1. うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
押井の世界観が最もポップな形で提示されている作品だと思う。そのバランス感覚がとても面白い。終わり方も最高で、アニメ映画の私的ベスト5に入る。 [映画館(邦画)] 9点(2017-10-10 13:45:25) |
2. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
かっけー。でも理解できているとは思えない。押井の理解できない世界を一番楽しめた作品だった。この作品が楽しめるからといって他の難解な映画も楽しめるとは限らないのが押井の難しいところ。 [映画館(邦画)] 7点(2017-10-10 13:44:04) |
3. グッドナイト&グッドラック
《ネタバレ》 ニューシネマ的なエンディングはいいですね。顔を正面から捉えたショット=観客に向けたメッセージが多く、ジョージ・クルーニーが現代社会をどれほど嘆かわしく思っているかが伝わってきます。 彼らのスタジオや会議室は密室です。これは彼らが権力から常に圧力を受ける弱い存在であることを示しています。そして、CBSの社長が登場するシーンでは、彼の顔には複雑な影が現われますが、マローの顔は一方向からの照明を受け、明暗がはっきりと現われます。これは彼らがどのようなキャラクターとして設定されているかを如実に表す演出ですね。わざわざ白黒映画にしたのは、照明の明暗を効果的に使いたかったからでしょう。現在ではいいイメージを持たれないタバコの煙も、マローの内面から沸き上がる善意や抵抗心を表す重要な美術装置として機能しています。 社会派監督としてのジョージ・クルーニーの力量がうかがい知れる映画だと思います。しかし、娯楽としての面白さには欠けるので、点数は低め。 [DVD(字幕)] 6点(2017-01-20 10:13:26) |
4. ある朝スウプは
《ネタバレ》 部屋の匂いどころか温度まで伝わってきそうなほど生々しい映像にまずやられた。精神が弱っているところをつけ込まれた彼氏と何とかして彼氏を現世に連れ戻したい彼女の信念の戦い。宗教の話ではまったく話が噛み合わないけど、面白いことがあったら2人でお腹を抱えて笑うという関係性がキツい。どうにもならない現実をついに受け止めきれなくなった2人の最後の朝食は、これまでに見たどの映画の食事シーンよりも痛かった。彼女に感謝してるけど生長の家のセミナーに行く彼氏、「他人なんだね」とつぶやいて限界を悟る彼女。心に刺さりまくりました。ところで、彼氏が明らかにシャブやってるシーンあったけど、生長の家ってそうなの? [映画館(邦画)] 7点(2016-12-23 00:43:42) |
5. ヒメアノ~ル
《ネタバレ》 ここまでずっとアヴァンタイトルだったのかよ!という衝撃。本番はタイトルが出てから。日本映画もやる時はやります。 [映画館(邦画)] 7点(2016-12-13 00:16:06)(良:1票) |
6. 一人息子
《ネタバレ》 明らかな失敗作です。小津は日本にトーキーが持ち込まれた31年以降、トーキー移行に向けた実験を繰り返してきました。フェードイン・アウトによる安易な場面転換や移動撮影など、小津が嫌ったと「される」演出を徐々に減らしていき、満を持してのトーキーデビューが本作でした。しかし、本作には捨て去りつつあった演出が総動員されています。小津がトーキーの編集に手こずったことは確実。そんな中でトーキーに対する風刺をかます惨めなシーンもありました。小津の心境はお母ちゃんの悔し涙と奮起を誓う息子の意志にシンクロしています。その後、本作での反省を活かして小津は黄金期を迎えます。本作は避けられるものなら避けたかったが、成功のためには必要だった失敗作です。 [DVD(邦画)] 3点(2016-12-13 00:14:53) |
7. 淑女は何を忘れたか
《ネタバレ》 小津安二郎の演出法が確立した金字塔。ルビッチの影響を強く受けたたのしい作品です。前作「一人息子」にはなかった台詞のリズム感と面白さが際立ち、風刺も効いています。ビンタ一発で仲直りってそりゃないよ、とは思いますが、小津には珍しいエロチックなエンディングは小津流ソフィスティケイテッドコメディと呼ぶにふさわしい。サイレント期の小津はスラップスティック風、トーキー期の小津はソフィスティケイテッドコメディ風、ルビッチ風なのです。 [DVD(邦画)] 8点(2016-12-13 00:10:12) |
8. 大人の見る絵本 生れてはみたけれど
喜八3部作と比べるとそれほど面白いわけじゃないけど、可愛らしい1作だと思います。戦前の小津らしい風刺が効いていて、飽きることなく見ることができます。 [DVD(邦画)] 7点(2016-12-13 00:07:17) |
9. 出来ごころ
小津の人情の芽生え。黄金期の礎となった記念すべき1作だと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2016-12-13 00:05:30) |
10. 怪談(1964)
