1. 力道山
《ネタバレ》 主役の韓国人俳優の鬼神の演技、30キロ増の肉体改造、迫真の試合シーン(吹き替えなし)に脱帽。惜しいのは、やはり在日朝鮮人にしては日本語のイントネーションが変だったことぐらいか。シャープ兄弟との死闘の場面には胸が詰まった。自分を差別した日本人のために憎いアメリカ人と闘っている。もしかしたら、その時、力道山本人の頭の中には金儲けのことしかなかったかもしれない。だけど、どこにも帰る場所のない孤独な男が、自分を蔑み、差別した人々の歓声を背に鬼の形相で空手チョップを振るう痛々しい姿に涙が出た。日本がまだ貧しく、世界に向かってまだ背中を丸めていた時代、確かに力道山は勇気をくれたのだろう。私はぎりぎり大木金太郎を子供の頃にテレビで見た世代だけど、隣の席やその隣の席、または後ろの席の60-70歳ぐらいの男性は涙をぬぐおうともせずにスクリーンに見入っていた。かつて応援した同郷のヒーローに思いを重ねたのかもしれないし、遠い国から来た子供の頃のヒーローを懐かしがったのかもしれない。 [映画館(字幕)] 9点(2006-03-12 02:04:23)(良:2票) |
2. 汚れた英雄(1982)
私はこの映画見た当時、パッソルに乗ってました。大学の近くの片側2車線の大きな交差点をハングオンで右折したら、後輪から滑って思い切り転びました。いつも頭の中ではあの勇ましい主題歌が鳴ってました。映画の中の北野のようにパッソルを一瞬のうちに引き起こして(恥ずかしかったから)、バイト先へ走り続けました。 [映画館(字幕)] 6点(2006-01-26 17:44:03) |
3. 男たちの大和 YAMATO
《ネタバレ》 以前に見た戦争系邦画のような政治的メッセージの濃い作品を予想していたが、そういう色を感じさせず、万人に受け入れられるという点で成功している。何人かの方が挙げている「プライベート・ライアン」のような作品だ。ある人は戦争で果敢に国のために散った人々に思いをはせればいいし、子供のような少年たちが一瞬で肉片になってしまう戦争の無惨さに目を向けるのもいい。主人公と思われる反町隆史と中村獅童が下士官で、しかも炊事兵と機関砲手という地味な役回りなのもいい。反町隆史が脱出しながらも仲間を助けるために海にとって返す場面や、言葉だけで死の覚悟を語る少年兵を前に悲しそうに視線をそらす演技も良かった。最後のシーンで、国を守るということにおいて、命を捨てた者も、生き残って真面目に働いて世の中に尽くした者も、その価値は等価なのだ、と思わせてくれる。戦闘シーンは最近の邦画では出色の出来ではないだろうか。主人公が撃たれて息も絶え絶えになりながら最期の台詞をかっこよく言ってから死ぬ場面はない。撃たれれば、一瞬のうちに人は肉塊になる。それを踏み越え、歯を食いしばって生き残ってきたことも立派に国に尽くしたことなのだ、と仲代達矢の顔が語る。映画館は高齢者から若者で満員。英霊がいるという神社に年1回参拝する今の首相は、地道に働いて国を支えてきた中高年サラリーマンや高齢者を医療費負担や増税で締め上げていますけど、戦後の日本を支えてきたのは何もあの世の人だけじゃない。父親はとっくに年金暮らしだけど、少し労りたい気分になった。 [映画館(字幕)] 7点(2006-01-02 23:17:40) |
4. 容疑者 室井慎次
《ネタバレ》 前から気になっていたんだけど、もう書いちゃおう。警視庁にキャリアの課長がいるのは捜査二課と四課。キャリアの管理官がいる部署(例えば二課)もあるが、警視であって、警視正ではないし、もっと若い(せいぜい30代)。警視正は警視庁では部長格で、捜査指揮を執ることはない。警視庁副総監と警察庁次長は職位ランクが3つ4つは違う。だから権力闘争をやることはあり得ない。逮捕したら嫌疑不十分以外では起訴されるまで通常は保釈されない。若い巡査が殺人を犯した可能性があったら監察室が出てきて、なるべく内輪で処理する。白昼、あんなに大勢で追跡することはあり得ない。追跡中の容疑者が交通事故に遭ったことが特別公務員暴行うんたら罪になり、キャリアが逮捕されるのなら、キャリアの首がいくつあっても足らん。告訴した事件を東京地検があれだけ簡単に事件にしてくれるなら、今の世の中、もっとましになってますよ。あのエセ人権派の東大弁護士軍団といい(あそこまでやると、正統な「人権派弁護士」に対する悪質な攻撃にすら思える)、すべてがステレオタイプで陳腐。警察の裏金問題とか、政治家との関係とか、どうせやるならもっと深い脚本は書けないのだろうか。もうリアリティの「リ」も感じられなかった。 [映画館(吹替)] 2点(2005-09-26 00:12:45)(良:2票) |
