさがっても実験を続けようとする学者気質の塊のような博士、突如パラシュートで島に降り立ち突撃取材を敢行する若き記者、それらの存在が、劇に魅力的な彩りを添えているのは事実だ。しかし考古学者が何の研究をしていたのか、元々島の昆虫が巨大である理由は何か、ミニラの母親はどうしたのか、などの説明が無いなど、脚本に杜撰な点が目立つ。ゴジラの顔を愛くるしいものにし、ミニラの姿や行動を人間の子供そっくりにしたのは、子供向け映画にしたかった意向の表れである。新機軸であるが、大人の愛好者を失うことになってしまった。シリーズを続けることの難しさだ。カマキラスやクモンガの操演には観るべきものがあった。
[インターネット(字幕)] 6点(2014-08-25 23:41:08)
3.  神々の深き欲望 《ネタバレ》 
土着の風俗・因習の色濃く残る孤絶した島での近親相姦を主題に現代の神話を描こうとした野心作。近親相姦の禁忌が作られる以前の人間の営み、生命の根源に迫る。太山盛、根吉父子は驕傲勃勃として神の怒りを買うような狂気を孕んでいる。山盛は自分の娘と肉体関係を持ち、根吉は妹のウマと恋に落ちる。ある日島に暴風雨と津波が襲来し、巨岩が神田に乗り上げるという椿事が出来した。村人はこの凶事の原因が太一家の近親相姦にあるとし、一家を村八分にし、根吉に巨岩排除を命じ、ウマは村長の妾とされた。それから20年、根吉は足を鎖に繋がれたまま巨岩を埋めるための穴掘り作業を続けている。巨岩は男根の、穴は女陰の象徴だ。両者が合体したとき祈願は成就した。すなわち村長が腹上死し、自由となったウマと根吉は舟で理想郷である西ノ島に向かう。しかし村人に追捕され、撲殺された根吉は鮫の餌となり、ウマは舟の帆柱に括られ流されてしまう。島に漲る野生の生気が文明を受け付けない。都会から来た技師の一人は仕事を辞めて村の寡婦と結婚し、一人は根吉の白痴の娘トリ子の肉体の虜となった。しかし時代の流れには逆らえず、やがて島には飛行機が飛び、機関車も通るようになった。神話が終焉したのだ。目覚しい着想と行動力、困難な作品に挑むその意気込みや良し、演技、美術、撮影技術も高評価だ。しかし看過できない短所がある。それは男と女の情愛だ。二十年もの粒粒辛苦の果てに結ばれる男と女の情愛の深みが充分に描かれていない。ここでの情愛とは正邪、道徳を超越した性的欲望のこと。状況説明の科白ではなく、より感情的に訴える場面が欲しかった。二人の死は禁忌を犯した罰ではない。村長の老妻がウマに嫉妬し、油小屋に火をつけ、村長が根吉に殺されたと虚偽の申告をしたからだ。この執念深い嫉妬も描かれていない。鮫は神の罰だが、嫉妬も神の罰で、共に重要な役割なのに、老妻自体が描かれていない。だから観客は置いてきぼりを食うことになる。神話はもう一つある。トリ子が都会に帰った技師を磯で待ち続けて死んで岩となったというもの。これはとってつけたようなもので精彩を欠く。神話に昇華させるにはトリ子の死を荘厳に描く必要がある。兄亀太郎が肉感的な妹トリ子に近親相姦的感情を持って懊悩するという設定は意味があった。亀太郎は神話を見守る役目で演技が光っていた。名作には到らないが渾身の力作である。 
[インターネット(字幕)] 8点(2014-07-03 15:13:59)
4.  悲しき口笛 《ネタバレ》 
サトウハチロー曰く。「近頃、大人の真似をするゲテモノの少女歌手がいる。近頃でボクの嫌うものはブギウギを唄う少女幼女だ。消えてなくなれとどなりたくなった。吐きたくなった。いったい、あれは何なのだ。あんな不気味なものはちょっとほかにはない。可愛らしさとか、あどけなさが、まるでないんだから、怪物、バケモノのたぐいだ。」 確かに子供らしい声ではないし、妙に大人びた歌唱法が鼻につく。それよりも歌詞が問題だ。「夜のグラスの酒よりも もゆる紅色色さえた 恋の花ゆえ口づけて 君に捧げた薔薇の花 銅鑼のひびきにゆれて悲しや 夢とちる」こんな歌詞を12歳の子供に唄わせた大人の事情が知りたいものだ。“大人の真似をしてブギウギを唄う少女”から脱皮させたい意図があったにせよ、度が過ぎるのではないか。いったい子供から子供らしさを取ったら何が残るのか。作曲家の兄が出征前に、12歳の妹に残した歌としても不自然だ。 映画は、復員者の兄と戦争孤児の妹との再会を「すれ違い」の手法で描く。何度か会いそうになるが、すれ違ってしまう。観客はその度に溜息をつく。偶然が重なり過ぎると興ざめだし、あまりすれ違わないと興が乗らない。その匙加減が難しい。本作品では偶然が重なりすぎている。バーのウエイトレスの京子を中心に物語が回る。無銭飲食の「兄」を京子が助け、「妹」を京子が家に引き取り、トラックを運転していた「兄」が京子の父を轢きそうになり、麻薬組織に捕まった京子を麻薬組織の一員になっていた「兄」が助け、「妹」がキャバレーで唄っているのを京子が発見し、「兄」との再会を果たす。結末は誰の眼にもあきらかなので、それをいかに感動的に演出するかが監督の手腕の問われるところ。その点、本作はいかにも凡庸。脇物語として、堤琴家で音楽としてはクラシックしか認めない京子の父が、かわいい「妹」のために舞台で堤琴を奏でるようになるというのがあるが、これもあっさりとして演出で、感動には至らない。空襲の余塵の残る横浜の様子と、若々しい原保美のアクションが観れたのが収穫。
