1. Shall we ダンス?(1995)
《ネタバレ》 オープニングからしてなにか意味深 ファンタジーを予感させるシェイクスピアの言葉 水たまりに広がる小さな雫の波紋を踏みにじるハイヒール 好きも嫌いもないさ、仕事だよ ルーティンの日常を破る時が来たのだ 先にハリウッド版を見てからの視聴でしたが、エンドレスで見続けられる数少ない邦画になりました 何度見ても新しい発見があります 緻密に張り巡らされた伏線が見事に回収されストンと落ちていく心地よさにやられました ラストで、ダンスホールからブラックプールのボールルームに画面が替わって、本木の言葉がオーバーラップします 生きることさえ捨ててしまったかのような、感情のない言い回しと仮面のような表情からのヒロインの変貌 たくさんのカップルに紛れて私達には彼らが見つけられなくなる このシーンだけでも何度見ても何度でも見れる 点数が辛いのはあまりにも日本的な夫婦観がおぞましいから 外では小さくなって言いたいことも言えないくせに配偶者は怒鳴りつける卑屈で醜い夫 男に依存し自立しないことに安住する幼児性の抜けない独占欲が強く嫉妬深い妻 つい、冒頭の杉山の言葉を言いかえてしまう 好きも嫌いもないさ、家族だよ 夫婦がパートナー足り得ない日本の夫婦 これだけが受け入れられなかった [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-07-14 14:58:29)(良:1票) |
2. 細雪(1983)
《ネタバレ》 佐久間良子が可愛い なんともいえない間抜けなところがツボった 女中の弟の戦死にも無関心な傲慢さに表現される通り、薄暗く冷え冷えした日本家屋に象徴される消えゆく旧制度を予感させる 大きな戦争と敗戦を経て全く違う国へと変貌を遂げる日本を暗示してるかのような降りしきる雪と東京への汽車 次女の夫の呉服売場という職場も何やら暗示的に思えて、この四姉妹の後日談を観たいと思った [3D(邦画)] 10点(2024-07-11 16:47:03) |
3. 犬神家の一族(2006)
前作とほぼ同じでキャストを替えて撮り直した感が否めませんが・・・。 それでもこういう仕事が映画なんだと、現代の視聴者、俳優に突きつけていませんか? 映画を撮る、映画で演じる、映画を観る。 これはそういうあたりまえの、けれどももう失ってしまった”映画”へのオマージュだと思いました。 作品自体は、冨司純子の存在感以外はこれといってみるべきものはないです。が、前作の妙に肉付きのいい復員兵よりは今回のスケキヨのほうがいいかな。 最後のシーンについて・・・ここで書くのも躊躇しますが・・・(すいません)帰って来た木枯し紋次郎が重なりました。 ありがとう、市川監督 [映画館(邦画)] 8点(2006-12-20 20:10:01) |
4. 外科室
ただ、ただ、美しい夢のような世界です 玉三郎の美意識を堪能するための映画 この映画ではじめて吉永小百合を美人だと思いました 横顔のきれいな女優ナンバーワンですね 8点(2004-03-12 07:08:46) |
5. 映画女優(1987)
日本映画の創世記を描きたいのか、田中絹代を描きたのか焦点がぼけてしまっているような感じがしました ドキュメンタリー風にとるかどうかもいまひとつ中途半端 当時の映画人の熱気も感じられず残念です 菅原文太のよっぱらいの演技がうまかったです そこだけ印象に残ってま [映画館(邦画)] 4点(2004-03-12 07:00:45) |
6. 股旅
その時代に観ないと正当な評価ができないのかもしれません あるいは本当に良いものならいつの時代に観ても古びないのかもしれません 70年代って本当にこんなだったのかな 今もし、イージーライダーなんかを観てもこんな感慨をいだくのでしょうか 西岡美術はすばらしいし、オールロケーションも、もう今では望むべくもないこと ショーケンはセンスが光っているし、一度は観ておくべき映画なのかも 7点(2004-02-05 07:10:08) |
7. 炎上
重い作品ですが、何度も見てしまいました(ビデオ) 監督は当初、主役に川口浩を考えていたそうですが、市川雷蔵で正解です 彼のはじめての現代ものですが、表現力のある人だとおもいました 中村鴈治郎もいやらしい感じがうまく出せてると思うし、当時彼は大根といわれていたそうですが、これで大根なら昨今の役者は… 圧巻はラストの炎上シーンですね 木立の向こうに火の粉が舞い上がる美しさは筆舌に尽くしがたいものがありました 日本海の厳しく、わびしい雰囲気もよく表現されていたし、宮川一夫って凄い人だな 10点(2004-01-31 08:45:41) |
8. 古都(1980)
ただ、ひたすら市川崑の仕事っぷりを確認しただけでした 更紗に鋏を入れるシーンや、衣擦れの音、北山杉をわたる雲の影etc 歌手が女優をやるのは無理があるかな 主役が他の人だったらもっと違ってたかもしれません 熱演はしてるんだけど… あ、でも、これってアイドル映画なんですよね う~ん 7点(2004-01-29 20:17:51) |
9. 帰って来た木枯し紋次郎
独断と偏見に満ちた点数です 市川ファンなもので…出演者の年齢的な事とか、ナレーターが変わってしまったことロケ地が限られてしまった事など不可抗力は減点していません なんといっても35ミリで、劇場で観れた、そして中村敦夫であるということでもう、満点です ほこりにまみれた朱鞘の長脇差にさっと月明かりが差すシーンには本当に目頭が熱くなりました 川原のカメラワークとか、養蚕農家のセットなど今の時代劇が失ってしまった、丁寧な職人仕事が堪能できます お約束の紋次郎の繕いもののシーンも○ 最後のタチマワリ前のカラダに和紙を濡らして貼りつけたり目釘に水をかけたりの芸の細かさ、いかに見せるかを知り尽くしたプロの芸術作品を見ているようでした もういちどこんな時代劇を観たいな いつまでも色褪せない名作だと思いました 10点(2004-01-28 21:09:26)(良:1票) |
10. ラスト サムライ
今日やっと観てきました みなさんがほとんどいい得ていらっしゃるのであまり書く事はないのですが、ただひとつ感動したのが、美術です 黒光りするしっかりした床板や太い柱、一昔前の大映京都を思い出してちょっとじ~んとしてしまいました こういうのをハリウッドがつくってしまったことがうれしいような、かなしいような複雑な気持ちです あと、森のシーンで黒澤の羅生門を思い出してしまった あのころの日本映画を研究されたのでしょうかね 真田広之が、この映画にリアリティを与えてくれてると思いました 7点(2004-01-28 20:42:44) |