1. ショウタイムセブン
《ネタバレ》 知らずに観ましたが、10年くらい前の韓国映画のリメイクなのですね。確かに、大筋に関しては(サスペンスとしては)まずまずチャンと出来てなくもない…みたいな感じでして、でオーラスには(メインとなるテロ事件の真相としての)トリックというか仕掛けもキマってますし、かつ中途で少ししっくり来なかった部分の伏線も(思ったよりは)回収されてはゆくので、クライマックスまでそこそこハラハラと観てゆけたかな…という気もしたのですよね⇒私が個人的に中盤で特に気になってたのは、唐突に出てくる平田満の余りの空気の読めなさだとか、後は犯人が「優しすぎる=あれだけの威力の爆弾を用意していながら被害者が出ていない・むしろ出そうともしてないってのは流石に解せない(前述の平田満を除いては)」といった辺りだったのでして、最後まで観たらソコはワリと繋がってたので好かったかな…的な。 しかし、オーラスを経ての最終的なトコロとしては、やっぱちょっと「ナンだかなあ〜」とモヤっと観終わったって感覚がかなり強くって、前述どおりサスペンスとして(大筋は)そこそこ整ってた…とは思えど細かいトコロは総じて相当に強引ではありましたし、その細ごまとした疑問点は敢えて深掘りしないとしてもどだい、この話って大枠のトコロからして何とも「古臭い」のですよね=要は、今どきテレビでこんなコトにならんでしょ?と…(たぶん、こーいうのやりたかったら今やマジでYouTubeでやると思いますよ⇒テレビじゃあコントロール効かない想定外なトコロも多々出てくると思いますし、根本的にも下手すりゃYouTubeの方が視聴者も多そうで…)取分け、この企画が走り出した当初はま〜だ状況は多少違ったのかも知れませんケド、ちょうど去年の下半期からこの年末・年明けと、かの業界では今まで数十年に渡って築き上げてきたモノが急速に&土台から崩壊してゆきつつある…みたいな有様も見受けられていて、その意味ではハッキリと公開のタイミングも激・悪かったすよねコレ(⇒辛うじて、製作委員会にフジテレビが入ってなかっただけ超ラッキーだったね!としか…)。 だから、そんなコトも踏まえると私には、あのオーラスの阿部寛さんの大演説!てのだって、本来のソレ以上にとてつもなく残念な「楽屋オチ」にも見えてしまってましたのですよね⇒真剣なメッセージになんて為り様も無く、だからって(シニカルな)コメディだとしたって多分に&過分に「悲」喜劇的な(それも観る我々にとってではなく、つくった側にとっての、という悲惨さ)コッチとしては到底「笑えない」代物である、と。とは言えですね、ココでも少し感心してしまったのが、そーは言ってもその阿部寛さんの「説得力」とゆーのはやっぱ凄いな…というコトなのですよね⇒こ〜んな雑なお話で、んでこ〜んな共感の難しい主張で、加えてソレも確実に「演技である」コトだって見え透いてしまっている…にも関わらず、少なくともスクリーンに映し出される彼の中にはそういったモノ=価値観が確実に実在している…という様に(チャンと)見えるんですよ。ややポンコツな映画であるコトも前提としても、今作もまた阿部寛さんじゃなかったら成立しない阿部寛さんの映画、というコトだとは思ってしまいますよね⇒替りにとゆーか、阿部さんの説得力が凄い分その後輩2人の説得力の無さたるやソレもまた凄まじかったですケドね(アナウンサーにも何にも見えやしない)。 [映画館(邦画)] 5点(2025-02-09 23:19:40) |
2. ミッシング・チャイルド・ビデオテープ
《ネタバレ》 タイトル(&その字ヅラから想像される範囲の内容)も含め、根本的にはごく非常にオーソドックスな怪奇ばなし…だとも思うのですが、そこで今作がホラーとして提示するその恐怖の表現=どうやって怖がらせるのか、といった側面については、これも別にそこまでユニーク&奇抜で新規性に溢れるというモノでもなかったか…とは思いつつも、比較的高度でごく「オツ」な方のソレを志向して&ソレに完全に徹して&且つその上で全体としてかなり高度にソレを成功させていた、という、率直に言ってかなりの良作ホラーだと思われました。確かに、諸々の側面で『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の影響を非常に強く受けている(⇒特にあの「在ったり無かったりする建物」とか)という様にも思われますが、他方で、ココまで直接的に「ひと目で分かるホラー的存在」を映像内に持ち込むコト無く、しかも2時間近くをコレで観せ切ってしまう、てのはやっぱ凄いな…と素直に感心しております。とりあえず、今作は映画館で観るべきホラーかとは思われて居りますね。 第一に、展開運びは最初から最後まで中々に巧みだったと思われるのですよね。今作においてナニが怖いか…と言って、大きく一つは「不安・不可解・不穏」のもたらす怖さだと言うか、ただやはり最後まで観ても、その最大の「謎」というのは決してそれそのモノが効果的なトリックだと言える様なアイデアな代物ではない…とも思います。しかし、冒頭のシーンから実に巧~く常に「謎」=「不可解なコト・不自然なコト」を少しずつ残し続ける(⇒その一部は次のシーンで明かされる…のですが、またスグに次の引っかかりが出て来る+よく考えたらアレも変じゃない…?みたいなのもどんどん出て来る)、それに依って、まこと絶妙に居心地の悪い、どんよりと重~いイヤ~な空気が終始持続してゆくのですよね(⇒逆説的に実にホラー的に心地好かったですね)。後は、あの非常に画質の悪いビデオテープの映像が思った以上にまた気持ち悪いのと(⇒ドコでナニを映して驚かしてくるんだろう…?とジリジリと観てても、結局ナニも仕掛けてこない…というニクらしさ)、もう一点、音の使い方も全編通してホラー的にかなり上手かった・精密だったと思いました(⇒全然意識せずに偶然BESTIAで観てたのですが、望外に幸運だったかも知れませんね)。 最後にもう一度結論、冒頭からの不可解さがラストに向けて(収束してゆくのではなく)発散・破綻してゆくコトも含めて、全体的なホラー表現技法にも高度さの方がより強く感じられる、見かけに寄らずだいぶんハイレベル&玄人向けな方のホラーだったと言っても好かろうとは思うのです、が私としては実に非常に個人的嗜好にもマッチし、んで実際にも大いに楽しめる良作だったと思っております。再度、映画館でご覧頂ければと。 [映画館(邦画)] 7点(2025-02-01 16:17:36) |