[DVD(邦画)] 6点(2013-11-11 11:25:18)
5.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
巨匠は“画力”が凄い。飛行機が生物のように息づく。関東大震災の地震の迫力、逃げ惑う群集の緻密さ、雲の描きわけ、背景の草原の草や流れる水も生き生きとしていた。ゴッホの絵画を観るような生命の躍動を覚え、夕日を眺めているような懐かしさも覚えた。画だけでも観る価値がある。世界に誇れるアニメだ。あえて苦言を。堀越二郎の物語だから、ゼロ戦の完成で終点だろうと予想していたが、九試の完成で終ってしまった。ゼロ戦登場はラストの残骸と夢想の編隊のみだ。堀越氏の最も苦労した太平洋戦争時代を飛ばしたのは、「戦争と人間」という主題を避けたかったからだろう。「美しいもの=飛行機」の夢を追い求めると、戦争兵器の設計に関わざるとえなかったという苦悶は感じられない。二郎の人物像の掘り下げが不十分で、生身の人間として映らない。積極的に行動することは少なく、本質的に受け身なのだ。仕事は与えられたものを文句もいわず淡々とこなし、対人関係で問題を起こさない。性悪な人も登場しない。恋愛も受け身だ。菜穂子の女中を助けたあとは、偶然の再会、菜穂子から告白、菜穂子が病院を抜け出し、押しかけ結婚、菜穂子去ってゆく。「美しい姿だけ見せたかった」というが、恋人同士ならまだしも、夫婦間でそんな美学はありえないだろう。本音で語り合い、共に苦労し、助け合ってこそ真の夫婦である。又「愛と死」が主題なのに「死」を描かなかった。特攻によるパイロットの死、妻の死、大空襲、無数の戦没者。戦闘機と死は切っても切れない関係だ。死を描かずに戦闘機の設計者の人生を描くのは不可能だ。残念ながら、底の浅い人物描写でしかない。主人公の愛、苦悩、喜び、怒り、憎しみ、悲しみが感じられてこそ、心の糧となり、感動があり、人間は素晴らしいと思えるのだ。二郎は戦争、妻の死を経ても成長していないと思う。それは妄想の中での師匠との軽い対話でもわかる。「君は生きねばならん。その前に、寄っていかないか?良いワインがあるんだ」日本の敗戦をこれほど軽く描いた例は稀有だ。意味ありげに特高や反ナチのドイツ人が登場したりするが、本筋とは無関係。一本、筋の通った筋書が出来ず、どこを終点にしようか、迷った跡がある。風の使い方は良かった。風で飛んだ二郎の帽子を菜穂子が掴み、風で飛んだ菜穂子のパラソルを二郎が押さえる。愛も戦争も風のように過ぎて行った。けれど生きてゆこう、夢の翼に乗って。
[DVD(邦画)] 8点(2013-09-25 22:26:41)
6.  樺太1945年夏 氷雪の門 《ネタバレ》 
オリジナルは153分だが、フィルム劣化のため119分に編集されてのDVD化。ソ連軍に侵攻されたかつての南樺太や真岡郵便電信局の様子を歴史的視点で描くことより、集団自決した九人の電話交換手に同情する気持ちが強いため、かなりの脚色がある。昭和20年8月20日真岡電信局に勤務した交換手は12名。10名が睡眠薬と青酸カリによる服毒自殺を図り、9名が亡くなった。生存者がいた。遺体は勤務時の姿勢のまま、ヘッドフォンをして電話台に俯せになっていたという。青酸カリの入手経路は不明だが、机の上に置いてあったのを飲んだという証言がある。生存者の中にも所持していたという人もいるので、さほど入手困難なものではなかったようだ。映画では、全員自主的に残留するが、局長に残留要員選定命令が出ていたとする証言もある。劇中、疎開船3隻が留萌沖で国籍不明の潜水艦の攻撃を受け、沈没したと通信を受ける場面があるが、これは22日発生の出来事で明らかな脚色。ソ連の立場はほとんど描かれていない。1945年2月のヤルタ会談で、ドイツ敗戦後90日後(つまり8月9日)のソ連の対日参戦と終戦後の日本の領土・植民地の処理が決定され、南樺太は戦勝権益としてソ連領となると決まった。日本は8月15日に無条件降伏したが、ソ連軍は「8月25日までに南樺太を占領せよ」との命令を受けていて、少なくとも9月2日の降伏調印式までに終了させたい思惑があった。樺太全土を占領できたのは25日。民間の犠牲者は約3,700人。ソ連関係者がこのソ連軍鬼畜映像を見て、激怒したのはむべなること。ソ連関係者から配給会社に横槍が入り、公開は延期、最終的に別の配給会社から当初より大幅に興行規模を縮小しての公開となった。「早すぎる死」と悼む声が多い。街中に艦砲射撃され、上陸したソ連兵から電話交換室にも銃弾が撃ち込まれる状況では逃げ場はなく、ソ連軍から恥ずかしめを受けるといった恐れもあり、いさぎよい死を選んだのは無理からぬことともいえる。日本人には自殺文化、自殺の美学があり、自殺により名誉を守る、責任を果たすといった倫理規範が存在した。お粗末な特撮、ソ連の戦車は自衛隊のものを流用するなど戦闘シーンは迫力がない。砲弾の中、悠然とうどんを食べる少年がいて、頼もしく思っていたが頓死した。逆にきっと食われると予想したうさぎは生き残った。戦争において生と死は紙一重だ。