5. ルパン三世 カリオストロの城
最近の宮崎作品の迷走ぶり見てると、この作品のような「懐かしいような温かさ」を取り戻してほしいと思わずにいられない。風景の絵の美しさ、BGMも文句なし。皆さんが書いてるように好きな場面はいろいろあるけど、私はラスト近いアクションの中でふと時間が止まったようになってクラリスが声を掛ける。そして、次元と五右ヱ門が「次元様だと」「可憐だ…」と2人がつぶやくシーンが好きですね。たった数秒だけど、あれを見れば誰でも気の優しい王女のために闘いたくなる。ボスキャラ以外はほとんど人を殺す場面がないのもいい(殺された後の人は大量に出てくるけど…)。 [DVD(字幕)] 9点(2005-08-07 21:53:17) |
6. 亡国のイージス
《ネタバレ》 これは原作読んだんですが、原作にこだわるあまり、映画だけじゃよくわかんない場面もあったのでは。如月とジョンヒの水中キスシーンとか、如月がうなされながら宮津に「お父さん…」というシーンなんかは原作読んでないと分からない部分かも。艦内の戦闘シーンは冗長。そんなのより宮津がクーデターを起こす背景とか、ヨンファや如月の人物的な背景をもっと描いてほしかった。「日本のトム・クランシー」とか言われている福井晴敏氏の作品の映画化なんだから、スケールの大きな戦闘シーンがもっとほしい。ちまちました自動小銃の撃ち合いなんかダラダラ見たいわけじゃないのです。ちょっとわくわくしたのはハープーンの護衛艦撃沈シーンだけど、いそかぜの自沈シーンのCGはすんごくチープ。結局はカネの問題なのか。某国の工作員というヨンファが「日本人」のフレーズをやたら連発したり、専守防衛の自衛隊の矛盾をあげつらったりと、ちょっとキナ臭い匂いもするけど、自衛隊全面協力のほかの映画よりもずっと薄めな感じがする。まあ、アクション映画としてまあまあ楽しめました。あ、それと、パンフレット、1000円は高いですね。厚いわりに読むところありませんでした。 [映画館(字幕)] 5点(2005-08-01 01:20:03) |
7. 黄泉がえり
《ネタバレ》 大学出たばっかりの会社の新人の女性社員が「いま、会いにゆきます」を見て号泣したというので、うっかり、「ああ、あのマンガみたいな映画ね」と言って顰蹙をかってしまった。その子が「『黄泉がえり』を見てください。絶対に感動しますよ」と言い張るので見てみました。で、翌日。「要するにあれだな。あの、手に刺青のある男女の宇宙人が、死んだ人間を生き返らせたら感情がどう変化するかという実験をやったんだな。あのコンサートはつまり、『第3種接近遭遇』なわけだ。あの聴衆はあの後、宇宙船でさらわれちゃったんじゃないの?『惑星ソラリス』と最近見た『フォーガットン』を足して2で割ったような佳作のSFだよね?」と言ったら、二度と口をきいてくれなくなりました。「熊本?が舞台なのに、脇役以外はどうしてほとんど全員が標準語しゃべってるの?」とは聞けませんでした…。ここからは真面目な私見ですが、ファンタジーだから、細かい突っ込みはなしで見るべきだ、というのは私には分かりません。細かい、さりげないリアリティの積み重ねが「現実にはありえないファンタジー」に説得力を持たせるように思うんですが…。 [DVD(字幕)] 1点(2005-07-19 11:13:16)(笑:1票) |
8. 砂の器
