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181.  ラストコンサート 《ネタバレ》 
◆病院で偶然に出会う二人。女は待合室の男を医者に父として紹介。女は無意識に恋に落ちたのでしょう。あとは子犬のようにつきまとう。女は天涯孤独の身。母は死に、家族を捨てた父探しの旅の途中。会ったことのない父の面影を男に見る=恋の魔法。女は自分の病気のことを知っていた。だからあんなに甘える態度が自然にできた。そしてあくまで明るく男を励まし応援する。実にけなげ。生きる尊さ、素晴らしさを実感しているので、ダメ男を放っておけません。◆男は孤独で非社交的、女を迷惑がっていたが、どこか魅かれる。半分世捨人だが、自分を鼓舞し、元の場所に戻してくれる賢人を無意識に探している。別れと再会の繰り返しはその葛藤の表出。このあたりの流れが自然で好印象。年齢差があるの男女が恋に落ちる理由がきちんと描かれている。ただ男の人物像の掘り下げは弱い。◆全力を傾けずに逃げ出そうとする男を女が罵倒、大喧嘩して別れてからプロポーズへの急展開は意表をつきます。愛の奇跡ですね。「最低の男でもいいか?」「イエス」「意気地なしでも?」「イエス」愛は理屈をを超越。◆キーワードは”逆転”。男は女に病気のことを隠していた。しかし女に嘘と信じ込まされ、今度は女が男に病気を隠す。男は最初女を必要としなかった。が、恋人になってからは依存するほどになり、今度は女が母親的な存在になる。男は零落して田舎を放浪していたが、パリで復帰。女は至高の愛を獲得するが、命が尽きる。女は男に人生の全てを捧げた。男は命である音楽を再び手に入れ、それを女に捧げた。まさに「賢者の贈り物」。◆父の家を訪うが、子供がいるのをみて面会を諦める。これが脚本の不手際。物語に膨らみがなくなる。二人を応援し、女を看取るのが宿泊所の女主人だけというのはもったいない。父やその家族、代理人、共演者、友人を巻き込んで悲劇のラストへなだれ込ませるのが絶佳の展開。名作になりそこねた?◆また入院してからの展開が急すぎ。ここはタメの部分で、お互いに看護し、看取られ、愛を回顧する静かなうちに来るべき悲劇を予感させる重要な場面。◆冒頭に出てくる双子岩が愛の象徴。背景の撮り入れ方がうまく、城や海のシーンなど印象に残ります。「泣かせ」の演出も最低限に抑制されていて好印象。病気を隠した女の心理を想えばぐっときます。オススメです。観て損はありません、特に奇跡を信じる人には。
[DVD(字幕)] 8点(2010-07-01 16:02:46)
182.  みんなのいえ 《ネタバレ》 
西洋趣味の若手デザイナー柳沢と昔堅気の老棟梁長一郎の対決が見どころ。これに風水にこだわる母親が参戦。トイレが三つに、和室が6畳から20畳に変更されるなど初期段階から設計が支離滅裂な様相を呈し始める。これは楽しめると思ったが、どうしたことか急にトーンダウン。棟梁には味方が多く常に優勢にすすみ、柳沢は孤軍で妥協の連続。母親は早々に撤退状態。あれれと思っていたら中盤で和解の方向性が明示される。そのままだらだらとエンディングまで。これでは失望を禁じ得ない。コメディパートはもっとしっちゃかめっちゃにエスカレートさせて、子供じみたやり方で応酬を繰り返し、家の建設はますます混迷を深め、最後の最後で感動の和解というどんでん返しにすべきではなかったか。やりあっている両者が深刻な顔になってしまってはダメ。笑えないのだ。それに大工仲間がみんなまともなのが失敗の元。妙に正義感ぶった大工の息子などがその最たるもの。周囲の人物がおかしな連中ばかりなのだから、彼らも当然そうあるべきなのだ。それでこそ映画のトーンが出来あがり、安心して観れるというもの。本筋以外の小ネタは楽しめたので残念である。とことんバカを尽くしてこそ、最後の和解が感動になるのだ。チャップリンを見習ってほしい。【気になった点】家を建てる映画だが、職人が働いている場面が少ない。夫のだめっぷり、優柔不断ぷりは良かったが、二人の職人が仲良くなるのに嫉妬するのはよくわからない。ペンキをぶちまけた壁の色はどうなったのか?元のアイボリーでなくなっているように見えるが。柳沢の言い分が通ったのだろうか。柳沢のこだわった「竹割タイル」だが、それが使用された完成形が紹介されていない。
[DVD(邦画)] 5点(2010-06-30 22:34:41)
183.  CUTIE HONEY キューティーハニー 《ネタバレ》 
【ハニー】人間をコピーしたアンドロイド。オバカほんわかキャラ。変装能力あり。普段は派遣社員のOL。仕事は覚えないが、残業を引き受ける心優しい娘でもある。友達はお掃除おばさんだけ。憎しみで怪人を殺して憎しみの怖さを知る。女刑事に愛も同様に怖いと言われるが、愛を選ぶことを決意。女刑事と友達になりそうになるが拒絶され落ち込む。 【夏子刑事】自立心が強く、何事も自分の力だけで達成するのが信条。他人との協調性に欠ける。泣く女が嫌い。ハニーと関わることで心を開いてゆく。 ◆ハニーが自宅で入浴しながら叔父と電話していると叔父が誘拐される。変身!のはずが、お腹がすいて変身できず。おにぎりを買いにでるが、何故か服がないのでごみ袋着用。協賛のファミリーマートでおにぎりを大人買い。走りながら食べて変身、何故かバイクに乗ってGO!どこへ行く?不思議とアクアラインで警察が既に犯人を包囲中。それもパトカー数百台以上。怪人と対決して勝利、叔父を救出。以上が導入部。全体の縮図を見せ、映画を観るスタンスを教えてくれる。サービスカット満載のギャグアクション漫画の乗りということ。 ◆敵ボスは永遠の生命を求めているが、愛は知らない。ハニーは過去の記憶をほとんど持たないが、愛は知っている。敵ボスに同化されそうになるが、かすかな父の記憶を元に父の愛情を思い出す。敵ボスは愛は人間の心の弱さと思って切り捨てていたが、その心地よさ、暖かに触れ、愛を理解しようとする。ハニーは「誰かを愛せばいい」と助言。愛を理解した敵ボスは活動停止。女刑事もハニーと一緒に戦うことで友情の大切さに目覚める。ハニーも新しい友達ができる。というわけで本題と別に愛と友情を主題にした物語が成立しています。脚本の流れとしては破綻がなく、一本筋が通っていますね。 ◆カット割りなど監督の美意識が出ている。アクションはテンポがよく爽快。多角度、多カットによる流れるような戦闘シーンは見どころがある。怪人に魅力なし。どうせならもっと美少女を出せばよかったのにと思う。 シスタージルが何故男性なの?ギャグはそこそこ笑える。
