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1.  古都(1963) 《ネタバレ》 
近代化によって変化する京の伝統や町屋の風景など、「失われゆく美」に対する愛惜の情を数奇な運命を辿る双子に託して表現している。 美を象徴するのは双子姉妹。別々に育った二人だが、共に実の両親を知らない。これは切れた凧のように運命に抗うことができないことを意味している。 千重子は呉服問屋の一人娘として両親の寵愛を受け、何不自由なく育った。自分が捨て子だったのを知り、両親の云う事には何でも従う覚悟がある。父親から幼馴染の真一の兄・竜介を婿養子にする話を持ちかけられると結婚をすんなり承諾する。自立していないのではなく、受容的な性質なのだ。意志が弱いのではなく、番頭に帳簿を質すなど、芯の強さは持っている。相手が自分のことを愛しており、両親も勧める結婚ならば、反対する理由などない。その胸底には、昔ながらの商売の伝統を守ろうとする決意がある。 苗子は両親の元で育てられたが、物心がつく前に両親を亡くして孤児同然の身だ。北山杉の製材所で働き、自活している。彼女は、双子の姉妹・千重子を知って喜ぶが、育ちの違い、身分の違いを自認しており、千重子を「お嬢さん」と呼び、自分の存在が少しでも彼女の幸せに支障をもたらしてはいけないと考えている。だから西陣織職人の秀男から求婚されても断わろうと考えている。何故なら、、秀男は自分に八重子の幻を見ているのであり、万一結婚した場合、自分の存在が八重子の周囲に知られてしまうのを恐れているからだ。その背景には、双子を不吉とする迷信がある。 苗子が八重子を思い遣る気持ち、自分を勘定に入れずに献身的に相手に尽くす気持ちこそが「失われゆく美」だ。苗子が望んだのは、八重子の呉服屋で共に一夜を過ごすというだけのもの。それも周囲の目を慮って、夜に来て、早朝に帰るという慎重さ。雪の残る町屋を早足で去っていく苗子の姿こそ原作者の理想の姿で、「謙譲の美」とでも呼ぶべきか。幻想的ですらある。 音楽も映像も端麗で、四季を通じての古都の美を堪能できる秀作である。 ただし、スッポン料理は若い男女が食べるものではなく、不似合いだ。老年だった原作者の趣味を持ち込んだだけである。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-13 15:34:38)
2.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 
ハリウッドが本気で作った「ゴジラ(G)」に拍手。真実に迫る巨大怪獣の姿に恐怖を覚え、怪獣対決の醍醐味も十分に堪能できた。但し顔の造形は“大熊”似で、敵怪獣ムートー(M)も昆虫系生物で「怪獣美」に欠ける。暗い場面の連続には辟易し、「エイリアン2」そっくりの場面には驚いた。フィリピンの地底、化石ゴジラの胎内で孵化したMは海に入り、日本の原発に地中から侵入して、施設を崩壊させ、卵を産み付けた。15年後、孵化したオスMは飛翔、ハワイに着陸。米軍が攻撃するも、オスMが電磁パルスを発生させ、電子機器を無力化させてしまう。Mの宿敵のGもハワイに到来。両者は激突するもオスMは米国西海岸へ飛翔。ネバダ州の核廃棄物処分場にはフィリピンで発見された繭が保管されていたが、それが羽化し、メスMが誕生。二匹のMはサンフランシスコで合流、追ってきたGもそこに上陸。両者対決し、当然Gが勝つ。人間は仕掛けた水爆を解除するのに大童。水爆は海上で爆発。人間劇は家族愛が主題。妻が死んだ原発事故の原因を突き止めるジョーの執念は、本人死亡であっけなく終幕、後に続かない。ジョーの息子フォードは他人の子供を保護したりするものの、自分の子供とは疎遠で、妻とも疎遠。家族の気持ちが空回り状態だ。ジョーの執念の調査が怪獣退治に結びつき、フォードも父の執念に動かされて軍隊に復帰するという展開なら物語に繋がりができた。又、フォードの息子は母親と行動を共にし、Mに襲われたところをジョーかGに助けられる、あるいはジョーの犠牲で助かる、というようにすれば物語が深まった。ゴジラ第一作のような自己犠牲が見られないところが残念である。 GもMも放射能物質をエネルギーにしているが、Gは核施設を襲わない。核施設を襲い繁殖力の高いMは人類の敵で、各施設を襲わず繁殖しないGは人類の味方という構図だ。ところで最初に羽化したMは行方不明のままだ。日本も米国もMの繭を15年間も研究して、成果はほどんど無し。モナーク研究所は60年もGを追及して、成果はゼロ。このあたりも脚本の反省点だ。オスMが電磁パルスで電子機器を無力化する設定は面白いが、それが後半無くなるのは不自然だ。機能すれば核ミサイルの時限装置も無力する筈だ。フォードの日本の家にあった「○ニラ対ハブラ 火炎ビーム」という怪獣映画ポスターが気になった。教室に貼ってあった「蛾の一生」の絵といい、遊び心がある。
[映画館(字幕)] 8点(2014-08-28 05:29:58)
3.  ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 《ネタバレ》 
予算をかけた迫力のある特撮場面が売り物だった「ゴジラ・シリーズ」が「低予算・子供向けもの」に堕してしまった作品。 特撮部分は、壊れる建物などない怪獣島でのプロレスごっこに終始し、しかも多くが過去の作品のフィルムの使い回しという体たらく。最大の期待であった新怪獣ガバラの造詣に美しさは微塵も感じられない。愛嬌あるミニラが救いだが、人間と会話できてしまのはいかがなものかと思う。しかも大きくなったり、小さくなったりする。子供の夢の中という設定に甘えている。映画作りに対する自尊心、特撮魂、ゴジラ愛等は微塵も感じられない。 人間劇では、いじめられっ子が、夢でみた怪獣ランドのミニラに勇気づけられていじめっ子に立ち向かうという話に、間抜けな銀行強盗による子供誘拐未遂事件をこじつける。この強盗犯は首尾よく五千万円強奪に成功したにも関わらず、何をもたついているのだろうか?タクシーかバスか電車等を利用して、さっさと逃走すればよいではないか。予定では、どう逃走する段取りだったのか。敢えて車を盗む危険を負う必要は無いはずである。いじめっ子達との軋轢も、ガキ大将にぶつかっていってすぐ勝利、あっさり解決だ。ペンキ屋へのいたずらは、いたずらできる程元気になった、子供らしさを取り戻したという意味だろう。 このように全体を見渡して、観るべきものは無いといってよい。おかっぱのヒロインにも魅力がなかったと言い添えておこう。 唯一心証に残ったのは「怪獣マーチ」だ。「魔神バンダー」と同じ、佐々木梨里が力唱する。昭和の泥臭さが妙味になっている。映画にはないが三番の歌詞は「怪獣サマが泣いたとさ どうして地球は住みにくい ゴー、ゴー、ゴジラもおどろいた ミ、ミ、ミニラもブールブル ドッスン、ガッタン、ドッスン、ガッタン みんなこわしてしまうけど メガトン、スモッグ、排気ガス これが本当の怪獣だ」となっており、当時の子供の生活を脅かしていた排気ガス、工場排煙等の公害を批判している。「公害」「いじめ」「鍵っ子」「銀行強盗」という当時の社会問題を怪獣映画の中に盛りこもうとした意欲は買うが、無謀に帰した感がある。