3. 室町無頼
《ネタバレ》 ちょっと珍しい室町時代を舞台にした時代もの…ではあるのですが、お話の内容というのは本質的には非常にシンプルな(で実際の成り行きも最初に最後まで見通せてしまうだろう…的な)モノではあるので、これもやはり「ナニが」というよりは「どう」語られるか、という、より見映えその他の部分に力点を置いて鑑賞すべき作品には思えますね。その意味では何よりもまず第一に、かなり気合の入った大掛かりな邦画だった様には思えていて、その見た目等のクオリティというのはワリと隅々まで行き届いてハイレベルだったな…と思いますね。他方、重ねて、お話の内容自体はだいぶシンプルなのですが、画づくり自体の感じは結構こだわって薄汚れて荒んで=観易いというよりは逆、みたいな感じでもあり、また台詞による説明や・そもそも台詞の言葉遣い自体も(これも多分こだわりとして)ごく古めかしい=ちょっと分り易くはないモノになっていたりもして、個人的には、最も一般的な(こーいう大規模な)邦画の娯楽作よりは、より芸術的というか作家性を感じられるというか私の好みには近い方の全体の質感ではあったかと思ったりもしますね。 もう一点、当然の如くに時代劇的…と言いつつも、私としては、より正確には(更に)西部劇的…みたいな感覚をも覚えられましたのですね⇒音楽なんかが率直に完全にソッチ系のヤツだったよな…と。タイトル通り「無頼」が主人公・中心人物なので、そこについては確かに西部劇の方がむしろ近いのかも…と思ったりもしますが(⇒侍って、なんだかんだ、やっぱ秩序立って=畏まってますからね)とは言え特に後半は、そんな西部劇みたいに寂寥・寂寞にニヒルをカマす…みたいな感じでもなく、もっと脂切って血腥い「濃ゆい」物語にはなってゆくのですよね。取り分け、またなんだかんだ西部劇でも必ず中心に据えられている、遂にその暴力がもたらす「カタルシス」というモノ自体は、今作では(通常の西部劇のソレよりも)遥かに強大なモノになっていた、かとは思うのですね⇒暴力でしか世界を動かせなかった時代に、より大勢でそれをつくり上げて+更にはそれを大勢で「共有」する行為のそのモノがまたカタルシスとなる…コトをも描き出して居る、と。ただ、結局のトコロでは今作は、先立つ数々の優れた西部劇と同じく、最後にはその暴力によるカタルシスを「礼賛」するものではない…というコトもまた、確かに示してくれてはいたとも思えては居りまして、その意味でもごくオーソドックスな=シンプルに共感が可能で+それ故に普遍的である、と言って好いだろうお話であったかな、と思います。再度、端的な映画としての(物理的な)クオリティは全編通して非常に申し分の無いものだったし、内容もごく「王道」であったな…と⇒クライマックスの大泉洋にはかなり感情移入できたな…と⇒素直に楽しめたな…と感じました。オススメできます。 [映画館(邦画)] 7点(2025-01-26 12:58:35) |
4. アンダーニンジャ
《ネタバレ》 まずは何度でも書きますが、私はこの監督のコレは嫌いではないので、且つ、お世辞抜きにも今作のコメディのソレは比較的に全然悪くなかったとゆーか、少なくとも(特に前半の)コメディの部分は全然楽しんで観てゆけたと思うのですよね。しかし、後から聞けばこれは原作がそもそも100%のコメディだ、なんてヤツではないってコトらしく…とゆーか寧ろ後半は相当にハードで(部分的には)凄惨な…という展開になってゆくので、率直に監督がこの方だとかってそーいう問題でもなく、どっからどう見ても前半と後半の空気感がミスマッチすぎる(=これも「合ってない」という次元でなく「合わせようがない」という次元で)としか言い様が無いのですね。だからもう「ソレはソレ⇔コレはコレ」で、コメディとアクション(に於ける登場人物の役割&キャラそのもの)を何とか鑑賞側が自ら「分離」して観てゆかないと、中々キビシイかな…とは思ってしまいます。うーん……正直、私もそうは言いつつ+(再度)監督のコメディも嫌いではないとも言いつつ、個人的にも相ッッ当にシビアな闘いであった…としか(更にまた)言い様がねーですね。。私の好みの食べ物にて(無理繰りに)例えるのならば、二郎系ラーメンに苺大福が2,3個ブチ込まれてた…みたいな感じ、としか。。迷いに迷ってこの評点で。。(⇒結局高めに寄せちゃっては居ますが。。) [映画館(邦画)] 6点(2025-01-25 17:36:34) |
5. 女囚霊
