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1.  潮騒(1964) 《ネタバレ》 
原作は牧歌的な島を舞台に、少年と少女とに芽生えた恋とその成就を抒情的に描いた作品。裸になって焚火の火を飛び越える行為は、文明という皮相の衣を脱ぎ棄て、人間の原初の姿に立ち還ること。原初の人間として純粋に愛しあうことが最も美しい。二人が漁師と海女という、自然を相手とした生業であったからこそ可能だった。その為、映画では、主人公新治と初江の、普段は隠れている未開の自然人としての本来の姿、美質を描くことが重要となる。新治は日焼けした筋骨隆々たる海の男で、島を五周できるほど泳ぎが巧みだ。映画では優男で、とても海の男には見えず,又、泳ぎの巧者という紹介がないため、最高潮場面での嵐の海に飛び込む行為がやや唐突に思える。初江は健康的で純朴、内気だが芯の強さを秘め、野の花を絵に描いたような海女見習いの少女。映画では、申し分のない演技を見せるが、遺憾ながら、少女の美しさの象徴であり、処女を証明する乳房の露出がないので、原作の意図が表現しきれていない。原作では、乳房は欠くべからざる美質として最重要扱いで、詳細に記述する。『それは決して男を知った乳房ではなく、まだやっと綻びかけたばかりで、それが一たん花をひらいたらどんなに美しかろうと思われる胸なのである。薔薇色の蕾をもちあげている小高い一双の丘のあいだには、よく日に灼けた、しかも肌の繊細さと清らかさと一脈の冷たさを失わない、早春の気を漂わせた谷間があった。四肢のととのった発育と歩を合わせて、乳房の育ちも決して遅れをとってはいなかった。が、まだいくばくの固みを帯びたそのふくらみは、今や覚めぎわの眠りにいて、ほんの羽毛の一触、ほんの微風の愛撫で、目をさましそうにも見えるのである』新治が灯台長の家に魚を届けるのは、中学の卒業が困難となった時に、灯台長が学校に陳情して卒業叶ったという恩義があるから。灯台長の娘千代子は、二人の噂を流したことを後悔して、東京から贖罪の手紙を送るが、その心境の変化の理由が明かされない。千代子は顔の劣等感を持っていたとき、新治に美しいと言われて好意を抱くようになったが、東京に戻って島の二人の噂を聞き、真に彼の幸福を願うようになったのである。映画としての出来は悪くないが、奥行きがない。欲望や醜さも描いてこそ、真の人間の美しさが見える。恋愛を魅せる青春映画としては合格だが、人間の真の姿を描く芸術映画としては物足りない。 
[DVD(邦画)] 6点(2014-11-02 14:25:34)(良:1票)
2.  春琴抄(1976) 《ネタバレ》 
春琴は大店の娘だが、盲目故に甘やかされて育てられたせいか、自尊心、気位が高く、誰に対しても高圧的な態度を崩さない。好きな琴の修練には熱中し、師匠の跡取りと目される腕前だ。その身の回りをしているのが奉公人の佐助だが、その献身ぶりは度を過ぎている。春琴を思慕するあまり自ら芸の道に入り、春琴を師匠と仰ぐ次第となった。佐助は春琴を思慕しており、彼女の身の回りの世話をすることに限りない歓びを感じているのと同時に、彼女にわがままに命令されたり、いじわるされたり、痛い目にあわされたりすることに快感を覚えているようだ。それで春琴はますます増長し、佐助への指図、言動は苛烈を極めていく。サディズムとマゾヒズムの共依存関係が成立しているのだ。或る日事件が勃発、春琴が何者かに顔に熱湯をかけられるという災禍にみまわれる。醜くなった顔を見られたくないという春琴に対して、佐助は自ら針で目を付いて盲目になるという選択をする。ここが愛のクライマックス、純愛、献身、自己犠牲の極致というべきか。これにより、二人の更なる共依存関係が完成。二つの魂はひとつとなった。しかし、この異常な行動を驚嘆すべき愛の行動として肯うのには躊躇される。というのは、佐助が視力を失えば、春琴の世話を以前のようにはできなくなり、必然と第三者の介入が必要になるからだ。「健常者と盲人」という優劣の関係を「主人の娘と奉公人」「師匠と弟子」という関係を結ぶ事で逆転させていたのだが、このバランスが崩れる。もう一つ気に掛るのは、春琴が佐助の子供を産んでいるという事実。二人は否定するが、赤子の父親が佐助なのは疑いようがない。奉公人風情と性的関係を持ったことが春琴の自尊心をずたずたにした。だから佐助と示し合わせて赤子の父親については口をつぐみ、赤子を余所へやることに決めたのだ。だから二人の関係は純愛ではない。やがて二人の関係に綻びが広がってゆくのは目に見えている。奇異な形態の恋愛だが、明治というまだ封建制度が残る時代なら、成立する余地はあると思う。