[インターネット(字幕)] 4点(2014-08-26 13:45:32)
4.  河内山宗俊 《ネタバレ》 
「思いやり、やさしさ」が主題だと思う。 お浪は、やくざ社会に足を踏み入れかけている弟、広太郎のことを案じてやまない。 将棋詐欺の場面で、広太郎が宗俊に思いやりの言葉をかけたことで、二人は親密になる。 お浪が怪我をしたとき、宗俊と浪人金子は、共にお浪を思いやっていることに気づき、急速に昵懇となる。 宗俊も金子も聖人、君主の類ではなく、好きなように生きてきて、時には悪事も働き、清濁あわせ持つ人物で、可哀相な小娘、お浪のために命を張ることも厭わないやさしさを持っている。よき死に場所を得たことで、却って本望だろう。 宗俊の女房は悋気を起こし、我知らずお浪を窮地に追いやってしまうが、宗俊の危機には身を挺しても守ろうとする。 宗俊もそれに応える。夫婦愛の完成である。 監督は美的感覚が優れている。お浪が身売りを決心する場面の構図は見事に決まっており、雪の中を出ていく場面は美しい。 監督の特徴である無駄のないショットの繋ぎは、そのような美的感覚があればこそだろう。圧巻は、掘割での対決場面だ。奥行きを見せる縦の構図から疾走感を見せる横の構図へと繋ぎ、最後は地平線へ駈ける縦の構図で終る。水の使い方もうまい。乱闘の水飛沫、迸る落ち水、躍動感を盛り上げている。入水場面での月影を映す水、月影の砕ける波紋も印象的だ。 難点は、弟広太郎の人物像が描かれていないことだ。優しい姉がいるのに、どうしてグレたのか。幼馴染の遊女と心中を決心する場面で、「どうせ生きてたってしょうのねえおれだ」と吐き捨てるが、その心情が伝わってこない。同年代の少年は丁稚奉公などで働いている筈である。普通は、遊女に売られることが不幸なのであって、身請けされるのは喜ばしいことだが、この遊女はどうして死を賭して、脱走までしたのか。そこに至る過程が描かれていないので唐突感が残る。省略の美はよしとしても、省略し過ぎでは、余韻に浸ることはできない。よしや、広太郎が無事お浪を助け出したとして、広太郎は親分殺しの御尋ね者である。二人でまともに暮らすことはできないだろう。蛇足だが、遊女の身売り金は多くて五十両くらいであり、三百両はべらぼうに高い。身売り金と身請け金が引き合うわけはないのである。
[DVD(邦画)] 7点(2013-06-04 23:28:47)
5.  古都(1980) 《ネタバレ》 
戦後一貫して日本の美を追い求めた川端康成が、京都を描くために京都に住みついて原作を執筆した。違う環境で育ち、偶然出会った双子美人姉妹の物語。姉の千重子は捨て子にされたが、育て親に恵まれ、呉服問屋の令嬢として乳母日傘で育てられた。捨てられた理由は、貧困と「双子は育ちにくい」という迷信のため。苗子は実の両親の元で育ったが、幼い頃に二親とも逝去。苦労して育ち、今は北山杉の土地持ちの住み込み奉公と山仕事を兼業して暮らす。特筆すべきは苗子の驚嘆するほどの奥ゆかしさ、慎み深さだろう。自我を前に出さず、相手を思いやる心、謙遜の情にすぐれている。原作者の説く日本の美の体現者だ。両親が亡くなったのは、姉を捨てた神罰と信じ、両親が亡くなった後は、その罪はいつか自分に降りかかるものと覚悟している。姉に対して何も望まない。北山杉で会う場合も、村人の目を憚って山中で会うという気の使いよう。姉の家も訪ねる折も、わざわざ夜にする遠慮深さ。それを迎える姉の両親の気配りも良かった。呉服問屋で一緒に暮らさないかという申し出は断わる。贈られた帯も付けない。姉と同泊したのを今生最上の喜びと表現。優しさも兼ね備える。山で雨に降られた時は姉にかぶさり、寝る前には姉の布団を温めたる。別れるとき、姉の差し出した傘を受け取ったのは、形見替わりとしてだろう。姉を慮ってもう積極的に会う気はないのだ。典型的な相手に尽くす型の女だが、自分の生き方を貫く強い女でもある。一方千重子は素直に育ち、良妻賢母型で、両親のいう事に逆らわない生き方で満足している。両親の持ってきた結婚話も受諾する。運命を受け入れているだけのように見えるが、実は運命を切り拓いている。未来の夫の忠告に従って、家の商売の勉強を始めるのもその証左。捨子ながら幸福な家庭環境の下で育ったのも偶然ではないだろう。”紅殻格子の前に捨てられる”という運命を引き当てたのだ。巫女的な力を宿しているように思う。これは双子を演じた山口百恵が、恵まれない家庭環境に育ちながらも国民的スターになれたことと重なる。苗子は、彼女が「赤いシリーズ」で演じた”薄幸ながら力強く生きる少女”の分身だ。彼女の二面性を合わせ鏡のように見せてくれる映画のように思える。偶然の産物だろうが、彼女の引退作品としてはこの上ないものだったと思う。アイドルを越えた女神、山口百恵が”日本の美”として記録された。
[DVD(邦画)] 7点(2012-08-16 23:52:54)
6.  御用金 《ネタバレ》 
