1. ツユクサ
《ネタバレ》 なんとも罪のない作品。それぞれに悲しみを抱えながらも自分なりの細やかな幸せを追い求める3人の中年女性。幼い恋心に初めての痛みを覚えた少年。苦しみから逃れるべく街を離れ仕事からも離れ心の平安を求めようとする中年男性。皆、新たな幸せを見つけて行く。悲劇は過去のこと。この先には幸せだけが待っている。そんな予感。 時にはこういう作品に首までどっぷり浸かって身を任せるのもいいかも。テーマソングがまたいいじゃないですか。ちょうど航平ぐらいの歳にリアタイで聴いた思い出のある楽曲。懐かしい。癒しのひと時でした。大人のファンタジーですね。6点献上します。 関係ありませんが、松重さんの食事シーンを見るとそこだけ別の作品に見えてしまいました。イメージ強っ!w [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-18 22:33:37)《新規》 |
2. ゴジラ(1954)
期せずしてBSで放映されたのを見つけ他の予定を切り上げて鑑賞。残念ながらリアタイでは観ておらず、前回鑑賞は恐らくNHKで初放映された時だったのではないかと。どういう形であれその後はキチンと全編通して鑑賞してはおらず、とすれば57年ぶりの鑑賞ということになります。 なので只管に懐かしい。されど懐古趣味に留まることなくグイグイと画面に惹き込まれる魅力。流石に台詞回しや役者さんの演技には時代を感じるものの、他は全て古さを感じることなくCGやVFX等々全開の近年のモンスターものやデザスターものにまるで引けを取らない素晴らしさ。70年の歳月を経た現代に至るまで絶賛され続けていることに異論なしです。 その後に続く様々な怪獣ものをリアタイで親しんだ身としては、それらの作品や怪獣を否定することは決してありませんが、矢張り本作は間違いなく金字塔。現代の視点等々に照らし合わせれば「?」な点も多々あるとは思います。しかし、70年前に製作されたことを鑑みれば全ての疑義は単なる野暮。満点を献上させていただきます。 ちなみに、宝田さんのとんでもないカッコよさ、河内さんの眩しいまでの可憐さ、それだけ観ていても本作は満足極まりない作品と思うところです。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2024-11-14 16:56:54)(良:1票) |
3. みなに幸あれ
《ネタバレ》 冒頭はホラー仕立て。ところが中盤を待つまでもなくホラー感が薄れていきます。メタファー全開でテーマ性が前面に沸き立つと言うか、ゴリゴリの社会派作品の様相を呈して来ます。そして流れは一気に加速してホラーエッセンスを振りかけつつエンディングへ。うん、やっぱりテーマ性を感じざるを得ないです。勿論、ホラーにだってテーマ性はありますけれど、本作の場合は結果的にはギリギリでホラー風味になっている感じかな? これはお伽噺、或いは童話等に具体例があるように、人間の性と言うか生き方の本質と言うか、そういったものを異なる姿形に置き換えて表現していると個人的には大いに思うのですが、さりとて観る者に選択肢を与えていると言うか、シンプルにホラーとして観てもそれはそれで構わないですよみたいにしつつも、あくまでもテーマはあるんですからね、そっちを見て欲しいのですよ、と言った感じでしょうか。 と言ってみたものの、冒頭述べたとおりホラー作品にも当然の如く大いにテーマ性はある訳で、矢鱈驚かせてばっかのお化け屋敷的ホラーと同じぐらい社会派ホラーとかヒューマンドラマと呼ぶべきホラーだってある訳だし、なので本作もカテゴライズ上はあくまでもホラーなのでしょうね。 なんだか書けば書くほど混乱しそうで、言いたいことが纏まらなくなりそうです。まぁ、それだけ考えさせてくれる作品とも言える訳で、このテーマはホラー仕立てにすることでスッと入ってくるようにも思えて来たりして、何だよそれだったら本作の手法は正解じゃん!という考えに至ったところで筆を置きます。乱筆乱文失礼しました。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-11 00:27:49)(良:1票) |
4. 妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク
