1. 世界の中心で、愛をさけぶ
お台場の映画館は、泣くために集まった若い女性でいっぱいで、映画も後半になれば、そこかしこからすすり泣きの音が聞こえた。 私も、例外でなく、こりゃ泣けるだろうの期待の中で赴いた。現代人には「泣きたい」願望がある。 この映画、確かに泣きどころは随所にある。 半ばこれみよがしなほど。 けれど、そういうんじゃ、私は泣けないの。 確かにちょっと「くっ」ときた。 でも、なんだろう、どこかで聞いたような話だったからか、読めすぎる展開のせいか。 そして、後になればなるほど、登場人物の心情の、不自然な描かれ方。 美しい背景と美しい俳優(アキ役の女の子は確かにとても魅力的)の中で、ナチュラルな人間の機微を裏切っては、それは不協和音。 そんなにキレイに割り切れるなら、そこまでの苦痛はなんだったのか。 透明感に満ちた思い出は、なんだったのか。 映画向けに付け加えられたという後日談エピソードが邪魔っけだったのかもしれない。 それでもこの映画は、私にとって忘れられないものになった。 映画館を出ると小ぶりの雨で、メディアージュのデッキをふたり、急ぎ足に歩く。 映画の感想を二言三言交わして沈黙が続く。 必然性のないタイミングで、デジャブのような言葉が沈黙を破る。 7点(2004-06-29 17:03:02)(良:1票) |
2. CASSHERN
映画としての未熟さは否めない。既にいくつかのコメントにあるように、細切れなモンタージュ的カットは観る分に苦痛だった。象徴的な映像をつないでいて、ストーリーが紡がれているとは言えない。 けれど、この苦痛は、監督のあまりに強く鋭い「想い」にえぐられているからのようにさえ感じる。 ここまでエンタテイメント性の欠落した作品を世に出そうとするには、相当の抵抗があったはずだ。宇多田ヒカルの夫という話題性がなければ、どの映画会社も配給しなかったかもしれない。まして有楽町マリオンのスクリーンに上映されることなどなかっただろう。 けれど、「とにかくもうどうしても伝えたい」というわがままで鋭いエネルギーによって、この作品は完成され、私の前に立ちはだかった。ここに来て、目を背けることのできない何かがある。 おそらくそれでよかったのではないか。その苦痛も含めて、十分すぎるほど伝わったのだから。 6点(2004-04-30 23:22:09)(良:2票) |
3. ウォーターボーイズ
何度も笑った。ほほえましく爽やかな青春映画。課題図書のような夏の一本。 7点(2003-12-30 20:22:56) |
4. 竜馬の妻とその夫と愛人
これはなかなか面白い。 私は竜馬の妻より竜馬になりたいと思った。 これは、妻と妻の夫と愛人、妹の夫と作者自身、観客さえもに愛される竜馬への讃歌。 死してなお人のこころをワシづかんで離さぬ英雄に吐息を繰り返す、その哀歌。 人は可笑しく哀しく小さく大きなものだと知る。 8点(2003-12-30 20:00:27)(良:1票) |
5. Undo “アンドゥー”
今まで観たどんな映画のキスシーンよりも、隣の部屋の恋人どうしを覗き見るようなリアリティ、そしてエロティシズムを感じた。一般的な日本のドラマの硬直した唇の接触は言わずもがなだが、多くのハリウッド映画、あるいはフランス映画でも、こんなキスシーンは見たことがない。 印象的な特徴を誇張した方が似顔絵は似ているものだ。「印象」という名のリアリティをそのままフィルムに念写するような、あるいは触診で探り当てるような、岩井俊二の映像はそのようなものではないか。 6点(2003-12-30 18:02:10) |
6. ラスト サムライ
じわじわと感情がこみ上げて来る。何度もくぅと涙を堪えた。 この映画に限ったことじゃなく、武士道には同意できない点もある。刀なんか持ってたら危ないじゃないか、と思う。結局はその戦いも、自己擁護だろう?とも思う。それでも、ただただストイックに「パーフェクト」を求める生き方には、心揺さぶられ、胸が詰まった。理由はなくとも毅然と貫く信念の崇高さ、得がたさがまぶしい。それは貴重な、とても貴重な宝のような人生だ。 日本人の俳優をここまで美しく、格好よく、並々ならぬ存在感をもって描きあげた外国映画は初めて見た。歴史に残る秀作だと思う。 サムライと言えばイチローのイメージ、ということで詳しい感想はこちらのブログ記事で→ http://escargot1.exblog.jp/3377525/ [映画館(字幕)] 9点(2003-12-15 20:21:24)(良:1票) |
7. バトル・ロワイアル