武士の世界の不条理を描いた作品。藩の財政難を救うために、佐渡の金を運ぶ幕府の船を沈め、その金を横領するという策謀。そのために目撃者である集落の漁民を全員抹殺し、「神隠し」と呼ばれる。孫兵衛はそんな侍暮らしに嫌気がさして脱藩したが、三年後江戸で藩の刺客に狙われる。問いただせば再び「神隠し」を行うという。孫兵衛はこれを阻止するために帰郷する。途上で神隠しに遭った漁民の娘おりはに遇う。きな臭さを嗅ぎつけた隠密もついてくる。奇縁で結ばれた孫兵衛、おりは、隠密の三人で船の遭難を回避。巨悪の根源である老中も倒す。◆随所で監督の映像美が堪能できる。構図、背景、殺陣が美しい上に、俳優陣に個性があり、重厚感ある時代劇に仕上がっている。また人間が能く描けている。特に村娘から転落して、鉄火肌の賭博師となり、孫兵衛を助け、助けられ、密かに孫兵衛を慕うおりはという役どころは秀逸。特に神隠しに遭った漁村に帰って、それを発見して絶望する場面は実に丁寧で好感が持てる。孫兵衛にしても決して正義感が強く無垢な男ではなく、意図しなかったとはいえ、自分に立ち向かってきた漁民を殺している。この挿話により彼の人間としての苦悩が描けている。そしていつまでも自分を慕ってくれている愛妻との再会。これならクールな彼にも感情移入できようというものだ。◆一方で脚本構成は荒っぽい。財政難を救うためというが、その実態が描けていない。どれほど困っているのか不明なので、「神隠し」は短絡的な強奪・殺戮にしか思えない。又船を遭難させる方策だが、そう簡単にいかないと思う。そもそも都合よく夜に岬を通過するとは限らない。満月だったらどうする?沖で沈没したら金の回収はどうするのか?などと疑問点が湧く。老中の手下に囲まれた孫兵衛をおりはが救う場面もしかり。町のやくざを敵対するやくざがそこにいるとけしかけて、侍とヤクザを闘争させるが、やくざと侍の区別は容易につく筈だ。そして隠密の扱い。最後にあっさり、もう隠密はやめるというオチはしっくりこない。この人の苦悩が伝わってこない。もうひと波乱あってしかるべだ。この人物だけ妙に明るくて、浮いている。。三船敏郎と仲代達也がケンカして三船が降板、急きょ代役として三日間だけ出演という背景がそうさせたのだろう。残念である。ちなみに御用金は出雲崎で荷揚げされ、北国街道で江戸に運ばれた。
[インターネット(字幕)] 7点(2011-10-25 15:19:58)(良:1票)
7.  ゴジラVSスペースゴジラ 《ネタバレ》 
【感想】薄っぺらで底の浅いストーリー。怪獣プロレスごっこのB級路線全開。「スペースゴジラの誕生」と「地球飛来の理由」がほとんど描かれていない。モげラのデザインは時代遅れ。特撮に見るべきものなし。スペースゴジラのデザインは良かった。【ツッコミ】①ゴジラ映画で最初に犠牲になるのは大抵アメリカ人。今回はNASA惑星探査船。何か恨みでも?②スペースゴジラ(SG)は飛ぶときと地上に降り立った時で姿が違う。変身シーンを見せてほしい。③SGはGを倒す目的で来たらしいが、どういう理由によるのか?それなのにバース島で戦ったときに、トドメを刺さなかったのはどうしてか?④ゴジラが倒されると地球も征服されると小美人コスモスが言っていたが、どうしてそんなことがわかるのか?モスラが倒せばいいじゃないか。⑤小美人がどうして小モスラに変身するのか。⑥宇宙でモスラが鱗粉を捲き散らすと無数の小モスラになる。あれはどういうことか?⑦バース島での結城隊員の任務は何か?許可なくゴジラを殺そうとしている。⑧ゴジラ殺傷作戦がシリーズ中最弱。三人で地雷を埋設?脇下にライフルで血液凝固剤を撃ち込む?失笑です。脇の下じゃなくて口中の方がいいと思うし、どうせなら、もっと巨大にしてミサイルで撃ち込みなさい。⑨結城はゴジラ退治に執念を燃やしているのに、逃げてゆくゴジラを見逃した。「傷ついた奴は追わない」⑩特撮と実写とでバース島の砂浜の色が違う。凡ミス。⑪結城らが訓練も受けてないのにモゲラを操縦する。⑫バース嶋に結晶体が繁殖し、SGはそこからエネルギーを吸収していた。福岡では宇宙エネルギーを福岡タワーが吸収し、結晶体を媒介にしてエネルギーを吸収していた。でもそんなことどうやって分かったの?⑬片足が扉口に挟まって宙ぶらりん。ありえん。⑭超能力少女三枝は、ゴジラを意のままに操れるなら人間だって操れるはずだが。⑮三枝が拉致されている場所が、どうしてすぐに判明したのか。⑯Gフォースはどうしてミニゴジラを囮にした作戦を立てないのか。ミニを観察しているだけなのか。⑰進化生物学博士の正体は企業マフィアの一員だった。それはいいが、三枝拉致の目的がゴジラを意のままに操って街を破壊するのが目的というのは解せない。
[ビデオ(字幕)] 3点(2010-10-27 14:31:01)
8.  ゴジラの逆襲 《ネタバレ》 
◆ゴジラ上陸警戒警報中、灯火管制の敷かれた夜の町で、何故か囚人護送の車が無灯火で移動している。いかにいい加減な脚本かということが分かる場面だ。月明かりだけでの運転は危険。囚人護送を夜にする理由がない。案の定囚人達は脱走し、ある組は車で暴走し、石油コンビナートに突っ込み、爆発炎上する。これが沖のゴジラを呼び寄せた。別の組は怪獣対決の犠牲となる。アイデアは買うが詰めが甘い。◆小林機がゴジラの熱線にやられ、氷山に激突。これが雪崩を起こし、ゴジラを封じ込める方法の発見のきっかけに。が、小林機がゴジラにやられる必然性がないのだ。彼がゴジラに突っ込んでいった結果でしかない。何のために突っ込んだのか不明。無理に犠牲者を出して、映画を盛り上げようとする魂胆がみえみえだ。小林はのほほんとした風貌で、悲劇が合わない。◆怪獣対決シーンはコマ落としの技法で早送りになっている。一方で建物が壊れる場面などは従来の高速度撮影でスローとなっている。これをつなげるので不自然さが目立つ。島での対決があっさりしすぎているのは残念。怪獣に出会うまでのドラマがほしい。 ◆飛行機で魚群を発見し、それを無線で船に知らせる仕事があったことを知ったのは収穫。ただ飛行機どうしや飛行機から直接船に通信ができないのはどういう理由か知りたい。 ◆アンギラスに脳が2つあるというのは当時信じられていた学説。恐竜は巨大なため動きが鈍かったと信じられていた。しかし腰骨に神経の塊が入る空洞が見つかったため、第二の脳と考えられた。その後、糖類の貯蔵庫と訂正された。尚本来のアンキロサウルスは草食で大人しい。7千万年前から1億5千万年前生存と言うが、実際は7千4百年前から6千7百万年前。 ◆破壊シーンが少ない。怪獣対決した島に人家は無い。大阪では町に向かって熱線を吐かない。氷の島では歩くだけ。時折熱線で飛行機を落とすが地味。大阪でゴジラが海に帰ってゆくシーン、北海道で船を襲ったシーン、小林機が遭難して不時着する場面は音声説明のみ。完全に手抜きである。撮影期間が短かったせいだが、残念。飛行機が氷山を破壊するシーンを何度繰り返しても盛り上がるはずがない。危険な作戦だと強調していたが、危険には見えなかった。ゴジラの手に叩き落とされるほど近く飛ぶ必要はないだろう。 ◆乱杭歯のゴジラとセンス無い音楽にげんなり。大阪弁しゃべる人は一人だけ。大概にせんかい!