[DVD(字幕)] 6点(2012-12-22 22:01:41)
7.  華麗なる一族 《ネタバレ》 
万俵財閥の領袖で、銀行のオーナー頭取である万俵大介が、政府主導による金融再編の機運が高まるのに危機感を覚え、小が大を喰う銀行合併を目論み、強硬におし進める話。大介の全てを財閥発展にかける偏狂さ、執念深さ、異常ぶりを描くとともに、日本の政官財癒着の歪んだ資本主義構造を浮き彫りにしていく。 長男鉄平が専務を勤める同財閥直系の鋼鉄会社を捨石にするのが最大のサプライズで、大介の冷徹ぶりが存分に表現されている。 高須相子という大介の愛人兼家庭教師兼執事の存在が、奇態な万俵家を表現するのに一役買っているとともに華やかさを添えている。残念なのは原作では39才なのに、本作では50才の二重あご女優が演じていて、ひたすら気持ち悪いこと。 ゆえに大介の長女の聟で大蔵省幹部役人の美馬が、相子に言い寄る場面が意味不明にみえる。 古い作品で当時としては衝撃的でセンセーショナルな内容なのだろうが、現代となってはたいして心が動く内容ではない。現実離れしすぎているのだ。 最大の瑕疵は、大介の銀行合併にかける行動の動機がわかりづらいことだろう。金融再編が避けられない諸事情が描かれていないのでは当然だ。”銀行員残酷物語”めいた挿話があるが、これくらい具体的に描かれてしかるべきだった。 鉄平の突然の猟銃自殺が一族の悲劇を嫌が上にも盛り上げるが、納得できる動機は描かれていない。会社が倒産したので、責任をとって自殺しましたでは弱すぎる。本作品のみどころであるはずの「父との確執」「出生の秘密」「経営方針をめぐる争い」「悪と正義の戦い」が中途半端に終っているのは遺憾だ。父を会社への背信行為で訴えるのはよいが、見通しが甘すぎる。死後、鉄平は大介の実子であったと判明するが、なぜそれまで違った血液型と思い込んでいたのかという疑問が残る。鉄平が生まれたとき、誰が父親であるかは、大介夫妻の最大の関心事のはずで、真っ先に調べたはずである。次女の行動にも首をかしげる。政略結婚は珍しくないが、「偽装婚約」とは珍しい。次女は父親の思惑に背き、純愛を貫いてこそ輝く存在になるはずである。アメリカに就職した恋人を追っても、純愛にはみえない。その他、高炉爆破の原因が不明のままだったり、「鎌倉の人」が名前だけしか出てこなかったり、華麗なる一族ぶりを披露する絶好の機会である次男の結婚式を省略したり、未消化の部分も多い。
[DVD(邦画)] 7点(2012-12-06 08:03:00)
8.  影武者 《ネタバレ》 
映像美は申し分なく堪能できる。最も美しい場面は開始20分35秒の夕日を背に退却する兵の列。戦国時代の戦乱を描いた大作として十分楽しめるが、のめり込むほどではない。信長、家康の役者の芝居が一ランク落ちる。「違う、これはおじじではない。」「もはやこれまで、わしは信玄ではない」等、良い場面は多いが、随所に間延びや綻びが目立つ。信長の幸若舞やワインの場面は不要だろう。幸若舞は桶狭間の戦いの場面と決まっている。冒頭三人の「こんなにも似ている」と驚く場面で、カメラが引きに固形され、顔のアップがない。伝達兵が城内を駆け抜ける場面が長々映るが、続く場面はのんびりしたもの。素晴らしい映像なのにもったいない。退却を知らせる朝倉の書状に激怒する信玄を山県がたしなめるが、これは逆でなければならない。信玄の人間性、度量の大きさに触れて、盗人が影武者を引き受けるのを申し出るのだから。最後の戦闘場面で討ち死の様子を一切映さないが、戦いの非情さ、悲惨さを表現するのに必要だろう。それ以前の戦闘場面はリアルに表現されているので肩透かしである。影武者が討ち死にする場面で感情移入、感動できるかどうかが成功の鍵を握る。影武者が信玄の人間性に感銘を受け、影武者の役を買って出たのは理解できる。その大役を果たすため、艱難辛苦を味わってきたのも理解できる。影として生きる人間の悲哀は十分出ている。だが影武者の人物像がいまひとつ把握できない。流れ者で、50歳代で泥棒稼業。感情移入するには高齢すぎる。家族はいるか?城内で大甕を割るが、あれに財宝があると思われない、また財宝があったとして、どうやって脱出するつもりだったのか?乗馬禁止の暴れ馬にどうして乗ったのか?あえて討ち死にするほど武田家へ恩顧を感じていたか?石をもて追われたではないか。彼を守って戦士した近習達への罪ほろぼしか。尊敬する信玄は既に死んでいる。と、いろいろと疑問が湧く。想像すれば影武者は天涯孤独の身、影武者を務めること生き甲斐を感じていたが、戦乱の悲惨さを目の当たりするなど精根を使い果たし 既に生きる屍となっていたのだろう。生きる気力はなく、ただ信玄の幻影に惹かれ、亡霊のように戦場に附いてきてしまったのだ。最後に脚本でうまいと思ったのを紹介。冒頭の三人の場面で信玄が「冷えると古傷が痛む」と去るところ。”古傷”という伏線が早い時期に提示されている。