《ネタバレ》 うーん、ポンコツホラーですね……ワッケ分からん…… 原作ありでかつ未読ですが+んで映画だけ観たトコロでも(少なくとも)大筋はスッと入って来るって感じでもありますが、そもそもその大筋=サスペンスホラーとしてのメイントリックについては、確かに十二分に面白味のある良アイデア(な方)だとも思われたのですよね。しかし、この映画版はどーにも(特に途中が)分り難すぎるとゆーか、多分これって結局、描写の少なからぬ部分(特にホラーシーン)が「催眠による幻覚」だった…てヤツなんだと思うのですよ⇒でもまた結局、映画としては全体的に諸々と雑すぎて、端的に「どっちがどっち」だかが分らないからその辺が伝わらなくって訳ワカメになってる…と思ってしまうんすよね。誰が何を見ていて+それをどういうモノだと感じている・捉えている(=だからソコにどういう疑念を抱いている)のかがとにかく伝わらなくて、そして最後にそれらを「整理する」という展開も皆無でってなモンだから、と……⇒むしろワケ分らないままにファンタジック方面に暴走しちゃって終わってる、と……そのクセ、中盤ではサスペンスチックに謎解きやら計略やらの真似事までオッ始めるし、どだい私はそもそも(別にキャラもそこまで大勢ってワケでもねーのに)主役のコでさえもバックグラウンド・背景事情の説明が雑すぎだな~とも思いつつ観てたりもして……(これならもう10分尺取ってチャンと説明を積上げれば好いのに、な~んて……) もう一点、ホラーとしては(これも特に中盤までは)シンプルに「演者の演技」に頼りすぎっすね⇒これだと流石に「ヒトコワ」の成り損ないにしか成らないっすよ。その意味でも、サスペンス部分の仕上りがより重要だったのに…とも思ってしまいますよね。主演をメッチャ可愛い女優さんに張らせて、んで替りに助演を演技力の高い方々で固める、という(よくある)建付けなんかも決して機能していなくはなかった(+実際に助演陣の方々の演技も総じて悪くなかったし、一方で主演のコは確かに目を引く美形でこれも好かったし)とも思うので、それで居ての(全体の)ここまでのポンコツっぷりはだいぶん残念なコトの様に思われます(=結論的には、脚本がとにかく好くない、雑だ、としか言い様が無い)。原作も、完全にネタバレになっちゃったので流石にもう読む気も沸いて来ないし…… [DVD(字幕)] 3点(2025-01-13 18:47:38) |
6. 先生!口裂け女です!
《ネタバレ》 ホラー映画(少なくともコメディ・ホラー)かとは思って観始めたのですが、青春ものや(特に終盤は)アクションの要素も増えていくのでどちらかとゆーと「B級」エンタメ作品、くらいの括りとして観に行った方が好い様な気もします。要は、やっぱB級はB級=安手は安手な作品で、中でもストーリーがとにかく安っぽい=バラバラと出て来るモノに総じて「必然性が無い」と言いますかね(何故、そうなってゆくのかに理由が無い)。他方、画づくりや演技なんかの物理的なトコロは、本格的とまでは言わないまでも結構丁寧につくり込まれてるって印象で、娯楽映画としてなら全然楽しくノンビリ観てゆけるなァ…とも思いつつ、再度、ジャンル雑多なコトも相まって「ナニがしたいって映画なのか?=どこに向かってるってお話なのか?」とゆーのが、ごく終盤までかなりの心配事として心にモヤって居たのが率直な感覚だったのですね。 しかし、クライマックスの口裂け女さんの大立ち回りを観るに、そんな不安は完全に氷解して実にスッキリと観終わるコトが出来ました。確かに、仮に今作に続編が在ったとするならば、それは多分「ダークヒーローもの」と言われるべきナニかであるのでしょーね(⇒だとすると、今作もまた「ダークヒーローもの」と理解すれば好い…という気もしますケドも)。また再度、B級映画においてより重要となるのは「完成度」よりは「突き抜けたひとつのナニか」であるとも再認識させられましたよね。結論、丹念にごく好ましく仕上げられた紛うコト無き「B級」映画を堪能させて貰ったということで、一点加えてこの評価とさせて頂きます。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-12-10 23:46:48) |
7. ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
《ネタバレ》 観てる最中は率直に、最終作にしては脚本が弱いな…(話にスペシャル感がねーな…)と怪訝に思いつつ居たのですケド、なんかどうも根本的に勘違いだったよーで(⇒でもポスターに「最期」みたいなコト書いてなかったっけ?)別に今作が完結編というワケではないってコトみたいですね。。ただ、映画のつくりそのものはかなりグレードアップしてまして(宮崎ロケとかもそう)、前田のあっちゃんも然るコトながらやっぱ池松壮亮さんの存在感とゆーか端的なクオリティは凄かったですね。アクションの質・量も申し分無く、多少クセは有る方の映画だとは思いつつ、それでも娯楽作としては(既に)手堅いってレベルで広く楽しめるのではねーでしょーか。やはりオススメは出来るシリーズですね。 ただ……再度言わせて貰うと、ちょっとお話自体の出来 or 中身の詰まり具合みたいなトコロには、やや残念な感じも在りますかね。特に、前述どおり池松さんは役づくりからして相当に高度に好い感じに仕上げてきてたと思うのですが、その意味ではちょっと「喰い足りない」とゆーか、もっとココにもクオリティを詰め込めたのではねーか…的な感覚もあり(その辺は、もしかしたら前田敦子さんのトコロにも同様のモノがモヤモヤしてるかも知れません)。主役のふたりのシーンで(アクションにしてもドラマにしても)少なくとも映画の半分は埋まってしまう必然があるハズなのですから、残りの半分は誰かの話に絞った方が…というコトかも知れないですかね(実際には中々そうもいかず、他のモブキャラの話だって挿し挟まずには居られないのであって)。コレはもう、連続ドラマの方も観れば好いのですかね…??… [映画館(邦画)] 6点(2024-10-12 22:18:06) |
8. 志乃ちゃんは自分の名前が言えない
