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1.  室井慎次 生き続ける者 《ネタバレ》 
敗れざる者(前編)が死体あり過去の犯人の子供ありとサスペンスタッチで進んでいったので、本作(後編)ではどのように推理や捜査のカタルシスを得られるのかと思ったら、事件のほうは現実のように淡々と進んで解決してしまった。話の中心は事件ではなく室井と子供達の未来についてだった。そういう流れなのね、ちょっと意外だった。 話はリクの父親が出所してから大きく進む。DVが激しい父親は加藤浩次が演じているがこれがまたハマリ役で、昔のよくキレていた(イメージの)加藤浩次を見ているようだった。父親もDVをすることに葛藤していることを思わせるシーンもあるが、この人はもう治らないと思う。その父親が行うあることが原因で室井に死の危機が訪れる。果たして室井は死んでしまったのか否か。室井の周辺の住民の様子を見るに結果は確定したように思えるが、この映画のタイトルがタイトルなだけに、どうなることやら。踊るプロジェクトはまだ続くようなので、次作は最後に出てきたあの人の話か? あと気になったのはラストで杏が母親の洗脳が解けたような雰囲気だったこと。室井の影響で洗脳が解けたのだと思うしかないが・・・。 室井さんらしい話で前後編合わせて今までの踊るシリーズにはないテイストだったので楽しめました。
[映画館(邦画)] 6点(2024-11-10 17:34:47)
2.  室井慎次 敗れざる者 《ネタバレ》 
ネット上ではあまりいい評価が見られないですが、予想より遙かに良かったです。前後編のため描写に時間を割くことができるので、室井さんの退職後の生活が丁寧に描かれており、それが良かったと思います。主軸となる事件はやはり日向真奈美がらみですが、『ヤツらを解放せよ!』とは異なりドタバタ劇に終始することなくじっくり展開するのも見応えがあります。表面的には母・日向真奈美に洗脳された娘・日向杏が起こした事件のように見えますがそうではない余地も残しつつ終わるので後編が楽しみになりました。これはうれしい誤算でした。評価は本来なら後編を見てからでないとできないと思いますし、特に本作は前編としてのオチ(まとめ)がない状況で終わるので難しいのですが、後編に期待が持てたということで7点としました。もちろん後編の出来しだいでは点数が変わる可能性もあります。
[映画館(邦画)] 7点(2024-10-15 18:54:48)
3.  侍タイムスリッパー 《ネタバレ》 
時代劇(特に殺陣)愛にあふれた素晴らしい作品でした。 見た方なら納得していただけると思いますが、監督はタイムスリップ映画ではなく時代劇映画(時代劇がテーマの映画という意味で時代劇そのものではない)を作りたかったんだと思います。それはタイムスリップとタイトルにありながら「どうやって元の時代に戻るか」には全く重点が置かれていない(そればかりかラストのオチのネタにもなっている)ことからも分かると思います。これは私の想像ですが、真剣による殺陣(という設定)を見せたい、それには本物の侍を登場させるという設定にすればいい、それなら侍をタイムスリップさせればいい、という流れで決まったのではないでしょうか。また、撮影所が舞台という設定も現在の時代劇が置かれた状況を説明したい・時代劇を復興させたいというもう一つの目的にもぴったりだったんだと思います。 みなさん感じると思いますが、ラストの真剣での斬り合い(という設定)はすごく迫力がありましたし、タイムスリップした者同士の会話には涙が出ました。 今は「インディーズ映画だけど大反響」みたいな流れでマスコミで評価されているようですが、面白いに大手もインディーズもないと思いますね。
[映画館(邦画)] 9点(2024-10-06 18:35:12)
4.  スオミの話をしよう 《ネタバレ》 
たぶん三谷監督が長澤まさみで1本撮りたいということから始まった映画なんだろうな~と思った。ストーリー先行ではなく主役先行。長澤まさみ演じるスオミが誘拐されるのだが、果たして犯人は・・・という内容なのだが、○○誘拐なんだろうな~というのは見ているうちになんとなくわかってしまう。それはいいのだがあまり笑える場面はない。ただただ長澤まさみ演ずるいろいろなスオミを堪能する映画になっている。長澤まさみファンには刺さるのかもしれない。 そしてこれは三谷監督の映画のレビューでは毎回言っているのだが、面白さが継続しないのがなんとも。1作ごとに面白い・それなり、の繰り返しになっている(毎回面白いものを作ろうと試行錯誤している結果だと思いたい)。