[DVD(邦画)] 7点(2012-09-11 23:27:21)
3.  静かなる決闘 《ネタバレ》 
軍医の藤崎は野戦病院での手術中に誤まって梅毒に感染した。手袋を途中で脱いでおり、明らかな医療過誤である。婚約者美佐緒と6年間も婚約しているが結婚の意思はない。結婚すれば梅毒が感染ってしまう。それでも真実を言えないのは、もうすぐ完治するではなかというかすかな希望があり、事実をありのままに美佐緒の性格からすれば「いつまででも待ちます」と言うに決まっているからだ。結局父が真相を知り、婚約は破棄する。女性を抱きたくても抱けない懊悩。藤崎は病気と同時に良心とも戦っている。◆長い婚約の理由が知りたい。戦時中は子孫繁栄を第一とし、出征が決まってからあわてて結婚することも珍しくない。五年間も出征していたのか。◆藤崎はどうして梅毒のことを父親に話さなかったのかということ。二人は同じ医者どうしでもある。適格なアドバイスが受けられた筈だ。又それだけひた隠しにしているのに、見習い看護婦峯岸には治療薬を注射している姿を隠さない。二人が話す声を父親が立ち聞いて、初めて知れた。不自然である。藤崎が本当に誠実ならば婚約者に真実を話すだろう。 ◆藤崎の苦悩は察してあまりある。恋愛の末、結婚と考えていたら戦争にとられ、結果若い身空で梅毒もち。終戦で帰ってきても、結婚どころか、完治するまで性交渉は出来ない。完治もいついなるかわからない。しかし彼は医者という職業に身をおいていることで救われる。自分を不幸だと思うが、周囲に彼が助けなければならない患者が常にいるからだ。人を救う職業の人は高潔になる傾向がある。◆藤崎と対照的に描かれるのが中田。梅毒の感染源だ。中田は藤崎のアドバイスを無視して、療養に努めず、結婚。妻は感染し、死産となった。死児見せられて正気を失う。◆峰岸はダンサーだったが、客の子を孕む。男には逃げられ、堕胎する金もなく、自殺未遂。藤崎にひろわれ、看護婦見習い。最初は人生に幻滅していたが、藤崎の生き方に心酔。子供を育て、看護婦になる道を選ぶ。◆主題としては、不運にして不幸を背負った場合に真の人間性が問われるということ。良心に則って人間として正しい道を進むのか、自棄を起し、堕落の道を進むのか。藤崎は前者であり、結果として峰岸を立ち直らせた。後者は中田であり、妻も子も健康も失った。美佐緒も不幸だが、結婚が決まり希望がある。ヒューマニスト黒澤監督の面目躍如。ただ演出が大人しく、弾けていない。
[ビデオ(邦画)] 6点(2011-10-02 22:08:20)
4.  新選組(1969) 《ネタバレ》 
実年齢49歳(もっと老けてみえる)の三船が、33歳で死んだ近藤勇を演じる。違和感ばりばりである。他の役も同様で中年の演じる新撰組になっている。そのため総てが嘘っぽく見える。芹沢鴨の役の人は迫真の演技をしている。【史実と違う点】①浪士隊で京都に残ったのは13人ではなく24人(17人説もあり)②壬生浪士組のとき近藤は芹沢に大阪の商人に用は無いといってるが、実際には大坂商家から資金の提供を受けている。③池田屋事件では9名討ち取り4名捕縛。映画では斬りすぎている。④油小路事件で伊東甲子太郎を暗殺したのは近藤勇ではなく大石鍬次郎。⑤近藤勇はお雪(深雪)太夫を身請けしたが、その後妹お考と出来て妾にしている。お雪とはその際200両の手切れ金を払った。お考が近藤を殺そうとした事実は無い。⑥沖田総司は戊辰戦争には参戦せず、江戸で死んだ。⑦映画で近藤はいさぎよく出頭しているが、実際は名前を変えて出頭している。彼の顔を知っている者がいて素性がばれた。