《ネタバレ》 根本的には、非常にオーソドックスな青春映画だと思うのです。これもまた、いずれ世に打って出なければならない若者たちが、その為に必要な「自信・自己肯定感=コンフィデンス」と言うべきモノの端緒を掴むまでの物語である、とは思うのでして。中で第一の主人公は、その面においては極めて劣悪な状況から物語をスタートしているとゆーか、冒頭30分位までは(個人的には)かなり観ていて居た堪れない、という映画ではありました⇒でもそれは、少なからず私自身にも(多少レベル感は異なれども)それと同様なナニかが「身に覚えの有る」コトだったからだと思うのであって、だからやはりこれは非常に普遍的な青春の物語なのだろう、とは思うのですケドね。 ある種ニつほど、そーいうオーソドックスな青春映画であるコトの上に、付加価値的にこの映画がオリジナリティと言うべきモノを備えて居るとしたら、一つそれは、ソコまでは(やはり)ごくオーソドックスに分り易く展開を運んでくる一方で、終盤からクライマックスにかけては(急激に)ごく繊細で曖昧な物語としてそのテーマが語り上げられる、というコトでしょうか。この部分に関しては、殆どあらゆるモノ=ブチまけられる感情が沸き起こる「理由」というのが、作中に明解に表現されて居る訳ではない、という様にも見えました⇒なので、逆に、その部分はそれこそ如何様にも観る側の自由な想像に任され得る、とも思います。私自身は、根本的にはそれでも、実に非常に「正しい」方向に進んでいった物語だと感じて居ます(⇒それは、前述の序盤の居辛さを越えて以降も決してただ居心地の好い物語では無かった…とは言えども、その先に現れた方の辛さや優しさや、そして種々の「傷の痛み」については、それがその彼らの人生において意味せんとするトコロが、全て正しい「先」に向いていると感じた、という意味でです)。二人が菊池に示した受容の在り方も、年齢に不釣合いな加代の優しさも、そして何より志乃の種々の怒りも&でもそれでもその怒りを実際に口に出すときに彼女が選んだ言葉の一つ一つに至るまで、あくまで私における「想像」の上からは、実に筋の通った&共感の可能な物語だったと、私自身にはごく非常に得心の行く作品だったのですよね。嘗ては、この手の作品を観るとどーしたって「原作も読んで…」みたいな欲求が芽生えたりもしたのですが、最近は&そして今作に関しては、そんな必要は無いかな、と思う様には為りましたかね(⇒驕りに聞こえたら申し訳無いのですが、それでも、私は「コレはコレとして」つくられている作品だ、というトコロには、ある種の確信を持っている、というコトではありますね)。 もう一つ、今作がスペシャルである理由は、何はともあれ主人公役の南沙良さんですね。一言、素晴らしい演技でした(⇒もう一つダケ付け加えるなら、クライマックスはもう、真の意味で=演技としても単に一人の人間としても、正に圧倒された、という感があります)。「原作を読んで…」みたいなコトの必要性は感じていない、と言ってはみたモノの、彼女がそういったシーンをどういう解釈のもとに演じていたのか、というトコロには、興味が無いと言ったら(全くの)嘘には為ってしまいますかね。加えて、蒔田彩珠さんも負けず劣らずの好い出来だったと思いますね⇒こちらは、個人的には、ややゲスいかも知れませんがとにかくルックスが超・好みだった(=ここ数年のあらゆる映画の中で最もその意味でココロ揺さぶられた)というコトなのですよね…… [インターネット(邦画)] 8点(2024-10-07 21:13:28) |
9. モリコーネ 映画が恋した音楽家
《ネタバレ》 編年体的と言うか、モリコーネ氏の長大なキャリアを最初から最後まで辿ってゆく形式で、かつ(当然の如くに)語るべきコトが膨大なのでこのボリュームになっている様です。序盤、やや「事実の羅列」的である様にも(再び当然に)思われたとも言えますが、最後まで観ると個人的にはごく適切な語り口だったのではないか…とゆーか、諸々の困難に対して最後まで試行錯誤・挑戦をし続けた=型に嵌らずにアイデアを出し続けた、とゆーのが、氏の偉大さの本質ではないかと思うまでには至ったのですよね。映画音楽とゆーのも、高度に専門的な分野だけに監督に依っても音楽担当との関わり方・アプローチも様々だとは思われますが、この映画を観る限り、モリコーネ氏に関してはソコはある種全て実力で「捻じ伏せた」とゆーか有無を言わさなかった…というコトにも見えました。がそれ故に、氏の関わった映画に関して言えば間違い無く、その音楽的な部分のアイデアとゆーのは全て氏の手に因るモノなのだろうと⇒それはつまり、氏がどういう映画に対して如何なるアプローチ・バリエーションで挑んだのか、というコトそのモノが、映画を志す者にとっては須らく探求の対象となるべき貴重な「遺産」と言えるのではないか…と思わされた=実感させられましたとも言えますね。その意味で、真に稀有な映画人だったのではないかと思いますし、同時に、今作もまた非常に観る価値の高いドキュメンタリである…とも、やはり思われてしまいますよね。 ※余談:映画(+氏の音楽)というシーンもふんだんなのですが、これまた全てが「名シーン」にしか見えず、観たコト有る映画もまたみたくなるし、観たコト無いのも観たくなるし…で(非常に個人的な事情ですが)ワリと大変でしたよね。。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-09-24 00:25:29) |
10. スオミの話をしよう