[DVD(邦画)] 5点(2010-06-27 23:15:55)
184.  人狼 JIN-ROH 《ネタバレ》 
【伏】特機隊の諜報部隊「人狼」。ゲリラ「セクト」の武器の運び屋「赤頭巾」の少女を撃てなかった。少女が自爆し、負傷を負う。もう一人の少女圭は撃てた。そして狼になった。【圭】赤頭巾だったが、警察に捕まり、公安のスパイに。命令で伏を騙すつもりが騙される。【感想】◆底が浅い。少女達はどうして赤頭巾になったのか。そもそもゲリラの目的は?その辺りの消息が不明なのが欠点。殺される側の人間像を深めることで、より悲劇を演出できた筈。圭は伏と一緒に死んでもいいと思っていた。だがそれは映像からは伝わってこなかった。◆殺す側の伏は、少女を射殺するのに躊躇する人間性を持っていた。圭と出会い、心を通わせてゆく。無表情なのでわかりづらいが、心は許していた筈である。だが命令により圭を殺す。人間を脱ぎ捨て獣に成った。「そして狼は赤頭巾を食べた」その間何が彼に起こったのか?彼は罰として再訓練を受けていたが、圭拉致の命令を受け実行。ただそれだけ。心の成長や葛藤が見られない。だから感情移入しにくい。しかも騙されたのではなく、騙していた側。正義の味方でもなく、仁義を重んじるわけでもなく、人情に厚いわけでもなく、少女を愛することもできない。人の皮を被った狼になる必然性が感じられない。人間性を失ってまで得たものは何?観客を納得させるものがあるだろうか。◆登場人物に血汗が通っていない。観念で作り出した人物のように思える。少なくとも悲劇の少女は可愛いさがなくてはだめだろう。冷血なスパイではなく、転向させられた女なのだから。◆特機隊といっても強化服等や暗視カメラなどの装備が優れているだけ。個人としての凄さが感じられなかった。見せどころの銃撃戦も突っ立っているだけ。普通服なら殺されていた。つまり戦闘員としての魅力も薄い。「007」のようにスカッとしたアクションがほしい。◆諜報戦を描くのはいい。相手をスキャンダルの罠に嵌めようとして、逆に罠にはまったという展開は意外性があって面白い。だが、警察の内部闘争・内輪もめというのはいただけない。警察が多くの仲間を殺しておいてただで済むわけがない。そこには正義のためという観念がない。警察の犯罪や警察の殺し合いは後味が悪いだけ。その上拉致した少女を殺す。そんなこと警察がするわけないと皆思う。設定に無理があるのだ。冒頭世界観を説明していたが、活かしきれていないと感じた。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-06-25 04:37:16)
185.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
【タイムリープ(TL)】設定は女子高生が後ろ向きに倒れて過去に戻る映画「タイムリープ」に酷似。胡桃でチャージ、腕に度数表示、記憶は保持。他人がTLした場合、度数はそれに応じて戻り、記憶は失う。真琴が事故で偶然にTLしたのが最初。跳躍で実行。どの過去に戻るかは跳躍距離による。胡桃は未来から千昭が持ってきた。千昭は度数ゼロでも時を止める能力も持つ。未来へも行ける。TLすると「自分の得」が「他人の損」となり反映。真琴の事故が、功介と後輩の事故へ転換するなど。【千昭】この時代でしか存在しない絵を見るためにきた。「川が地面に流れているのを初めて見た」「こんなに人が沢山いる所を初めて見た」「この時代好きだよ、野球もあるし」荒廃した未来を暗示。過去の住人にTLの存在を知らせた罪で姿を消す。【おば】TLを容認。経験あるという。絵を修復。彼女の写真の隣にラベンダー。原作の主人公芳山和子であることを暗示。【恋愛】千昭が真琴に告白。真琴は戸惑ってTL。千昭を避けるが、千昭が友梨と付き合うと、千昭のことを好きだったことを知る。最後のTL後、再告白を期待するが期待外れ。未来での再会を約束。【感想】先ず背景画が美しいのに感心。二度と戻ることの出来ない青春の一頁。過去に戻る力を手に入れても、結局過去は取り戻せない。恋愛に無垢な女子高生真琴のオバカぶりはとても面白い。走りっぷり、泣きっぷりが弾けていた。人の心を踏みにじることはもうしないと決意するも「お前TLしてるだろ」と言われ思わずTL、結果度数ゼロ。プラスされたTLを千昭のために使ったのは偉い。絵は何百年も昔の大戦争と飢饉の時代、世界が終ろうとしていた時代の菩薩像。絵を見るためだけに危険を冒してやってきたロマンティストとガラの悪い茶髪少年の間にギャップがある。彼が去ると、級友からぼろくそに噂されていた。千昭は未来に戻れなくなる犠牲を払って功介達の命を救ったが、代わりに誰かが事故に遭う筈。千昭は「未来で待ってる」というが、違う時代の人とは会えない。真琴は「やりたいことが見つかった、それは秘密」と話すが、何か?再会を早めることだとして、何をする?それとも絵を未来に伝えるとか、荒廃しない未来を作ることか。尚遮断機に自転車が突っ込んでもスルーして飛びません。ブレークが効かないのだから。いじめられっ子の最終形を見たかった。 
