161. 母べえ
《ネタバレ》 反戦映画であり、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という日本国憲法第19条の精神の重要さを強く訴える映画でしたね。 吉永小百合のキャスティングはドラマとしてはちょっと違和感(年齢的に)がありましたが、山田洋次が自分の考えを伝えるためにはどうしても彼女でなければならなかったのでしょう。 母べえが死ぬ間際に、死んだ夫にあの世でなんか会いたくない、生きている夫に会いたいという台詞は非常に考えさせられましたね。「綺麗事」に人々を縛り付け、自らも「綺麗事」に殉じようとする風潮(美徳ですけどね)に対するカウンターであるように感じました。 鶴瓶がいい味出してました。 [地上波(邦画)] 7点(2011-08-18 00:53:50) |
162. くりいむレモン
《ネタバレ》 独特の空気感はまさに山下敦弘の世界。しかし、もともとがストーリーを見せる性質の作品ではないので、中味の薄さはどうにもなりませんでしたね。山本浩司を出したり工夫は見えるのですが・・・・。 まあ、どんな下卑た題材でもそれなりの作品に仕上げてしまう山下監督の実力だけが印象に残る作品でした。どうにも切ないラストシーンは見事でした。 [DVD(邦画)] 5点(2011-08-17 11:14:00) |
163. TOMORROW 明日
《ネタバレ》 一瞬で大量殺戮が可能である原子爆弾の非人間性を、そしてありふれた日常が突然人為的に遮断される恐ろしさを我々に伝えてくれる作品でした。 戦争を完全になくすことは正直難しいかもしれませんが、少なくとも核爆弾による大量殺戮だけは二度と繰り返してはならないと思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2011-08-12 00:51:28) |
164. 日本沈没(2006)
《ネタバレ》 「アルマゲドン」や「インディペンデンス・デイ」を思わせるような、ハリウッド映画のような作風だったのがやや意外でした。なんと言うか、全体を通して良く言えば分かりやすい、悪く言えば薄っぺらい作りで、大スクリーンでCGの迫力を楽しむには丁度良いのでしょうが、テレビやDVDで観るにはやや物足りない出来ですね。 まあ、最後に政治家が個人を英雄として称えるような演説をするのには、とても違和感を感じましたね。 [地上波(邦画)] 4点(2011-07-29 22:35:09) |
165. DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?
《ネタバレ》 予備知識がないと何がなんだかよくわからない作りになっているので、初心者向きではないですね。ただ、時代の寵児となるには、良く考え、努力を重ね、尚且つ運を掴まなければならないことは理解できました。 [DVD(吹替)] 7点(2011-07-21 23:50:06) |
166. 樺太1945年夏 氷雪の門
《ネタバレ》 樺太でこのような悲惨な状況になっていたことを知ることができただけでもこの作品を観た意味があったと思いました。ソ連の将校の「敗戦国に国際法など無い」というセリフが、戦争というものの本質を体現しているように感じましたね。 大空襲や原子爆弾で多くの民間人を虐殺しても、日本の無条件降伏後も戦闘・殺戮を続け、捕虜をシベリアで奴隷のように働かせて死に至らしめても、勝者であるが故に裁かれることは無く、敗者のみが徹底的にその罪を糾弾される・・・・・(まあ罪は糾弾されるべきなんですが)。非常に理不尽さを感じますね。 非常にいろいろなことを考えさせられる作品でした。 [DVD(邦画)] 7点(2011-07-20 00:36:20) |
167. ばかもの
《ネタバレ》 ちょっとビターな恋愛映画かと思ったら、途中から非常にヘヴィな展開が続き少々面喰いましたが、非常に見応えのある作品でした。絲山秋子作品ですから、ありきたりな話な訳ないんですけどね。 まあ、アルコール依存症は怖いですね。酒飲みながら観てたんですけど、1杯だけで止めましたw ラストシーンは非常にキレイで印象的でしたね。 [DVD(邦画)] 8点(2011-07-13 11:19:26) |
168. カラフル(2010)
《ネタバレ》 主人公と同世代の若者だけでなく、大人が見ても心が温まるファンタジー映画ですね。 中学3年生という、心身共に成長期を迎え、しかも義務教育最終年で進路を自分で決めなければならない難しい時代の感情の動きを見事に描ききっている作品でしたね。 大人の世界に足を踏み入れながらも、子供の純粋さを捨てきれず不安定な感情に翻弄されてしまう中学生たちの姿は恐らく誰もが共感できるものではないでしょうか(忘れてしまっている人もいるでしょうけど)。 何十もの異なる色を一つにしようとしてもそこには暗黒しか残りません・・・・ [DVD(邦画)] 8点(2011-07-05 23:14:12) |