《ネタバレ》 デジタルリマスター版を劇場にて鑑賞。原作は読んでいませんが、確かに名作と呼ばれるにふさわしい重厚な作品。子供の頃に人の心の業の罪深さを身に染みて知る和賀は、誰にも心を開かず、自分を守ってきた。自分を愛する女をぼろきれにように捨て、権力者に擦り寄って音楽家としての地位を駆け上がる計算高さ、非情さは、自分以外の人間や過去の自分への復讐のように思える。父親の居所を知らせに来た元巡査の言葉を聞き、埋めがたい自分の孤独の深さを悟ったのだろうか。父と放浪していた子供の和賀は不幸ではあったが孤独ではなかったのだろう。元巡査を殺し、「過去を消す」ことで孤独に押し潰されそうになった自分を守ったのだろうか。つくっては壊れを繰り返す「砂の器」のように人の幸せははなかいもの。子供の頃の和賀はつくるのを止めなかったが、大人になった和賀は止めてしまった。 [映画館(字幕)] 9点(2005-06-20 12:12:30) |
9. 戦国自衛隊1549
《ネタバレ》 野暮を承知で書きますけど…。的場が時代を作り変えるでしょ。そうると、現代の人はみんな「なかったこと」になっちゃうから「ホール」に飲み込まれると。そうなると、タイムスリップする自衛隊も存在しなかったことになるから、的場もみんな消えてしまうのでは…? 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でマイケル・フォックスが消えかけたみたいに。まあ、いいや。それと、「世界が滅亡しそうな危機」を自分たちの実験の失敗で作り出しておいて、2年間も国内はおろか世界中にひた隠しにして、おまけに闘う上で相手とどっこいどっこいの装備で攻撃に出て(相手の装備が分かってるのに)、ボッコボコにやられて、それで「そうかあ。お前にも守りたいものがあるんだな」って、味噌汁で顔洗ってこい、って思ってしまったんですが。どうせ漫画チックにやるなら、中途半端な説教臭いメッセージなんか入れないで、第3次世界大戦を勝手に起こしちゃって、中国、北朝鮮連合軍と派手にドンパチやるとか、昔の「独立愚連隊」みたいなスカッとするアクションみたいな映画作ってください。 [映画館(字幕)] 3点(2005-06-12 21:24:45) |
10. ア・ホーマンス
ずいぶん昔に映画館で見ました。これ、確か映画の中で松田優作がヤマハのSRに乗ってるんですよね。当時、私もSR400に乗っていた。映画を見た後、しばらくしてバイク盗まれました。まだバイカーズとか流行ってない頃だから、この映画を見た松田優作のファンの仕業ではないかと疑いましたが(真のファンにそんな人はいないと思いたい)。松田優作はかっこ良かったけど、ストーリーの方は何だかよく分からない映画でした。でも、かっこ良くてもバイク盗むのは止めましょうね。持ち主にとっては大切な思い出と一緒にあるものだから。この映画の題名を見ると、盗まれたバイクのこと思い出します。 [映画館(吹替)] 2点(2005-05-25 08:40:20) |
11. 男はつらいよ 寅次郎紅の花
テレビでやっていたのを「ながら見」していたけど、気がついたらレンタル屋で借りていた(少し前の話です)。以前はただのマンネリ映画としか思えず、棚の前で立ち止まったこともなかった。どこかで誰かが言っていることでしょうが、いつの間にか見なくなった「日本の風景」がこの映画にはたくさんあることに気付いた。出来の悪い兄を心配する家族。大勢で暮らす小さな家。用事がなくても顔を出すご近所さん。夕方になると晩御飯のおかずの匂いがする台所…等々。現実は「セキュリティ」万全のオートロックのマンションに暮らし、何年も顔も知らない隣人にたまにおざなりのお辞儀をして、PHS発信機を持った小学生が晴れた日曜でも部屋でテレビゲームをしている世知辛い世の中。寅さん映画を見てると、自分もいつかこんな暮らしに戻りたい(たぶん無理なのだが)、と少し懐かしい気分になる。日本人ならいつかふと見たくなる映画だと思う。特にこの作品は渥美さんの病気が分かっていたからなのか、偶然なのか、ハッピーエンドでシリーズを終えたので何度でも見たくなる終わり方になったと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2005-05-24 20:56:52)(良:3票) |