[ビデオ(邦画)] 5点(2011-09-18 05:54:08)
5.  十三人の刺客(2010) 《ネタバレ》 
グロい映画でついていけません。四肢切断など趣味が悪いです。まず言いたいのはあの手の大名はいないということ。江戸後期にもなれば大名はみんな物わかりがよく大人しい。非道の振る舞いをすれば、いくら将軍の弟でも乱心扱いで押し込め隠居させられます。朱子学、儒教に基づいた倫理観(御世道)が許しません。それよりあの大名が剣豪だったら面白いのにと思いました。たいてい馬鹿大名は武道に疎い青瓢箪ですが、その裏をついて欲しかった。そうすればラストの対決は見どころがあった。あっさりを首を刎ねられて残念。面白い性格だったのに。【疑問点】①参勤交代の行列が出発してから何故三日間ものんびりしてたのか?②宿場は公共のもので買い取ることなどできない。毎日何百人も宿泊するのだ。宿場に村人がいないのも変。③大名行列には常に先遣隊がいて、宿泊する陣屋などと打ち合わせをする。先遣隊があの大仕掛けに気づかない筈がない。④当時は家の改修でも役所の承認が必要。大仕掛けを見た誰かが役所に密告する。⑤当時の大名はお金がなくて、江戸に出入りするときと出帰藩するときだけ人足を雇って格式通りの大名行列をするけど、それ以外は少人数だった。途中で手勢を集めたといってるが、どうやったのか。⑥新左衛門は「小細工はここまでだ!」と弓矢攻撃をやめるけど、まだ130人も残っているんだよね。⑦火まみれになって暴れる牛がかわいそう。動物虐待です。⑧山の男が強すぎる。山の男が不死身すぎる。山の男がどうして参加したのか不明。⑨明石藩士達は鉄砲、弓矢、槍を使わないのが不思議。鉄砲手は射られる場面があるが。⑩真っ先に屋根の上に登り、射者をうつべし。⑪街道の両側を塞いだところで、いくらでも脇に抜け道はある。⑫大名暗殺が目的なら行列の伸びきる山中で待ち伏せて鉄砲で狙えば良い。井伊直助暗殺の事例(18名、ピストルを使用)をみてもわかるが側面から襲撃すれば比較的容易い。宿場で待つのは阿呆。全員を殺すのは無駄な殺生で、大名の被害者より人数が多い。⑬新左衛門が大名にわざと刺されるのはどうして?⑭陣笠、編傘などは視界が悪くなるので真っ先にはずす。⑮大罪を犯した武士は類が家族郎党に及ぶので離縁したり、息子と縁を切っておく。⑯四肢切断女の目から流血してるのはなぜだろう。⑰どう考えても明治維新や原子爆弾とは無関係。
[DVD(邦画)] 5点(2011-09-17 04:55:59)(良:2票)
6.  地震列島 《ネタバレ》 
いろんなことに説得力が無い駄目映画。脚本が新藤兼人じゃ仕方が無いか。特撮部分も特に見ごたえなし。◆「30日以内に東京に直下型の大地震が来る」と断言する地震学者川津。だがその根拠がさほど示されない。火山のマグマ溜まりが増えたのと、井戸の水の水位が上がったくらい。これでは単なるはったりだろう。川津の独自理論など用意すべき。◆川津は燃えない車の研究とか、トンネル内での消化方法の研究などをしているが、地震予知学者がどうしてそんなことをするのか理解しがたい。◆総理大臣に提言するのに「日本中の道路を倍に広げて、広げた部分は非常用道路として普段の使用を禁止する」とか無茶言いすぎ!◆川津は地震が来る、地震が来ると騒ぐけれど、結局自分では何の防災もしていないと思われる。それが証拠に自宅が簡単に崩れ落ちてしまったではないか。自分の家くらい耐震設計にしておけよと言いたい。それに知人などには、東京から避難すべきだと警告を発すべきだろう。1人で深刻ぶってるタイプ。◆前半で、学者仲間に理解されない川津の苦悩が描かれる。彼が地震が来ると広く一般に告知し、そしてその通り地震が来れば、彼の苦労も報われるのだが、川津が放送で発表しようとすると政府関係者に拉致されてしまう。結局川津の自説は一般に知られなかった。これでは観客がストレスを持ったままになってしまう。観客は主人公に感情移入するのだから、主人公を活躍されなければダメ。