《ネタバレ》 よく考えてみると、この監督(・脚本)の方の映画ってのをあんまし観ずにココまで来てしまってるって感じでもあるのですが、少なくとも本作はかなりフルスイングに大ボケ(ボッケボケ)な質感のコメディではありまして、実際に演技もナンも一切合財相っ当に大袈裟であるコトも含めると、まずは多分に舞台劇・舞台芸術っぽい感じでもありましたかね。加えて(だから)特にキャラの造形の部分にはリアリティが在るって感じではないので、畢竟、お話の流れにも隅々まで納得が行き渡る…な~んてコトになる可能性もあんまし高くはねーかなーと思ってもしまいますね(⇒それ自体が好いのか悪いのかは別としても)。そもそも、コメディ・お笑いってまた、人に依って比較的「好み」自体が分かれるトコロでもあるかとは思うので、その意味でも仮にもし「好みじゃない」とするとコレって、ちょっと流石にどーにもなんない…みたいな気もしてしまいますかね。幸いにも私は、実は結構嫌いじゃない方のソレではあった様な気もしてて、なので結局この位の評点にはなります(⇒最後まで観ると、とゆーか、結局ホントのオーラスのオーラスの「ヘルシンキ~~~♪♪♪」の辺りで遂に大爆笑!に至るコトが(チャンと)出来ちゃってるのでして⇒勿論、むしろあの辺りこそが前述の「好みが分かれる箇所」の最たるものであろう、と言ってしまえるダケの客観的視点とゆーのも持ち合わせている積りでは居ります)。映画自体のつくり諸々としては、かなりリキの入った丁寧なモノだったとも思えてますし(カメラワークとかもワリと凝ってた気がする)。 とは言え、ね~~~そーいうの関係無く、少なくとも長澤まさみさんに関してはコレは絶対に嫌いな人の方が圧倒的に少ないってコトだとは思ってるのですよ。んで、何となく予告編とかの感じからすると、その長澤さんがあんまし出ない(=出ないケド存在感ダケ在りまくる)みたいな方の映画なのか…とも思いきや、実際には全然そんなコトも在り得ずにフルスロットルで大暴れ!してくれちゃってるって方の映画なのですわね。結論、長澤まさみさんがお好きな方になら、全然フツーにオススメ出来るって映画ではあります。ただし一点、前述どおりお話にはあんまし中身の無いってコメディ…のワリにも、尺も別にそんなに短くもねーので、有り体に言うと「コレって映画館で観るべきなのかな…」みたいな感覚とゆーのは、無いと言えば嘘になってしまうかも知れません。 [映画館(邦画)] 6点(2024-09-14 00:54:53)(良:1票) |
11. 河内カルメン
《ネタバレ》 さっき『肉体の門』の方でも仄めかしましたが、まず今作の野川由美子さんってナンか一瞬信じられないレベルのド級の美人に(何故か)見えちゃってまして、一方で内容も内容とてモ~「悪ふざけ」に近いって遊びっぷりで、演出もまた(善きにせよ悪しきにせよ)実に監督の「クセ」が超・強力に出捲っちゃってますし、また他方では中盤に一発野川さんと佐野浅夫さんの(諸々と)また意味分かんないケド意味分かんない位に凄い(全力で笑えて全力で泣けちゃうって)超絶演技の名シーンも在ったりして、ま~た正直「ナニこの映画???」と思ってしまって已まれなかったすよね。重ねて、先の『肉体の門』と点数の前後は付けておくのですケド、率直にそのコトに意味とゆーのはほぼほぼ無いのです。興味と機会と暇の在る方は、万難を排してでもご覧くださいませ。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-09-07 01:50:19) |
12. 肉体の門(1964)
《ネタバレ》 先に『河内カルメン』から観てしまったのですが、製作年とはテレコ!てなモンでアッチはモノクロなのにコッチは極彩色!だモンですから、コントラスト的に(観るのが後になった)今作の方が更に一層眩い…みたいな感覚では居りましたすね。尤も、お目当ての野川由美子自体は逆に、モノクロの方が(物理的に美的だったかどーかで言えば)より美しかったとも思いますケドも。とは言え、お話と、それを織りなすキャラクターの「凄み」みたいなモノに関して、ソコはどーしよーもなくコッチが上回るとは思うので一応評価の上下は明確に付けておこうかと。何つーか身も蓋も無く、ココからロマンポルノに繋がっていったんだなァ…とは(やはり)思われてしまいます、が、その意味では中盤以降の緊縛シーン×2のクオリティとゆーのは、ワリとロマンポルノ結構観たゾ!て自負のある私の感覚からしても、正に原点にして至高!みたいなド級の出来だったとしか思われませんですね。実にこう~~~上手いコト諸々を「隠してる」とゆーか、一方でそれでも尚このレベルまでに(随所に渡って)画的な美しさに(勿論の)妖艶さも兼備して…とゆーのは、やはり唯々「凄腕」だとしか言い様がねーな…と思ってしまいます。『殺しの烙印』以前の作品を正直追っかけれてない(⇒否、避けていた)のですケド、ゆるゆる全部観てゆこうかと思いました。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-09-07 01:37:30) |
13. きみの色
《ネタバレ》 お話自体は実に普遍的な青春映画ですね(「きみは何色か」はそのまま「きみは何者か」でしょーから)。かつ、その中で感情の起伏やストーリーの抑揚とゆーのはかなり振れ幅小さくて、諸々と実にゆるやかに彼・彼女らは季節を巡ってゆく…という感じだと思いますし、その語り口としてもまた諸々を決して語り過ぎるコトもない…という感じでもありますね。繊細な映画だと思います。ただ個人的には、そのお話=描かれるモノ自体についても、確かに繊細な質感ながらも最後まで観ると実に見事に繋がってったジャン…とは思えてまして、青春映画としてもシンプルにごく非常に優れた作品だったと思います(⇒自分が何者かを知るべき人に、勧めるとしたら現時点で第一候補になり得る…かとも)。 重ねて、特に前半は(+その後も終盤手前位までは)、例の「何を描くか」よりは「どう描くか」の方に遥かに寄ってっている…て方の作品かとは思えて居たのですケド(⇒上で書いたとおりその認識は最後まで観たら好ましく覆されもしたのですケド)、とは言え圧巻なのはやはりその表現のクオリティ=画と色遣いの端的な素晴らしさ、に在るのだとは思われます。アニメ映画を逐一追っかけている身ではないモノの、最近ってこのレベルがスタンダードなのですか?と、ちょっと信じ難いな~て眼で終始観入ってしまって居ましたね。どのショットも、ど~見ても監督のこだわりとゆーか美学とゆーか今までに貯め込んだ蘊蓄とゆーか、選び抜いた・磨き上げたって感覚がひしひしと感じられる様な見事なる「一幅の画」ばかりだった様に思えて居ります。傑作かと。 [映画館(邦画)] 9点(2024-09-05 21:51:19) |