[DVD(字幕)] 8点(2012-07-12 23:28:19)
9.  怪獣総進撃 《ネタバレ》 
怪獣映画に必須の3K(巨大さ、脅威、恐怖)が伝わらない。人間の目線で見上げるようなアングルで撮ればよいものを怪獣目線や俯瞰が多い。これではすぐ飽きてしまう。一歩一歩あゆむときの重量感が無い。怪獣が町を破壊しているとは思えず、ただセットを破壊しているとしか映らない。住民が逃げ惑う場面はあるものの、フィルム合成の演出が冴えず恐怖が伝わらない。円谷英二は特技監督ではなく監修だけ。名前貸しだろうか?◆宇宙人が地球を侵略するのに怪獣達を操るという設定は面白い。怪獣達が暴れる舞台が世界中に広がりを見せているのは評価できる。遺憾なのは怪獣たちが人間に飼われて怪獣ランドにいること。野生のライオンは獰猛で怖いが、サーカスのそれは怖くない。眠っていた怪獣たちを宇宙人が一頭一頭目覚めさせるようにすれば、怪獣の紹介にもなったのに。怪獣ランドは安直すぎる。未来社会の設定だが、町並みは新しくない。◆宇宙人が地球人そっくりの可愛らしい女性であることに萎えたが、後半になり、実はそれは仮の姿であり、本当の姿は鉱山生命体であることが判り、納得できた。一応の説明はできている。宇宙人の言葉使いが妙に親切なのも新鮮だ。◆月基地にある怪獣遠隔操縦装置が破壊され、怪獣たちは本能から富士の裾野にある宇宙人の地球基地を襲うようになる。ぎりぎり了解できる説明だ。ただそこで秘密兵器である宇宙怪獣キングギドラがあっけなく倒されるのは如何なものか。3,4頭は倒すべきだろう。少なくとも最初は怪獣を圧倒しなければ、誰しも納得できないだろう。ギドラが倒れた後に最終兵器、ファイヤードラゴンが登場。とても意外な展開だった。プロットだけたどるとさしたる穴もなく、良い出来の方だといえる。だが肝心なファイヤードラゴンが期待に反して弱く、正体を現せば何ども登場した宇宙船そのものなのだ。所詮は仇花であったのが悲しい。◆バランは保存していた着ぐるみの状態が悪くて使えず、人形のみが作られた。やっつけ仕事です。
[インターネット(字幕)] 4点(2011-09-30 14:10:40)
10.  陽炎座 《ネタバレ》 
男に弄ばれた女の魂の怨念をこの世とあの世、現実と幻想、生と死が表裏一体、万華鏡のように入り混じる世界として描く。◆品子は老婆から死女の魂入りの鬼灯を買う。山崎は縁あってそれを引取る。二人は死者が見えるようになり、二人に絆が生じる。品子の亭主玉脇は遊びの限りを尽し、生きる興味を半ば失い、いつ魂を抜かれても不思議でない状態。妻に飽きた玉脇は妻と山崎に心中させようと企む。二人は、男女の契りを結ぶ。◆松崎は品子そっくりの女イネに会う。玉脇の前妻でドイツ人。髪と眼の色を変え、和装して夫の好みに合わせる。玉脇にとってイネは月光で変化する姿を愛でる人形でしかなかった。松崎が会ったとき、イネは既に死んでいた。◆品子から恋文を貰った松崎は金沢へ向かう。舟に乗る品子とイネを目撃。玉脇は二人を心中させようとするが山崎の拒否に会い失敗。山崎は和田という男に不思議な人形を見せられ、人形の裏に死後の世界があることを知る。◆品子とイネは不思議な友情で結ばれ、表裏一体の関係。品子の恋にイネは嫉妬し、山崎に迫る。恋文を送ったのはイネ。玉脇から幻扱いしかされず、山崎と情交し、もう一度生きてみたいと願う。死者と交わった山崎はあの世へ近づく。◆山崎は陽炎座という芝居小屋に入る。玉脇も品子もいる。そこの狂言方(脚本家)は魂入りの鬼灯で、魂の半生を役者に演じさせていた。イネの魂が現れ、苦悩と怨念の半生を演じる。玉脇は堪らず鉄砲を撃って退席するが、その鉄砲にはイネの灯籠が付いていた。芝居は続き、イネは生き返った。品子は芝居の先が知りたくなったが、今度は品子が演ずる番だという。品子は夫への復讐心から不義をしたと告白。死んで決着つけると言う。愛憎の一念が小屋を崩壊させ、品子は棺桶で怨念の鬼灯を吐き出す。その頃現実の世界で玉脇と品子は心中した。夢の世界が現世を変えた。「うたたねに恋しき人を見てしより夢てふものは頼みそめてき」は復讐の和歌だった。精神崩壊した山崎は万華鏡の先に死後の世界の自分と品子の姿を見る。ドッペルゲンガーを見た山崎は死期が近いことを悟る。◆鬼灯を売る老婆、品子の髪を掴む老婆、芝居小屋の老婆が脚本家であり、現実世界での脚本家でもあった。○△□は現世で表現不能なあの世文字。品子が帳面に書き、人形の中の女が男の背中に描き、万華鏡の中の品子が山崎の背に描き、山崎の最後の言葉。美しいが残虐絵が不快だった。
[ビデオ(邦画)] 7点(2011-09-28 17:24:01)
11.  借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 
