1. レッド・ツェッペリン/狂熱のライブ
《ネタバレ》 以前、ストラップを少し長めにしてレスポールを構えていたら友人に「お前、何でそんなに長くしてんの?」と言われたので、さり気なく「ジミー・ペイジ意識してんだよ」と冗談交じりに言ってみたら「は?誰それ?」と言われたことがある。ポカ~ン…確かこいつ、ギター始めて6年とか言ってたよな…それなのにペイジを知らないのか…時代も変わったもんだな…。などという思い出話はこれくらいにして、これって映画としてはどうなの?って疑問がやはり頭の中を過ぎります。ストーリーといっても最初のメンバーの日常が少し、そしてライブ中のちょっとした風景が少しと、メンバーのそれぞれのプロモと思しき謎の映像が流れるだけで、作品として見たらやっぱりそれほど面白みのあるもんじゃありません。でも、やっぱりロック・ファンなら、無条件に点数を引き上げたくなりますよね(笑)1曲目のロックン・ロールから、30分くらい延々続く幻惑されてや、無性に泣けてくるフレーズの天国への階段、モビー・ディック、そして最後の胸いっぱいの愛を等々…最初から最後まで“ロック・スター”やってます。EXIT MUSICが天国への階段ってのも、なかなか粋なことしてくれてますし。これで映画館出てくる人っていたんでしょうか?出来る事なら家の小さいテレビではなく、大スクリーンで、いや、出来る事なら実物を見てみたかった、そんなことを思わせる作品(ということにしておこう・笑)でありました。 [DVD(字幕)] 9点(2005-09-24 03:39:34) |
2. エレファント・マン
《ネタバレ》 感動の嵐とか大きな感動を呼ぶとか言っておきながら実際はまったくもってオハナシニナラナイ薄っぺらのペラッペラで風が吹いたら飛ばされちまうような作品が多い中、これは凄まじい重さがズシーンとのしかかってきた作品だった。決して清々しいものではない。でも泣ける。凄く泣ける。現に俺はメリックがトリーヴス夫人に会った時点から既に泣いていた。いくら外見が醜悪だろうと心は物凄く純真。そう、人間は外見じゃない、心なんだ。最後も決して爽快なものではない。しかし、長く続いた苦しみから解放されるということ、そして苦しい人生の中、束の間の安息を手に入れた彼の安堵の表情が2重に涙をそそる。異色の感動策だ。しかしこれからも俺はこの映画のことを忘れないよ。 [DVD(字幕)] 9点(2004-04-24 21:24:38) |
3. 時計じかけのオレンジ
皮肉の効いたストーリーやキューブリックらしい芸術品のような美しい映像、そしてマルコム・マクダウェルの演技など、これが30年以上も前の映画だとは信じられないくらい素晴らしい。 9点(2003-11-12 19:06:49) |
4. 戦争のはらわた
いやはや、なんともけったいな邦題を付けたもんだ。そこらに埋もれてるB級ホラーじゃあるまいし“はらわた”はないんでないかい?どうも日本の配給会社はこうした意味不明な邦題を付けたがる癖があるようだ。しかし、この映画に至っては、はらわたという聞いていてあまり気分のいいものではない言葉を使うことによって、戦争の内包する残虐性だの邪悪性だのを表現したかったのであろうし、戦争映画として、本作は正に完璧なまでの完成度を誇っている。“シンドラーのリスト”に代表される殆どの戦争映画で邪悪の象徴のように描かれているドイツ兵の視点から物語が語られる本作は、登場するドイツ兵はみな人間味に溢れ、どちらかが善でどちらかが悪といった描き方ではなく、“殺らなければ殺られる、だから生き残るために殺す”という、戦争本来が持っている不条理な条件を時には悲惨に、時には激しく描いている。冒頭、そしてエンディングで流れる“小さなハンス”も、一見すると場違いな音楽に聴こえるかも知れないが、無邪気さゆえの残虐性というのが痛いほどに伝わってくる。手軽に見れる戦争映画といえば、“プライベート・ライアン”などの作品になるだろうが、真の戦争を描いた作品といえば間違いなくこの作品であろう。 9点(2003-10-23 00:47:36) |
5. シャイニング(1980)