好きだなあ。かなり。 荒唐無稽で背筋の凍る設定で、大真面目に滑稽に翻弄される登場人物たちの気持ちに、自然と私も引き込まれた。人物が一人一人非常に魅力的に描かれており、一つのゲームを楽しむ感覚で、映画の世界に没頭できる。もっと続きが観たい気持ちになった。 メッセージ性はというと、それはあまり私には響かなかった。しかし、そんなことはどうでもいいんじゃないかなあ。こういうのって、超怖いよねーと思わせるには十分だったし。映画らしい完成度を持った映画だと思った。 変な「完全版」は不要ではないかと思う。 9点(2003-12-04 00:16:24) |
8. 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993)<TVM>
微妙だ。非常に微妙。 映画というよりテレビドラマだなあ、これは。 そもそも劇場公開はされてないんだっけ? ノスタルジーたっぷりのいい感じの映像と物語、あるいはキャスト、あるいは台詞回し。夏休みの思い出としては、日本人誰もに普遍的なテーマを描いていて、共感は得やすい。 実は昔、高校1年の頃、この映画のタイトルと全く同じテーマ(「花火は角度によって見え方が違うのかどうか、子供のときは大した疑問だった」という非常に似たニュアンスのフレーズ)で小説を書いたことがある。個人的に。1991年当時。この映画より前なので、自分のほうが先だと主張したいところだが、誰にも信じてもらえまいと思うので、それが癪。がしかし、このテーマ、そのくらい普遍的なのだよね。 6点(2003-12-04 00:09:14) |
9. 御法度
《ネタバレ》 もっともっとつまらないかと思っていたが、意外に意外、それほど悪くなかった。松田龍平が美しいとは到底思えないのだが、あの作品全体の怪しさはなかなか独特でおもしろい。テーマが男色にほぼ絞られており、下手な武士道や下手なドラマがない分、分かりやすく、映画的に完成している。幻影と現実の倒錯のまま終わっていくラストも悪くなかった。まとまりのいい作品と言えるだろう。 7点(2003-12-03 23:54:11) |
10. 千と千尋の神隠し
ジブリ作品はたいがい好きだし、「千と~」も嫌いじゃない。でも、世間で騒がれるほどこの作品いいだろうか? 重いのか軽いのか、はっきりしないところが、ちょっと心地悪いなと思った。 6点(2003-11-24 17:03:20) |
11. 南極物語(1983)
小学校のとき、毎年とんど大会というのがあって、どういういきさつだったかは忘れたが、突然、担任から全校児童の前で「私の夢」というスピーチをしろと言われた。(小学生に即興スピーチなんか要求するなよ) で、何をしゃべっていいか分からなくて、当時公開中だった「南極物語」のことを思い出し(映画は観てなかったけどCMを憶えていた)、「南極点に到達したい」とか、めちゃくちゃをでっちあげた記憶がある。(そんなこと一度も思ったことない) そしたら、なんか地元の新聞記者が来てたらしくて、次の日の新聞に、小学生が「南極点に立ちたい」という夢を語った、みたいな記事が載って、恥ずかしい思いをした。 あと、マイクがエコーして、すごいしゃべりにくかったな。 映画とは全然関係ないんですけど。 6点(2003-11-22 16:38:16) |
12. ドラえもん のび太の宇宙開拓史
まだ結婚したてだった叔父と叔母に映画館に連れていってもらったことがあった。 あのとき、きっと私は6才。一緒に行った二人の弟は3才と4才。 加古川の映画館に行って、そのときそこで上映していたアニメ映画は2本。 「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」とディズニー映画の「白鳥の湖」。 叔父と叔母はドラえもんを観せるつもりだったようだが、私は「白鳥の湖」が観たいと言い張った。 それで、叔父が弟達を連れて、叔母が私を連れて、それぞれ別の映画を観ることになった。 なぜ私が「白鳥の湖」を観たかったかというと、テレビの予告CMで、王子様が短剣を胸に突き刺すシーンがあって、その続きがどうしても知りたかったから。 でも、結果的に、私の選択は失敗だった。 CMの衝撃的なシーンの続きはほんの3分くらいしかなくて、ものすごく落胆したのをよく憶えている。 短い映画で、あっという間に終わってしまって、弟達の「ドラえもん」が終わるのを叔母と二人で退屈しながら待ったなあ。 弟がいかに自分達が観た映画がおもしろかったかを話すにつけ、悔しくて、私の観た方が面白かったと強く主張したのに、叔母が「ドラえもんにしとけばよかったのに」と実も蓋もないことを言って、落ち込んだ。 その後、テレビで放送した「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」を観て、確かに面白かったので、もうそのことは弟と話題にするのはやめにした。 8点(2003-11-22 16:10:50)(笑:4票) (良:1票) |