《ネタバレ》 イイじゃないですか~、コレ!いやもう全編通じてニコニコと好々爺の如き顔で鑑賞してしまいました。我ながら、傍から見てたらさぞかしキモかったことでしょう、きっと。 確かに冒頭のヒーローによるレイプ&殺戮シーンは考えもの。抜け忍なんだから(ってこともないかも知れませんが)もっとストイックな生き様でいて欲しいところ。これじゃ単なるエロい無法者。この描き方だけは要修正ですね。 でも、後は概ね満足。洋画・邦画を問わずこの手のトンデモ作品にありがちな演技だか何だか分からない、てか俳優だかエキストラだか分からないなんてことはなく、キチンとした俳優陣。アクションや殺陣はキレッキレじゃないですか。物語的にも若干オリジナリティ的には如何かとは思いつつも大いに練られたストーリー。派手な血糊やバラバラの人体なんかは、作品のテイストに合わせて敢えてチープな雰囲気にしてる感じ。サメの造形も満足です。口を開いたカットで中からエラ越しに外が見えてるのなんてクオリティ高いです。そんな訳で概ねどこをとっても及第点と評価したいです。 ただし、タイトルは考えものですね。恰も洋画トンデモB級作品の邦題の如きタイトル。邦画なんですから邦画としてのプライドを持ってカッコいいタイトルでキメて欲しかったです。それに、そもそもこれってサメ映画じゃないですよ。サメの出る忍者アクション作品?そこのところは只管残念!尺を延ばしてサメカットをマシマシして欲しかったかも。それもあってやや減点しての6点献上です。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-07 22:18:54)(良:1票) |
5. そこにいた男
《ネタバレ》 30分余りの尺にみっしりと詰め込まれた愛憎劇。恐いですね~。いろいろと恐い。 ひとつには男を愛し過ぎてしまった女の恐さ。後先考えずに貢ぎ続けた女は、真実を知った時、男の命を奪うことで男を永遠に自らのものにしようとする。男の妻は、夫の浮気を知りその相手に自らの存在を知らしめようと夫の体にメッセージを残す。どちらも恐い。 そして男の愚かさにも似た恐さ。気付けよ!結果考えろよ!愚かを通り越して恐いです。 実際にあった事件からインスピレーションを得て作られた作品とのことですが、それを聞くと尚更に恐くなります。ただし、ドロドロとした物語ではありますが、短編作品としてコンパクトに纏められていて、流血の事件なのに意外と陰惨さを感じさせない後味。その代わりにと言うか、ただただ恐さばかりが残る作品でした。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-01 17:09:08) |
6. 血を吸う粘土
《ネタバレ》 ネットで何気なくホラー情報を求めていたらヒットした作品。なにやら海外でも(具体的にどこの海外かは不明)大好評とのこと。サブスクで配信中ということも分かり早速鑑賞に至りました。 いや~チープ!でも、そのチープさが独特の味にもなっていて俄かに否定は出来ない感じ。願わくば迫りくる粘土の触手?に柔軟さが欲しかったけれど(なんだかカチコチ)、呪われた粘土が血を求め血を吸い更には人間まるごと飲み込んで同化したり体内に入って表皮突き破って出て来たりと何でもありの清々しさ。うん、これはホラーじゃない。モンスターものですね。何だか昔懐かしい「ウルトラQ」の味わいにも通じる不気味さ。クリーチャーの造形を含め、さり気ないコメディテイストが挿し込まれているところも味変感があって楽しいです。 終盤ちょっと引っ張り過ぎなところと、続編製作意欲満々的なエンディングは少なからず興覚めさせられはするものの、ちょっと観るのに適した尺と意外性を排したストレートな展開には好感。続編を観るかどうかは迷うところですが、不思議と満足感があったので甘めの6点献上です。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-10-30 23:48:55) |
7. 残穢 -住んではいけない部屋-