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-21 21:58:59)(笑:1票)
9.  ゴジラVSデストロイア 《ネタバレ》 
◆ミキロオキシゲン(MO)=酸素を微小化したもの。生物の成長を促進する性質がある。一方分子の細かさから、物体を形作る原子の隙間に侵入し破壊する作用がある。低温で液化すれば無力化できる。 ◆オキシジェン・デストロイヤー(OD)=水中酸素破壊剤。特殊な物質を電磁的に反応させることにより水中の酸素を破壊、生物を一瞬のうちに死に至らしめ、完全に液化する。 ◆デストロイア(DR)=地球に酸素がなかった先カンブリア時代の甲殻類が、古代地層で眠っていたが、ODが無酸素状態を作ったために復活し、その後大気に触れて異常進化したもの。微小体→幼体→集合体→飛行体→完全体と変化。幼体ではMO、完全体ではODを放射。 ◆棲息していた島のウランが核反応で消滅した影響で、体内炉心の核分裂が暴走し、いつ核爆発を起こしても不思議ではない状態のゴジラ。冷却弾を受け、体内の核分裂が制御され、核爆発の危機を免れる。が、今度は体内温度が異常上昇。数日後にメルトダウン(炉心溶融)が確実と判明。 ◆この状況を打開するにはデストロイアのODでゴジラを溶かしてしまうしかない。そのためにはジュニアを囮に使用。ジュニアはDRに倒されるが、ゴジラはDRに勝利。というか最後は何故か自衛隊がトドメを刺す。遂にメルトダウンが始まり、ゴジラ消滅。地球規模の大惨事と誰もが諦めたとき、放射能レベルが減少。煙の奥にジュニアの姿が現れる。ジュニアはゴジラの核エネルギーを体内に取り込み、力強く甦ったのだった。 【感想】第一作のヒロイン河内桃子が出演しているのが好印象。観客動員数400万人、邦画収入第一位という輝かしい成績を誇る。ゴジラ映画最後の栄光だ。全て「ゴジラ死す」「これで最後」と大宣伝した成果である。ゴジラの体内炉心はずっと核融合と思っていたが、核分裂だったことが判明した映画。DRが人間の大きさくらいのときに、エイリアン2もどきの展開になる。で、全然恐くなく、失笑の連続である。監督のセンスの無さが判明する。伊集院博士に科学者としての葛藤を持たせないのはどうしてか。山根ゆかりを救った伊集院博士、三枝未希が好きな山根健吉などの人間関係も放りっぱなし。DRが微小から極大まで変化しすぎてついてゆけない。トンネル事故の様子が省略されている。理論が難しくて子供は理解するのが大変だと思う。怪獣の格闘シーンは迫力があった。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-17 03:31:07)
10.  ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 《ネタバレ》 
◆南海で難破した漁船の乗務員の息子は生きているというイタコの宣託を聞く母。母の言葉を信じて弟の彌太は東京に出て警察に再捜査を依頼。しかし聞き届けられない。そこへヨットが優勝賞金の「耐久ラリーダンス大会」を知る。会場で知り合った大学生仁田、市野とヨットを見にゆく。豪華なヨットに無断で乗り込むとオーナーの吉村がいた。吉村の好意で一晩泊めてもらうことになったが、翌朝目を覚ますとヨットは出港していた。彌太が勝手に帆を上げていたのだ。仁田、市野はヨットの操縦を知らず、吉村はオーナーではなく銀行強盗犯だった。 ◆やがてヨットは暴風雨に巻き込まれる。さらに海から巨大なハサミが出てきて、ヨットを叩き壊す。四人は奇跡的に島に漂着した。四人がそこで見たのは、秘密の核兵器工場、エビラの嫌いな黄色い汁を絞るインファント島の奴隷、逃走した娘ヨダ。彌太はヨダから兄がインファント島で生存していることを聞く。眠るゴジラも発見。 【感想】エビラの食料は人間のようだ。普段は船が来るまで、じっと海底で眠っているのだろうか。ゴジラは落雷が発生するまで眠っている。モスラはもっと眠っている。当然観ている側も眠くなるというものだ。大コンドルや戦闘機ぐらいじゃ眠気は覚めない。そうこうしている間にエビラ退散、自爆装置作動。やっとモスラ登場。「逃げろゴジラー!」島爆発。 ◆仲間が出来るまでの導入部はスピーディで意外性があり、冒険物語としては成功だろう。島についてからは途端につまらなくなる。革命軍団「赤い竹」がまぬけなのだ。何度も吉村たちを取り逃がす。彌太が風船にからまって偶然インファント島に到着するに至っては、脚本家の良識を疑う。ゴジラとエビラのキャッチボールには辟易。あの恐いゴジラはどこへ。「赤い竹」とエビラとの関係も不明確のまま終了。それにしても、インファント島の島民は民度が低そうだ。
[ビデオ(邦画)] 3点(2010-10-16 22:51:52)
11.  ゴジラVSビオランテ 《ネタバレ》 
ビオランテは、バイオテクノロジーの暴走が生んだ禁断の生命体。砂漠に薔薇を咲かせるのが夢だった娘がテロで亡くなる。その亡くなった娘を薔薇の細胞と融合させた父親の気持ちはわからないでもない。だがその薔薇が枯れそうになり、永遠の命を持たせるためにゴジラ細胞を融合させてしまい、大変な化け物を産んでしまった。このあたり、ゴジラ誕生を想起させる。◆あの醜い姿の中に、死んだ美しい娘の細胞と魂が宿っていると思うと切なくなる。美女と野獣の一体型怪獣だ。もっと美しい造詣であればよかったのにと思う。それにしても製作した白神博士の苦悩をより前面に出すべきではなかったか。博士は淡々とし過ぎているのだ。ビオランテが殺人をしても何とも感じていないのはどういうわけか。◆何故ビオランテは人を襲ったのか?侵入者とわかっていたわけではあるまいに。又超能力少女が薔薇の声を聞こうとしたときに何も答えなかったのは何故だろう。◆もう一方の発明品の抗核エネルギーバクテリア。ゴジラのエネルギーを無力化するのが目的だが、核兵器を無用化にする兵器として転用できる。