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-21 15:42:40)(笑:1票) (良:1票)
186.  サウスバウンド 《ネタバレ》 
◆「日本は法治国家だから無条件にそれに従う義務がある」という常識に捕らわれない一風変わった家族の物語。 ◆父親は80年代に活躍した過激派の活動家でアナーキスト。税金や年金を払わない。日本に住んだまま国籍を離脱するなどと言い出す。執筆業。豪胆で頑固だが、さばさばしている一面もある。笑顔が多い。 ◆母親は夫の信奉者。学生時代に活動を行い、ジャンヌダルクとも呼ばれた。裏切った仲間をナイフで刺して、刑務所暮らしも経験。お金持ちの実家と絶縁状態、実母と20年会っていない。原作では長女と夫とは血縁関係がない。近所で喫茶店経営。 ◆小6の長男が暴力事件を起こす。不良からカツアゲされ、いいカモにされている友達をかばったため。学校、教育委員会、被害者の家族などから責められ、父親のふるさとの西表島へ移住を決意。 ◆先祖から受け継ぐ土地に住み込んだが、そこは他人の土地だった。リゾート開発目的で東京の会社が地元の建設会社を介して二束三文で購入していた。立退きを頑固拒否。強制退去執行。抵抗して捕まる。脱出して南の島へ向かう。題名(船が南へ向かうの意)もここから来ている。アナーキストにとっては日本は住みにくい? ◆多くは子供目線で語られる。このような両親をもつことは子供にとって大変なストレス。それでもくじけないたくましさを持っている。校長先生がいい人で本当に良かった。 ◆「汚い大人になるな」「違うと思ったら闘え。負けるとわかっていても闘え」「人と違ってもいい。孤独を恐れるな」「理解者は必ずいる」これらがメッセージ。内容はともかくも、心は純粋。修学旅行の学校と業者の癒着の件など正しかったこともある。 ◆子供を残して逃避行しても何の解決にもならないが、いい経験にはなるだろう。気の済むまで突っ走らないと気が済まない夫婦だ。子供のたくましさを信じているから置き去りにしたのだろう。親子間に信頼関係があり、お互い認め合っている。 ◆日本脱出のラストシーンで観客がカタルシスを得られるかどうかで作品の成否が決まる。感情移入した人は拍手喝采するだろう。そういう人は少数と思う。夫に従順すぎる母親の人物像が描けていないし、子供が不憫に思えるから。自由奔放な生き方は羨ましいが、何をやりたいのかがよくわからないし、幸福になれそうもないのだ。いい年をして、自分探しの旅に出たのだろうか。
[DVD(邦画)] 5点(2010-06-20 03:57:57)(良:1票)
187.  ザ・マジックアワー 《ネタバレ》 
【コメディパート】町の名が守加護(シカゴ?)。町の入口の塑像がドナルドダックもどき。わざと映画のセットっぽい建物で、それを映画内でフォローしている。ビンゴ(妻夫木)がダサイ下着。ヤクザなのに妙に昔のマフィア風。リーゼント、鳥打帽、セメント詰め、大げさな機関銃など。キャバレーの名が「赤い靴」。映画中映画が「黒い101人の女」(本当は「黒い10人の女」)で、本物の市川崑が登場。人気俳優の名前が「ゆべし」「亀」。ホテルの女主人が変すぎ。化粧が濃く、妙に姉御肌で、髪型と服装がすぐに変わる。サービスは最低で、役者にサインを大量にねだる。小さな醤油瓶が倒れ、その容積の何倍もの醤油が流れる。マリが弾き語りの札をせこく盗む。村田(佐藤浩市)が休憩中にたばこではなく飴をなめる。ボスと中ボスが最後まで芝居に気づかない。【感動パート】売れない役者が一連の騒動を通じて、映画を愛する役者としての自分の原点を再確認し、再出発を決意。自己中心的でころころ心変わりする女マリが、本気で人を愛することを覚える。「死ぬのは怖くない。怖いのは誇りを失ったまま生き続けることだ」「マジックアワーを逃したときの対処法は明日を待つこと」「スクリーンの中の私が堂々と見えるのはスタッフのおかげ」「次のマジックアワーを待っている。この歳になってもいまだに」「俺に会いたかったら映画館に来な」など名言あり。【感想】良く練られた脚本。笑える。小ネタが多いので得した気分になる。メインの役者の演技はうまい。二段落ちのラストはお見事。意外な人物が本物ベラ。「ありえない」ところはあるが、コメディなのでスルー。監督もきっと計算済み。マジックアワーは人生の黄金期の象徴でもある。それをまだ見つけられない無名の役者。無名故に嘘映画の主役に抜擢される悲哀。生き生きと演じる様子は笑えるが、後で思うとせつない。ラッシュを見て引退を決意。尊敬する先輩役者との邂逅で自分を再発見。芝居が不完全燃焼だったので引退を撤回。この感動パートがやや弱い。ここで泣けるのなら名作となった。マリのキャラは最後まで薄っぺら。「ベラ富樫」の由来はドラキュラ俳優「ベラ・ルゴシ」と「LAコンフィデンシャル」の謎の殺し屋「ロロ・トマシ」から。銃をドンパチ撃ちながら誰も死なない。どこまでも人を食ってる。こんな監督他に見当たらない。著名俳優が大勢友情出演するのは人柄なのでしょうね。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-19 20:29:21)(良:1票)
188.  立喰師列伝 《ネタバレ》 
饒舌すぎるナレーションにうんざり。屁理屈なんか聞きたくない。写真絵にあきあき。センスがないよ。空想の「立喰師」に魅力なし。「タダ喰い」のことだよね。職業になるわけがない。文字通り「死ぬほど退屈」でした。すべて妄想の賜物であり観る価値なし。
[DVD(邦画)] 1点(2010-06-18 00:38:48)