《ネタバレ》 原作は未読。あくまでも本作についての感想ということで。 怖さは控えめ。ミステリー的展開が中心になっていることに加え、幽霊や幽霊らしきものの映像がチープ過ぎることや過度な音響効果を使用していないことがその要因かと。(個人的にホラー慣れしてしまっているということもありますが) 序盤の女子大生の自室での異音発生場面。洋画・邦画問わず、何故にホラー作品は画面が暗いのか?というのは無粋な疑問と理解してはいるものの、それでも「不思議ならまずは電気点けなさい!怖いなら尚更!」と言わずにはいられない演出。その時点で「やっぱそうなのね」と興覚めしかけ、「私」の妙な深入り加減にも憤懣やるかたなく、「つまんね」とリタイアしそうでした。が、怪異の原因を探って行き「穢れ」の連鎖が明らかになっていく過程で「なんだか新鮮!」と物語世界に惹かれていきました。 総じて言えば、全体的な流れや美術には満足しつつ、細かな演出や特殊効果には満足したりがっかりしたりといった不安定感ありのホラー。序盤は今ひとつ興味が湧かず、ところが中盤からの展開には大いに惹かれ、終盤は蛇足感(特にエンドロール)に落胆という感じです。 終わり良ければ全て良し、という締め括りにして欲しかった。つまりは終盤に盛らないで欲しかった。不安を伴う疑似的ハッピーエンドにして欲しかったところです。残念。 あ、それからサブタイトル。「住んではいけない部屋」って原作には付いていないような?確かに「住んではいけない」のかも知れませんけれど、土地そのものに穢れがあるものの特定の部屋にだけ怪異は現れているということは、部屋ではなく住人にこそ原因があるように思えてならず、だとすればミスリード的で的外れなサブタイトルに思えてしまいます。折角「残穢」というジャストフィットなタイトルなのに。それがマイナス要素で5点献上に留めます。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-10-30 11:17:31) |
8. こぼれる
《ネタバレ》 まさかの展開。秘密は秘密に出来ないもの、ということでしょうか。 結婚当時、妻は気付いていなかったのかも。4年目の偶然が招いた狂気? 最悪のエンディングではなかったことが不幸中の幸いか。てか、妻はそこまで愚かではなかったのね。 妻と友人、それぞれ全く異なる思いに基いた表情が恐過ぎた。と同時に夫はポンコツ過ぎ。てか、平和ボケってそんなもんかな。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-10-28 09:20:54) |
9. 通夜のまえに
《ネタバレ》 主人公は自殺した同級生の自他ともに認める一番の親友。だったはずなのに、帰郷してみれば親友が結婚していたことさえも知らない。集まった同級生たちが知っていることも知らない。何故、自分には話してくれなかったのか?郷里を出てからも電話で互いのことを話し合っていたはずなのに。死が齎した現実の発露。困惑し戸惑う彼だったが、それ以上に混乱している遺族や同級生たち。彼は事態を収めるべく咄嗟にある嘘をつく。 そんな感じに纏めると一人の青年の死を契機として詳らかにされていく家族関係や人間関係の綻び、そして虚像をテーマにした作品かなとも思えるのですが、基本コメディータッチなのが少々気になりました。 否、少々じゃないです、大いに気になりました。何だか「死」と「死の齎したもの」が軽いんです。人の「死」やそれに伴う葬儀を扱った作品は少なからずあります。そして、中にはコメディ要素で彩られたヒット作もありますし、その場合は「死」というものを面白おかしく扱ったりデフォルメしたりして、「死」だからって暗くなる必要なんてない、誰にだって訪れることなのだ、という感じに製作されていたりします。ただし、明るく軽く「死」について語っていたとしても、どこか一線を踏み外すことがないよう考え抜かれているように思えます。そこが本作は違う。そう思えるのです。 遺された者の歪な関係性を直接的になり過ぎず描きたかったのか?それともシンプルに「死」を笑い飛ばしたかったのか?主人公が一所懸命に造る極彩色のトーテムポールが妙に悲しかったです。コメディのハズレっぷりはマイナス要因。3点献上です。 [インターネット(邦画)] 3点(2024-10-21 23:06:19) |
10. そのままの君で
僅か11分半の尺の中に込められた思い。ちょっと個人的に過ぎるのかも。世代も違えば生まれ育った土地も違う。何もかもが異なる若者の心象風景に感情移入するのは土台無理。と言うか、作り手からも求められてはいないのかも知れません。 とは言え、何十年も前に自分にもあった(ような気がする)感覚が呼び覚まされくすぐられる11分半ではありました。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-10-19 10:52:35) |
11. 待つには遠すぎた初恋