そうすれば核のパワーバランスが崩れてしまう。単に生物学の問題にとどまらず世界平和の問題にもなってくるのだ。このあたりの展開がうまい。◆ビオランテには薔薇形と進化した怪獣形が存在するが、光となって空に消えたり現れたりするのはどう説明するのか?このあたりが科学SF映画としては失格。超能力は最小限だったので許容範囲内。【感想】兵器に魅力なし。特撮やバトルシーンには見るべきものがなくチープな仕上がりが目立つ。悪者エージェントシーンの何もかもがしょぼい。最後主人公桐島が暗殺者を追うシーンなど取ってつけたようなもので不要。白神博士は死をもって罪を贖うべきだが、暗殺されるのはいかがなものかと思う。ビオランテと共に海に沈むような展開なら納得がいく。【ツッコミ】①「火口を爆発させてゴジラを復活させる」と脅すわりには小規模な爆発でした。②白神博士が湖畔の桟橋でインタビューを受けるシーンは、途中で別の桟橋になっている。③30分に一度細胞分裂して一日で4兆個になる、といっているが、実際には2の48乗で280兆個。
[ビデオ(邦画)] 6点(2010-10-15 20:05:46)(良:1票)
12.  ゴジラ FINAL WARS 《ネタバレ》 
◆観客動員数は100万人にとどまり、シリーズ・ワースト3。製作費20億円で、興行収入12億円、テレビ放映視聴率もたった5.8%という散々な出来で終わったゴジラ最終作。冒頭の「田中友幸、本田猪四郎、円谷英二に捧ぐ」という文字が痛々しい。内容のほとんどが軽薄なパロディで、ゴジラや怪獣たちに対するリスペクトが無く、ゴジラ映画を愛するコアのファンには見るのが辛い映画となっている。子供が見ても楽しめない。楽しめるのはアンチ・ゴジラ・ファン?「晩節を汚す」という言葉がぴったり。東宝は大いに反省していることでしょう。◆特撮の出来や脚本がうんぬんというより、姿勢の問題なのだ。1984年の復活以来ずっとシリアス路線できたのに、最後の最後でおちゃらけ路線。行きあたりばったりの展開に口あんぐり状態だ。◆気になった点。 ①怪獣の場面が継ぎはぎだらけという稚拙さ。125分もあるのに。 ②馬鹿にするためだけにハリウッド・ゴジラを出している。 ③ロケットランチャーでエビラを倒す。他と整合性がとれない。 ④キングシーサーは正義の味方のはず。モスラだけがいいとこどり。 ⑤「人類にミュータントが見つかる」などというB級設定。 ⑥怪獣映画に不要な人間のアクションパートが多すぎる。 ⑦事務総長など死んだと思った人物が生きていた。 ⑧X星人が仲間割れする。 ⑨X星人に操られた尾崎が小美人からもらったお守りで殴られると正気に戻る。 ⑩ミニラが登場し、途中で巨大化する。
[ビデオ(邦画)] 3点(2010-10-15 07:08:14)(良:2票)
13.  ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 《ネタバレ》 
◆モスラの小美人の主張。「人間がゴジラの骨から戦いの道具を作ったのは過ち」「死者の魂に,人間が手を触れてはいけない」「ゴジラの骨を海に返してくれれば,かわりにモスラがゴジラと戦う」「さもなければ,モスラは人間の敵にならなければならない,それはモスラの望んでいることではない」 ◆小美人の石の言葉「生命は定められた時の中にこそある」 ◆何故小美人はこのような主張をするのだろうか?モスラは自然と調和と平和のシンボルだ。小美人の友人である中条は言う。「ゴジラの骨を使って機龍を作ったことは,神の領分だ。人間は越えてはならない一線を越えてしまったのだ。すでに人類は,原水爆を生むという過ちを犯している」つまり科学技術の暴走で、生命を弄ぶようなことをしては神の罰を受けるという警鐘だ。伏線として前操縦者茜に「もしかすると機龍はもう戦いたくないのかもしれない。このまま修復されずにいる方が幸せなのかも」と語らせている。だが、そう言われても、ゴジラに対抗する手段が他になく、モスラへの信頼もないので、機龍を放棄することはできない。 ◆結果は、機龍のDNAが再びゴジラの咆哮に呼応して暴走、自らの意思で,ゴジラを抱え日本海溝の底に沈んでゆく。結局人間は反省をせず、ゴジラのDNAも廃棄しなかった。それでも総理は言う。「失ったものが大きい。しかし我々は,自らの過ちに気づき,その過ちを認める勇気を得た。その勇気こそが勝利だろう」むなしい言葉だ。 ◆最も英雄的な行為をしたのは機龍だ。「SAYONARA YOSHITO」のメッセージを残し、海中へ沈んでゆく。機龍は仲間のゴジラと闘いたくなかったし、人間と共鳴したことにより、ゴジラが町を破壊するのも見たくなかったのだろう。 ◆この重いテーマに脚本がついていっていない。言葉や観念だけでは感動は生まれない。何より機龍の孤独や葛藤を伝える場面がなさすぎる。誰からも望まれない生命として産まれ、殺され、骨となってからも戦闘マシンにさせられ仲間と闘わせられるという悲劇。もっと生命を感じさせるサイボーグとして描くべきだった。それがないので、最後になっても観客おいてきぼりである。ここが商業的に失敗した主因と思う。心に残るものがないのだ。冒頭のモスラ迎撃シーンだけはかっこよかった。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-15 02:53:57)
14.  ゴジラ×メカゴジラ 《ネタバレ》 