12. 交渉人 真下正義
《ネタバレ》 トップバッターだ…。でも、やっぱりねという感じか。封切日の翌日に行ったのに、客席の入りは3割ぐらいだったかな。あまり見に行ってないんですね。ユースケさんでは、ピンで客を呼ぶのは難しいのかな? 映画の方は舞台装置は大掛かりで「カネかかってそうだな~」「ハリウッド映画みたい」と思えるんだけど、出てくる人物がみんなどっかで見たようなステレオタイプな人ばっかり。頑固一徹で職人肌の地下鉄職員、チンピラみたいな格好で上司のサッチョウ出身課長を「お前」呼ばわりするデカ(この刑事はやたら偉そうだが、終わってみるとほとんど役に立っていない)、パソコンばっかり叩いてるインテリ風キャリア捜査官…。みんな人物描写が薄味気味。少年ジャンプの漫画みたい。さらにそれに追い打ちをかけるのが犯人の最後の姿。あれはないでしょう。やっぱ。俳優の出演料がひとり分浮いて(主役とタメを張れる人が必要だから?)、撮影時間の短縮になったかもしれないけど…。あの頑固そうな地下鉄の偉いさんがどうしてあそこまで警察に突っかかっていくのかもよく分からなかった。いきなり、よその役所の偉いさん捕まえて「お前!」はないでしょう。社会人の常識として。細かいことだけど、うまく映画に入れなかった。テレビドラマの2時間スペシャルみたいだけど、舞台装置はカネかかってそうで、妙な感じの映画でした。 [映画館(吹替)] 5点(2005-05-08 23:59:26) |
13. ローレライ
《ネタバレ》 期待して行ったんだが…。見終わった印象は「宇宙戦艦ヤマト」+「機動戦士ガンダム」+「天空の城ラピュタ」というか…。CGのチープさとか何とかの以前にバツでした。まず、「原爆が明日(だっけ?)東京に落ちる」と知っていたら、どうして住民の避難などを優先しないで、潜水艦の主砲で飛んでいる爆撃機を撃墜する(まあ、海上から主砲で滑走路を撃つのも同じくらい不可能だと思うけど)のかさっぱり…。米軍の駆逐艦は味方が主砲の射線上にいようが、至近距離で十何隻もがわらわら航行していようが、あんなに主砲を撃って爆雷をばらまくんでしょうか。制空権をなくしてるのに真っ昼間に浮上してひなたぼっこ…。ディーゼル艦って水中では足が遅く、夜間に浮上して昼間は水中を航行するのでは…。潜水艦にとって、駆逐艦(それも大戦末期)は闘ったらほぼ勝ち目のない恐ろしい敵。米軍の駆逐艦はまるでボウリングのピンのようです。それに、いくら特攻隊員とはいえ、「雲の上の人」の艦長とあんなに気軽に接する場面が多いのもどうかと。せめて俳優は全員髪を切らせ(「U571」では世界的スターのボン・ジョヴィですら坊主頭にしていた)、減量ぐらいさせられないものか。真剣で骨太な映画作りは期待してはいけないのでしょうか。むしろ敵役の米艦の乗組員の方が兵士らしく見えた。一緒に見に行った女性は「戦争末期なのに兵隊がみんな顔色が良かったし、あの女の子、狭い潜水艦の中に長い時間閉じこめられていたのに、毎日お風呂に入っていたみたいにきれいでヘンだった」とのこと。確かにそうだ。鍛えられた水兵でも何カ月にも及ぶ潜水艦の生活は過酷なもの。あの女の子、潜水艦の生活にどれだけ耐えられるのか。福井晴敏氏の作品は「亡国のイージス」は読んだけど、スクランブルしたF15が空対空ミサイルでイージス艦を攻撃する場面があった。この人、ホントは軍事オンチなんじゃないかな。くどくど書きましたけど、感動した人には申し訳ないが、普通の戦争映画ファンの立場で見ても、あらゆる場面にリアリティが感じられない。薄っぺらで漫画チックな闘いが描くファンタジーな戦争の姿が訴えるのは「日本人は負けない」なんでしょうか。私は逆に過去の大戦で人生を失い、死んでいった大勢の兵士に失礼な気がしてならない。政治性だの思想だの何だの以前の感想です。 2点(2005-03-07 00:42:57)(良:1票) |
14. APPLESEED アップルシード