私は前作の『記憶にごさいません』は高く評価しているので今回は心配だったが、その通りになってしまった。語弊がないように言っておくと「面白くない」のではなく「それなりに面白い」だからね。  ちなみに私の歴代作品の評価は 1.ラヂオの時間 ◎ 2.みんなのいえ △ 3.THE有頂天ホテル △ 4.ザ・マジックアワー ○ 5.ステキな金縛り ◎ 6.清須会議 ○ 7.ギャラクシー街道 × 8.記憶にございません ◎ 9.スオミの話をしよう ○  あと、私的には最後のヘルシンキの歌は必要なかった。 もうひとつ、いつもいつも宣伝コピーが「三谷幸喜最高傑作」なのはやめた方がいい。もちろん何が最高傑作なのかは人それぞれなのだが、こうも毎回だとそのうちオオカミ少年になってしまうと思う。
[映画館(邦画)] 6点(2024-09-17 22:02:35)(良:1票)
5.  変な家
原作を読んでいたので「あれ、こんなシーンあったっけ?」というのが結構あった。特に終盤、物語の原因を作った家での出来事。原作を膨らませてのことだろうが、やたらおどろおどろしいというか横溝正史の八つ墓村の鍾乳洞を思わせる演出にはちょっとびっくり。原作が家の図面を見ながらその家の秘密を解き明かしていく謎解きの快感に重点を置いていると感じたのに対し、映画ではかなりホラー寄りになっている。まあでも犬鳴村みたいに頭に?マークが浮かびっぱなしなんてことはなく結構面白く見ることが出来た。ちなみに川栄李奈と斉藤由貴が出演しているのだが、地味な化粧の役柄のため最初まったく気が付かなかった(笑)。
[映画館(邦画)] 7点(2024-03-18 19:54:32)
6.  大怪獣のあとしまつ
CSで無料で見てこの点数だから、劇場で見たほとんどの人にはお気の毒様という他ない。ギャグとシリアスのどちらの路線で行くのかが中途半端。そのギャグもあんまり面白くないし。監督の作風もあるだろうが、どちらかに振り切った方が良い結果が出たのではないかと思う。着眼点(テーマ)はいいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-12-16 00:17:08)
7.  翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜
日本では少ない、制作側が作ろうとして作った愛すべきおバカ映画。CGなどは前作とは比べものにならないくらい頑張っているが、一体感や突き抜け感は前作より弱い。前作は埼玉への自虐ネタに共感したからヒットしたのだと思うが、今作は自虐ではなく他県へのディスり。同じ悪口でも自虐とディスりは立場が逆なのでどうかなぁ。BGMは良いです。
[映画館(邦画)] 6点(2023-11-24 14:51:11)
8.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
見る前は舞台を戦後直後に設定したと聞き、シン・ゴジラの現代兵器でやっと倒せたのに第二次大戦の兵器でどうやってゴジラを倒すのかが気になっていましたが、今回のゴジラはシン・ゴジラとは違う(生物の)ゴジラだと感じたので、納得のいく戦法だったと思いました。シン・ゴジラとの比較ばかりで申し訳ありませんが、シン・ゴジラはストーリー(ドラマ)はあってないようなもので状況の描写がメインの映画でしたが、今回のゴジラ-1.0はドラマ部分がとてもよかったと思います。神木隆之介と浜辺美波に安藤サクラという出演者のドラマパートなので朝ドラを見ているようでした(ほめてます)。結果的にドラマ部分とアクション部分がいいバランスになっていると思いました。点数としては9点でもいいと思いましたが、シン・ゴジラを見たときほどの衝撃はなかったので8点としました。でもそれはVFXのレベルが高いからだと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2023-11-03 14:44:14)(良:1票)
9.  劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜
ドラマが非常に面白かった(見るきっかけになったのは地元でロケをしていたから)ので初日に見に行きました。とにかくアツい映画でした。アバンタイトル(映画開始からタイトルが出る前の小エピソード)からアツい!そして最初から涙が止まらない。号泣ではないですが最初から最後まで泣きっぱなし。こんな映画初めて。今までドラマの映画化には良いイメージがありませんでしたがこれは違いました!