◆沙羅は妊娠中の母親を亡くしてから、命というものに人一倍敏感になった。眠り草を母親代わりに話かけている孤独な面がある。茜は天涯孤独の身。「自分は求められて生まれて来たわけではない、つねに戦って自分の居場所を勝ち取って来た」と思っている。沙羅は言う。「この子(機龍)もちゃんと生きているのよ。どうして仲間のゴジラと闘わなければならないのかって、きっと思ってる。水爆でゴジラを産んで、今度はゴジラのサイボーグ。一番悪いのは人間よ。大人は命の大切さをみんな言うけど、本当はそうじゃない。誰もこの子をことを可哀そうと思わないでしょ」茜が答える。「慥に機龍は生きているわ。あいつも私と同じ。求められない命。産まれてきたことさえ疎まれて、本当は生きてはいけない命だった」沙羅は「生きてちゃいけない命なんてあるわけないよ」と反論する。 ◆戦闘中、命がけで闘っている茜の姿を見て沙羅は願う。「あかねちゃん、死なないで」 ◆茜は機龍にシンパシーを感じる。「機龍、お前にはわかるよね。お前と私は仲間だってこと。さあ、そろそろ行こうか!」倒れた機龍の中で気絶しかかる茜を目覚めさせたのは,仲間の笑顔と茜との握手のぬくもりだった。孤独ではないと気づく茜。「機龍、私に力を!」茜の精神と機龍(初代ゴジラ)の精神が共鳴する。 ◆戦闘が終わって茜が沙羅に言う。「あなたに力をもらったわ。皆からも力をもらったわ。生きてちゃいけない命なんかない。あなたの言葉を信じてみるわ」沙羅ももはや眠り草を持っていなかった。命のダイナニズムを受け入れ、少し大人に成長したのだ。 【感想】命に関して深く考えさせられる内容を含んでいる。「生きてはいけない命」とはゴジラのことでもある。人間の科学の暴走が生みだしたゴジラ。そのゴジラを殺さねばならない人類の宿命。どんな命も大切と考える子供の純な心。仲間を死なせてしまったというトラウマを抱える女自衛官の執念。そしてゴジラとの戦いで多くの命が散ってゆく。良いテーマだと思うが、全体の構成として十分活かされていない。重いテーマに踏み込んでいないのだ。沙羅の父親が機龍の開発に無関心だったりするのを見れば分る。彼は「命」より、娘と一緒にいることや茜の気を引くことに終始関心が向く。惜しいと思う。父親をリンクさせれば感動作になっただろう。このシリーズの売り物である破壊シーンや戦闘シーンに特に見るべきものはない。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-14 23:58:36)
15.  ゴジラ×メガギラス G消滅作戦 《ネタバレ》 
◆現実と違う別の歴史を持つパラレルワールドの設定だが、全く活かされていない。重水素によるプラズマエネルギーをクリーンエネルギーなどといっているが、核融合のことで、破壊されたら大変な環境破壊になる。◆ゴジラが原発施設を狙う理由は何だろうか?憎しみ、それともエネルギー補充?いずれにせよ、どこかの島にエネルギー源を置いて、Gをおびき寄せれば済むのに。そして近くからディメンジョン・タイド発射。これでOK?ところで時空が歪むという欠点は修正したのだろうか。ところでDTの実験でメガヌロンを出現させた責任は誰が取るのか。それとも自分たちのせいだとは気付いていないのか。◆メガヌロンは人類を捕食して成長するのだが、それに対して人間が何の手だても講じないのはどうしたことか。あんなに大繁殖しているのに。渋谷が水没してしまうが、それがメガヌロンの幼虫の仕業によるものなのか、どうか不明のまま。それにトンボだから極楽とんぼ出すとかは、止めた方がいい。日本の誇る「ゴジラ」をリスペクトしてほしい。◆工藤はマイクロマシーンを作るのが得意だとして、ブラックホールとは畑違いだと思うが。それに何の役にも立たない女性博士はいらない。◆自衛官の上司をゴジラに殺された辻森桐子の執念が一貫して描かれる。だが、肝心の二人の関係が少ししか描かれていない上に、ミサイルの効かないゴジラに対してロケットランチャーで攻撃するという意味不明の作戦上での死であることが悲劇性を薄くしている。上官の死はもっと英雄的に描かれるべき。桐子はゴジラとの闘争、アマチュア科学者工藤との関わりなどで、最後には女性らしさを取り戻すという物語にすればドラマとしてまとまったものになっただろう。憎しみだけでは見ていて辛い。成長物語にしてほしい。◆肝心のゴジラ消滅作戦だが、根本的な問題がある。そもそもG消滅は観客の誰も望んでいないのだ。観客のほとんどはゴジラがビルを破壊するのを見ることでカタルシスを得る。日常のストレスの憂さ晴らしであり、生命の偉大さの実感なのだ。消滅方法も日常離れしすぎていて実感が薄い。だからG消滅作戦はきっと失敗するだろうと高を括って見るので、物語にはのめり込めないのだ。作り手もそれは分っていて、ゴジラは生きていることを示して終る。志の中途半端さが分る。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-14 20:30:42)
16.  ゴジラ2000 ミレニアム 《ネタバレ》 
・ゴジラと自衛隊の対決は迫力があったが、CGと脚本の幼稚さが目立った。また到るところで腑に落ちない点が目に付く。ひと言でいえば消化不良の映画。 ①ゴジラが出現する理由は、「人間の作ったエネルギー源を憎んでいるから」と冒頭で説明している。だがラストで、「科学の暴走が生んだゴジラ、お前は何故現れるんだ」「人間が生みだしてしまった怪獣」「ゴジラは俺たちの中にいるんだ」などと言わせている。 ②ゴジラを殺す派とゴジラを研究する派の対立。それが軸になって物語が展開する筈なのに、途中でエイリアン侵略ものになってしまった。ゴジラどころじゃなくなっている。そして最後には無理やり従来の怪獣対決路線になってしまっている。その怪獣のかっこ悪いこと、弱いこと。UFOも一度燃えたのに復活しているし。どこをどう取っても「中途半端」。 ③そして地球侵略の危機を救ったのは人間の宿敵ゴジラだったという皮肉。そのゴジラの生命力の神秘さは、人間やエイリアンの英知の及ばないところにあった。で、結論は何?映画の意図が読み取れない。 ④UFOのエネルギー源が太陽光とはしょぼい。そんなものでよく宇宙旅行できたものだ。宇宙空間はほどんど光がない世界なのだが。夜は活動できないといっていたのに、ちゃっかり活動している。 ⑤エイリアンはゴジラとファーストコンタクトしたとき、Gの生命力に興味を持ったが、何故光線で攻撃したのか。