【メインテーマ】『両親とは縁が薄くてたまにしか会えず、病弱ゆえに友達もいない孤独な少年。数日後には心臓手術を控えており、静養のために母の実家に引っ越す。少年はそこで小人を見る。そしてよかれと思い、ドールハウスの台所を小人の家に据える。人間に見られたら引っ越すという家訓を持つ小人は、少年と対話しにいく。少年は自分の命が儚いことから、小人に「君たちは滅びゆく種族なんだよ」と失言を吐く。小人は「どんなことがあっても生き延びる」と反論。小人のためによかれとしたことが最悪の事態をまねき、意気消沈する少年。しかし小人に助けを求められ、生け捕りにされた小人の母親の救出に成功。初めて人を助ける(守る)という行為をしたことで自信を取り戻し、手術と向き合う勇気をもらう。別れの場面で「君は僕の心臓だよ」というのは生きる勇気を与えてくれたことに対するお礼。小人も人間は悪い人ばかりではないことを知り感謝の涙を流す。小人達は新しい住処を求めて旅にでる』以上のようなことを表現したかったのだろうが、失敗している。少年の心が描けてないから。 【疑問点】①少年は押入れの床下に小人の家があることをどうやって知ったのか?そもそもどうして押入れの床にドアがあるのか?②借りぐらし=失敬ぐらし。小人と人間が対等でないとテーマが成立しない。小人が一方的に人間に従属していたのでは自尊心が育たない。何か恩返ししないとね。③途中小人二人が縫っている大きな袋は何だったのか?④コオロギの脚を食うって何事?人間から借りるんじゃなかったの?⑤いつか海を見たいという母親の伏線は? 【感想】少年と小人の心の交流を中心としているため、アニメ特有の冒険や空想物語のマジックが薄味が薄味になってしまった。小人世界の世界観を表現することに汲々として、人間が描けておらず、冒険も中途半端、起伏の少ない展開で収束。小人にジャンプ力とか飛行能力とか、何か特殊能力がほしい。敵役があの家政婦では役不足でしょう。誰も危機感をもっては見ない。家政婦も小人に対する執着心も唐突すぎる。伏線が必要。蝦蟇にさらわれ結婚を迫られる「親指姫」の方がよほど悲壮感がある。鴉や狸の描写はうまいのだから、もったいない気がします。
[DVD(邦画)] 6点(2011-09-13 18:29:22)(良:1票)
12.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 
戦に敗れた領主の世継ぎの姫と侍大将と奇縁の百姓がお家再興をめざし、軍資金を運びながら、敵国突破を試みる。次々と襲いかかる危機、困難をいかに乗り越えるかが見どころ。冒険あり、宝探しあり、痛快アクションあり、美女あり、ユーモアあり、娯楽性に富む内容で観客を飽きさせない。この作品は黒澤明の”インディ・ジョーンズ”だ。◆脚本上の問題は、相手武将の「裏切り御免」に尽きる。本人達が知恵と勇気と能力を駆使して危機を脱出するところに妙味があるのに、ここの部分だけが”他力”になって しまっている。物語の流れに逆らってしまっている。この場面がクライマックスなので尚更その印象が強い。また裏切りの理由が「家来の面前で、主君に面罵され、面相が変わるほど打擲されたため」では、重すぎる。ここだけ痛快時代劇の枠をはみ出している。鑑賞後、爽快感が薄いのはこのためだ。◆冗長な面もある。物語の発端となる2国間の合戦と落ち延びる姫の様子は描かれていない。その代わり二人の百姓が捕らわれ、強制労働させられ、暴動に乗じて脱出する様子が描かれる。どちらが重要かは論を待たない。後者はカット可能だ。百姓はあくまでサブ扱いすべき。百姓二人は黄金を持つと貪欲になり喧嘩をし、危機になると途端に仲直りする。そこに人間臭さがあり、ユーモアがあり、ラストのオチの伏線になっているが、何度も繰り返せばクドくなる。いくつかを削って尺を短縮すればより躍動感が出た。◆副物語は、姫の心の成長。これは良く描けていると思う。人身売買される娘を買って助ける場面は泣かせる。これは自分の身代わりになり打ち首になった娘の伏線があるからこそ効果が倍増するのだ。わがままから出た行為ではなく、他人を思いやる心が芽生えてきたからだ。娘を加えたことが敵の目をくらます原因に連なっており、このあたり絶妙である。又民と共に踊る火祭りのシーンは印象的。「人の命は 火と燃やせ 虫の命は 火に捨てよ思い思えば 闇の夜や浮世は夢よ ただ狂え」監督が観客に送るメッセージだ。◆山で大勢に囲まれ捕縛される場面。弾丸が倒木に当たり幹が跳ね、次の瞬間人物が飛び出てくる。これの繰り返しだが、フィルムが繋がっていないのが丸わかりというチープさ。明らかに手抜きである。上手の手から水が漏る。
[DVD(字幕)] 8点(2011-07-24 09:20:33)(良:1票)
13.  カムイ外伝 《ネタバレ》 