189.  カムイ外伝 《ネタバレ》 
原作は救いのない物語。人の命は畜生並み。非人が忍者になり、自由を求めて抜け忍に。カムイに関わったせいで、愛するものどころか、島民全員が殺されてしまう(原作では半兵衛一家のみ)。半兵衛は二度救ったし、サヤカからは初めて愛される経験をしたのに。 全体を通じてムラがある。良い部分とそうでない部分のギャップが著しい。 漁民の生活などリアルだが、バカ殿とバカ奥方などはまるでギャグ。 半兵衛の豪快で開け広げなキャラは良く描けているが、カムイのキャラはブレがある。地獄を見てきた人間の重厚さ、悲哀、氷のような心が描かれていない。感情を露わにしすぎるのだ。抜け忍になった経緯も不明で感情移入できない。眼光鋭く、孤独で影のある役者でないと務まらない。スルガはカムイより悲惨な運命を背負う。演技に難あり。 凄惨な物語を救うのは、胸をすくような超人的痛快忍者アクション。みんなこれを期待して観るのだ。これがハチ切れていない。アクションの見せ方が上手くない。低予算のためCG丸出し、ワイヤー丸出しは許すとしても、カメラアングルや構図、カット割りが凡庸。タメが出来ておらず、場面が流れてしまう。スローモーションはここぞという場面で使ってこそ効果的。マトリックスもどきは恥ずかしい。前半の戦闘シーンはまだ見どころもあったが、不動との最終対決は全くだめ。記憶に残らない。美的センスが無い。 冒頭、原作の劇画で生い立ちを説明するが、安易すぎる。あくまで写実で見せるべき。劇画と写実では世界が違うのだから、別の世界を描ききる覚悟が欲しい。原作を淡々と描くのではなく、伝えたいもの。こだわりたちものを描いてほしい。例えば冒頭のスガルの戦闘シーンで大頭は菅笠を被っていたが、次のシーンでは被っていない。編集が杜撰なのだ。万事がこの調子。やっつけ仕事。こだわっているところが見えない。 人間ドラマが希薄なのも残念。例えばスガルは父が抜け忍となり、父を殺した。なのに自分も命を狙われ、家族も殺されるという。家庭を得たが、追手を恐れている。カムイを何度も殺そうとした。これを掘り下げれば厚みがでる。不動は渡り衆のボスという地位を得ているのに、どうしてイヌになる必要があるのか?密告したところで彼の命は危ういだろう。彼の残忍性が見えてこない。サヤカの月日貝の挿話は良かった。ところで島人全員が飲むまで効かない遅効性の毒は存在するのだろうか?
[DVD(邦画)] 5点(2010-06-16 22:18:03)
190.  劇場版 仮面ライダーアギト ProjectG4 《ネタバレ》 
仮面ライダーアギトの魅力は人間と神との闘いを描く壮大なストーリー、ちりばめられた謎、ライダー・怪人・メカの造形美、そしてアクションの爽快さだろう。お笑いもふんだんにある。余分なものは、人間同士の争い、もっと言うなら警察内部での不和や争いだ。「アギト捕獲作戦」や「アギトは人類の敵」などの「内部抗争」を延々やられても盛り上がる筈がない。ライダー同士の争いが多いのも欠点。一致団結して悪と戦う姿勢が希薄なのだ。この映画はその意味で裏目に出ている。自衛隊が警視庁をスパイをしてG4システムを盗み、独自に開発する。挙句の果てにG3とG4の不毛の戦い。片方は死ぬ。一体何の意味があるのか?脚本家はライダー同士の戦いが大好きらしいのでそのような展開にしたのだろうが、ほどほどにすべき。それに死と生を弄んでいないだろうか。「死を背負う」とか「生に執着」とか「正義のためには犠牲はやむを得ない」とか、理屈ばかりを並べても映画は面白くなりません。孤児たちも多く死ぬ。子供を殺すのはまずいでしょう。骨太映画を気取っているのだろうが成功していない。G4で死んだ隊員の人間像をどれだけ描けているか反省すべきだ。 謎らしい謎も出てこないので退屈。ラスボスである「闇の力」を絡めてほしかった。一言で言えば「大量に発生したアリを駆除するだけのアクション映画」だ。 サプライズは仮面ライダーギルスの右腕が失われ、再生するところぐらい。アクションは合格点だが、アリがゾンビのようにノロノロとしか動かないのは失望させられた。怖くないのだ。アギト、ギルス、G3は同じ場所にいるのに別々に戦うだけだ。もったいないではないか。戦いにも物語を持たせるべきなのに。内部抗争に走った短所の表れだ。 もっと見どころが欲しい。「超能力を持った孤児」という魅力的な設定なのだから、彼らを活躍させるべき。子供は、子供が活躍するのを見るのが大好きだ。念力少年は超能力を悪いことにしか使わない。自衛隊は少女を追っていたのに、途中で真魚に乗り換えてしまう。孤児がアギトらの危機を救う場面が欲しい。真魚と少女のピアノの演奏も物語には絡まないので生きてこない。孤児二人は新しい家庭に引き取られたらしいが、話だけなので共感できない。幸せそうな様子を見せるのが親切というものだろう。スパイ+ボス女の最低ぶりは良いが、味方なのが痛い。あと自衛隊員が長髪なのが気になった。
[DVD(邦画)] 3点(2010-06-15 23:07:34)(良:1票)
191.  アマルフィ 女神の報酬 《ネタバレ》 