《ネタバレ》 わずか12分という尺の中に深いテーマが語られています。一見すると多様性という観点から描かれたラブストーリー風ではありますが、言語の違いで伝わらない思いに同性愛を重ね合わせて描くことで、ラブストーリーに限ることのない人と人とのコミュニケーションの多様性について語っているように思えました。 ショートストーリーならではの観る者の感性に委ねる作品と受け止めつつ、長編化もありかな?と感じた佳作でした。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-10-16 21:53:04) |
12. 図書館戦争
《ネタバレ》 封切り当時は正直言って全く興味がなかった作品だったのですが、とあるきっかけで鑑賞。原作未読、既存アニメ作品は未見です。なので、なんとなくの事前知識から純粋に近未来SF&ちょっぴりラブコメ作品として鑑賞しました。 荒唐無稽タイプの近未来SFとしては、シチュエーションは興味深いし(もしかしたら社会派作品という期待)、戦争ごっこと評される戦闘シーンもなかなかに凝ってるし(戦略的にはかなり無謀)、観ているうちに結構ハマったアクション娯楽作品ではありました。 が、なんともどっちつかずと言うか、近未来SFとして理不尽で不条理な世の中での混乱ぶりを描くのに徹している訳でもなく、ダブル主演の岡田さんと榮倉さんのラブストーリーに徹している訳でもなく、中途半端感は否めない流れ。あくまでも軽いノリの作品ですよ、と言われてしまえばそれまでなんですが、実際ドンパチやって負傷者や死者も出てしまっていることを考えれば決してライトなテイストでもなく、そういう意味でもどっちつかずな感を拭えないままに観終わってしまいました。 岡田さんのアクションが流石でしたしカッコ良かったこと(チビはないだろ!)、榮倉さんの女子隊員ユニフォームがミニスカなのが今時いいのかよってこと(何かにつけて足が見えるように演出したかったの?と言いたくなる)、超個人的には10年前の西田さんが可愛いこと(今でも素敵です)が印象に残った作品でした。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-10-15 00:00:47) |
13. アイミタガイ
原作未読で試写会にて鑑賞しました。封切り前なのでネタバレなしで感想のみ書かせていただきます。 キャスティングの妙ですね。ヒロインを始めとして、一人ひとりの出演者がそれぞれの役の機微を丁寧に演じ上げていることによって、作品中に描かれている以上に物語の背景が浮かび上がって来る感じ。 公式サイトのあらすじにもありますように、ヒロインを軸として人と人との繋がりが描かれていく物語ですが、全ての出演者がヒロイン同様に軸となっていく構成で、それぞれに感情移入出来る感涙の物語でした。 [試写会(邦画)] 8点(2024-10-09 16:08:26) |
14. 告白 コンフェッション
《ネタバレ》 大学在学中の悲劇を共有し親友として生きて来た浅井とジヨン。でも待てよ?そもそも何故ジヨンはさゆりを殺そうとした?横恋慕とは言え愛していたのでは?彼女に馬鹿にされたと思ったから?衝動的な殺意にまで及ぶ感情?また、その一方で、浅井は恋人のさゆりの死をどうやって受け止めてどうやって克服したのかをジヨン以外の周囲にどのように理解されていた?17年前の事故の在りようと言うか顛末が今ひとつスッキリ入って来なかったです。 ところが一転、終盤の浅井の告白によって全てが腑に落ちます。二人の男の二つの告白。命を諦めた瞬間に一人が封印を剥がし、それによってもう一人の封印も剝がれていく。緊張感溢れる展開と演出は見応え十分でした。空想の産物とは言え、ジヨンのシャイニングばりの錯乱ぶりには鬼気迫るものがあります。二階と一階での鬼ごっこ&かくれんぼ状態はちょっと可笑しかったですけれど。 短い尺にみっしりと納まったサスペンスとミステリー。いろいろな作品を観て来た後では意外性には欠けましたが(特に浅井の告白)、短い尺でキッチリ纏められた佳作に7点献上します。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-10-09 15:37:20) |
15. みぽりん