原作は救いのない物語。人の命は畜生並み。非人が忍者になり、自由を求めて抜け忍に。カムイに関わったせいで、愛するものどころか、島民全員が殺されてしまう(原作では半兵衛一家のみ)。半兵衛は二度救ったし、サヤカからは初めて愛される経験をしたのに。 全体を通じてムラがある。良い部分とそうでない部分のギャップが著しい。 漁民の生活などリアルだが、バカ殿とバカ奥方などはまるでギャグ。 半兵衛の豪快で開け広げなキャラは良く描けているが、カムイのキャラはブレがある。地獄を見てきた人間の重厚さ、悲哀、氷のような心が描かれていない。感情を露わにしすぎるのだ。抜け忍になった経緯も不明で感情移入できない。眼光鋭く、孤独で影のある役者でないと務まらない。スルガはカムイより悲惨な運命を背負う。演技に難あり。 凄惨な物語を救うのは、胸をすくような超人的痛快忍者アクション。みんなこれを期待して観るのだ。これがハチ切れていない。アクションの見せ方が上手くない。低予算のためCG丸出し、ワイヤー丸出しは許すとしても、カメラアングルや構図、カット割りが凡庸。タメが出来ておらず、場面が流れてしまう。スローモーションはここぞという場面で使ってこそ効果的。マトリックスもどきは恥ずかしい。前半の戦闘シーンはまだ見どころもあったが、不動との最終対決は全くだめ。記憶に残らない。美的センスが無い。 冒頭、原作の劇画で生い立ちを説明するが、安易すぎる。あくまで写実で見せるべき。劇画と写実では世界が違うのだから、別の世界を描ききる覚悟が欲しい。原作を淡々と描くのではなく、伝えたいもの。こだわりたちものを描いてほしい。例えば冒頭のスガルの戦闘シーンで大頭は菅笠を被っていたが、次のシーンでは被っていない。編集が杜撰なのだ。万事がこの調子。やっつけ仕事。こだわっているところが見えない。 人間ドラマが希薄なのも残念。例えばスガルは父が抜け忍となり、父を殺した。なのに自分も命を狙われ、家族も殺されるという。家庭を得たが、追手を恐れている。カムイを何度も殺そうとした。これを掘り下げれば厚みがでる。不動は渡り衆のボスという地位を得ているのに、どうしてイヌになる必要があるのか?密告したところで彼の命は危ういだろう。彼の残忍性が見えてこない。サヤカの月日貝の挿話は良かった。ところで島人全員が飲むまで効かない遅効性の毒は存在するのだろうか?
[DVD(邦画)] 5点(2010-06-16 03:38:36)
14.  ガス人間第一号 《ネタバレ》 
【ガス人間の犯罪】①彼の能力からして、銀行強盗に拳銃を発砲したり、殺しをする必要はない。失神させればよい。②ガス化しても声を出したり、札束を持てるのが不思議。③車で逃げる必要ないし、ましてや警察に追われて藤千代の家に行くなよ。④予告電話と殺害までした模倣犯の動機不明。 【水野】①体格不十分でパイロットの夢破れる。博士に実験に協力すればパイロットになれると説得される。騙されて怪物にされ、博士を殺害。②人生に絶望するものの能力に目覚める。③藤千代に恋するが、不器用で金銭で歓心を買うというアプローチ。殺人は平気で、恋だけが生きる希望。 【藤千代】没落した舞踏の家元。水野から金銭を融通してもらう。お金で元一門の者を雇い発表会を開こうとするが、水野との関係を知られ、元一門の者は去る。水野が全てを捨て、殺人までするほど愛してくれていることを知る。自身が人生に失望していることもあり、共感が愛に。しかし怪物かつ殺人者である彼と幸せに暮すことは不可能。愛の成就のために一緒に死ぬことを決意。結婚の約束をし、発表会終了後に無理心中。 【恭子】最初は藤千代の美しさに嫉妬していたが、次第に2人の恋に同情的に。藤千代に水野を説得して無茶をしないよう、又発表会を辞めるよう勧告。 【感想】隠れた名作。草深の庵、月光、蛍、鬼の面をつけた踊り、そして美女登場。道具立てが素晴らしく、美しい絵物語を見るよう。拳銃をぶっぱなす派手な銀行強盗で幕が開くが、中盤でガス人間の正体は明かされ、サスペンス要素は失せて、以後は恋愛物語に。水野の愛の大きさと暴走に戸惑う藤千代。男の正体と、本当に心から愛されていると知ってからの女の葛藤が見どころ。犠牲者達への責任も感じている筈。どうしようもない恋の行方は爆死という悲劇で終わる。日本的情緒たっぷりな結末。常識破りの恋である。じょうしき-し(死)=じょうき(情鬼)これは冗談で「情鬼=水野」。水野の人間性や葛藤があまり描かれていないのが残念。あまりにも自己中心的で、不敵な振る舞いをするので、共感しづらい。殺人は仕方なく犯す設定にすべきだったろう。警察の爆破装置のスイッチを外しておいたのは若い刑事だろう。それにしても藤千代はどうやって警察の計画をあらかじめ知ったのか?爺やを巻きこんだのはどうしてか。全てを知っている爺やの最後の演技に注目。全ては「古い家の没落」を象徴している。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-06-05 18:47:27)(良:1票)
15.  感染列島 《ネタバレ》 