[映画館(邦画)] 8点(2023-06-09 00:36:30)(良:1票)
10.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 
ああこれはあれだ、庵野監督の「(小さい頃に)僕がテレビで見たあの仮面ライダーを(大人になった)僕がブラッシュアップして再現し」「ちょっとだけ僕が考えたストーリーを込めた(と思う)」ってヤツですね。私は小さい頃昭和ウルトラマンは熱心に見ましたがゴジラと仮面ライダーはそれほど熱心には見ていませんでした(なのでシン・シリーズで一番期待していたのはシン・ウルトラマンでしたがシン・ゴジラの出来が良すぎました。シン・ウルトラマンも悪くはないです)。ですがそんな私でも昔のTV版ライダーを再現しているんだなとわかります。なにしろ場面展開・演出・セリフ(説明セリフ)・戦闘シーンなどが昔のTVシリーズっぽいんですもの。映像は豪華ですが。それはそれで刺さる人がいる(監督もその1人)のもわかります。でも私としては再現に徹しないバージョンも見たかったな、という感想です。ストーリーはテンポ良く進むので飽きることはありませんが、5点~6点(可もなく不可もなく。もしくは甘めに見て損はしていない)という評価ですね。
[映画館(邦画)] 5点(2023-05-09 19:27:42)
11.  THE FIRST SLAM DUNK 《ネタバレ》 
SLAM DUNKはジャンプ連載開始から最終回までリアルタイムに追いかけた思い入れのあるマンガ。一方アニメは自分の中でアニメを見ていない時期とちょうど重なっていたので劇場版含め全く見ていない。なので声優の変更が話題になっても何も感じなかったし、見終わったあと声優に関して違和感は全くなかった。  マンガがアニメ化されるとき原作者はよく「アニメになるということは自分の手を離れるということなので好きなように作ってもらってかまわない。どうなるのか楽しみ」と言う。この言葉に嘘はないと思う。けれど一方で自分の思い通りに作りたいという想いもあるはず。今回原作者の井上雄彦が監督と脚本を引き受けたのは、インタビューによるとプロデューサーの熱意に押されてということのようだが、自分自身で納得のいくものを作りたいという気持ちがあったからだと思う。自身の関わらないアニメは自分の手を離れているので、新たなアニメを作ろうということだと思う。それは原作の最終盤の山王戦を題材にしているにもかかわらずタイトルに"THE FIRST"と付けたり、アニメでも使われた連載時のロゴを使わなかったりという点からもわかる。  そんな井上監督が目指したのは原作を「映画的に」再現するということだと思う。見た方なら共感していただけると思うが原作の持つスピード感・息詰まる緊張感が完璧に表現されている。特に原作ではセリフがないことでもそれらを表現していたが、映画でも一切のSEやBGMなしでそれを実現している。  また、原作では宮城リョータ以外の主要メンバーは過去のエピソードが効果的に挿入されていたが、宮城リョータのエピソードはなかったと記憶している。今回はそれを補完した形になっているのも新しい試みでいいと思う。  長々と書いたが結論は「原作のファンなら満足すること間違いなし!」
[映画館(邦画)] 9点(2022-12-07 15:59:35)
12.  すずめの戸締まり
冒険ファンタジーでありロードムービーであり自己成長もの映画です。 ファンタジー感満載のビジュアルとは裏腹に極めて普遍的なテーマを扱っていてストーリーも非常に素直です。 ある意味安心して見られる映画ですね。個人的にはもう一ひねり欲しかったです。 前作が私には良すぎた反動で点数は普通です(君の名は。は7点、天気の子は9点付けました)。
[映画館(邦画)] 7点(2022-11-14 15:39:37)(良:1票)
13.  アポロ13 《ネタバレ》 
午前十時の映画祭で2度目の劇場での視聴。もともとこの映画は実話ベースだし、公開当時に見てるし、DVDでも何度も見てるし、ということで話の筋は最初から最後まで知っているんだけど、もう最初から最後まで泣きっぱなしですよ。最初のアポロ11号の月面着陸で涙し、もちろん13号の発射シーンではフレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)の奥さんと同じように号泣し、月面着陸はもうドラマチックじゃなくなったと中継をしなかったのにトラブルが発生した途端に手のひら返しで中継を始めたマスコミに怒ったジム・ラベル(トム・ハンクス)の奥さんと同じように怒り、再突入の中継を見るラベルの子供たちを見て涙を浮かべ、最後無事に帰還したときにNASAのスタッフや宇宙飛行士の家族と同じように喜びの涙にむせぶ。最高です。特にサターンロケットの打ち上げシーンでロケットとともにUNITED STATESの文字が天に昇るのはアメリカ人でもないのに非常に誇らしく思えてしまいます。トム・ハンクス、エド・ハリス、ゲイリー・シニーズ、ケビン・ベーコン、ビル・パクストン、キャスリーン・クインランといった派手さはないが実力のある俳優陣も素晴らしい演技を見せてくれます。そしてやっぱりジェームズ・ホーナーのスコアが抜群にいいです。エンドクレジットでタイアップ曲ではなく、メインテーマ(のアレンジ)が流れるのも王道スタイルで好感が持てます。あと、月のことを単にmoonではなくsurface of the moonと言っているのが妙に心に残りました。
