341. 戒厳令(1973)
《ネタバレ》 非常に静かな緊迫感に包まれた作品でした。自らの思想が己の想像、度量を超えた影響力を持つようになり暴走していく状況の中で、不安に畏れ慄く思想家の姿を三國連太郎が見事に演じています。 「神」は「神」であるが故に「神」であり、人間は決して「神」になり得ない・・・・。観終わった後、そんな事を考えてしまいました [DVD(邦画)] 7点(2008-07-15 18:14:58) |
342. 大地の子守歌
《ネタバレ》 原田美枝子の凄まじい演技に圧倒されっぱなしでした・・・・。「おりん」という少女の成長、苦しみを見事に演じきっているというか、おりんそのものに成り切っているんですよね。とても当時16歳とは思えません(相当無茶してます)。この演技を引き出した増村監督もまた凄いですね・・・・。 [映画館(邦画)] 8点(2008-07-14 17:01:56) |
343. モナリザお京
《ネタバレ》 渥美マリの女スリが意外にいい味出していて面白かったです。非常に安っぽいですが、娯楽作品としては良く出来ています。しかし、あの「カリオストロの城」の名セリフの元ネタ(?)がここで聞けるとは・・・・ [地上波(邦画)] 7点(2008-07-04 12:55:58) |
344. トニー滝谷
イメージ映像付き朗読劇というか小説のPVという感じですね。ややもすると退屈になりがちな手法ではありますが、この作品は村上春樹の世界観と市川準の映像、坂本龍一の音楽が上手くマッチしていて観ていて心地良かったです。ただ、イッセー尾形の学生役はちょっと無理が・・・・・ [地上波(邦画)] 7点(2008-07-01 10:48:35) |
345. ヒョンジェ
《ネタバレ》 まあ設定は悪くないし興味深いものではありました。ただ「差別があったから」「酷い目にあったから」と言ってシージャックを起こした人物に同情的な視線を投げかけるのはいかがなものでしょうか・・・・。「確かに世間は悪い、ただ、世間が悪いといって悪いことをする奴が一番悪い」という「野良犬」(黒澤明監督)での三船敏郎のセリフを捧げたいですね。 [DVD(邦画)] 4点(2008-06-28 23:40:36) |
346. 解夏
《ネタバレ》 失明すると暗黒の世界ではなく、乳白色の霧の中のような世界に包まれるのですね・・・・・。何というか、残酷な運命を受け入れざるを得ない恐怖と無念さを大沢たかおが見事に表現しています。そして、恋人役の石田ゆり子がこれまた素晴らしいです。 地味ではありますが、心が温かくなるような良作でした。 [地上波(邦画)] 7点(2008-06-28 23:26:24) |
347. 就職戦線異状なし
《ネタバレ》 何というか今観ると、バブリーな浮かれっぷりや甘さ加減が非常に虚しく感じますね。女性陣のファッションも何だかなあという感じです・・・・。 それと、就職氷河期世代の人間としてはいろいろと腹立たしく思うところもあり、評価はほとんどできませんが、仙道敦子と「どんなときも」にそれぞれ1点ずつ献上します。 [ビデオ(邦画)] 2点(2008-06-24 09:47:27) |
348. 天国の本屋~恋火
《ネタバレ》 非常に勿体無い作品ですね。ベストセラー小説が原作で、キャスティングも良く、映像・音楽も美しい(クライマックスの花火とピアノ演奏のコラボは見事でした)・・・・なのに何でこんなにイマイチ感が漂ってしまうんでしょうか。 2つの異なる作品(シリーズは同じではありますが)をドッキングさせてストーリーを展開させているのでアンバランスな感じを受けましたし、多くのエピソードを短い時間で表現しようとしているためどうしてもダイジェスト的になってしまい、せっかくのキャスティングの良さが生かされていないんですよね・・・・。原田芳雄と新井浩文のコンビなんかもっと旨味を引き出せると思いますし、香川照之なんてあれじゃただの変人ですよ。まあ、竹内結子の魅力は存分に味わえますけど。 改めて言います「本当に勿体無い」 [地上波(邦画)] 6点(2008-06-12 18:51:23) |