ある病院で新型インフルエンザが発生。病人を診察した松岡医師とWHOから派遣された栄子は元恋人同士という少女漫画的設定。松岡は病院をほっぽり出して、感染源の家族の家に聞き取りに行ったり、感染源を調べにミナス島に行ったり、恋人のいる長野へ行ったり、ありえない展開のオンパレード。■日本に病原菌を持ちこんだのは、立花(嶋田久作)医師だが、彼は日本にいる間に発症し、吐血していた。それなのに外国のミナス島に感染源を調べに行っている。発症したら二日も持たない筈だが。それにウイルスのことを誰にも知らせないのはどういうことだ。医者ならすぐに日本へ電話しなさい!というか、日本にいたときに診察を受けなさい!手記を残すならメールしなさい!■感染者が日本人だけなのはありえない。国国際社会なのだから。鉄道が止まって日本中の交通機関やさまざまなインフラ、経済活動がマヒしているそうだが、だったらその様子を詳しく描写すべきだった。恋愛に割く時間があれば、そのような描写に力を入れるべきだったと思う。それがテーマの映画なのだから。政治家などもだすべきだろう。■ウイルスはなかなか発見できなかったが、民間学者の竹中はすぐに発見できた。その理由を説明して欲しい。単純に電子顕微鏡で見つかるのなら国際機関ですぐに見つかっているはずだ。■感染、発病、死亡に至る経緯が詳しく説明されていない。ミナス島では何人かの人が血を吐きながらゾンビのように生きていた。■演技力や演出に問題がある。みんないつも髪の毛サラサラで、顔色もいい。疲労困憊の姿が見えてこないのだ。松岡と栄子の最後のシーン。自動車がガス欠⇒病院へ走る⇒栄子心拍停止⇒松岡がDC治療⇒栄子意識戻る⇒栄子死亡⇒松岡無医師村へ勤務、という流れ。脚本に作為がありすぎて好感が持てない。栄子は感染しているのち治療をするのにも問題あり。栄子の行った血清療法で、中学の女の子は助かるのに、栄子は失敗という矛盾。栄子が医者を目指した理由とか、「明日地球が滅びるとも、君はリンゴの木を植える」というマルチンルターの言葉にしても、きれいごと過ぎる。だからリアリティがないのだ。この種の映画ではリアリティがあるからこそ、恐怖を感じるのだ。■感染すれば目、鼻、口から吐血するという過激な演出をしていても、死亡者1200万人というパンデミックの悲惨さは伝わってこない。主人公に演技力がないせいもある。
[DVD(邦画)] 5点(2010-03-07 04:19:27)
16.  ガメラ対大魔獣ジャイガー 《ネタバレ》 
ガメラ映画としては佳作と思いました。良い所を上げます。1.怪獣バトルシーンが多い。2.ジャイガーの武器が多彩。幼虫攻撃でガメラが透明になるシーンは出色。3.子供達の活躍が効いている。4.ムー大陸や悪魔の笛など小ネタがいい味を出している。5.万博という当時の世相を反映している。残念なところ。1.呪いを訴えたウェスター島の島民が最初に出てきたきりになってしまっている。一緒に知恵を絞ってほしかったです。2.万博会場を壊してほしかった。かなりのインパクトになったはず。3.ジャイガーはどうしてあの石像を追ったのだろうか?4.ガメラが子供の味方であることを強調しすぎ。人類の味方でいいのでは?
[DVD(邦画)] 6点(2009-07-02 00:14:25)(良:1票)
17.  がんばっていきまっしょい(1998) 《ネタバレ》 
設定を70年代にして、ノスタルジアを誘ったのが成功しています。ゆったり進む展開も気にならなくなります。甘酸っぱい青春がよみがえりますね。10数年後の現代から入る導入部分は見事ですが、これを受けるエンディングの現代の部分がありません。これは尻切れトンボでしょう。最後でもう一度観客にノスタルジアを感じさせるチャンスなのですが。主人公の悦子は志望校に合格しながらも鬱々しています。家族が出来のよい姉ばかりに期待して、自分を気にかけていないことと、やりたいことが見つからないからです。彼女は海で見たボートに興味を持ち、ボート部に入ろうとしますが、女子部がないと知ると結成します。ここまではグッド。部員勧誘は本来見せ所になるのですが、あっさり見つかり、残念。以後様々な苦労があるけど、がんばっていく展開になると思いきや、あれれ。大きな事件やトラブルは起らず、招聘したコーチは不思議とやる気なし(オーバー演技)。謎のコーチの心境が描かれないのはどうしてか。トラウマを負ったコーチが部員たちのひたむきな姿に感動し、己を取り戻し、一緒になって勝利をめざすのが本来の姿。さもないと後半でコーチがやる気を出す理由がわからない。その後悦子は貧血、ぎっくり腰になり、難病ものかと思ったのですが、そうではありませんでした。恋もありますが、二人は本当に惹かれ合っているか最後まで不明。途中で新体操の女の子を出してしまい、ふられた形になってしまったからです。ここは「お互いに好きだけど言い出せない」と引っ張るべきでしょう。保育園からの幼馴染というよい設定なのですから。合宿での彼女達の会話が映画のテーマ。「二十歳になったら…、三十歳になったら…、四十歳になったら…、一年先だってわからないよ」青春真っ只中です。ただ彼女達のキャラがいまいち描けてない。母親がいない子だけは描けており、ほろりとしました。さてラストシーンですが、応援が少ないのがもったいない。同級生、先生、家族、地元の人を加えて大いに盛り上がるべきところです。悦子の両親は最後まで悦子に無関心で終わります。これも、もったいない。家族愛にめざめましょう。そうすれば号泣シーンになりえたはずです。 「線香花火が消えそう」「料理が上手ね」の場面で肝心の手元を見せないカメラワークには疑問。