大作気取りで内容が浅く外連味たっぷり。はくさい映画賞の最低脚本賞。真保裕一は脚本クレジットを拒否。導入部は謎めいており成功。見どころは営利目的誘拐が実はテロ目的、紗江子の友人の藤井が犯人だったこと。悪くない展開。最大の欠点は保安会社のシステムジャックのために紗江子に実行犯をやらせること。これは無理。犯人の女が潜入して映像加工までしているのだからその女がすればいい。監視映像見せるためだけに外部の人間を会社の中枢部に案内はしない。ビデオを渡せば済む。保安会社を疑わせるためにわざと監視カメラに映させるなんて笑っちゃう。計画は手が混んでいる割りに成功の見込みゼロ。テロの動機は大臣が外国で邦人の死を揉み消したこと。しかしそれは不可能。遺体があるのだし。具体的にどうしたのか?ツッコミ:①誘拐だが、子供がトイレに入ったのは偶然。他に人がいなかったのも偶然。犯人の掃除人も偶然居合わせたように見える。②子供の写真から、子供のいた部屋をすぐに特定できたはどうして?これも計画の内?③偽札が新聞紙。警察が用意するのだから本物に近いものの筈。④第三者に鞄を盗ませたが、どういう意図?混乱が目的?⑤題名の由来。英雄ヘラクレスが妖精アマルフィの死を悲しんで死体を埋め町を作った。凡人は悲しみを背負うしかない。凡人が英雄になろうとした。報酬=死なずに計画が成功したこと?⑥犯人は招待客に化けて潜入したが、安易すぎる。⑦黒田が藤井を説得するが内容が浅い。藤井はこの手の犯罪をするには高齢。⑧人間ドラマが希薄。藤井と紗江子の関係、黒田の人物像など。⑨警察はばればれの場所で見張っている。⑩藤井は何故紗江子を選んだ?外相の日程と紗江子の旅程が合ったのは偶然?⑪黒田はテロ対策要員とはいえ、表の顔は外交官。愛想がなさすぎる。どうして日本帰還を拒んだの。⑫紗江子は気が弱い看護師。天海はミスキャスト。看護師なのにたばこを吸う。彼女は黒田に日本に行く予定はないといわれたとき「やっぱり」と答えた。その心は?⑬イタリア刑事が黒田を部下になるよう誘うが、日本人がイタリア警官になれないと思う。⑭サラとイタリアの関係は?オペラ座はパリだけど。コンサート中に乱入する展開ならよかった。⑮アウトロが長い割に、藤井らの消息が不明。新人女が手袋を見つけてはめるけど、黒田の手袋?⑯EDで新年を祝い大喜びする群衆。ハッピーエンドではない筈。 
[DVD(邦画)] 4点(2010-06-15 01:14:08)(良:1票)
192.  天然コケッコー 《ネタバレ》 
【そよさん】心やさしい少女。下級生の母親的存在。思い出をとても大切にする。それは大沢が捨てた校舎の石を捨てれなくて持ち帰る挿話に集約されている。「もうすぐ消えてなくなると思えば、些細なことが急に輝いてみえてきてしまう。一緒に登校したことを奇跡みたいに思い出すことがあるのだろうか」大沢に愛のある接吻はできなかったが、黒板にはできた。ジャケットにこだわるところはリアリティがあります。 【大沢くん】いつも無愛想でつまらなそうな顔。両親が離婚し田舎へ引っ越すという悲運を負う。都会ずれし、プロレスとゲームが趣味。自殺者に花を供え、拝んでいるさやに無理やりキスしようとするほど無神経。「おまえの手、おしっこくさい」「(膀胱炎の子を心配するそよに)よかったじゃん、ガキの子守りしなくてすむし」などと心無い発言が多い。「この高校パス、だって坊主じゃん」「都会の高校行くかもしれん」でもそよの温かさにほだされ、田舎の学校に残ることに。悪い人じゃないんだけどね。 【感想】修学旅行で都会の喧騒に馴染めないそよだったが、ふと町騒が山の音と同じだと気づく。幻想的な映像と音楽が流れる。新しい世界との折り合いがついた瞬間だ。「あんたらとはいつか仲良くできる日がくるかもしらん」元気になって大沢の手をとって歩きだす。少女の心の成長の一頁を鮮やかに切り取った場面です。そよとって大沢は外部世界の象徴。彼から刺激を受けつつ、ささやかな冒険を通して、時には傷つきながらも成長してゆく姿が瑞々しく描かれています。大沢の魅力が少ないのが残念。さやを救った場面くらい。あとは接吻のおねだりばかり。田舎の人の心に触れ心が癒され、やさしい少年に成長してゆくのが理想なのですが。ロングショットによる長回しや合間に挿入される季節の映像が印象的。ラストショットは少し作り過ぎでしょうか。「扉から教室を見るさや」から「窓から教室を見るさや」への転換は見事ですが、陽光浴びるカーテンのゆらぎ、満開の桜の位置、舞う花びらなどコテコテです。きっと私の心が汚れてるからそう見えるのでしょうね。反省。不倫、ロリコン男など田舎を描くのにリアリティありましたが、映画の主題からして不要でしょう。短縮して短編映画の如き雰囲気にすれば傑作になれたかも。題名は「天然の鶏=地鶏」で田舎に自然に暮らす人のこと。ボロイラーにはなりたくなりですね。心は地鶏で居たいです。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-09 18:04:15)(良:2票)
193.  ガス人間第一号 《ネタバレ》 
【ガス人間の犯罪】①彼の能力からして、銀行強盗に拳銃を発砲したり、殺しをする必要はない。失神させればよい。②ガス化しても声を出したり、札束を持てるのが不思議。③車で逃げる必要ないし、ましてや警察に追われて藤千代の家に行くなよ。④予告電話と殺害までした模倣犯の動機不明。 【水野】①体格不十分でパイロットの夢破れる。博士に実験に協力すればパイロットになれると説得される。騙されて怪物にされ、博士を殺害。②人生に絶望するものの能力に目覚める。③藤千代に恋するが、不器用で金銭で歓心を買うというアプローチ。殺人は平気で、恋だけが生きる希望。 【藤千代】没落した舞踏の家元。水野から金銭を融通してもらう。お金で元一門の者を雇い発表会を開こうとするが、水野との関係を知られ、元一門の者は去る。水野が全てを捨て、殺人までするほど愛してくれていることを知る。自身が人生に失望していることもあり、共感が愛に。しかし怪物かつ殺人者である彼と幸せに暮すことは不可能。愛の成就のために一緒に死ぬことを決意。結婚の約束をし、発表会終了後に無理心中。 【恭子】最初は藤千代の美しさに嫉妬していたが、次第に2人の恋に同情的に。藤千代に水野を説得して無茶をしないよう、又発表会を辞めるよう勧告。 【感想】隠れた名作。草深の庵、月光、蛍、鬼の面をつけた踊り、そして美女登場。