349. サンダカン八番娼館 望郷
《ネタバレ》 こういう、汚点として「無かった」ことにされがちな歴史的な事実を記録として残すだけでも大いに意義があると思います。 しかし、演技を全く感じさせない田中絹代の演技は凄いですね。栗原小巻が完全に食われています。高橋洋子も、異国の娼館という過酷な状況で変貌していく少女の姿を見事に演じています。 ラストは非常にやるせなさを感じてしまいました。 [ビデオ(邦画)] 8点(2008-06-07 22:56:03) |
350. スクラップ・ヘブン
《ネタバレ》 この映画の世界観は、大好きな長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」(大傑作!)と共通するものがあって非常に面白かったです。この21世紀の世にこのようなアナーキーで骨太な作品を作り出した李監督には拍手を送りたいです。 平凡で「糞のような」人生を変えたいと願う男が行動に移す、確かに人生は変わっていき、その変化を楽しめるうちはいいけれども、徐々に「一体自分はどうしたいんだ?」という疑問に捉われてしまい、「世界を一瞬で消す」という破滅思考に陥ってしまう・・・・・・。 結局、オダギリ・ジョーの言うように「想像力」が足りないんですよね、人生や社会を変えるとどうなるのか・・・・・。 おそらく「世界を一瞬で消す方法」の「世界」とは、いわゆる「世界」ではなく自分自身とその意識の中にある「世界」のことなんだと思います。オダギリと栗山千明が消すことができた(と思われる)「世界」を、結局消すことが出来なかった主人公の虚無感が非常に胸に突き刺さってきました。 [地上波(邦画)] 8点(2008-06-04 10:11:59) |
351. ゼブラーマン
《ネタバレ》 あらすじだけ見ると非常にワクワクしてくるような設定なんですが、ちょっとグダグダ感が漂っていて、ちょっと残念でした。 何というか、全体的に中途半端なんですよね、もっと突き抜けた部分があっても良いかとおもったんですけど・・・・。 [地上波(邦画)] 5点(2008-06-03 19:04:08) |
352. アフタースクール
《ネタバレ》 前作もそうですが内田監督の映画って難解なパズルが解けたときのようなスッキリ感を与えてくれるんですよね。全部見終わってから脳内で作品を理解していく作業に移るという感じで、鑑賞中ははっきり言って監督の手のひらの上で泳がされている状態になってます(何度作品を脳内リピートしたことか)。でも、それが全然苦痛にならないんですよね、思い返すたびに新たな発見があるのでそこでまたスッキリな気分を味わえますから。 ストーリーを追うというよりは内田監督の発想力(ストーリーの構成等)と自分の想像力を戦わせるつもりで観るとより楽しめるのではないでしょうか。そして、思いっきり叩きのめされて下さいw [映画館(邦画)] 8点(2008-06-02 19:37:43) |
353. おろしや国酔夢譚
《ネタバレ》 映画としての出来不出来はともかく、大黒屋光太夫という人物に非常に興味を持たせてくれる作品でした。映像的にもエカテリーナ2世時代のロシア帝国の栄華やロシアの過酷な冬の様子がリアルに伝わってきており非常に見ごたえがありました。 [DVD(邦画)] 8点(2008-05-31 23:42:48) |
354. 赤毛
《ネタバレ》 ユーモラスな雰囲気、独特のリズムとテンポの見事さで観客を映画の世界に引きずりこんでおいて、骨太なメッセージをガツンと食らわす岡本喜八監督の手法はお見事としか言いようがありません。キャスティングも非常に素晴らしく、三船敏郎は勿論のことニヒルな高橋悦史や岸田森の演技が印象的でした。 まあ、政権がどんなに変わろうとも権力というものの本質はそう変わることは無いということなんでしょうね・・・・・。 [DVD(邦画)] 8点(2008-05-30 18:44:46) |
355. さくらん
《ネタバレ》 さすが監督が写真家だけあって映像は中々美しいと思いましたけど、何かそれだけというか、遊郭の雰囲気だけ頂戴してセンスの良い洒落た映画を作っちゃいましたという感じを受けました。椎名林檎の音楽が流れる度にストーリーが喰われてしまいPV化してしまうのも何だかなあと思いましたね。 最初土屋アンナが主役と聞いて、「原作のイメージに合ってるな」と期待したんですが、実際観てみるとやや微妙でした。むしろ、菅野美穂の方がはまってたんじゃないかと個人的には感じましたね。 結構原作は好きだったので、やや残念な映画化でした。 [地上波(邦画)] 5点(2008-05-12 19:17:14) |
356. ルパン三世 カリオストロの城
《ネタバレ》 ルパン三世の映画というよりは、ルパン三世のキャラクターを使った宮崎駿映画という感じです。でも、それぞれのキャラクターの魅力が良く引き出されていてこれはこれで面白い作品になっていますね。ラストの銭形警部のセリフは日本映画史に残る名セリフですね・・・・。 [地上波(邦画)] 8点(2008-05-03 21:20:44) |
357. 夜のいそぎんちゃく
《ネタバレ》 渥美マリの立ち位置が今ひとつよくわからなかったです・・・・。妹の身代わりになったエピソードもそんなに重要ではないような感じでしたし。まあ、難しい理屈とかをごちゃごちゃ考えて自分を縛り付けたりしないで、己の欲望は欲望として受け入れ人生楽しもうぜ!ということなんでしょうかね。 [地上波(字幕)] 4点(2008-04-17 19:46:26) |
358. 純愛物語
《ネタバレ》 何というか、リアリズムに彩られた社会派純愛映画という感じですかね(ラストも非常に物悲しいです・・・・・)。 とにかく、江原・中原コンビの甘ったるい恋愛劇という糖衣に包まれた厳しい現実描写が非常に印象に残ってしまいます。住む家すら無く犯罪で生計を立てている戦争孤児たち、ドヤ街の木賃宿、そして戦後10年たっても原爆の影響に怯える人々・・・・・・。特に病院での診察が淡々としたタッチで流されるシーンは恐ろしさを感じました。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-04-15 19:27:01) |
359. 東京上空いらっしゃいませ
《ネタバレ》 まあ、当時の「3M」と呼ばれたスーパーアイドルであった牧瀬里穂(私もファンでした)のための映画ですね。彼女の演技力については、あえてコメントは差し控えさせていただきます(まあ、ファンにとってはそれがまた魅力的だったりするんですけど)。 全体的にバブリーで安っぽい雰囲気でB級映画としか言いようがないのですが、牧瀬里穂の討ち入り(?)シーン等のシュールさは中々良かったですね(まあ、牧瀬の決めのセリフでちょっとズッコケてしまいますが・・・・)。「帰れない二人」の使い方も 上手くて、ちょっと勿体無いくらいでしたね。 個人的には、中井貴一のサックスをバックに牧瀬が歌うシーンがモロに吹き替えだったのがちょっと不満でした。(ダンスは見事でしたが) [ビデオ(邦画)] 5点(2008-04-05 23:32:14) |
360. 転々
《ネタバレ》 笑いも感動が何かこうじわじわと来る良い映画でした。 三木監督にオダギリジョー、岩松・ふせコンビと「時効警察」メンバーが勢揃い(麻生久美子も三日月としてチラッと出ています。)しているので、まあ安心して見ていられましたね。それと三浦友和が良かったですね。ここまで役柄の幅が広がっていたとは・・・・。 何というか、東京散歩に出かけたくなってきますね(まあ、東京の思い出の半分はコインパーキングになっているそうですけど・・・)。 エンドロールで流れる鈴木慶一とムーンライダーズ「髭と口紅とバルコニー」が最高にハマってましたね。 [映画館(邦画)] 8点(2008-03-22 18:26:22) |