2. ホテル・ルワンダ
《ネタバレ》 もちろん映画は娯楽である。観ていて楽しくない(これはゲラゲラ笑うという楽しさではなくあくまで興味をそそられるという意味での楽しさだが)ものは、どんな素晴らしい啓蒙的で人道的テーマであろうと映画としては失敗しているのだ。 そういう意味での失敗作もある中でこの映画はかなりの点で成功の部類に入るものなのではないだろうか。感動を抑えた淡々とした進行、過剰な残虐シーンをおさえることでかえって惨劇への麻痺する心を疑似体験できる点、そして行きがかり上このような結果的英雄行為に至るごく普通の男の姿(彼とて自分の家族だけをまず守ることを考え、行方不明の姪たちを見つけるのに多くの人々の脱出を手間取らせたりしているのだ)。それらはこの忌まわしい事実を押し付けることなく私たちにただ示してくれる。 そして何より重要なのは次の言葉。「(世界の人は)これを見ても『怖いね』といってディナーを続ける」。・・・そう、私たちも知っている。私たち観客の多くもまたこの映画に心を打たれたり、何かを考えたりしたとしても、多分、多分「『怖いね』と言って夕食をとり続ける」人でしかないであろうことを・・・ ・・この映画を観て、いや、この手の映画を観ているといつも思ってしまうこと。 「果たして映画は世界を変える力があるのか?所詮は娯楽の映画というものに・・・」 ということ。 [DVD(字幕)] 8点(2007-09-26 18:08:33)(良:1票) |