《ネタバレ》 前半と後半でテーマがわかれている。前半は異界との性的な接触、後半は映像技術の見せびらかし。前半の「黒髪」「雪女」の素晴らしさは、欲に溺れた人間の因果応報を描いているだけではなく、異界の表現がきわめて的確で観客の心の奥底を揺さぶるからだ。「黒髪」は武満徹の音楽が、「雪女」は冒頭の空模様が世界観を見事に表現している。確かに芸術映画だ。客が入らないのも当然だよ。「耳なし芳一の話」は本当につまらない。酷すぎる。くどい。田中邦衛は面白い。「茶碗の中」は稲川淳二の怪談話にありそうな感じで、お気に入り。それぞれに点数をつけるとしたら、「黒髪」10点、「雪女」7点、「耳なし芳一の話」1点、「茶碗の中」7点。「耳なし芳一の話」以外の完成度の高さと「黒髪」の音楽、演出、美術の素晴らしさを評価します。 [DVD(字幕)] 9点(2016-12-12 23:53:02) |
11. シン・ゴジラ
蒲田くんに会いたくて何度も何度も劇場に通った。蒲田くんに遭遇するたびに震えながら笑った。「えっ、蒲田に!?」というマヌケな台詞からの落差が大好き。 [映画館(邦画)] 9点(2016-12-11 02:51:20) |
12. 裸のランチ
視覚的な面白さに満ち溢れているものの、物語が理解できなかった。いつものクローネンバーグって感じ。バロウズの生涯や友人たちのことを知らないと理解できないシークエンスに振り回されながら頭おかしくなりそうなグロテスク表現を見るってどうよ。頭クラクラする。でも嫌いじゃない。 [DVD(字幕)] 5点(2016-12-11 02:26:14) |
13. 夢売るふたり
コメディとシリアスがちょうどいい具合に同居しているので楽しめた。細部に気になる点は多いけど、松たか子で相殺。素晴らしい女優です。西川監督だからこそ彼女にここまでの演技をさせられたのだろうな、と思うと監督の今後がとても楽しみ。もっと伸びる可能性がある人です。日本の映画史上に残る女性監督になうことでしょう。 [DVD(邦画)] 7点(2016-07-05 01:44:48) |
14. NINIFUNI
しつこい。長すぎる。言いたいことも、製作者の怒りも伝わってくる。嫌というほど。要は、間のとり方が失敗しているのだと思う。思考の時間を与えるつもりなのだろうが、ただただ退屈な時間にしか感じられない。ももクロが登場するまでに時間がかかりすぎだし、その後も…。彼女たちの魅力はよくわかりました、早見あかりが脱退していなければファンになっていたかもしれません、でも正直言って彼女たちが歌い踊る背景で放置される自殺体になんの感情もわかなかったよ。 [映画館(邦画)] 2点(2016-07-05 01:41:25) |
15. 誰も知らない(2004)
茂が大声を出して遊んだり、ベランダに出たりするたびに、さすがに住人か大家が気づくんじゃないのか!?と思うんだけど、元になった「誰も知らない」家族も誰にも気付かれなかったという事実を思い出してゾッとする。事実は小説より奇なり…。物語に絶対的なリアリティをもたらしているのはYOUだと思いました。このキャスティングは凄い。 [DVD(邦画)] 7点(2016-06-18 01:06:55) |
16. クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん
《ネタバレ》 ある人間と同じ記憶・人格を持つロボットは果たして本人と言えるのか?という、別段珍しくもないテーマが下敷きになっているんだけど、しんのすけの「どっちのとーちゃんも頑張れー!」というセリフでもう号泣。直前まで「いくらなんでも五木ひろしロボットはどうなのよ」と思っていたことも忘れてハンカチを濡らしました。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-05-31 00:58:46) |
17. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
傑作。子供向けアニメとして無視していい部分(タイムスリップの描写など)は徹底的に無視して、映画を見る上で欠かせない細部(戦闘形式など)はみっちり調べて完璧に表現するという姿勢に乾杯!これがこの映画の魅力を何倍にも増幅させていると思う。 [インターネット(字幕)] 8点(2016-05-31 00:56:30) |
18. 渚のシンドバッド
歌手活動以前のすべてを投げ捨てた浜崎あゆみがきちんと女優をしていて驚いた。気だるそうな美少女、適役じゃないか!これだけでもこの映画には価値が有るのだけど、クライマックスの「結局恋愛はセックスのための口実じゃねーの」という、青臭いが真実めいたメッセージを表現するためのとても居心地の悪いラブシーンもどきがまたなんとも。みんなずるい!あと、伊藤が吉田に同性愛を打ち明けるシーンは日本映画史に残る名シーンだと思います。ドキドキ感がすごい。 [DVD(邦画)] 7点(2016-05-31 00:50:59)(良:1票) |
19. 有りがたうさん
ロードムービーというジャンルがそもそもあまり好きではなく、元々サイレントで撮影され、セリフがすべてアフレコによるもの(!)ということに違和感を抱き続けて終わった。環境音がないというのは不自然の極み。 [DVD(邦画)] 5点(2016-05-31 00:44:01) |
20. 姿三四郎(1943)
検閲がなければどれだけ面白い映画だったのか。小津安二郎が「100点満点中120点!おめでとう!」と喝采したほどの映画がこのような形でしか残っていないのは本当に残念だ。 [DVD(邦画)] 6点(2016-05-24 08:35:12) |