14. サユリ
《ネタバレ》 小耳に挟まる巷の噂どおり、シンプルで純粋なホラーとは到底言い難い様な作品ですね。でも、ポジティブな言い方をするならフツーに「色々な味が楽しめる」というシンプルな良作品だとも思うのです。ホラー、コメディ、そして醜悪なグロテスク…他にもまた、友情や青春や、家族やその他諸々の間に生じる「愛と言うべきナニか」(⇒或いはもう少し下世話に、連綿たる「生命の営み」とでも言うべきナニか)等々と………誤解を恐れずに言えば、またまたそれ等は、実に「そーいう味しかしないモノ」として半ば無造作に作中に放り込まれている、と思ったりもするのですよね。ちょうど、料理でゆーたら、砂糖とケチャップとマヨネーズと焼肉のタレと刻みニンニクを使いたいダケ使って(百貫デブが)調味した…みたいな感じに思えるんだよな~と。しかし、時にその、ハナから「調和」を目指さない、全てにおける「やり過ぎ感」とゆーのが逆に奇跡的に調和をもたらして、そして既存の評価軸の限界値すらを突破してゆく…みたいな現象がこの世界では稀に発生するとは思っておりまして、今作も恐らくその手の映画=私が個人的には「ラーメン二郎みたいな」と形容しているソレなのではねーか、と思ったりなんかはしておりますね。私の中では、ホラージャンルであれば尚更に、この手の映画の金字塔として永遠に君臨しているのは彼の『ブレインデッド』だと信じて已まないのですケド、再び、私としては、今作は実に見事にあの名作と比較し得るという域に達した秀作だ、と思います。映画館で是非。 しかし、評価としては(実は)已むに已まれず1点落としておりまして、その理由はごくシンプルに、一つダケ残念ながら、ごく個人的に極めてちょっと「嫌いな」食材・調味料が含まれて居た、からなのですよね。。父親の所業……いや、コレもコレとて確かに、実に確実に「そーいう味」をもたらすモノだとは思うのです。しかし、重ねてごく個人的に、私はこの食材が大嫌い⇒否、シンプルに「安易に映画に使って欲しくない」という急所的なヤツなのですよ(⇒いくら、求めるその味を100%の確度で出せるって代物…だとしても)。ソコは少しダケ残念に思われましたかね。 ただ、コレも巷の噂のとおり、エンタメとしては十二分に優れた作品だと思います(⇒対象となる視聴者の層は決して広くはないとは思えども)。今作を以て、白石監督はたぶん更に売れに売れてゆくのでしょーね。ただ個人的には、監督はもう少し早く、あの『貞子vs伽椰子』を以て(今作のこの感じで)売れるハズだった…と思われて仕方が無かったりもします。だからむしろ、コレで売れたら次は『貞子vs伽椰子2』をごく今作みたいな感じで撮ってくんねーかな、な~んて思ったり思わなかったりもして…(また可愛い女優さん2人ゴージャスに主演に起用して貰っちゃって…) [映画館(邦画)] 7点(2024-09-02 22:19:15) |
15. 女優霊(1996)
《ネタバレ》 懐かしいすね。もう30年位昔の作品になるかと思いますが、私が初めて観たのは20年ちょっと前の深夜映画の枠でしたか。今作や、あと『らせん』とかも、真夜中にボンヤリ観る分にはちょっと不気味でちょっと怖くて、所謂「寝物語」的なホラーとしては当時ごく非常に楽しめたと言いますか、ソコは今今に再見しても、やはり多少の「不条理」な味わいが好い感じに作用してる…なぞとも思われるトコロですね。 正直、コレが私のホラーの原風景…(⇒少なくともJホラーに関しては)とゆーか、映像の質感も前述の不条理みも、ワリとこーいうのが嫌いじゃなかったから観始めたんだよ、とゆーのが(今なお)私の非常に根っこのトコロに在る様な気はするのです。ただ、今作に関しては久し振りに観直すと、そのホラー演出というトコロについては、まず諸々の音・音楽の感じは(やっぱ)少し安っぽい様な気がする…とゆーのと(⇒コレって高橋洋さんが絡んでるホラーを観るたび毎回思われてる気もする…)、また特にオーラス付近のラスボスお化けの感じは、もっと昔の「怪談」系映画のそれ⇒例えばそれこそ『怪談』の岸惠子の雪女、みたいだな~と思ったりします。そこら辺にはまた「時代」というモノを感じてみちゃったりもしますし、んでそのコト自体もまた更に更に、自分自身のノスタルジィをくすぐって已まない様な気もする…とも言えますね。 とは言え、そもそも今作、Wikiの記述を見るまでもなく、特に前半は思いっ切り青春映画的なつくりを擁しているのですよね(⇒だからまた更に、ノスタルジィなのは当り前…なのかとも)。しかし、最大の問題点はむしろソコに在る…とゆーか、結論的には(二本柱的な)青春映画としても&ホラーとしても、やや中途半端かな…と思ってしまうのです。ソコは、中編だから敢えて(その2つに)ケリを付けなかったとゆーよりは⇔ケリが上手く付けられそーになかったから中編でも止む無し…みたいな方の見え方により近い気がしてしまうのですよね(少なくとも、私個人における・個人的な見え方としては)。結論、上で述べた個人的な感傷の諸々を差っ引いても尚、全く全然悪くはない方のクラシック和ホラーだとは思うのですケドも、それはあくまで「小品」としての評価であって、だから佳作ではあれど秀作・傑作とは見做し難い…とゆーのが最終的な評価になるのですね。機会が在れば全然、観ても損はしないかな…とは思いますケドね。 [DVD(邦画)] 6点(2024-09-02 00:53:41) |
16. ガメラ3 邪神<イリス>覚醒
