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プロフィール
コメント数 4
性別 男性
年齢 42歳

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1.  パンドラの匣 《ネタバレ》 
太宰治は、大半の方がご存知の通り、自虐的で破滅志向の生活を繰り返した作家です。彼の代表作は、初期と晩年のものが多いですが、どれも彼の人生を反映させた、暗く激しいものがほとんどです。その中で今作品の原作は、学園モノを彷彿させる明るさに満ちた作風で、その甘酸っぱさと清々しさに、私は何度も心を洗われたものでした。さて、映画のレビューですが、私は観ていて本当に辛かったです。登場人物も同じ、時代設定も、台詞もほぼ同じであるにも関わらず、原作の良さを少しも汲み取っていないから。劇中でもひばりの台詞にあったと思うのですが、松尾芭蕉の「かるみ」が、このストーリーの根幹にあるんです。恋心を抱いたり、仲間と喧嘩をしたり、団結したり、そういう日常の些細なやりとりの中で、ひばりはこれからの人生に希望を見出す。言っちゃえばそれだけなのですが、それこそが最も描くべきところじゃないですか。製作者は「俺は俺の『パンドラの匣』を作ったんだ、こういう形だってアリだろう」と言いたいのでしょうけど、だったら「かるみ」を持ち出さないで欲しい。変に原作通りの台詞で終わらせないで欲しい。親友と決別するような展開は、明らかにおかしいです。竹さんの描き方も酷いものですね。なぜタバコを吸ったり、こけし人形を持ちながら、卑猥な台詞を言わせたのでしょう。必要ありますか?マア坊との布団部屋のシーンは愕然としました。ひばりはサキュバスと戦っているのかと思いましたよ。かっぽれが死ぬ必要があったのかも理解できません。「太宰の原作は詰まらない。深く重く面白く、俺のやりたいように作り直すぞ」と思ったかどうかは分りませんが、それに近い傲慢さと勘違いが、終始ちらつきました。配役は悪くないのに、作り方の点ですごく悲しかったです。
[DVD(邦画)] 3点(2010-08-10 14:20:29)
2.  ゴールデンスランバー(2009) 《ネタバレ》 
それなりに期待していたのですが、受け付けませんでした。自分の場合、冒頭から駄目でしたね。「お前、オズワルドにされるぞ」「みっともなくてもいいから逃げろ」と、突然親友に言われるわけですが、そう主人公に伝えることができる猶予があること自体おかしいです。むしろ、親友役である吉岡君の立場の人が、犯人に仕立て上げられるべきであり、陰謀実行者と嵌められる人の間にワンクッションがある時点で、この計画は甘いわけです。逃亡中も、ことあるごとに出てくる登場人物が全員、主人公に協力してくれるのですが、これも観ていて理解できませんでした。人が良いだけで協力してくれるのは家族と、百歩譲って親友までであり、堅気の花火屋や入院中のおっさん、はてや殺人鬼やアイドルまで協力するのは何故なんでしょう。「あの人は犯人じゃない」という確信がなければ、とても国家権力を敵に回してまでできることじゃない。原作は、いかに主人公が魅力的で、信じずにはおけない人物かを説明しているのかもしれませんが、映画ではそれが伝わらず、終始、納得のいかない、気持ちの悪い展開だと感じてしまいました。逃げ切って、整形をし、新たな人生を歩んでも、あくまで主人公は無実なわけですし、決してハッピーエンドじゃないですよね。結局、鑑賞後は何も残りませんでした。残念です。
[DVD(吹替)] 4点(2010-08-10 02:26:00)(良:1票)
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