13. ドラえもん のび太の宇宙小戦争
小学校5年生くらいだったか、私が弟達を連れて、加古川の映画館へ子供だけで行ったことがある。 正確に言うと、行きは母に車で送ってもらって、帰りは自分達で電車で帰ってきなさい、というもの。 観に行った映画は「ドラえもん のび太の宇宙小戦争」。 私達が映画館に着いたとき、その映画はもう始まって15分くらい経っていて、途中から観ることになった。 その後のストーリーを理解するのに支障のあるレベルではないが、なんとなくそういうの、気になってしまう。 それで、映画が終わってからも、私達は座りつづけて、次の回で見逃した冒頭のシーンを観ることにした。 そうしたら、下の弟がぐずりだした。 「もう観た!観た!帰る!帰る!」 私より3つ下の末っ子は相当わがままで、私がいくらたしなめても言うことを聞かない。 そのうち一人で席を立って、下の弟は出口へ向かってしまった。 上の弟は無関心なようで、放っておいたらいいと平気で映画を見続けている。 そうは言っても、末っ子はまだ小学校2年生かそこらだったので、私は無理に上の弟の手を引いて、下の弟の後を追うはめになった。 おかげで映画については、ほんの少しだけ観ていないシーンがあるというむずがゆい結果となり、上の弟には「お姉ちゃんのせいで最初の方が観れなかった」と責められ、私も下の弟の身勝手さに腹が立ち、さんざんな思いで、帰りの電車に乗った。 私達がよく「ドラえもん」や「東映まんがまつり」を観た加古川の映画館は今はもうない。 でも、うちの弟二人の性格は、今でも、わがままと無関心なまま変わっていない。 そして、私達兄弟が、最近でも思い出しては話題にするドラえもん映画と言えば、何をさておき、この「宇宙小戦争」だ。 7点(2003-11-22 16:00:33)(良:3票) |
14. ドラえもん のび太の恐竜
生まれて初めて映画館で観た映画。いくつの時だったかは忘れた。お母さんと行ったなあ。連れていってもらったのが私一人だったことを思えば、まだ弟が本当に小さい時だったんでしょう。私は4、5才かな。 7点(2003-11-22 15:56:42) |
15. 踊る大捜査線 THE MOVIE
「踊る大捜査線」のドラマは、スペシャルも含めて、キャラクターの描き方、プロットの立て方、テンポの良さ、よく言われる「アニメ的」な映像、全部新鮮で面白かったが・・・THE MOVIEはというと、ちょっとがっかり。 詰め込み過ぎで散漫。ドラマを観ていなかった人にはたくさんいるキャラクターの背景が伝わりきらないだろう浅さ。軽さ。 小泉今日子の事件も、誘拐事件も、浅はかすぎて拍子抜け。どうしちゃったんだ?ほんとに?っていう感じ。 映画となると、いろんなシガラミや気負いがあるんだろうなあ、きっと。 同じポニーキャニオン&アニメテイストなら、「スペーストラベラーズ」の方が面白かったなあ。 「踊る大捜査線」は今後もドラマで観たい、と心から思った。 4点(2003-11-22 15:51:54) |
16. 風の谷のナウシカ
もう何回観ただろう?いいですよね。ナウシカ。 宮崎アニメの主人公は、ささやくように話す、つぶやくように話す、で、感情が高ぶると声が急に大きくなる、獣のような動きをする。 キャラクターの動きの緩急が美しい。 世界観が複次元的に作り込んであって深い。 細部にまで緊張感あるところが、マニア心もくすぐる。 物語全体で一貫したテーマを訴える力強さ。 みなぎる自信と説得力。 染み込んでくるような感動。 残像のような印象。 ジャパニメーション、万歳! 8点(2003-11-22 15:50:04) |
17. スワロウテイル
何気にずっと観てなかった岩井俊二作品。「へー、こんな映画なんだー」と感心。 おもしろかった。 ちょっと笑った。 切なかった。 小林武史の歌の感覚的な世界観にぴったり 7点(2003-11-22 15:49:00) |
18. 蒲田行進曲
《ネタバレ》 勝手に時代劇だと思いこんでいたけど、時代劇の撮影所を舞台にした現代映画だった。 趣向を変えたチンピラ映画でもある。 若い頃の松坂慶子はきれいだと思うと同時に、今は、所帯じみた印象があるなあ・・・と。東京電話の大根CMのせいか?ちょっと昔の借金問題のせいか? え?実は悲劇なの?と思わせといてカラッとさせてくれるエンディングにほっとする。 6点(2003-11-22 15:25:26) |