《ネタバレ》 1のレビューにも書きましたが、ココまで来るとかな~り「エヴァ」風味が増すな…とゆーか、まあ影響が無かったとゆーのは少々無理っぽい…みたいな感じではありますかね。ただ、それでもこの最終作は(私の感覚の中の怪獣映画としては)少しダケ「暗すぎる」とゆーのが言いたいコトの80%位になっちゃってますかね。取分け、前田愛ちゃんに係るナニもかもが暗くて辛くて湿っぽすぎると思うのですよ。あんなにカワイイのに⇒否、あんなに高度な「カワイイ系」のルックスだからこそ、ごくシンプルに暗い顔が似合わない・映えないのだよな~と、観てる間ソレばっかり考えてしまってました。マジでホントに、最後の最後で一瞬ダケしか「デレない」って始末なモノで…(コレも今回調べたら、例の「ツンデレ」って言葉が出始めたのは今作のちょっと後のコトらしーのですケドね…) 他、1作目と比べるとガメラの容貌自体もエラく凶悪になってるのとかだって、別に無理に気にしたりはしないですケド、でもちょっと「セコい」な…みたいな感覚でないコトもないかな~とは思ってしまいます。世界観自体は(個人的には一貫して)かなり好みな方のレベルのヤツではあるので、今回観直しても(三作目だって)全然面白く観れるジャン!とは再び思ったのですケドね⇒今作のみがやや突出して評価低いのは、コレもあくまで個人的なコトですが少~しアンフェアかな…という感覚では居ます。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-08-26 23:15:19) |
17. ガメラ2 レギオン襲来
《ネタバレ》 1より2の方が評価が高いのは、第一に物語の密度が高くてテンポや疾走感が優っていたと思われたコトですね。第二に、一方で話の辻褄もまずまず整っていて(+だが決して整いすぎても居ない…ケド、ソコも件の「質感」という意味ではむしろ好ましく感じられて)今今にも大人の鑑賞にも耐える…と思われたトコロですかね。プラス第三に、レギオンがガメラより単純にかなり「強い」というコト⇒それをどう倒すか…というトコロのアイデアも、作中の世界観・三部作全体の流れの中に上手く乗せられていたと思ったコトですね(少なくとも、あくまで青少年向けの範疇から逸脱せずにごく分り易いのが好い、と)。1作目(福岡)に引き続き、日本の地方都市(札幌&仙台)にフォーカスしたトコロも地味にポイントが高いです。札幌にはこないだ旅行で初めて行ってきちゃったので、今更ながらに感傷もひとしおでしたし。 [インターネット(邦画)] 8点(2024-08-26 23:04:25) |
18. ガメラ 大怪獣空中決戦
《ネタバレ》 今を去るコト30年前、95・96年辺りって、この手の「男の子向けコンテンツ」の分野に関しては個人的にヒジョーに思い出深い頃合いだったのでして、この平成ガメラは(実は)当時タイムリーに映画館で観てたってワケではなかったと思いますが、特撮だととにかく『ウルトラマンティガ』にドハマりしてた時分でしたし(⇒実はそのちょっと前から『ウルトラマングレート』にもだいぶハマってた)何より『エヴァンゲリオン』が社会現象になってたのもこの時期だったですからね。三部作をいま観直すと、まずはやっぱこの『ガメラ』もその辺の作品群とは「質感として」かなり似通ってるよな~とゆーのが如実に感じられるのと、他方で昨今の『シン・ゴジラ』『ゴジラ-1.0』なんかと比べてみてもこのジャンルの作品における「発展の方向性」とゆーのには再び何か強烈に一貫したモノを感じるな~というトコロでもありますね。正に、平成期のゴジラとさっき挙げた2作品のちょうど「中間」だと言うべきシリアスさ・大人向けっぽさだと言いましょーか、んでソレこそが個人的にはこの三部作で一番好ましく思われる部分(=質感)だと言っても好いのであります(完全にノスタルジックそのモノなのでして)。先に結論を申し上げると、三部作の評価順としては2⇒1⇒3だ…とゆーのは確定として、各々を何点にするか=ベースが何点か、については相当に迷ったトコロなのですが⇒やっぱ心置きなく高めに寄せておきます。観直してみても素直に面白かったですよね。 「発展の方向性」が一貫している…とゆーのは、また個人的には「観る側」に原因を求めるのが自然かな…と(以前から)思ったりもしていたのですケド(有り体に言えば、少子化のせい?な~んて)、あくまで可能性の一つとして、また実は「つくる側」に原因を求めるコトも出来るのではないか…なぞとも今回思い直したりしました。金子修介監督は1955年生まれで、やはり子供の頃は怪獣小僧だった…とのコトで、だから『ウルトラマン』の方をタイムリーに観てた子供が大人になって、その記憶を掘り起こして+その時点で「自分が観たいモノとして」質感を調整してつくったからこーなった…というコトなのではねーかな、と(⇒ソコが、樋口真嗣さんだと10年位ズレてるから、起点が『帰ってきたウルトラマン』で平成ゴジラとかガンダムとかも経てのモノになって…と)。そーいうのって他にも例えば、スプラッタが昨今はどんどんどんどん過激になっていかざるを得ないコトなんかともリンクする様な気もしていて、ソレはまたこのジャンルにおいても、この『シン・ゴジラ』が流行ってから30年位も経った後って、一体どんな怪獣映画がつくられているんだろう?みたいな、ソコは楽しみでもあり(ある種)不安でも…みたいな感覚では(いまいま)居りますよね。その不安が残念にも現実になってしまった暁には、でも、私はきっと『シン・ゴジラ』ではなく、やはりこの三部作に戻って来るのだろう…とは思って已まれないトコロで居ります。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-08-26 22:51:46) |
19. あのコはだぁれ?
