1. あの夏、いちばん静かな海。
テレビで放映する度に見てしまうこの作品。すごく感動する訳でもなく、興奮するわけでもなく、淡々と途中飽きることもなく最後まできっちり見てしまう不思議な雰囲気、力がある。全く中立な視点で、障害を持つ2人の恋愛とひと夏を描いているのが、肩肘張らずに見れる一因だとは思うが、こんなに静かな映画って見たことない。言ってみれば、ナレーションのないドキュメンタリーという感じ。だけど、毎回ラストシーンを見るたびに切なくなる、しっかりした恋愛映画である。ラストの2人の写真のシーンって日本映画の中でも秀逸な出来。すごく試験的な作品だけど、こんな映画は彼にしか撮る事は出来ないであろうが、今、たけし監督はこんな作品撮れるんだろうか?何度見ても同じ感情が湧き上がる素晴らしい作品力に8点献上。 [ビデオ(吹替)] 8点(2005-12-25 11:08:23) |
2. 座頭市(2003)
映画って所詮はエンターテインメントなんだから、楽しまなきゃって言う人にはお勧めの1本。殺陣もストーリもタップもそんなのあり?っていう突っ込みたいところはあったけど、最後までちゃんと見れたのだから良く出来ているんですよ。最後まで魅せる事が出来ない娯楽映画が多い中、貴重な作品である事は間違いなし。この手の作品に思想を持ち出して批評するのはかっこ悪いね。 エンターティナーである彼が作った、エンターティナーな1本に敬意を表し、8点献上。 [地上波(吹替)] 8点(2005-11-06 23:32:47) |
3. スウィングガールズ
あれれっという間に終わってしまった。この類の映画って最後のシーンでどれだけ盛り上がれるかという点が一番重要なのであり、サビに向かって主人公達がどういう思いでそれを始めたのか?どういう苦労をしたのか?という事が描かれていないと、最後の見せ場でしらけてしまう。たぶん、この映画はウォーターボーイズの女の子版と思って見る人が多いと思うが、そういった人達は、そんなに細かい部分は見ていないだろう。この手の作品の王道を楽しもうとしている人達を裏切るこの作品、中途半端という感は否めない。二番煎じってかなり力を入れないと、先駆者を越える事は出来ないという典型的な例。おいしい材料は探したけど、調理できなかったって事かな。 出演の女性の頑張りに4点献上。 [地上波(吹替)] 4点(2005-11-06 08:58:07) |
4. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
やられた。普段は殆ど見ないクレしんだが何気なく合わせたチャンネルで始まったので見たらはまってしまった。時代考証もしっかりしており、ほーと思わせる場面もかなりあった。彼が戦国時代でハチャメチャな大暴れするのではなく、かなりおとなしい展開なのであるが、その中で育まれる友情・愛情のエピソードは後で涙の堤防を壊される事必至である。こういう作品を作るとクレしんのイメージが壊れるなんて言う輩がいるかもしれないが、そのようなものに囚われていると作品が見えないのである。この作品は幅広いセグメントに見てもらいたい数少ない作品であることは間違いないのだが、クレしんと聞いただけで見ない人達はたくさんいるだろう。非常に残念である。キャラクターが世間に認識されたイメージって本当に重要なファクターなんだと再認識した1本。 [地上波(吹替)] 8点(2005-11-05 13:24:32) |
5. ルパン三世 カリオストロの城
この映画は小学生の頃見に行って、それ以降も夢中で何度も見た映画である。10年ぶりくらいに改めて見たが、娯楽作品としては完成度は非常に高い。起承転結がはっきりしていて誰が見ても理解できる楽しい作品である。起であるオープニングの入り方、承にあたる城・登場人物の説明、転であるルパンの負傷、そして結である別れ・エンディング。流れに無駄がなくすっきりしている。娯楽作品の王道であり成功している。 原作のルパンの印象と違う等という意見が多いようであるが、そんなものは読者が勝手に作ったイメージである。もしあったとしても、こういう面を持っているルパンすら認められない等というのは作品の評価を歪めているだけである。この作品を先入観のない外人に見せるという番組があったが、みんなスタンディングオベーションしていたという所からも作品力が判るというものである。 この作品は城が主役なのであり、城にまつわる登場人達はある意味脇役でしかなく、ルパンだってその中の一人として暴れているに過ぎない。この作品コンセプトが何だったのかは知らないのであるが、城は非常に重要な存在であり、ギミックとしても非常に魅かれるのである。 アニメーションという世界を確立し、認めさせたのは宮崎監督の功績が大きいのであるが、そういう風に騒がれた作品は全て面白くないのが残念。末期の黒沢監督に近い状況で、いまいちな作品を作り続けているが、この頃の作品に戻って作品力でもう一花咲かせて欲しい。 今後の期待を込め10点献上。 [DVD(吹替)] 10点(2005-11-05 10:53:39) |
6. 失楽園
この原作・映画とも正直言って若年層には全く理解できないシチュエーションである。中年の悲哀を知る人だけが、この世界を理解できるのであり、それ以外の人がこの映画の見たとしたらつまらない映画・共感できない映画と言わざるを得ない。逆にそういう人はこのシチュエーションを語ってはいけない。 じゃあ、映画としてこの作品はどうか?退屈である。淡々と2人の関係、周辺の状況が描かれるので、見せ場・話題はベッドシーンと言われるのであろう。もっともっと人物像を掘り下げた作品とした方が作品としてもよくなったのでは?でも、役所、黒木その他の役者の演技はやはり上手で、そこが救いか? 「Shall We Dance?」もシチュエーションは全く同じで、中年の悲哀の中で見つけたものがたまたまダンスだったという事なのであるが、あれは対象セグメントを中年以外へ広げるため、コミカルな味付けがされ大成功ている。 そもそもこれは対象セグメントを絞った作品なのであるから、もっと何かにフォーカスした方が良かったのでは?と惜しい気がしてしまう。個人的にはR指定なのに中途半端なベッドシーンが面白くなかった。 演技は上手いので5点献上。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2005-11-05 10:13:41) |