道具立てが素晴らしく、美しい絵物語を見るよう。拳銃をぶっぱなす派手な銀行強盗で幕が開くが、中盤でガス人間の正体は明かされ、サスペンス要素は失せて、以後は恋愛物語に。水野の愛の大きさと暴走に戸惑う藤千代。男の正体と、本当に心から愛されていると知ってからの女の葛藤が見どころ。犠牲者達への責任も感じている筈。どうしようもない恋の行方は爆死という悲劇で終わる。日本的情緒たっぷりな結末。常識破りの恋である。じょうしき-し(死)=じょうき(情鬼)これは冗談で「情鬼=水野」。水野の人間性や葛藤があまり描かれていないのが残念。あまりにも自己中心的で、不敵な振る舞いをするので、共感しづらい。殺人は仕方なく犯す設定にすべきだったろう。警察の爆破装置のスイッチを外しておいたのは若い刑事だろう。それにしても藤千代はどうやって警察の計画をあらかじめ知ったのか?爺やを巻きこんだのはどうしてか。全てを知っている爺やの最後の演技に注目。全ては「古い家の没落」を象徴している。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-06-05 20:01:18)(良:1票)
194.  ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟 《ネタバレ》 
過去に最強の超獣を海に封印したウルトラ4兄弟。封印を解き放つため四体の宇宙人が襲来。バカな一体がメビウスに挑んで撃破される。が、Mの戦闘能力は研究される。3体でMを拘束。4兄弟が最後のエネルギーを使って変身、Mを助けようとする。だが侵略者の目的は最初から4兄弟でMは囮にすぎなかった。4兄弟は拘束され、Mは倒れる。子供との約束を守るため、Mは最後の力を振り絞り、再び変身。4兄弟を助ける。だが既に宇宙人は4兄弟のエネルギーをマイナスに変えて封印を解き、超獣を解き放った。超獣は仲間であるはずの宇宙人を殺すほど残虐で悪魔的、かつ強い。たちまち危機に陥るウルトラ兄弟。そこへゾフィー、タロウが駈けつけ、エネルギーを供給。全員でMにエネルギーを注入し、合体、Mは新タイプに変身。超獣を倒す。 サイドストーリー1は、怪獣に襲われた恐怖で自信を失った子供が勇気を希望を取り戻す話。「最後まであきらめないのが大切」「信じる力が勇気になる」「未来を信じる心の強さが不可能を可能にする」などのクサイ言葉のオンパレード。美辞麗句を並べても感動にはならない。それを物語で見せるのが本来のウルトラマン物語の筈。サイドストーリー2は、Mであるミライがなぜウルトラマンは人間のために戦うのかという問いの答えを見つけ出す話。ミライの見つけた答は「人間が好きだから」。単純すぎ!総括:戦闘シーンが多いのが特徴。超獣が強いのは見ごたえがある。が、援軍が来ないと勝てないというのはいただけない。兄弟はもっと知恵を絞らないといけない。今回は宇宙人たちの方が知恵があった。メビウスの内面の成長を描いているが、そんなことは子供たちにとって興味はないだろう。ウルトラマンはあくまでヒーローであるべきで、悩み苦しむヒーローは魅力がない。又ガイズの隊員とウルトラマンが力を合わせて成長する話にすべき。ガッツが蚊帳の外だったのは解せない。一緒に戦ってこそ両者の絆が強くなるのだ。援軍はゾフィー達でなくガイズであるべきだった。原点に戻り、単純でスカッとする「怪獣映画」のウルトラマンが見たい。4兄弟の人間体の現在が見れたのは収穫。
[DVD(邦画)] 6点(2010-06-03 19:15:23)
195.  大魔神 《ネタバレ》 
特撮映画の傑作。怖がらせることにかけては随一の作品。前半の魔人封じの祭は迫力があった。老巫女の演技も良い。中だるみがあるが、後半25分は圧巻で怒濤の展開。大魔神は雷や雲を操り、火玉となり飛ぶことができ、火を一瞬にして消す念力も持つ。まさに神である。応戦する側も、鉄砲、くさり、投石、火攻めと工夫があり、退屈しない。特撮がよく出来ていて、構図がビシビシ決まる。音楽も素晴らしい、ほとんど神の領域。ただいくつか気になるところがあった。①謀反のとき若君と姫が一緒に寝ていたが、あれはありえない。武士なら子供でも男女が一緒に寝ることはない。②若君と小源太の活躍が少ないのが欠点。10年経っても花房の残党達と連絡もとってないとはどういうことか?城に向かった小源太はすぐに捕まり。それを助ける若君も工夫なく罠にはまる。このような二人で城を取り戻し、お家再興がなるわけがない。花房の残党も無能揃いだ。③悪ボス左馬之助の悪逆非道ぶりがゆるい。低予算のためか、彼の京都に登ろうという武将としての活躍ぶりは省略。結局殺すのは小源太を逃がした男と、巫女の二人だけ。農民を使役する場面はそこそこ描かれている。④巫女の話を聞くために城の中にまで上げているが、これはありえない。⑤竹坊の母が死ぬが、その場面がない。冒頭シーンで顔を出しているのに。これを出すことで話に厚みがでるのだが。⑥磔の二人の綱がゆるゆる。⑦大魔神は阿羅羯磨である。過去に暴れだして悪さをしたようだ。それを封じる守り神が、武人像。だから神(武人像)と大魔神は本来別のもの。しかし両者一体となっているのはどういうことか?⑧大魔神は光玉となって飛んできた。だが去るときは光が飛んでいって、武人像が残った。ここにも矛盾がある。光玉は神なのか、大魔神なのか?⑨神が怒ったのは、眉間に鏨(たがね)を打ちこまれたから。参加した者は全員雷や地割れで死んだ。大魔神が動いたのは、乙女の祈りと涙と捨て身の心による。大魔神が去ったのも同じ。乙女の願いは、兄と小源太を助けてくれということで、悪ボスを成敗してくれとは言っていない。大魔神は、自らの復讐ために城に向かったのだろうか。兄と小源太を助けたのは結果論?