[DVD(邦画)] 6点(2009-04-06 18:36:29)(良:1票)
18.  ガメラ対深海怪獣ジグラ 《ネタバレ》 
ジグラ星人はたった一匹だったのか?内容はすごいです。地球征服をたくらむ宇宙人が円盤型飛行船でやってきて、ペルーと中近東にマグネチュード12の地震を起こします。ついで「人類よ降伏せよ」と警告を発したのち、東京にマグネチュ-ド13の地震を発生させ、壊滅状態に。マグネチュード12というと地盤のずれが10000km、マグネチュード13では、30000kmとなり、地球が真っ二つに割れてしまうような大地震です。怖いですね!転移四次元光線や催眠術も使います。対する日本防衛軍はなぜか鴨川シーワールドに対策本部を設置。(東京だったら壊滅してましたね)対抗できる兵器はなく、ガメラ頼みです。そのせいか。ガメラ対ジグラの戦いはすべて鴨川シーワールド周辺で起こります。ジグラは円盤の中にいたはずが、円盤が破壊されると大きな水中生物型に変じ、さらに水圧の関係で巨大化し、陸に上がると歩行型となります。宇宙生物なので理解できない部分が多いですね。光に弱いのと眠ってしまうのが欠点。かわいいですね。終始子供が大人を出し抜きます。
[DVD(邦画)] 3点(2009-04-03 06:02:53)(笑:1票) (良:1票)
19.  怪獣大戦争 《ネタバレ》 
【X星人の謎】 ①何故地下で生活している。 ②水は黄金より貴重らしいが、さほど不自由しないとも言う。地球侵略の目的は水か。金と水を交換すればよかったのに。 ③というか「質量がどんなに大きくても宇宙圏に運び出すのは簡単」なのだから水も運べたはずだが。 ④ゴジラ、ラドンをわざわざX星に連れて、キングギドラと闘わせるという小芝居をする手間を惜しまないのは、電子計算機の計算によるんだね。 ⑤P1ロケットをコピーしてわざわざ地球人に与える必要があるだろうか。UFOで送っていけばいいのに。技術力の誇示のため? ⑥X星人が殺人音波に弱いのは理解するが、コンピュータまで狂ってUFOに不具合が起こるのはどういう仕組みか。そもそもUFOを防音にしておけばいいだけなのだが。耳栓するとか。もっと言えば、発明家を拘束するとき、持ち物チェックぐらいしておけ。 ⑦殺人音波を出すレディーガードの発明家と契約しながら、代金を支払わないのはどうして。そもそも発明家を拘束すれば済む話だが。世界教育社ってどうよ。 ⑧波川女史がグレンに言う。「あなたがX星人になって私と結婚すればいいの。計算値にでました」でも、X星に行ったら女性の区別つかないんですけど。 ⑨X星人はわざわざ地球侵略の方法を説明してくれている。 ⑩「我々は脱出する。まだ見ぬ未来に向かってな」自爆しなくても、なにか脱出方法がなかったのか。 ⑪地球征服計画を立て、地球に前線基地を置きながら、調査ロケットが来るのをずっと待ってたの? ⑫で、癌の特効薬は? 【地球人の謎】 ①人類全体に関わる話なのに、日本人だけで全部決めてる。 【感想】X星人の電子計算機はろくな答えを出さない。だから高度な知能をもちながらも自滅した。いや、待てよ。あれはもしかしたら高度になり過ぎたコンピュータの反乱?わざとヘタな答えを出して、自滅させる計画。とすれば「2001年宇宙の旅」の先取り?なわけないか。しっかーし、モロ日本人なX星人て、萎えるな。外人も日本語しゃべるし。キングギドラがアメリカに出現、とかいいながら映像は無し。まあいいんですけど。無敵のゴジラが操られるところがマイナス。円盤をやっつけるのはゴジラではないとダメでしょう。子供たちにとっては十分楽しめますよ。特撮も合格ライン。
[DVD(邦画)] 6点(2009-03-18 18:37:46)(笑:1票) (良:1票)
20.  海底軍艦 《ネタバレ》 
全編脱力感が漂う。旧日本軍の秘密兵器対ムー帝国というチープな設定。どーにもこーにも、ちゃちい特撮。肝心のマンダが、弱っ! ムー大陸にのみ突っ込みを。落盤対策に日本人の技術者を拉致しなければならないほど技術が遅れているのは変。しかも、車ごと海に突っ込む必要はないでしょ。普通にボートに乗せましょう。あの変な踊りからして文明度が高いとは思えない。日本語どこで覚えたの?女王に日本語を翻訳して伝える場面があったけど、そのあとあれれ、日本語しゃべりだした。旧日本軍のアジトを発見したあとに、小火薬を爆発させただけで、攻撃しないのは何故?また、マンダを何のために飼っているのか。地上を襲わせないとだめでしょ。最後にあの女王、自分たちの弱点をわざわざ相手に教えることはないでしょ。
[DVD(邦画)] 4点(2009-01-06 06:15:40)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS