81. 海炭市叙景
《ネタバレ》 ドラマティックな展開は殆ど無いのに、約2時間半ついつい見入ってしまいました。 退屈と漠然とした不安が漂う地方都市に住む市井の人たちの日々の呟きを、上手く切り取ってつなげ、一つの作品にしてしまう佐藤泰志の才能と、80年代に創られた原作を今の時代に持ってきて上手く映像化した熊切監督の技量が上手くマッチしています。 地方都市が80年代に「変わりゆく日本」に乗っかろうとしながらもどこか取り残されていく姿が、現在「変わりゆく世界」に取り残されそうになっている「日本」にどこか被っているように感じられ、この作品が現在再評価されているのも理解できます。 内容については、やはり最初の物語のエピソードに漂う虚無感がこの作品のキモなので、そういう意味で、谷村美月と竹原ピストルのキャスティングが見事にハマっていて作品全体のクオリティも引き上げていると思います。 後は、とにかく「猫を抱いた婆さん」のインパクトの強さですね。この人を見つけてきた熊切監督の眼力に感服しました。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-04 10:07:16) |
82. 甦える大地
《ネタバレ》 鹿島臨海工業地帯の開発を、プロジェクトXのような成功物語ではなく、良い面もそうでない面も含めてしっかりと描いていることに、石原裕次郎という人の映画に対する思いの深さを感じました。 [DVD(邦画)] 7点(2014-09-23 11:03:06) |
83. 網走番外地 南国の対決
《ネタバレ》 返還前の沖縄の、異国情緒溢れる光景が非常に印象的でした。内容的には、非常にオーソドックスなヤクザ映画に人情劇を散りばめた感じでした。 [地上波(邦画)] 6点(2014-09-06 00:35:37) |
84. 愛情物語(1984)
《ネタバレ》 日本映画の情緒とアメリカンな雰囲気が混ざり合っているようで全然混ざり合ってなくて、正直とても「ダサい」んですが、この「真剣なダサさ」がとても懐かしく愛おしいです。 とても、ダンサー向きとは思えない原田知世 が、想像以上に頑張っていて、なおかつとても楽しそうなのが印象的でした。 まあ、玉手箱のようにいろんな要素を入れようとして、無駄なシーンが多い気もしましたがそれもまた「角川映画」のエンターテインメントということで楽しめました。 ただ、どうしても引っかかったのが、なぜ実の親の墓参りをしなかったのか・・・・ということでした。 [地上波(邦画)] 6点(2014-09-02 00:40:35) |
85. 地獄でなぜ悪い
《ネタバレ》 ジョン・ウォーターズが『セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ』でインディーズ魂やカルトムービー愛を炸裂させたが、我が日本にも園子温がいた! 細かいことは抜きにして、ここまでのエネルギーに満ちた、センス溢れる爆発的な映画を作る園子温監督の映画愛には、思わず感服いたしました。 [DVD(邦画)] 8点(2014-08-31 11:08:40) |
86. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
《ネタバレ》 TVシリーズ放映から約20年になるんですね・・・・ 昔は、シンジ達の目線でエヴァを見ていたものですが、今回この作品を観ていると、現場を知らない本社の無謀な指示や厳しい上司の無茶振り命令の下で、まだ中学生でモチベーションも低く思うように働かないシンジ達を何とか動かそうとしているミサトさんの中間管理職としての苦労が非常に目に付きました。 まあ、この作品の内容自体はTVシリーズのダイジェストなので、評価はこんな感じです。 [地上波(邦画)] 6点(2014-08-16 07:52:42)(良:1票) |
87. クラシコ
《ネタバレ》 今や、Jリーグの理念の理想像ともいえる松本、そして長野の黎明期を描いた貴重なドキュメンタリーです。 いずれは、J1の舞台で繰り広げられるであろう信州の2チームの原点を記録した貴重な映像作品です。しかしまあ、バドゥ監督は日本で成功してもらいたかったとつくづく思わされました。 [インターネット(字幕)] 7点(2014-08-09 10:52:48) |
88. 亡国のイージス
《ネタバレ》 「日本人よ、これが戦争だ!」ということを多くの国民に教えるための映画なんでしょうが・・・ 実際に起こりそうではありますががあくまでもフィクションの物語を使って、「ほら、平和ボケした日本の皆さん、我々の隣にはこんな危険な国家が存在していて、我々に戦争を挑んでくるかもしれませんよ!そろそろ目覚めないとまずいですよ!」と危機感を煽るやり方はどうも違和感を感じます。 [地上波(邦画)] 4点(2014-07-11 22:51:38)(良:1票) |
89. 奇跡(2011)
《ネタバレ》 子供の持つ「力」の凄さを教えてくれる作品 九州新幹線開通にあたっての企画物映画ではありますが、宣伝色を感じさせないドラマを作りつつ、九州の魅力を映し出しているのはさすが是枝監督という感じです。 [地上波(邦画)] 8点(2014-06-07 00:35:18) |
90. 再会(1975)
《ネタバレ》 身寄りもなく厳しい環境下で支え合って育った姉弟の別離の切なさは上手く描かれていると思います。 ただ、「約束」のように男女の恋愛が絡まない設定なので、1時間30分強の映画にするために、やや物語の幅を無理に広げているような印象を受けました(飲み屋の話や少女との話等)。 [DVD(邦画)] 5点(2014-06-01 23:22:25) |
91. トラック野郎 一番星北へ帰る