[DVD(邦画)] 8点(2010-05-31 17:58:44)(良:1票)
196.  海のトリトン オリジナル劇場版 《ネタバレ》 
【ストーリーの整理】: かつてアトランティス人が世界を支配していた。ア人はオリハルコン(特殊金属)を元にポセイドン巨像を造り、ポセイドン族を人身御供にした。だが、ポ族の一部は巨像のエネルギーを太陽のように利用して地底世界を作り、生き残った。その数1万人。ポ族は巨像のエネルギーを使って、ア大陸を沈没させ、ア人に復讐を果たした。その時ア人はオリハルコンのマイナスエネルギーで短剣を作った。この短剣で巨像を倒せば、地底世界のポ族を全滅させることができるのだ。ア族はポ族に報復するため、新人種トリトン族を生みだし、短剣を伝えた。だが長い年月が経ち、ト族は短剣の使い方を忘れてしまっていた。それでもポ族は刺客を放ってト族をほぼ滅亡させ、短剣を奪おうとした。ポ族は依然として地底世界に閉じこめられており、地上で暮すためには巨像を動かすことのできる短剣がどうしても必要だったのだ。そこへトリトンが短剣を持って登場。短剣には巨像を引き付ける力があった。そのため巨像が動いてしまい、地底世界のポ族は一瞬にして滅亡してしまった。そして巨像は暴れだした。これを倒さない限り、世界は破壊し尽くされてしまう。トリトンは短剣で巨像を倒した。 【疑問】:①ア人は何のために巨像を造ったのか?②ポセイドン像という名前にした理由は?③どうして人身御供が必要だったか?④地底世界のポ族と、海を支配する司令官ポ族との関係は?地底ポ族が海ポ族を作ったのか?⑤ピピはト族なのに、どうして人魚の姿なのか? 【感想」:原作とは関係なく監督が加えた「オリハルコン短剣」と「善悪逆転」のダークな展開は物語に面白味と重厚さを与えており、成功している。冒険物語を面白くする「ツボ」を心得ているようだ。悪者を次々倒してゆくテンポが心地よい。悪者キャラも個性的で、かつ造形もすぐれている。ただ古いTVアニメの編集ものなので、動きがなめらかでないのが大変残念。またイルカや人魚は、途中ほとんど活躍せず存在感薄い。敵と戦えるだけの能力を持たせるべきだろう。メスイルカはト族の味方でトリトンの乳母的存在だが、真実をどこまで知っていたのだろうか?巨像を倒すのが、あっけなかった。
[DVD(邦画)] 5点(2010-05-20 03:48:57)
197.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
CAが仕事を通じて成長する物語かと思っていたが、航空の仕事の紹介だった。全体を通じて仕事上のミスが多すぎ。あの頼りない操縦士が機長に昇格できたはずがない。CAもケーキをだめにしたり、お客さんに頼まれたことをこなせなかったり、怒らせたり。客をなだめるのにクーポン券を渡すのは疑問。今時「機長を出せ」とか、「行き先を変えろ」と騒ぐ客がいるだろうか?故障の原因はバードストライク。バードパトロールはニセ記者に気を取られていたとはいえ職務怠慢。仕事と取材は分けようよ。この人最後まで反省なし。最悪は航空マニアに指摘されるまで鳥が原因と気づかなかったこと。鳥で簡単にエアデータコンピュータが故障するとは、なんとも脆弱。操縦士はバードストライクを目撃しているのだから、直ちにシステムチェックすべき。また故障がわかるまで時間がかかりすぎる。速度を計測する気筒管の破損に気づかないなんて。故障個所はすぐに表示されるべき。速度データが取れないのに何故気づかない。残った気筒管はヒーター故障で氷って使えない。低空飛行すれば氷は解けるが、何故か燃料計算を始める。ハワイまでの飛行時間は約7時間、2時間半しか飛んでないので少し低空飛行しても引き返せるのは明白。それにスピードは管制側である程度把握できる筈。管制塔では落雷で、ほとんどの端末が使用不可に。落雷対策って基本なんですが。整備士は工具が足りないのは一目瞭然なのに工具箱を戻してしまう。整備も完全でなく、不完全なまま飛ぶ。出発ぎりぎりまで整備する体制がおかしい。整備優先のスケジュールにすべき。台風圏内に着陸させるのは論外。名古屋に行け。物語の構成上、最後にミズをカバーして、成長してゆく人間模様を描くのがセオリー。だがほとんどのミスがカバーできていない。ケーキを作ったくらいか。綾瀬と吹石はミスを取り戻せていない。飛行機も引き返してしまった。これでは感動できない。コメディなので、不時着に失敗するかもしれないというサスペンスもない。新婚旅行のバカップルやヅラネタはチープ。 笑えないのは乗客の命がかかっているから。大事故になりかねない飛行機トラブルをコメディにする設定に無理がある。ジャズやシンクロのような趣味なら笑える。完全にアンハッピーフライト。
[DVD(邦画)] 5点(2010-05-12 22:26:59)(良:4票)
198.  容疑者 室井慎次 《ネタバレ》 