主人公はあくまで英雄タイプであるべき。そして愛する人は一人。単純な設定が望ましい。最後の自己犠牲も中途半端。◆川津には同じ地震所の研究員の富子という愛人がいる。川津の妻は家や子供を顧みない夫と離婚したがっている。富子の幼馴染でルポライターの橋詰は富子を愛している。川津は妻と離婚し、富子と結婚する決意をする。しかし地震で川津と妻の愛情が復活。富子は、命がけで救ってくれた橋詰に愛を感じはじめる。地震パニックものにこんなややこしい昼メロを持ち込んじゃだめでしょ。◆貯水漕に避雷針で雷を呼びこんで爆発させる。避雷針は導雷針なので矛盾はないが、爆発はしないだろう。タワーリング・インフェルノのぱくりだよね。◆予算の関係でパニック群像劇が見られるのはほんのわずかで、自衛隊、警察、消防隊なども一切登場しない。せめて上空から東京の全貌がどうなっているのくらい見せてほしかった。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-11 01:05:01)
7.  七人の侍 《ネタバレ》 
【感動】①農民の境遇に同情した侍が、金、出世に無縁の野武士との私闘に命を張る。ヒューマニズムとヒロイズム。②言葉では百姓を罵倒していた人足が、心底では窮状に同情しており、勘兵衛が断ったとき、飯を突き出して説得する。③心離れた侍に菊千代が百姓の実態を訴える。「百姓は嘘つきで業突張りだ、そんな百姓に誰がした」④菊千代が火中から救出した赤子を抱いて「この赤子は俺だ」と叫ぶ。 ・勝四郎が食事を削り、娘に米の飯を与える。娘はそれを最貧困の老婆に渡す。それを知った侍が食事を削り、子供たちに与える。⑤決戦前夜、勝四郎と村娘との恋の激情。⑥勘兵衛を師と仰ぐ勝四郎の成長ぶり。⑦「勝ったのは百姓達だ」と心憎い言葉を残す勘兵衛。大地に生きる者が勝利者、戦に生きる者の心は虚しい。【悲劇】①百姓利吉の妻は野武士に差し出されていた。野武士の砦を襲ったとき、利吉の姿を見た妻は火中に飛び込む。そのとき利吉を助けようとした温厚な侍平八が射殺される。②戦術上離れ屋は見放される。長老は自らそこに残って死を選ぶ。③菊千代と良いコンビを組んでいた弱い百姓代表与平が戦死。④人格の高い久蔵が戦死。仇を討ちに行った菊千代は敵と差し違える。久蔵と菊千代とは表面上正反対の存在だが、心ではつながっていた。【野武士】40人もいるのに屑揃いで無能、同じ戦法を繰り返す。鉄砲も弓も甲冑も馬もあり、村は四方から襲撃可能なのに。いきなり斥候が殺され、奇襲を許す。村の木柵は焼き払えば良い。近くの家も火矢で焼けば、防ぐのは困難。槍襖などは鉄砲と矢で蹴散らせば良い。隠れている小屋も焼く。何軒かの家も火矢で焼いておいて談合を持ちかけ、ゆさぶりをかけるのが定石。一旦引いて、数か月後に奇襲するのが最上手段か。侍が去るのを待つべし。復讐するなら村ごと焼き払えば良い。【その他】①婆さんに人殺しさせるのは良くない。止めてあげないと。②長老の死が理解不能。③百姓を無力な存在に描いているが、秀吉の刀狩令が出たことでも分る通り、当時は百姓も武装していた。④青年がほとんどいないのも疑問。⑤せっかく甲冑や槍、奪った鉄砲があるのに活用しない。弓矢が当っただけで死ぬ。⑥馬から降りた野武士が弱すぎる。悲鳴を上げて女の鍬に追い立てられる。剣豪が一人ぐらいいても良い。⑦菊千代を除いて侍達の体格が貧弱。⑧ラスボス不在が残念。
[DVD(邦画)] 10点(2011-01-27 23:45:09)
8.  人狼 JIN-ROH 《ネタバレ》 