169. 軽蔑(2011)
《ネタバレ》 主人公の男があまりにもチャラくて馬鹿すぎるのと鈴木杏の激しい変貌っぷりが恐らく賛否両論を巻き起こすであろうなとは思いますが、何はともあれ新宮を舞台にした中上作品の映画化はファンにとってはたまりませんでした。スクリーンに映しだされる新宮の街並を見て、死ぬ前に一度は訪れてみたいなと思いましたね。また、親子の対立・複雑な家族関係などを見ていると、誰か「岬」や「枯木灘」、「地の果て至上の時」を映画化してくれないかなと願ってしまいますね。 後半部分の展開はまさに往年の角川映画が蘇ったという感じで非常に懐かしさすら感じました。 それにしても、大森南朋の崩れっぷりは同世代の人間として参考にしたいくらいでしたね。 [映画館(邦画)] 7点(2011-07-02 01:19:46) |
170. 西の魔女が死んだ
《ネタバレ》 サチ・パーカーの「魔女」役が非常に嵌ってましたね(お母さんであるシャーリー・マクレーンも魔女みたいな女優さんですからね)。特に独特な日本語の発音が絶妙でとても心地よかったです。そして、その「魔女」の魅力を垂れ流すだけでなく、考え方の違いから来るすれ違い、感情のぶつかり合いもしっかり描いてるのも良かったと思います。 山梨の風景も非常にきれいで、大画面のスクリーンで見たかったですね。まあ、ゲンジ役の木村祐一がどうみても怪しい関西のオヤジだったのはちょっとアレでしたけど・・・。 派手さはありませんが、じんわりと心に響いてくる映画でした。 [地上波(邦画)] 7点(2011-07-02 00:27:49) |
171. ボーイズ・オン・ザ・ラン
《ネタバレ》 痛々しく、生々しく・・・なんと言うか日々自問自答していることを映像化され、晒されているようでとてもキツい作品でした。まあ、主人公役の峯田が惨めったらしくはあるものの非常にロックの魂を感じさせる演技だったのでまだ救われましたけどね。これで、本当に冴えない奴が演じてたら悶絶してたかもしれませんw 敵役の松田龍平も良い演技してましたね。確かにいるんですよ、こういう奴・・・(以下略) 何というか、この世界観はキツいけれども非常に共感できますね。原作は未読ですが、一度読んでみようかと思いました。 [DVD(邦画)] 8点(2011-06-22 23:37:00)(良:1票) |
172. パーマネント野ばら
《ネタバレ》 どんなに苦しくても、どんなに辛くても、どんなに寂しくても人生は死なない限り続いていくわけですから、タフに生きていくことが一番なんだと思いますね。 この作品は、とにかく登場人物の殆どが生命力に満ちたタフな人たちなので、切ない物語ではありますが不思議と元気を与えてくれる映画でしたね。菅野美穂・小池栄子・池脇千鶴の3人がそれぞれの個性を生かした役柄を演じていて良かったと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2011-06-21 00:32:11) |
173. キャタピラー
《ネタバレ》 「お国のため」「軍神」というキレイな言葉で、醜い傷やドロドロとした感情・トラウマ、そして己を現在の姿にしたものへの疑問・恨み等々が外に溢れ出ないよう包み隠し、泣き寝入りを強いる全体主義的な社会の恐ろしさを描いた作品です。 非常に考えさせられる作品でした。 [DVD(邦画)] 7点(2011-06-17 00:27:33)(良:1票) |
174. 出張
《ネタバレ》 しかし、平成も23年たつと昭和後半~平成初期の光景がが非常に懐かしく(悪く言うと古臭く)見えますね。サラリーマンの姿自体は今も昔も変わりませんが、家庭に戻ってからの旦那の振る舞いなんかは今の感覚ではありえないですよね・・・・。 まあ、ゲリラがあっさりとしすぎていたり、誘拐から解放されたばかりの社員をすぐに次の出張へ行かそうとする会社とかいろいろ内容的に突っ込み所はあるのですが、やはり石橋蓮司の飄々とした演技はとても魅力的でした。 [ビデオ(邦画)] 6点(2011-06-16 00:30:43) |
175. 十三人の刺客(2010)