捕獲するなり、細胞を採取するのが筋ではないか。 ⑥エイリアンは6000万年以上の寿命があるのだから、不死といっていい。改めて肉体を持つ必要があるのだろうか。また地球をテラ・フォーミングする必要もない。彼らがゴジラの肉体を持ちたいのであれば、現在の地球の環境そのままでよいからだ。 ⑦侵略エイリアンがわざわざネットでパソコンにmillenium、革命、破壊、改造、征服などのメッセージを発信するわけがない。 ⑧CCI隊長の片桐はどうしてかたくなまでに、時間通りにビルを爆発させようとしたのか。片桐はどうしてゴジラから逃げなかったのか。片山という人間が描けてない。 ⑨GPN(ゴジラ予知ネットワーク)ってあるけど、ゴジラがいるからって海底の温度は上がらないでしょ。 ⑩小学生のこまっしゃくれた娘が手伝っている不思議さ。何の必然性もなし。
[ビデオ(邦画)] 4点(2010-10-14 06:42:44)(良:1票)
17.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 
◆単純な怪獣映画ではなく、反核、反戦をテーマとした映画。特撮の傑作というより、時代を越えた奇跡の職人芸、手作りの傑作。それを可能にしたのは、製作者全員に反戦・反核の想いがあったからだろう。企画の少し前に、第五福竜丸事件が発生している。日本人なら誰しも心を痛めた事件。愚かな水爆実験を繰り返す人類への反省が込められている。◆対策本部に殺到する沈没船の乗務員の遺族たち、巨大な足跡に検出される放射能、猛火の中を逃げまどう人々、ビルの下で父親の元へ行くのよと子供を抱きしめる母親、長崎で生き延びた命なのにという女、また疎開かとうんざりする男、病院で母を求めて泣く子供、被爆した子供になすすべなくうなだれる医者、、平和の祈りを歌う少女たち。あらゆる場面に戦争、空襲、原爆被害へのオマージュが満ち満ちている。だからこそゴジラは反戦を誓う日本人のDNAに訴えるものがある。◆芹沢博士はオキシジュン・デストロイヤを「絶対に兵器として使用してはならない。使うのは今回の一度きり」と決意し、その秘密を守るために自ら死へと赴いた。芹沢博士だけが特別正義感が強いのではない。戦争を経験した者なら、誰でも戦争など二度とあってはならないと願うのだ。博士にも幸福を夢みていた頃があった。好きな研究をし、山根博士の娘と結婚し、壻養子となることが約束されていた。だが戦争で片目を失い、婚約も破棄同然。研究成果も兵器として利用されかねないもので、平和利用できるまで発表もできなかった。そしてゴジラを倒すためには自らを犠牲にしなければならなくなる。これは戦争末期の神風攻撃隊を想起させる。博士の場合は命のみならず、研究成果も葬らなければならなかったのだ。この悲劇性がドラマを盛り上げている。◆ゴジラとは何か?単に町を破壊するだけの怪獣ではない。水爆の洗礼を受けても尚生きている古代生物。その巨大さ、生命の逞しさを想う時、畏怖というものを感じる。ゴジラは人間に被害を及ぼすが、ゴジラを憎みきることはできない。ゴジラは水爆実験の被害者でもある。平穏な住処を破壊されて、仕方無く上陸するようになったのだ。ゴジラは生命の尊厳の象徴であり、同時に恐怖の象徴である。恐怖とは戦争であり、核兵器のこと。つまり人間の心の闇だろう。山根博士は第二、第三のゴジラの出現を予言して映画は終る。ゴジラの再来=次の戦争への恐怖となり、強い余韻が残る。
[ビデオ(邦画)] 10点(2010-10-14 03:30:37)
18.  ゴジラVSモスラ 《ネタバレ》 
◆人類出現以前に高度な文明社会を築いて、繁栄を誇っていたコスモス族。1万2千年前に気候変動装置を開発。地球生命体は怒り、黒いモスラ、バトラを出現させる。破壊本能だけで行動し、地球生命体を脅かすものを徹底的に破壊した。守り神モスラはバトラと闘い、氷の海に封印。気象装置は破壊され、大陸は海に沈んだ。◆隕石の墜落と森林伐採、気候変動のせいでモスラの卵が出現。バトラも覚醒するのではと心配する小美人。一方20世紀の最後の年、大隕石が地球に衝突するが、それを防ぐのがバトラの役目という。とすればモスラもバトラを倒すわけにはいかない。◆ゴジラの立場はどうか。単なる破壊王?人類の敵だが、地球の敵ではない。何故バトラはゴジラと闘うのか?バトラは人類を敵とみなしているので町を破壊する。ゴジラと闘う理由がない。単なる闘争本能か?モスラも小美人を助けるとしながら町を破壊。最後は環境破壊に関係のないゴジラだけが悪者に。【感想】モスラ幼虫、成虫は如何にも弱そう。これが最大の欠点です。随所に美的センスが光るシーンがあるのですが。◆冒頭の藤戸のインディージョーンズのパクリ行動には苦笑しかない。遺跡盗掘者で小美人を売ろうとするなど問題行動がある。副主題の離婚した夫婦が元の鞘に戻る話は影が薄い。藤戸のためには、何か汚名挽する活躍を挿入すべきだったろう。◆主題は人類の環境破壊への警告。それが悪玉の丸友会社社長に集約されるが、土地が破壊されただけの中途半端に終わり、フォローがない。彼は改心したのだろうか。彼が怪獣バトルの犠牲になれば話としてはすっきりしたのだが。まあ彼だけを罰してもどうしようもない話だが。一方地球生命体、地球の怒りはどうなったのか?地球の怒り=バトラであれば、「ゴジラ封印」で終わったことになる。大風呂敷を広げて、未消化に終わっている印象がある。◆「卵が出現→小美人が見世物にされそうになる→幼虫が上陸→羽化して蛾になる」旧作の物語をなぞっているだけで陳腐。【ツッコミ】①蛾の卵は成虫に較べて遥かに小さい筈。②バトラ幼虫が一瞬にして成虫に。手抜き?③小美人は空を飛べるのなら自力で逃げれたのでは?④自衛隊は繭のモスラを何故攻撃しない。⑤ゴジラはマントル内を通っても平気。⑥鱗粉はモスラ最後の武器といいながら、その後生き長らえる。⑦急にモスラが熱線を吐き出す。 ⑧小美人て何歳?