《ネタバレ》 笑いあり、涙あり、アクションあり、お色気あり・・・ハチャメチャですが名優たちがしっかりと演じていて本当に楽しい時間を過ごせました どちらかというと、庶民の悲哀を描いたシリアスな面が多い作品ですが、ダムを作るために沈められた主人公の故郷が出てくるなどシリーズの中でも重要な作品ではあります。 [地上波(邦画)] 7点(2014-05-05 23:42:46) |
92. 桜並木の満開の下に
《ネタバレ》 日立の桜を観にいきたいと思いました。 作品内容については、見ていて「まあ仕方ないよね」を連発してしまうような内容なんですけどね・・・。個人的には、日立の町工場が舞台なのに皆が標準語をしゃべっていることに違和感を感じてしまいました。日立が舞台なんだけど日立じゃないみたいな・・・まあ、仕方ないのはわかっていますが・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2014-05-03 00:26:10) |
93. エロティックな関係
《ネタバレ》 究極の出オチ映画。 製作総指揮が松竹を解任される前の奥山和由、監督が若松孝二、キャストが貴乃花との破局前の宮沢りえ、いつもの内田裕也、そしてあの事故の前のビートたけしと当時の映画界・芸能界で旬を迎えていたメンバーが揃い、どんな作品になるんだろうと思ったら、冒頭のクレッソン(当時反日発言で話題になっていたフランスの首相)のしょうもないパロディ(つうか実はこれをやりたかっただけじゃないかと思えてしまうんですが・・・)からラストまで結局いつもの「内田裕也」映画でしたという・・・・・。 まあ嫌いじゃないですけど。 追記:リメイク元の「エロチックな関係」を観賞しました。金はかかってないですが、洒落た感じのハードボイルド作品で面白かったです。「餌食」をリメイクした「魚からダイオキシン」もそうですが、内田裕也の個性と主張の強さが作品の内容より勝ってしまうと映画としては・・・・ [DVD(邦画)] 6点(2014-05-01 21:17:45) |
94. こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
《ネタバレ》 戦後の文化・芸能史を描くだけにとどまらず、 こまどり姉妹を通じて、戦前・戦後日本人はどう生きてきたかについても描いたドキュメンタリー [DVD(邦画)] 7点(2014-05-01 21:07:44) |
95. 誰も知らない(2004)
《ネタバレ》 この作品での柳楽優弥は、観賞している我々自身の姿そのものではないでしょうか・・・ 身勝手な大人や社会の様々な理不尽さに怒りを抱きながらも、今の生活を失うことを恐れ何も出来ずにいる我々の姿を是枝監督は、「それでいいのか?」とあえて激しさを押し殺して静かに映し出しているように感じました。 淡々としたストーリー展開であるのに、緊張感に満ち溢れた2時間30分の観賞でした。見事な映画です。 [地上波(邦画)] 9点(2014-04-29 00:39:48) |
96. リトル・マエストラ
設定、キャスティングは良い しかしながら、クライマックスの展開が「何故そうなる?」と思わざるを得ないもので、なんか醒めてしまいましたね。原作がある作品なので仕方ないとは思いますが、良い素材を生かしきれてないのが本当に勿体無いですね。 [DVD(邦画)] 4点(2014-04-26 10:38:05) |
97. 四月物語
《ネタバレ》 期待と不安、そして大きな希望が渦巻く新生活、その起点となる4月の美しさを見事に切り取り映像化した作品。 主演の松たか子の不安定な美しさがとても心地よく、あっという間の1時間強でした。 実は、本当の物語はこれからはじまるのですが、それはまた別のお話 [地上波(邦画)] 8点(2014-04-26 10:35:23)(良:1票) |
98. 探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
《ネタバレ》 昭和のテイストと北海道札幌の風景が見事に調和していて心地良かったです 松田龍平も父親の雰囲気を残していて作品にマッチしていて良いですね。 ストーリー的には1作目よりもいろいろと考えさせられる展開でしたね。人間の負の感情の深さ、「弱い者がさらに弱い者を叩く」という現実のやりきれなさが印象的でした。 [DVD(邦画)] 8点(2014-04-13 23:47:07) |
99. 俺俺
《ネタバレ》 三木聡監督の新作ということで観賞しましたが、やや期待外れでしたね。亀梨和也は熱演していたと思いますが、題材と三木監督の作風がいまひとつマッチしていない感じを受けました。 何というのか、「三木ワールド」のシュールさや細かいこだわりが、これまでの作品のようにストーリーのうま味を増す役割を果たせず、逆に邪魔になっている感じがしました。 [DVD(邦画)] 5点(2014-01-27 00:07:37) |
100. 気球クラブ、その後
《ネタバレ》 何というか、園子温らしくないというか、園子温が岩井俊二風に映画を作るとこうなるというような異色の作品です。ただ、これが予想外に良いですね。ローリング・ストーンズで言えば「サタニック・マジェスティーズ」のような位置づけですね。 学生サークルの「浅く広い」人間関係の微妙な部分を巧く描いていて中々面白かったですね。ただ、それだけだと、よくある低予算の青春映画で終わってしまうのですが、そこに永作博美の切ない物語を絡めることによって、ワンランク上の仕上がりになっていますね。演技の上手い下手を超えた、彼女の「格の違い」がこの作品に深みを与えてくれています。 [地上波(邦画)] 8点(2014-01-26 23:51:13) |