【伏】特機隊の諜報部隊「人狼」。ゲリラ「セクト」の武器の運び屋「赤頭巾」の少女を撃てなかった。少女が自爆し、負傷を負う。もう一人の少女圭は撃てた。そして狼になった。【圭】赤頭巾だったが、警察に捕まり、公安のスパイに。命令で伏を騙すつもりが騙される。【感想】◆底が浅い。少女達はどうして赤頭巾になったのか。そもそもゲリラの目的は?その辺りの消息が不明なのが欠点。殺される側の人間像を深めることで、より悲劇を演出できた筈。圭は伏と一緒に死んでもいいと思っていた。だがそれは映像からは伝わってこなかった。◆殺す側の伏は、少女を射殺するのに躊躇する人間性を持っていた。圭と出会い、心を通わせてゆく。無表情なのでわかりづらいが、心は許していた筈である。だが命令により圭を殺す。人間を脱ぎ捨て獣に成った。「そして狼は赤頭巾を食べた」その間何が彼に起こったのか?彼は罰として再訓練を受けていたが、圭拉致の命令を受け実行。ただそれだけ。心の成長や葛藤が見られない。だから感情移入しにくい。しかも騙されたのではなく、騙していた側。正義の味方でもなく、仁義を重んじるわけでもなく、人情に厚いわけでもなく、少女を愛することもできない。人の皮を被った狼になる必然性が感じられない。人間性を失ってまで得たものは何?観客を納得させるものがあるだろうか。◆登場人物に血汗が通っていない。観念で作り出した人物のように思える。少なくとも悲劇の少女は可愛いさがなくてはだめだろう。冷血なスパイではなく、転向させられた女なのだから。◆特機隊といっても強化服等や暗視カメラなどの装備が優れているだけ。個人としての凄さが感じられなかった。見せどころの銃撃戦も突っ立っているだけ。普通服なら殺されていた。つまり戦闘員としての魅力も薄い。「007」のようにスカッとしたアクションがほしい。◆諜報戦を描くのはいい。相手をスキャンダルの罠に嵌めようとして、逆に罠にはまったという展開は意外性があって面白い。だが、警察の内部闘争・内輪もめというのはいただけない。警察が多くの仲間を殺しておいてただで済むわけがない。そこには正義のためという観念がない。警察の犯罪や警察の殺し合いは後味が悪いだけ。その上拉致した少女を殺す。そんなこと警察がするわけないと皆思う。設定に無理があるのだ。冒頭世界観を説明していたが、活かしきれていないと感じた。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-06-25 04:37:16)
9.  シベリア超特急 《ネタバレ》 
悲劇の連鎖を生む戦争を起こしてはいけないという反戦映画。それなのに主人公はB級戦犯の山下奉文陸軍中将(後に大将)という首をかしげる設定。山下が生き残るのはわかっているので、もともと少ないサスペンスがさらに半減する。致命的である。水野晴郎は山下奉文を尊敬するあまり、本名を「山下奉大」と改名していたそうである。このあたりで既に理解に苦しむ。それに2,3人の軍人を殺したからといって戦争が回避できるはずがないではないか。彼女達の殺人の動機は単純な憎しみであり、偶然の交換殺人である。戦争の悲劇を描いているとも思えない。冒頭の自殺シーンは、映画終了後の寸劇につながってるとは、あきれ果ててものがいえない。真面目な反戦映画ではなかったのか。車掌の死体が発見された時点で全車両中大騒ぎとなるはずだが、何事もなかったかのように物語が進むのがオカシイ。山下を殺しに来たリーランが何もかも話しすぎ。これから殺そうとうする相手に何もかも懇切丁寧に教えてやることないじゃん。あーあ、だからあんなことになっちゃった。書記官の恋人とリーランがウリ二つという設定は安直。リーランが一目見て書記官を好きになるのもへん。
[DVD(邦画)] 1点(2010-03-11 01:13:26)(良:2票)
10.  12人の優しい日本人 《ネタバレ》 
パロディー、コメディなのだからもっと楽しめるものにしてほしかった。死刑判決が出るかもしれないような重要な事件を題材にしているのが最大の欠点。もっと笑える、ごくつまらないものに議論を尽す構成にすればよかっただろう。つまりどっちに転んでも大して違いがないようにすれば、結論をあまり気にせず評決がでる過程を楽しめるはず。議論するのに理屈や理論ではなく、ただ感情に左右されすぎる人物が多すぎるのも気になる。ただフィーリングと繰り返したり、口を聞かないとか、たとえ有罪でも無罪とか、ちょっとひどすぎる。もっと議論好きを出して、議論を楽しむ内容にしてもよかったのではないだろうか。結論もトラックの運転手が眠っていたとか、被害者の自殺だったとか、ジンジャエールと叫んだとか、無理が多い。また元夫婦の寄りを戻す話し合いを居酒屋ではしないだろう。実際にはトラックの運転手が二人の立ち位置や轢かれた瞬間を目撃していたはずで、その証言が決め手になるだろう。急カーブをふくらまずに曲がっているので眠っていたとは思えない。一度観れば十分という程度の作品。脚本ががんばっているのは認めます。