[映画館(字幕)] 10点(2022-06-21 21:25:12)
14.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
シン・ゴジラに続くシン・特撮シリーズ第2弾。初代ウルトラマンを現代的に解釈しアレンジした作品となっている。例えば、ウルトラマンの存在が各国の政治・軍事に与える影響を描いているのはTV版にはない視点だ。さらに、この映画では初代ウルトラマンに対するオマージュが随所で見られる。それを見つけるのも楽しい。初代ウルトラマンを見たことがなくても充分楽しめるが、時間に余裕があるなら初代ウルトラマンを全話見てからこの映画を見るとより楽しめることは間違いない。また、登場する怪獣や宇宙人もより現代的なデザインとなっている。特にウルトラマン含む宇宙人の体型はかなりほっそりしている。着ぐるみではなくなったためと思われるが、もしかすると成田亨氏の当時のデザインがそうだったのかもしれない。  私はシン・ゴジラには9点を付けたが本作は8点とした。それはシン・ゴジラを見たときに感じた、映像に対する衝撃をあまり感じなかったからだ。それは私がシン・ゴジラ(レベル)のVFXを見慣れたからだと思う。これは必ずしも悪い事ではなく、日本映画のVFXの質が向上・安定したという点で良いことなのではないだろうか。
[映画館(邦画)] 8点(2022-05-13 16:17:54)
15.  犬鳴村
現代と過去の人間相関関係(現代の誰の祖先が当時の犬鳴村の誰なのか、または当時の犬鳴村の赤ん坊は現代では誰なのか等々)がよく分からなかった。 じっくり集中して見れば分かるのかもしれないが、観客をホラーに集中させるためにもわかりやすい描写(説明)が必要だと思った。 全体の雰囲気やストーリーは絶望的に悪いということはないと思う。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2022-02-28 00:32:51)
16.  浅田家! 《ネタバレ》 
前半と後半で印象がガラッと変わる作品。前半は楽しく見れ、後半は心締め付けられる。二宮和也の演技もなかなか。彼のほっこりした笑顔が何をしても許される雰囲気を醸し出している。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-12-22 18:41:46)
17.  罪の声
グリコ・森永事件を元にしたフィクションであり、真相は解明されていないが本当にそうだったのではないかと思えるほど説得力があった。派手な展開はないがグイグイと見る者を引きつけていく。主役の小栗旬はもとより、星野源の演技が良かった。脇を固める俳優陣も芸達者ぞろい。Uruのエンディングテーマも映画の雰囲気に合っていた。良作です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-12-22 18:32:47)
18.  JUNK HEAD 《ネタバレ》 
ツイッターで凄いと言う評判を見て観に行きましたが、本当に凄く、面白かったです!ストップモーションアニメなのでもっとカクカクしているのかと思いましたがそんなことはなく、違和感は全くありませんでした。今回の映画は全10エピソード構想のうち1エピソードくらいとのことですが、全体のストーリーからみてまだまだ謎がありそうだなと思いました。赤いフードの女の子(?)が鍵を握っているような気がします。個々のエピソードや演出はベタ(正確には、いろんな映画で見たことある感じ)ですがそれがとても気持ち良く、見飽きた感は全然ありません。続きが非常に気になりますね。この映画の元になった30分の『JUNK HEAD 1』を作るのに監督1人で7年かかり、それが評価されて改めて作られた今作は数人のスタッフで3年かかったとのことですが、次作はもう少し早く見られたら嬉しいですね。あと、架空の言語をしゃべらせたのは大正解です。世界観の構築に大変役に立っていますし、公開する際に吹替しなくても字幕で済みます。最後にあえて言わせていただくなら、パンフレットのフォントの使い方がもう一つな気がします。素人が作ったような感じになってしまっている気がします。読み易くはあるんですが。