《ネタバレ》 ホラーなのかコメディなのかサスペンスなのか青春アイドルものなのか…なんともジャンルレスな作品ですね。とは言え、まとまりがないとかとりとめがないということではなく、邦画コメディらしいと言うかインディーズ作品らしいと言うか、独特の雰囲気に包まれつつ繰り広げられる映像には惹き付けられるものがありました。 異常性を強調してはいるものの、みほの発言の多くは極めて正論でもあって、対する優花はいかにも今時の若い子然としたキャラ。この水と油の二人が仲良く合宿出来るわけもなく、ホラーやコメディとしてではない社会派的な側面も見せてくれる作品ですね。正直なところ出演している役者さんは知らない方ばかりなのですが、それぞれの熱演が作品を引き立てています。ラスト近くのカオスな展開、良いですね。 嫌いな方は徹底的に嫌いかも知れない作品ですが、この誰も死なないホラーコメディ(ホラーなの?)に結構ハマってしまいました。甘めの7点献上です。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-08-28 15:15:57) |
16. さよならの朝に約束の花をかざろう
《ネタバレ》 美しい映像、解りやすい物語の流れ、設定や世界観自体は決して目新しいものとは思えませんが、超長寿の民と普通の人間の間に生まれた愛の変遷という切り口で語られるラブストーリーには惹かれるものがありました。 ただ、願わくばもう少し「愛」そのものを掘り下げて欲しかった。観客に委ねる部分があっても良いとは思うのだけれど、マキアとエリアルの間に生まれた感情について、もう少しだけ饒舌に語って欲しかったと思えてしまいました。説明口調ではない深い感情表現と言いますか。何かしら消化不良感が残ってしまった感じです。 マキアを筆頭に各キャラクターが必要以上に子どもじみているというのも原因かもしれません。イオルフの民は外見の成長は止まっても心の成長は止まらないのでは?結構な年月を経ているにも関わらず心は子どものままのような。少なくとも感情移入は難しかったです。 そして終盤。置き去りにされたメドメルと乳母の運命が悲し過ぎます。レイリアはあのままで良かったのですか?それまでの流れからしても、決してそうは思えません。 更にエンディング。レナトに乗ったマキアとレイリアが空の彼方に消えて行く。そこまでで良かったように思えてなりません。蛇足とは言いませんが、余韻を打ち消してしまいかねない後日談でした。生き残ったイオルフの民と一頭のレナトがイオルフの里で平穏を取り戻している光景をバックにエンドロールが流れるだけで良かったような気がします。 美しく感動的な一本だけに、あと一歩の物足りなさを感じてしまった作品でした。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-08-25 21:24:49) |
17. カメラを止めるな!スピンオフ「ハリウッド大作戦!」<TVM>
《ネタバレ》 前作は面白かった~。その余韻のあるうちにコアなファンが鑑賞すれば楽しんでもらえる?作品。万人受けはしないと思います。 そもそもスピンオフ作品の楽しさとは何か?個人的には主客転倒であったり全く異なる切り口であったり、いずれにしても前作との相違点が前面に出てこその楽しさではないかと思います。 そういう意味で、本作のほぼ焼き直し的内容には魅力を感じることは出来ませんでした。コメディ色を強めているから余計に空回り感を感じてしまうし(ほぼ笑えず)、身内で楽しく打ち上げしてみましたみたいな疎外感も感じてしまいます。 アイディア一発で予想外の大ヒットとなった前作。それが何故だったのか?作り手の熱量は感じ取れたので、もう少ししっかり見極めて作ってくれれば良かったのに、と観客なのに反省してしまった作品でした。 [インターネット(字幕)] 3点(2024-08-19 10:58:42) |
18. クイール
《ネタバレ》 縁あって今更にしてネットで鑑賞しました。原作、NHK版ともに未読・未見です。先輩諸兄のレビューは読了しました。 動物ものは幼い頃から好きです。幼い頃は概ねディズニー作品でした。ただし、動物ものを好きでも実話ものは苦手です。何故ってかなりの比率でそこには悲劇があって、実話だから余計に悲劇性を感じてしまうからです。フィクションの悲劇はフィクションだからと割り切れても、実話の悲劇は厳然として既に存在してしまっていてそのまま受け入れざるを得ないからです。 本作は実話ベース。しかも「ベース」と言うより「実話」そのもの。ただしドキュメンタリーではない。そこに引っかかってしまいました。ドキュメンタリーであればまんべんなく現実を受け入れつつ鑑賞出来るのに、実話のドラマ化ということだとどうしても脚本が存在し、当然その脚本に沿って見せられてしまう。それを作り手の解釈と表現と言うべきなのか、(言葉は悪いのですが)感動・感涙の押しつけと言うべきなのか。