1. アクト・オブ・キリング
《ネタバレ》 「虐殺」の当事者が自ら「虐殺」を演じる・・・まずその発想が驚きで、また、その発想を見事に映画作品としてまとめ上げた監督の力量に感服しました。 どんなに、(加害者側に)大義名分や正当な理由があっても、人の命を奪うという行為は、加害者・被害者関係なく大きな傷を負わされることになることを、この作品は教えてくれます。 湖や滝を背景にした幻想的な映像は、加害者たちが今まで続けていた現実逃避、そして彼らに対する贖罪を象徴しているように感じました。 [DVD(字幕)] 8点(2015-09-30 21:22:22) |
2. アシッド・ハウス
《ネタバレ》 いかにもメジャーな『トレインスポッティング』よりも、マイナーだけれども味がある佳作です。 この作品は、「トレインスポッティング」のアーヴィン・ウェルシュ作品の映画化で、何かに依存し頼ることによって、日々の閉塞感と退屈をやり過ごしている人々の姿をコミカルに描き出しています。 トレインスポッティングはそこに「未来を選べ!」というメッセージがこめられていて最後は爽快感が残りましたが、この作品は結局何にも変わりはしない現実が映し出されていて非常にシニカルですが、その悲哀こそが人生なのかなとも思いますね。 まあ、1作目のリアルな造型は、大型スクリーンでなくて良かったと思わせるものでした。面白かったですけど。2作目は成瀬 巳喜男の「浮雲」を思わせるというと失礼なくらい言い過ぎですがそんな感じ、3作目はバカバカしいコメディの形で、英国の階級社会の状況を戯画化した作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2013-02-02 09:55:51) |
3. アラビアのロレンス 完全版
《ネタバレ》 映画ファンならば死ぬ前に1回は見ておくべき作品の1つであることは間違いないですね。とにかく、映像のダイナミックさが凄すぎます。果てしなく続く砂漠の中では人間は本当に無力でちっぽけな存在であることを思い知らされました。戦闘シーンや戦士たちがラクダや馬に乗って砂漠を疾走するシーンの迫力も一見の価値ありです。 そして何より凄いのは、ここまでダイナミックな映像を映し出しながら物語自体は人間の弱さや帝国主義にどっぷりつかった大国のしたたかさや奢りを辛辣なまでに描いていて、ロレンスを英雄ではなく英雄に仕立て上げられた人間として描いており、観ている者にカタルシスを全く感じさせないことです。 この作品は是非大画面で観てもらいたいですね。 [映画館(字幕)] 8点(2010-08-28 16:58:46) |
4. アバター(2009)
《ネタバレ》 一言で言えば「凄い映画」。とりあえず技術面では現時点の最高峰であることは間違いありません。今を生きる映画ファンならば必ず観るべき映画だと思います。それも映画館に足を運び3Dで観ていただきたい。まさに映画史上に残るエポックメイキングな作品です。 ストーリーも、アメリカ的思考のみならず全世界に対する警告を発しているようで非常に興味深かったです。ジブリがアニメーションという手段を用いて訴えているテーマを、ジェームズ・キャメロン は3Dと緻密なCGを用いて描いているといった感じですね。 まあ、地球に生きる人間のはしくれとしてちょっと複雑な気持ちになるようなところもありましたが、多くの人に体験してもらいたい映画でした。 [映画館(吹替)] 9点(2010-01-31 01:18:43) |
5. 暗殺者のメロディ
《ネタバレ》 最初の方はやや退屈でしたけど、終盤の緊迫感・展開の鮮やかさは見事でした。 暗殺、しかも相手は世界中に知られており後世にもその名を残すレオン・トロツキー・・・そのプレッシャーの大きさに苦しみ悩む男の姿は非常に人間的ですが、しかし最終的に卑劣で残酷な手口で任務を遂行してしまうところに、追い詰められると本能的に勝手な自己肯定をしてしまう人間の弱さ・恐ろしさが出ていましたね。 [DVD(字幕)] 7点(2009-11-23 10:52:58) |
6. アバウト・ア・“サッカー”・ボーイ
《ネタバレ》 これは、フットボールフリークであれば共感できるけれども、それ以外の人たちには到底理解されることの無いおとぎ話のような映画ですね。まあ、はっきり言って主人公の行動は最低ですからw 現実にこんなことしたら裁判沙汰になってしまいます。 試合自体の映像は全く出てきませんが、欧州選手権の熱い雰囲気は凄く伝わって来ました。フットボール文化の魅力に取り付かれている方には是非お勧めしたい作品です(それ以外の方にはちょっと・・・・・)。 [DVD(字幕)] 7点(2009-05-26 18:58:15) |
7. あの胸にもういちど
《ネタバレ》 60年代のサイケな映像や音楽に合わせオートバイとマリアンヌ・フェイスフルの妄想が虚無的に疾走(というか暴走?)する1時間半、今なお斬新な60年代カルチャーを堪能させていただきました。ラストも衝撃的でしたね・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-12 22:01:33) |
8. アバウト・ア・ボーイ
《ネタバレ》 何というか30代半ば過ぎ、独身、1人暮らしの人間としては、いろいろと考えさせられる事が多い作品でしたね。一人一人が自分の「島」を持つってセリフとか、本当に共感してしまい、ちょっとヤバいかもしれませんが・・・・。 それ以外にも、片親の問題とか学校でのいじめの問題とかいろいろと重いテーマが取り上げられていますが、主人公と少年が問題を克服していく姿がコメディタッチで描かれているので、暗くなりすぎることがなく、観終わった後爽快な気持ちになりました。 [DVD(吹替)] 8点(2007-05-23 18:44:38) |
9. 明日へのチケット
やはり、サッカーファンとしては3話のセルティックサポーターの話が一番印象に残りましたね。最後にローマのサポーターが出てきた時はちょっと感動しました。 1話目(女優さんの大人の美しさが印象的でした)と2話目は何となく巨匠の映画という感じがしたんですが、いきなり雰囲気をガラッと変えてしまうとは恐るべしセルティックサポーターという感じですねw [映画館(字幕)] 7点(2006-12-10 23:13:49) |
10. 嵐の中の青春
《ネタバレ》 「キャバレー」は素晴らしい作品で大好きですが、そのベースとなったこの「嵐の中の青春」も中々のものです。 とにかく、ジュリー・ハリス演じるサリーの奔放さがとても魅力的です(身近にいたら疲れそうですが・・・・・)、そして、それに振り回される主人公のクリスのうろたえぶりを軽妙なタッチで描いていて とても楽しい作品でした。(特に病気の治療のシーンのドタバタ振りは見事でした。) ラストシーンも本当に上手く作られていて、観終わった後非常に清々しい気分にさせてもらいました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-10-25 09:16:10) |