原作は読んでいないけど、あらすじは分かりやすくていいと思う。だけど、物語の世界観が何となく「借り物」の域を出ていない印象が残る。ブレードランナー、マトリックス、etc…。CGのチープさは海外のそれと比べると「貼り絵」が動いてるみたいにギクシャク。それと、日本のアニメ作品でたまに感じることだが、この作品、アニメでやる必然性が感じられない。つまり、ハリウッドの実写SFでもこれくらいのスケールなら撮れるが、金も人もいないから仕方なくアニメでやっている、といういじわるな見方もできる。武器などの機械類、背景や戦闘シーンのリアリズムにこだわることは「実写ではできないことをアニメで表現している」ことになるのだろうか。「(事情があって)実写ではできないから代替策としてアニメでやっている」にすぎないのだろうか。ピクサーのアニメ作品は実写でやるとおもしろいだろうか。そうではないだろう。この作品、ハリウッドなら実写でやれそうな気がしませんか?そして、その方がおもしろいような気もする。もし、アニメでなければ表現できなかったものがあるとしたら、どの辺なんだろうか。 5点(2005-02-09 11:31:05) |
15. いま、会いにゆきます
《ネタバレ》 仮に片思いの相手が竹内結子のような超弩級の美人なら、高校時代にメガネをかけていようが何だろうが、男子生徒にモテないはずはないのだ。ましてや、文通だけで恋に落ちたり、向こうから好意を持ってくれるようなことはまずないのだ。自分が映画の中の中村獅童のようなパッとしない「もてない君」ならば。せいぜい、同窓会で再会しても、彼女は外資系エリートサラリーマンとか、今流行のIT長者の嫁になっていて、彼女が億ションで幸せに暮らしているのを指をくわえてながめるのが関の山であろう。この作品は男性の視点で見ると、もてない君の妄想全開の映画のようだ。私のようなもてない君は悪いことはいわん。サム・ペキンパーの戦争ものか、リー・マーヴィン主演のアクション映画などを見て自己研鑽した方がいい。もしくは北斗の拳を全巻読んで、ケンシロウの台詞を暗唱するもよし。現実は厳しい。女性は(たいていは)男性に残酷なのだ。この作品を見ても恋愛の参考には(たぶん)ならない。真面目な感想をひとつだけ書くと、どうして交通事故の後に○○○した竹内は子供はともかく、自分の恋人の顔すら分からないのであろうか。何かヘンだぞ。こんなこと書いてる時点で、この作品を見る資格はないのかもしれないが(でも「怖いもの見たさ」みたいな感じで何故か見てしまった)。 2点(2005-01-24 00:07:43)(笑:2票) (良:2票) |
16. レディ・ジョーカー
原作は読んでいませんが、知り合いで原作を読んだ人、例外なく皆がすごい小説だとほめていたので、相当期待していきました。で、結果は「あらすじがようわからん」。在日朝鮮人や被差別部落、企業恐喝を扱うなど、今のタブーだらけの放送界、映画界では作品化にいろんな壁があったんでしょう。そこは評価したい。ただ、想像だけど、壁が低くなった分、たぶん作品の重要な部分を占めるタブーがタブーではなくなってきたんでしょうね。その分、リアリティが希薄になった感があるのでは。日本がまだ貧しく、高度成長で取り残された社会の底辺の澱のようなものがどす黒く息づいていた時代が実感できなければ、社会の底辺で生きる在日朝鮮人や被差別部落の人々も、タブーを犯した企業がトップを巻き込んで崩壊する様も、「はぁ?」という感じなのではないでしょうか。作品の時間の制約もあるのだろうが、きっと重要な役どころであったはずのそうした人々の人物描写も薄かった。枯れた渡哲也の演技は渋かった。しかし、まるで「ゲリ腹でトイレに行きたいのをずーっとがまんしているかのように見える表情」で演技する徳重聡にはあの刑事の役は重すぎたのではないか。名前も知らない脇役陣ですら刑事になりきっているのに、彼はどう見ても刑事には見えない。 4点(2004-12-27 01:50:02) |
17. 天空の城ラピュタ