[DVD(邦画)] 6点(2009-07-02 02:49:23)
11.  下妻物語 《ネタバレ》 
とても勢いのある作品。前半は漫画チック、後半は劇画調。発色のよいフィルムを使って、ポップ調に統一している。B級コメディ路線狙いが見事に成功。お馬鹿映画に見えるが、内容は深い。「星の王子様」と同じテーマ。桃子は、不幸な家庭環境が影響し、現実を拒絶している。牛の糞のある田舎町を受け入れず、18世紀のロココの時代に生きる空想ばかりを抱く。生きがいは、ロリータファッション。服が心の鎧となっている。現実を生きていないため、常に孤独で、友達もいない。感情も停止させているので、孤独さえも感じない。重症である。そこへレディースのイチゴ登場。彼女は過保護すぎた家庭環境のせいでいじめに遭い、それから抜け出すためにレディースに入った。一皮剥けたのである。イチゴは自分をぶつけてくる。好きな服には感心し、先輩のために刺繍を入れたいと願い、バイトもするし、将来の設計もあり、失恋もする。現実に生きて、悩み、もがいているのだ。二人に共通なのは孤独。桃子は離れようとするが、特殊能力が友情のきっかけに。パチンコである。ここはご都合主義だが、もう一つの特殊能力、刺繍に目覚めてから桃子は変わる。イチゴのために刺繍をしたいと願うのだ。初めて自分から他人との関わりを願ったのだ。それはイチゴの「他人のために何かしたい」という無垢な心が伝わったから。そして服の会社から刺繍の依頼。初めて社会との接点ができたのだ。他者から必要とされることで、不安を覚えならがも自我に目覚めてゆく。不安は刺繍するときに出る汗で表現されています。そんな桃子に感応して、自己中心的だった社長も仕事より友情を選べといってくれます。途中で事故に遭うが、このとき桃子は生まれて初めて「生きたい」と心から願った。イチゴを助けるために。神に願いは届き、再び立って歩き出す。再生した桃子だ。あとは怒涛の展開。心の鎧であった服は泥にまみれる。生きるとは泥にまみれること。啖呵は初めての感情の発露。関西弁が出たのは、不幸な子供時代を受け入れたということ。ウソがすらすら出たのは、現実で生きるための直感と知恵が備わり始めたということ。現実逃避の少女が、友情をきっかけに現実を受け入れ、真の自分らしさとは何かを探し始めるというテーマに貫かれています。スカッとする映画です。最初に事故のシーンを出して驚かすのもうまい。女優二人の体当たりの演技も光ります。
[DVD(邦画)] 9点(2009-04-19 07:50:27)(良:4票)
12.  時代屋の女房 《ネタバレ》 
幾組かの男女の恋愛をのぞきからくりのように描く映画。 時代屋の主人、喫茶店のマスター、喫茶店のウエイトレス、クリーニング屋の主人、盛岡の女みさと、沖田演じる若者、時代屋の主人の父の妾。決して幸せではないが、目の前の小さな幸福にしがみついて生きている、そんな下町の平凡な人たちの生き様を描きたかったのだと思う。 しかし、渡瀬恒彦と夏目雅子のからみ以外は魅力がない。どこか演技がうつろなのだ。せつなさが伝わってこない。夏目雅子の明るくて、神秘的な魅力でもっているような映画。ただ、盛岡の女みさとを夏目雅子が演じる必要はなかった。一気に冷めました。 
[DVD(邦画)] 6点(2009-01-14 11:49:52)
13.  写楽 《ネタバレ》 
江戸の文化、風俗が丁寧に描かれていて興味深かった。 できればもっと写楽が絵を描くアップを入れてほしかった。 真田をはじめ、役者陣の演技はがんばっていたと思います。 ただ写楽と遊女の恋は未消化。 遊女に血が通っていない。 それとよくばりすぎて、登場人物が多すぎなのが欠点。
[レーザーディスク(邦画)] 7点(2008-07-25 00:22:33)