《ネタバレ》 美しい戦争、美しい殺し合いなんて存在しないんです・・・・ 延々と続く殺戮の映像が暴力の破壊性、虚しさを激しく伝えてくれます。また、忠義という「美徳」によって思考停止を余儀なくされ、視野狭窄に陥ることの恐ろしさを教えてくれる作品でもありました。 忠義に殉ずる事と、主君に無条件に従うことは同じように見えて全く違うものであって、主君たる座についたからその者を主君として仕えるというよりは、主君という座がありその座の存在に対し忠義を尽くすのが本当の姿なのではないでしょうか。 稲垣吾郎演じる殿様のような愚かなリーダーは、決してドラマの中だけに出てくる創作物ではないのだと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2011-06-14 00:29:40) |
176. マイ・バック・ページ
《ネタバレ》 非常に見応えのある作品でした。60年代後半から70年代前半の社会の空気を山下監督が上手く作り出しています。自分を、社会を変革しなければならないという思いと、世の中の真実を伝えていきたいという思い、そして己の使命に忠実であろうという思い・・・様々な思いが上手く重なっていくように見えて少しずつズレていく展開は、まさに若者が「大人の世界」の前に挫折していく姿を映し出したアメリカン・ニューシネマの世界観に相通じるものがありましたね。 まあ、マスコミのあり方というものについても考えさせられる作品でしたね。 [映画館(邦画)] 8点(2011-06-12 21:29:29) |
177. 三池 終わらない炭鉱の物語
《ネタバレ》 囚人労働、植民地出身者や捕虜の強制労働、戦後の労働争議、そして炭塵爆発事故によるCO中毒の後遺症問題・・・・。非常に興味深いドキュメンタリーでした。関係者が高齢化していくなか、このような記録を後世に残せたことは素晴らしいことだと想います。 三池炭鉱はまさに日本の近現代の産業史を象徴するような存在であったのだなと感じました。 [インターネット(字幕)] 7点(2011-06-11 23:11:24) |
178. FLOWERS フラワーズ
《ネタバレ》 化粧品のCMをそのまま映画化した感じでしたね。内容については女性向けなので男の私がとやかく言えるものではありませんので・・・ 今の日本映画界を支える主役級女優が6人もキャスティングされていますので見栄えはとても良いですが全体的にはやや散漫な印象を受けました。やはりメインディッシュは1品、多くても2~3品でいいかなというのが正直な感想です。 昭和初期から現在の流れの中で、画質もその時代時代のものを再現しているのが非常に面白い試みだと思いました。できることなら昭和の日本の街並をもう少し映し出して欲しかったですね。 [DVD(邦画)] 6点(2011-06-05 10:30:04) |
179. 水俣 患者さんとその世界
《ネタバレ》 のどかな漁村の風景の中で水俣病の患者たちとその暮らしが紹介され、それと並行して原因企業でありながら対応が鈍いチッソに対する怒りが徐々に盛り上がっていく姿を映し出した後世まで残すべき貴重なドキュメンタリーでしたね。 クライマックスのチッソ株主総会では、患者たちの激しい怒りと企業側の組織防衛本能(企業存続・補償金節減等)が激しくぶつかりあいフィクションでも中々作り出せないような凄まじい光景が記録されており圧巻としかいいようがありませんでした。この企業の組織防衛本能ってやつがまた厄介なものなんですよね。自営業では無い雇われ経営者は仕事として社員の生活・株主の利益等々を守っていかなければならないわけですからね。真面目に仕事をすればするほど患者にとって冷徹で頑なな存在になっていってしまうという状況になっていくわけです。 映像の力・ドキュメンタリーの力の強さを教えてくれる作品でした。 [映画館(邦画)] 8点(2011-06-05 10:11:52) |
180. パルチザン前史
《ネタバレ》 全共闘運動の激しいエネルギーに圧倒されましたね。京大・阪市大の時計台攻防戦、京都市街戦の迫力はまるで内戦のようで凄まじいものがありました。ただ、これだけのパワーが一般市民にまで浸透しなかったのは、結局滝田修が言うところの「祭り」にまで運動を持っていくことができなかったからなのでしょうかね? しかし、この滝田修という男のキャラクターが非常に魅力的でしたね。関西弁でどことなくユーモア漂う語り口や、家庭を持ち生活のためにアルバイトもするなど地に足をつけた生活の中で闘争活動を行っていくスタイルは、さぞかし多くの人に影響を与えたのだろうなと思わせます。特に大学解体を叫びながら生活のため予備校で教鞭をとらなければならない矛盾を生活費の実態を曝け出しながら弁解するシーンなどは非常に人間臭さがでていましたね。 [映画館(邦画)] 8点(2011-06-05 02:06:54) |