殺人犯が判明するプロセスが抜けているので、ミステリーとしては評価できない。ここが最大の欠点。警察内の権力争いに力点を置いているが、この点において結局は何の進展もなく、中途半端。室井慎次という人間を描けているかといえば、恋人のエピソードくらいしか出てこない。逮捕されたら普通家族が出てくるんだけど。この人、孤児?恋人だけど、あの状況で自殺はないでしょ。難病、不治の恋人のため、学校やめて看病、ハァー?それをやめさせるために自殺?ありえません。それにこの人、不自然なほど無口。もっと自分を弁護しようよ。守るべき警察のためにもね。それにしても警察幹部の弁護士が新人女一人だけなのは何故?後で老弁護士が加わったけど、役立たず仕舞。冒頭、巡査が殺人の容疑者として取り調べを受けているが、その容疑の根拠が示されていない。脚本の手抜きですか?その取り調べが36時間連続で、しかも交番に大勢の刑事が押し掛けてみんなで公開尋問している。なんてシュールなんでしょうか。脚本家はド素人だね。殺人依頼の少女は高校生?夜の学校に行くのは何故?二股交際が面倒くさいから交際者の一人を殺人?巡査はどうしてだれが犯人で、少女が依頼者と知ったのだろうか?知ってたからかばったんだよね。悪徳弁護士は室井に取引をもちかけているが、どうして?告訴を取り下げて何の得があるのか?重いテーマの映画だが、こんな疑問だらけな脚本で感動を得られるはずがありません。エンディングの二人の会話も意味不明でした。二人に愛情が芽生えたのでしょうか?というか、悪徳弁護士は違法取引で懲戒免職になったのか、そっちの方が気になるんですけど。この脚本家を容疑者として調べたい。
[映画館(邦画)] 4点(2010-05-08 08:05:43)
199.  相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 《ネタバレ》 
相原は本当に刑事なのか?捜査のイロハがわかっていない。ただやみくもに怪しそうな人物にぶつかってゆくだけだ。熱血漢ではなく、愚か者です。したがって「推理物」としての魅力はない。さりとて、コメディでもないし、社会派ミステリーでもない。底の浅い、中途半端なものだ。犯罪が1つしか発生しないのが中だるみの原因です。米沢は言う。「物証がすべてですから」だが、やることは証拠を求めてビルに侵入すること。「羊頭狗肉」「言行不一致」とはお前のことだ、語るに落ちたな!と、言いたくなるほどの作品でもない。もともと思い入れがないので、期待値が低いわけです。ある意味得をしている映画かもしれません。で、侵入現場に課長が現れて、証拠品が見つかるという展開は、火サス以下の展開。二人は犯人を誤認しており、真犯人が口をすべらせたのは全くの偶然。犯人があの人だったとして、女が盗聴器を仕掛けますか?殺人を犯した犯人が、刑事が調べ手に来たとき、よけいなことペラペラしゃべりますか?「意外な犯人」を無理やり作った印象がぬぐえません。被害者の日記を保存しておいたのも不自然。税金の無駄遣い、天下り、セクハラなどが浮き彫りにされた青防協の課長や理事長の行く末は暗示されるにとどまっており、カタルシスを得られない。社会派ドラマとしても中途半端。異質の夫婦愛を描くのには成功していると思います。ただそれも顔がそっくりで、名前も同じ、元女房という「偶然」の上に成り立っているもので、安っぽいですね。やはり「あっと驚く物証」で勝負してほしかったです。
[映画館(邦画)] 4点(2010-05-08 04:14:54)
200.  1リットルの涙 《ネタバレ》 
単に「難病もの」といってしまっては身も蓋もない。原因も不明で治療方もない難病と戦った少女の魂の日記が原作。そこには五体満足で当たり前に生活する人々には想像もできないような苦悩、葛藤があったはずです。少女が短命で終わったのは既知なので、興味本位的な観賞はできない。不幸といってこれほどの不幸もないだろう。思春期真っただ中の14歳で罹患。志望校に入学できても、高校一年生で養護学校に転校しなければならないほどの重症に。一生懸命勉強したのに大学進学も断念。「保健士の母のような人の役に立つ職業につきたい」という夢も潰えた。リハビリの先生との淡い恋もはかなく散った。「なぜ病気がわたしを選んだのか」「なぜ私にだけ不幸がふりかかるのか」、主人公の亜也は何度も自分の運命を呪ったのに違いありません。しかし絶望はしなかった。彼女が生きるあかしとして綴った日記を残してくれたおかげて、我々は彼女のことや、病気のこと、家族や友達、先生たちのことを知ることができる。ありがたいことです。さて映画の出来ですが、これは不出来です。こういった映画では、登場人物の感情の揺れをいかに表現するかが出来の善し悪しに関わってきます。演技も大切ですが、タメ、アップ、涙、音楽などの演出効果も重要です。つまり「ここぞ」という場面での「感動を与える演出」が必要なのですが、この作品ではそれが欠けています。脚本は悪くなく、母親の献身的な態度、心やさしくてくれた友達、尊敬する女医との交情、親切で情に熱いパン屋のおばさんなど、泣かせどころはたくさんありました。命をふりしぼるようなセリフひとつひとつに対応する演出方があったはずです。あまりにも淡々と流れていなかったでしょうか。監督の力量が問われるところですね。というわけで、残念ながら、いまひとつ感情移入できませんでした。難病の少女を演じきった女優さんには拍手です。
[DVD(邦画)] 6点(2010-05-07 21:20:23)
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