14.  THE END OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に 《ネタバレ》 
何がなにやらさっぱり、といった内容になっています。 気弱な主人公の心の内面をぐたぐた聞かされるのは正直つらいです。 不登校の子供じゃなくて、人類の進化にかかわる重要な役割を担っているのですからね。 セカンド・インパクトを正確に記述していないので、わかりにくくなっているんですね。 過去にこれこれこういうことがあって、今サードインパクトが起こっているんですよ。 シトやエヴァには実はこういった役割があったんですよと、なぜ説明しないのか。 エヴァシリーズの儀式の場面など疑問だらけでした。 あとシンジとアスカのキャラがTV版とだいぶ違ってきてるんですけどね。 シトとエヴァの戦いを期待していたのに、人間同士の殺し合いとは、トホホです。 説明を避け、壮大なストーリーを感じてほしいという意図はわかるんですが、見終わって「おめでとう」っていう気にはなれないです。 シンジがアスカの首を絞めるのは自我が生じたということでしょう。 一つの統合して安定した意識から不安をもつ個の意識が生じたということ。 「気持ち悪い」は、感情が生じたということで、個への分裂の過程を表現していると思います。 二人が新しいアダムとイブで、首を絞めるのは原罪を象徴しているのかもしれませんね。 主人公に一貫していいところがないのが欠点です。 アスカは自信喪失していたのですが、エヴァ2号機の中に自分の母(魂)がいることを感じ取って生きる希望を取り戻し、活躍しました。 シンジは「神児」ではなく、「死ン児」です。 死ばっかり考えないで、もうちょっと前向きに生きようよ。 人類の命運がかかってるんだし。 一生懸命やった結果があれであれば納得するんだけど。 あんな精神状態のままじゃ覚醒なんて無理だね、て思えるから説得力に欠ける物語になってしまったんだ。 カタルシスを感じないんだよ。 シンジが選ばれたのは、母がエヴァと統合したという偶然だけ。 そこが最大の欠点。 精神的に成長しないとダメ。登場した時よりむしろ精神力が下降してしまっている。 
[DVD(邦画)] 3点(2008-04-27 07:09:22)
15.  書を捨てよ町へ出よう 《ネタバレ》 
いもっぽい映画ですね。 ストーリーは渾然としており、オムニバス形式と理解したほうがよいでしょう。 田舎出の兄ちゃんが、田舎出の兄ちゃんを描いたような作品。 気を衒って、いろんなことをしていますが、訴えかけてくるものがありません。 そもそも演技力がないんですね。 実験的な映画なのですから、若者のエネルギーが充満していればよいのですが、 どーも芝居がかってしまってて。 かっこよさの欠片もないですね。 寺山修二ののちの活躍をかんがえると、不思議なくらい才能がかんじられない。  
[ビデオ(邦画)] 0点(2008-04-16 19:25:03)
16.  忍 SHINOBI 《ネタバレ》 
最後、仲間が水をすくって飲むシーン。 水は流れてなかったのに、次の立ち上がるシーンでは激流になっている! これは変だ! それにしても、オダギリのまぬけづらみてると萎えるなー。 悲劇の時代劇向きの顔じゃないでしょ。 この二人、最後海岸でどうやって落ちあったんだろう? どうやって連絡をとりあったのか。 決闘する理由もないのにね。 ふつうあの状況ならまず話し合うでしょ。 それに椎名が徳川の魂胆を見抜いていたのなら、なぜ無策だったのか? みんなに知らせてあげればいいのに。 少なくとも頭領には知らせろよな。 頭領といえば、甲賀と伊賀の頭領どうしの闘いをなぜ省略したのか? 絶好の見せ場のはずだが。 あのばあさんどんな術をつかったのか、気になるね。 戦闘シーンでよいところもあったので残念。
[DVD(邦画)] 4点(2008-02-03 10:43:10)(良:1票)
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