[DVD(邦画)] 5点(2010-10-12 16:52:09)
19.  ゴジラ対メカゴジラ 《ネタバレ》 
◆アンギラスが叫ぶ。岩の中の何かが光って爆発炎上。沖縄アズミ王族の子孫の女ナミが幻を見る。それは怪獣が町を破壊する幻影。洞窟から発見された奇妙な金属。それは宇宙金属と判明した。洞穴から発見された古代遺跡とシーサーの置物。それには古代アズミ王族の予言が描かれていた。アズミ族を滅ぼそうとヤマトンチューがやってきたとき、二匹の怪獣が現れて人々を救う。本土では地震が頻発。巨大生物が移動しているとの憶測あり。置物を狙う謎の人物が登場してアクションシーン。そしてそれらを遠くから見守る謎の新聞記者(岸田森)。考古学博士二人と宇宙工学の権威がからむ。ヒロインも三人、ナミと考古学博士と宇宙工学博士の娘だ。そしていよいよゴジラ(実はメカゴジラ)登場。ここまで開始から18分。謎をふんだんに含み、テンポのよい展開で、掴みはOK。 ◆だがその後の展開がグダグダ。聞かれもしないのに計画を何もかもしゃべり過ぎる宇宙人には辟易。死んで正体を現す姿がゴリラそっくり!仮にもブラックホール第3惑星人だよね。キンギシーサーを眠りから覚ますナミの歌が民謡風ではなく、もろ昭和ムード歌謡。これはギャグにしか見えない。最大のツッコミどころ。大して活躍しないヒロインに失望。メカゴジラのルックスが合格点で、兵器も多彩、戦闘シーンは迫力あるのに惜しい。全体として脚本の中味は濃く、リメイクして使えそうな出来映えである。 【疑問点】 ①ナミの見た幻の怪獣はキングギドラだったのは何故?②アンギラスとゴジラは何故メカゴジラに闘いを挑むのか?③ゴジラの顔が妙にカワイイ。④キングシーサーが目覚めたときは陽が沈んだ後なのに、その後真昼間になっている。⑤まだ眠っているキングシーサーを倒すためにメカゴジラが飛来するが、何故か遠くで降りて、ゆっくり歩いてゆく。⑤怪獣が大暴れてしているのにマスコミも自衛隊も政府首脳も一切登場しない。⑦博士のパイプ兵器は電極の+と-を破壊する電磁波を作るものだが、それだけで何故基地とメカゴジラが爆発する?⑧沖縄の老人は、最初ゴジラ(実はメカゴジラ)が東京で暴れているときにヤマトンチューをやっつけろと応援していたのに、舞台が沖縄になった途端に手の平返し。⑨予言の空に浮かぶ黒い山、赤い月に何の意味があるのか? 蜃気楼は鏡面でないので、沈む太陽は昇らない。
[ビデオ(邦画)] 6点(2010-09-25 20:17:02)
20.  この世の外へ クラブ進駐軍 《ネタバレ》 
「詰め込み過ぎ映画」の典型。腰が据わっていない。敗戦の衝撃、戦後の経済と思想の混乱、闇市、戦争孤児、ジャズバンドの物語、米兵との確執と友情の芽生え、売春婦、恋愛、戦争のトラウマ、戦争の虚しさ、朝鮮戦争での死等、戦争とジャズにまつわるものを整理せずに詰め込んでしまったために、何を伝えたいのかが分かりにくく、結果として感動は薄い仕上がり。「ジャズバンドの成長物語」を軸に展開すれば明快になっただろう。題材が良いだけに惜しい。「ジャズバンドの成長物語」に見せて、そうなってはいない。事情の異なる五人が出会ってバンドを結成、ライセンスの合格を目指すまでは良い。各人の個性もほどほどに描かれる。しかしその後瓦解してしまう。一人は高額のギャラにひかれて別バンドに引き抜かれる。一人はヒロポン中毒症状が悪化して死亡。バンドは空中分解してしまう。どうにか再結成して、ラストで友情の芽生えた米兵の遺作曲を演奏する。これがタイトル曲。しかしこの演奏がダメ。そもそも主人公はサックス奏者、米兵もサックス奏者でライバル心を燃やしていた。それなのにサックスではなく歌の曲なのだ。一貫性が無い。しかも歌唱がヘタ。これにはずっこけた。監督はジャズを好きではないのだろう。ジャズに思い込みのある人ならあの演奏はNG。反戦ものとして観てみよう。米兵は尊敬する兄を太平洋戦争で無くしたトラウマがいつまでも消えない。だから自暴自棄な行動をする。だがその描き方が記号的、おざなりでしかない。バンドメンバーと米兵との友情も通り一遍なものでしかないので、朝鮮戦争で米兵が戦死したと聞いても、さほど心が動かない。心が動く前に、ラストの演奏を盛り上げるために米兵を死なせたのだなという理屈が先にくる。そもそも米兵にまで話を広げたのが間違い。尺が足りないのだ。ジャズメンバーが戦争のトラウマを抱えている物語にすればすっきりしたものになった。ヒロポン中毒のメンバーはどうしてそうなったのかさえ描かれていない。不手際である。メンバーの一人が浮浪児になっている弟を発見し、一緒に暮らそうと説得するが弟は拒否する。拒否の理由はトラウマのせいだが、そこを端折っているので観客には伝わらない。このように一人一人に重い物語があるので、詰め込むと却って伝わらない。コミカルなパートは成功していたと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2010-07-04 01:52:38)
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