[映画館(字幕)] 9点(2021-05-28 15:03:39)
19.  サイレント・トーキョー 《ネタバレ》 
[ネタバレ有]としましたが、できるだけネタバレが無いように書いたのでモヤッとしたレビューになっています。ご了承下さい。  劇場で予告編を見てこれは良さそうなクライムサスペンスだと思いあえて何も事前情報を入れずに見に行ったのですが、予告編詐欺に遭わなくてよかったです。予告編詐欺とは予告編は面白いのに実際に見てみると面白くないという詐欺です。ちなみに私が遭った予告編詐欺はプリンセストヨトミです。  話がそれました。面白かったです。見終わった後で監督が「SP」の波多野監督と知りました。「SP」は大好きな作品なので自分の選択が間違っていなかったことを嬉しく思いました。ちなみに「SP」は夜11時台なのに平均視聴率が15%を超えた凄いドラマです。  さて、このサイレント・トーキョーですが、ストーリーも良いのですが舞台となった渋谷ハチ公前交差点の再現度が超絶素晴らしいです。栃木に実寸大のオープンセットを作ったということは知っていましたが、それを感じさせなく本当の渋谷と思い込むほどのリアルさです。CG合成も全く違和感ありません。この映画では空撮も含めていろんな角度からの渋谷が登場しますがもし映画内の全ての渋谷がこのオープンセットでの撮影だとしたら空恐ろしいです。平成ガメラの渋谷や京都駅の再現も素晴らしかったですが、これはそれ以上かもしれません。  爆弾テロ犯がなぜ犯行に及んだのか、その動機を納得できるかどうかは人それぞれだと思います。  ところで「サイレント・トーキョー」のサイレントとは何を表しているのか?初めは爆音で耳がやられて一時的に何も聞こえなくなった状態をサイレントと呼んだのかと思いましたが、後に思い直しました。無関心で物言わぬ国民のことをサイレントと表現したのではないかと。
[映画館(邦画)] 7点(2020-12-04 22:11:18)
20.  映像研には手を出すな! 《ネタバレ》 
マンガ原作の実写化には多かれ少なかれリスクが伴う。マンガ原作はまずアニメ化され、その次にTVドラマ化、そして最後に(アニメあるいはドラマまたはその両方が)映画化されるというのが常道である。アニメ化に関しては大コケすることは少ない。当然だが、評価された原作と同じ絵柄で出来るからだ。内容に関してもアニメだからこそ原作を制限なく再現できる。問題なのがTVドラマなどの実写化だ。内容の再現はもちろんのこと、アニメでは考えなくていい「見た目をいかに似せられるか」という問題が生じるからだ。映画『20世紀少年』のように登場人物とそっくりな俳優を用意できる希有な作品もあるが、いろいろなしがらみによりほとんどはマンガ原作とはあまり似ていない配役となってしまう。対して、この『映像研には手を出すな!』においては最初の映像化であるアニメ版が傑作といっていい出来だったので、TVドラマ化されると聞いて見る前は嫌な予感がしていた。しかも主役がアイドルだ。どうせアニメ版に比べたら「良くてそこそこ」の出来だろうと。しかし実際にドラマを見てみると非常に面白い。配役も申し分なく、特に主人公3人組はアニメ版の雰囲気を良く醸し出している。アニメ版の浅草みどり役の伊藤沙莉の声の演技は奇跡ともいえるものだったが、ドラマ版の齋藤飛鳥も声がかわいすぎる点を除けば充分合格点だと思う。そして、水崎ツバメもいいが特に良かったのは金森さやか役の梅澤美波だ。原作の絵柄と比較するとやや美人過ぎるきらいはあるが、金森氏が現実にいたらあれくらいになるのではと思わせる説得力がある。あと、さかき・ソワンデ役のグレイス・エマは非常に存在感があり登場するだけで目を奪われる。  この映画はドラマと同時撮影だったため正直言って映画ならではのスケール感はない。ただ内容はドラマでは描けなかったアニメの後半部分であり、文化祭での上映・水崎ツバメ親子がどうなっていくかに向けて大いに盛り上がる。  結論としては、TVドラマ版が気に入った人ならば楽しめると思う。  (追記)この映画には他のマンガや映画からの引用(オマージュ)がありますね。気付いたのは気象研の台風(ドラえもんの台風のフー子のエピソード)と踊る大捜査線のセリフ「事件は会議室で~」ですが、探せば他にも見つかるかもしれません。ちなみにロボ研小野のセリフ「人間が想像できるものは必ず実現できる」(うろ覚え)はSF作家ジュール・ヴェルヌが言ったといわれているものです。
[映画館(邦画)] 8点(2020-09-29 16:08:43)
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