この映画、何回テレビでやったかなあ…。今日(2004年12月24日)もまたやってる…。でもつい見てしまう。しかもおもしろい。物語のスピード感、男の子と女の子の淡い恋、人類の愚かさへの警告、笑いと感動、爽快感、いろいろ詰まっていて文句ありません。私はこれ、映画館で見たことあります。最後の方で主のいないラピュタがどんどん天へ昇っていく姿を見送るシータのアップの表情、当時のアニメファンの男の子たちがスクリーンに向かってコンパクトカメラのシャッターをバシバシ切ってました(それ、写るんかいと思いながら見ていた)。みんな、もうとっくに大人になってるだろうが、シータみたいな芯が強くて性格のいいかわいい女の子に出会えたかな? 書き忘れるところでしたが、音楽もいい。美しいシーンと絶妙に合っている感じがします。 8点(2004-12-24 22:21:45) |
18. ハウルの動く城
《ネタバレ》 エンドロールが出てすぐに席を立った人が数人。その中の若い女性の2人連れの会話が耳に入った。「絵がきれいだったね~」「でも、終わりの方がよくわかんなかった」。まさにそんな感じ。実はカットされた未公開のラストがあるのでは…。例えばこんなの。ハウルとソフィーがキスをする。めでたし、めでたし…。と思いきや、サリマンが恐ろしい笑みを浮かべながら「ほほほ。やっとハウルが恋に落ちたわ。最初から魔王の血を引く冥界の王女だって言ったら会いもしなかったもの。これで世界を支配する暗黒の帝王が誕生するわ。人間どもの間で戦争を起こしたり、私の魔法使いをひとり駄目にしたけど、無駄にはならなかったわね」と真の目的を明かす。ハウルとキスを交わした後、振り返ったソフィーの瞳が赤く細長い縦長の悪魔の目になり…。すみません。下らないです。でも、この映画、すっごく単純にストーリーを語ると、「堅物の真面目な女の子がイケメンの魔法使いに恋をしました」とそれだけじゃないかな。反戦だの何だの、そのほかは何が言いたいのかよく分かりません(うまく伝わってこない)。私は別にアンチじゃありません。宮崎監督の作品は「ラピュタ」と「カリオストロ」はもう10回以上は見ています。期待していたが故の点数です。付け足しのようだが、音楽と背景やそれを含めた絵の美しさは別格。それだけで涙腺が緩んでくる気がする。でも、それは映画の良さの一部であって、映画の完成度とつながっていない気がする。本当に残念だ。 2点(2004-11-25 01:29:43)(良:1票) |
19. CUTIE HONEY キューティーハニー
新作なのにレンタル屋さんの棚に残っていたんで、試しに借りてみました。特撮やアクション、日曜の朝にやってる子供向けの「戦隊シリーズ」ものぐらいのレベルです。悪者の背中に突然大きな羽根が生えたり、主人公が一体化(?)して取り込まれそうになったり、同じ監督さんが撮った意味のよく分からないアニメ作品で見たようなシーンがかぶります。これ、映画でやる必要あったのかなあ? 0点(2004-11-09 23:38:53) |
20. オーバードライヴ(2004)
《ネタバレ》 ロックギタリストが津軽三味線に魅入られ、演奏でバトルする…「クロスロード」みたいなお話を想像して見に行った。でも、この映画、音楽とそれに魅入られた人にまつわるお話なのに、三味線という弦楽器だけでなく、根本的に「音楽」という存在自体に対する敬意みたいなものが欠けている気がする。ひどいのは主人公と対決する悪魔の(?)三味線弾きの扱いよう。あの役の人はどうやら有名な本物のプロらしい。そんな人にあんなヘンテコなメイクまでさせて、道化にする必要があったのだろうか。所々に出てくる狂言回し役のような歌うおネエちゃんや挿入されるアニメーションも意味不明で見ている側の集中力をそぐ。ベタなギャグも滑りまくっていた。主人公が津軽三味線に引き込まれる動機も不純だし、あんな適当な練習でギタリストの運指が短期間に三味線に適応できるのかな。ただし、悪魔の三味線弾きをはじめ、演奏の技は本物。それだけに、世界に誇れる日本の弦楽器の神髄をもっと見せてほしかった。リスペクトした上で、それをコメディで扱うなら「スクールオブロック」や「クロスロード」みたいな肩の凝らない音楽映画になったと思うが、この作品はただ茶化しているだけに思えた。見ていて不愉快にすら感じた。 1点(2004-11-06 15:48:06) |