《ネタバレ》 毎度全く事前情報を入れて行ってないので、今度もまた何事か…と思ったら例の去年の(ちょっと評判好くて金儲けになったであろう)『ミンナのウタ』の焼き直しなのですよね。その前作は、もはや剽窃と言って好い様な嘗てのJホラーのパッチワーク的な作品で、だから(極めて月並ではあれど)お話には分り易く筋が通っていたと思ってます。で今作は、中盤は(また)ま~んまソイツを語り直してるダケなのでして、ただしソレを挟む序盤&終盤が非常に不可解なシュールレアリスム・ホラー的な代物ではあり、その辺は寧ろ監督の『忌怪島』の方に近い様な質感だったかと思います⇒色々と、ま~た性懲りも無く同じ様なコトをしでかしてんな~~と。。 まァ、とは言え、私の大嫌いな(『忌怪島』準拠の)安っぽい意味不明ぶりについても、序盤の描写のソレに関しては終盤で一応回収されるとも言えますし、終盤も(私個人としてはやはり)チンプンカンプンに近い支離滅裂…ながらもソッチはオーラスの不可解な(ちょい)バッド・エンドに向けては比較的巧く繋げられていたかな…とも思えるので、再び個人的には(少なくとも)『忌怪島』よりは多少マシかな…とまでは余裕で思えるって感じですね。プラス、それこそ『犬鳴村』以来の怪奇!と言うよりは珍妙!なるホラー描写の出来とて、今作に関してはまあまあブキミな感じのモノも散見されて⇒人に依っては「怖い!」と思って観るコトも可能なのではないか…という程度のホラー的クオリティだったかとは思うのですね。ただ、私自身は『ミンナのウタ』の時から正直そーだったのですケド、結構「紙一重だな…」という感覚では居るのでして、特にあの母親が突然叫び出す様なシーンに関しては、怖い!と思うよりは正直どれも笑えてしまうって有様なのですよね(鼻で)。結論、個人的には明確に『ミンナのウタ』よりは下⇔『忌怪島』よりは上、という感じかと思います。私の評点も思いがけずピッタリとハマって非常に好かったと思います(⇒『ミンナのウタ』は今作と同じ評点ですが、アッチはもう一点加えるか迷った…とは当時も明言してますので)。以上。 [映画館(邦画)] 4点(2024-08-05 22:53:29) |
20. 前科者
《ネタバレ》 ちょっと惜しいな~とゆーか、全体的にややチープな感じが否めません。取って付けた様な動機&偶然の再会、みたいなのばっかとゆーか、でも聞けば漫画原作のドラマが先に在って⇒その番外編(後日談)という建付けのヤツってコトなのですね。なので、結局のトコロやっぱしドラマを観てから観るべき映画…だったのかも知れないと思いました(個人的には特に、有村架純ちゃんのキャラクターの掘下げとかには甘さとゆーか物足りなさを大いに感じてしまったので)。 その分、映画だけでも楽しめる様に…て目的が在ったからこそ、全体的な構成としても思ったよりも思いっ切りサスペンス色強めに仕上げられて居る…というコトなのでしょーかね。だケド(だから)また尚更に、ドラマとしては薄味で&重ね重ねサスペンスとしてもちょっとチープ=二時間サスペンスレベルの脚本の出来、という感じなのがド正直なトコロで……でも一方、キャストの演技のクオリティは率直に高かったとも思うのですよね。素直に有村架純ちゃんのハマり様は中々だったと思いますし、森田剛さんも相変わらず「ココまで振り切れるか…」という感じが満々で、あと個人的にはもう一人、マキタスポーツさんなんて正にこーいう役の為に生まれて来た!みたいなドハマり振りだったと思うのですね(再び)。その辺も含めて、実に評価が悩ましい…という作品ではありましたよね。 ソコで一点、時節がら、やるせない事件も起こったコトで「保護司」というモノに対する興味が(このタイミングで)無かったか?と言われれば、ソレは完全に嘘になってしまうのでして、映画とは関係無しに⇔(とは言え)今作を観てみたトコロでも、ソコに対しては唯々、敬意を払って頭を下げ続ける気ィしか起きねーな…と思うのですね。まァ~~~私なぞは、ナニがどう転んでも永遠に務まる気がしねーな…としか思えず…(再度、今作を観てもそうとしか思われず…)迷ったのですが、それら一切合財を含めて、いったんこの評価とさせて下さい⇒観て好かったか・そうでなかったかと言われれば、たぶん前者かなと。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-08-02 20:22:04) |