ドキュメンタリーならば号泣していたかも知れないこのドラマが、妙に空々しく感じてしまったのでした。そして後に残ったのは「クイールは幸せだったのだろうか?そもそも犬自身が感じる犬の幸せとは何なのだろうか?」という絶対に答えを得られない疑問でした。 盲導犬の啓発映画として+1点、クイールの健気さと可愛らしさに+1点、俳優陣の自然体の演技に+1点、全く関係ありませんが冒頭いきなりチョイ役的に登場した名取先輩(学校の先輩なのです)に+1点、ベタなコメディ要素に-2点等々悩み抜いた末の5点献上です。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-08-16 09:56:59)(良:1票) |
19. BLUE GIANT
《ネタバレ》 原作漫画は未読です。公開時、是非とも劇場で鑑賞したいと思っていたものの、諸事情で見逃していて今回やっとネットにて鑑賞しました。 既に投稿されている皆さんのレビューでも例外なく高評価されていることですが、兎にも角にも音楽が凄い。個人的にジャズは好きでもそれ程コアなファンでもない私ですが、ほぼ全編にわたって演奏部分では涙腺が緩みっぱなしでした。 通常であれば小説であれ漫画であれ原作がある作品の場合、「これをどうやって実写化やアニメ化するのか?」といった部分に興味の中心が向かってしまうのですが、本作の場合は逆に「原作ではこの音楽の洗礼をどうやって絵や文章で表現しているのか?」という興味が湧きました。本作に感銘した以上は原作を読まねば、と思った次第です。 その一方で、尺の事情があるのかも知れませんが、特に大きなトラブルもなく一気に突き進むような物語には少なからず引いてしまった部分もあります。主人公無敵な展開。スーパーヒーローものでもお約束の大ピンチは付きものですが、本作ではバンド仲間の交通事故という想定内のトラブル(ただし伏線回収的にクリア)はあるものの後は概ねトントン拍子。登場人物の背景や苦悩・葛藤といったものをもう少し盛り込んでくれれば感情移入出来ただろうし爆泣き出来たことと思います。 ちなみに、原作未読につき回想形式を採用しているのでもしかしたら主人公の末路には悲劇が?と途中まで思っていました。いくらなんでもそれは力業過ぎですね。 アニメとCGのバランス感は、自分的には納得出来る範囲でした。違和感がないかと言えばそんなことはありませんが、あくまでも主役は音楽!と思えば気にならないかなと。 繰り返しになりますが、兎に角音楽が素晴らしい。劇場で鑑賞しなかったことを只管後悔するばかりです。リバイバル上映ないかな? [インターネット(邦画)] 8点(2024-07-16 10:43:15)(良:1票) |
20. 温泉シャーク
《ネタバレ》 日本発サメ映画!温泉入浴中にサメに食われる!インパクトありますね。前々から大いに期待していまして、実はクラファンにも参加しました。 シンプルに言ってしまえば、真摯な情熱(郷土愛&サメ愛)と子ども心を忘れない大人の遊び心の融合とでも言いましょうか。いかに理屈を付けようともどうにも非科学的と言うか非現実的な設定と展開。コテコテにベタな脚本&登場人物のキャラ。そして、それを力業的に具現化すべく用意された確信犯的に只管チープなCGや特撮。これら全てを好むか好まざるかによって本作の評価は両極端になること間違いなしかと。 勿論、私は肯定派です。冒頭のシーンから「やっちまったな」と苦笑せざるを得ませんでしたが、それは呆れて苦笑しているのではなくある種の満足感に裏打ちされた苦笑でして、「やってくれてるじゃん」的な気持ちで満たされた感があります。個人的にトンデモサメ映画やトンデモゾンビ映画は好物ですが、ひとえに「こういう映画愛も好きだなぁ」という理由に尽きます。なので偏愛的に8点献上します。 以下雑記です。 巨大3Dプリンタと破壊された自衛隊機から取り出した機関や弾薬によってその日のうちに完成した「あつみ丸」の活躍は、井上森人監督の「温泉防衛バスダイバー」を彷彿させるもので、特撮愛と怪獣映画愛に満ち溢れています。生身で戦うマッチョ(なんで登場するのか意味不明ですが)の姿はどことなく「MEG」のジェイソンを想起させてくれます。細かなネタはスベろうがスベらなかろうが楽しめました。主題歌に至っては本格極まりない出来映え。DLして楽しんでます。唯一残念だったのはパンフが売り切れだったこと。これは改めて入手したいと思っています。 [映画館(邦画)] 8点(2024-07-08 12:04:37) |