この映画の素晴らしいところは何といっても、自分を愛し、守ってくれるはずの家族に殺されるという恐怖感がうまく表現されているところである。今まで優しかった父親が、今まで断っていた酒を飲み、暴力を振るい、ホテルに巣くう悪霊たちに取り憑かれ徐々に狂っていく様を、格調高く、不気味ながらも美しい映像で描いている。映像もそうだが、何と言っても恐ろしいのが、狂った父親を演じているJ・ニコルソンである。この映画はいつ見ても怖いし、この人がいなかったらここまでいいものにはならなかったと思う 9点(2003-04-11 01:15:35) |
6. エイリアン2
一番最初に観たのが3なので、個人的には3が一番好き(思い出補正込み)なのですが、実際のところシリーズ通して(4除く)甲乙つけ難い、というのが感想です。 1作目のように宇宙船の中で孤独と恐怖と戦う、というホラー要素がほとんどなくなり、コロニー惑星で大量エイリアンとドンパチ、という路線変更ですが、しっかりと前作からの流れを汲んでおり、登場人物についても個性的な人たちばかり、今見ると古めかしい「ハイテク」機器や、重火器、それぞれの場面を盛り上げるスコア等々、上げれば好きなポイントはいくらでもあげられます。 この作品のような作品はそれこそ、これ以降も星の数ほど作られていますが、未だ超えることのできないSFホラーのマスターピースのような作品の一つだと思います。 [ビデオ(吹替)] 9点(2003-02-13 22:40:54) |
7. エイリアン
今あるSFホラーの原点ともいうべき作品で、はっきりとは見えないエイリアン、宇宙空間という限られた空間が、恐怖心をさらに煽ってくれます。ものすごく古臭いコンピュータなど、今見たら凄くチープな感じがするところも多々ありますが、そのレトロな感じが、よりSFらしさを引き立てていると思います。そして、特記すべき点がもうひとつ、まだスプラッタというジャンルが確立していない時期に登場した例の腹破りシーン。話によると、出演者に何も知らせないままあのシーンを撮影したため、女性陣からエラい反感を買ったとか…。 9点(2003-02-13 22:34:09) |
8. ラストナイト・イン・ソーホー
《ネタバレ》 すごーく雑にいうと、「プロミシング・ヤング・ウーマン」などと同じ題材を扱っているのですが、正直こちらの方が面白かったです。 原色バリバリの照明と気を衒ったアングルとオールディーズ(アレンジ込み)などの音と映像で見せる手法はアルジェントのそれ、というか現代版ジャーロというべき手法。特にいきなり挿入される印象的な殺人シーンはゴア度という意味ではそれほどですがインパクトは抜群。 一見すると、60年代(というか前世紀)の女性の立場の弱さやジェンダーなどのもろもろ、夢半ばで諦めxざるをえなかった悲しい女性の物語などを主軸にしているようでいて、その実そんなのはどうでもよくて、とにかく綺麗な女の子がひたすら酷い目にあって画になるシーンと印象的な殺人シーンがあれば良いわけなので、そういう意味で非常に良くできていると思います。 意外に思える犯人も、序盤の「8時以降の男性来客禁止」「喫煙禁止」というのをうまいこと「夜の洗濯禁止」という禁止事項でカモフラージュしつつ、「愛着があるから売らない」という意味深なセリフでしっかりと明示している点も細かいなと思いました。 そして、はじめてエリーがサンディの姿を鏡で見るシーンがそのまま立場を変えてラストへ持ってくるあたり(そして同じ行動でしめるあたり)イカしているな、と思いました。本来なら7点くらいかな、と思っていたのですがこのシーンで一気に好きになりました。 昨今は変なお気持ち配慮が映画界にも迫ってきていて変にメッセージ性を求めたり、平等だの配慮だのという風潮がありますが、個人的に映画なんてもっと俗っぽいもので良いと思っているので、もっともらしいテーマで煙を巻いていその実ただのグロテスク映画だった、という本作は非常に気に入りました。 [映画館(字幕)] 8点(2021-12-11 02:57:51) |
9. ホテル・ムンバイ
《ネタバレ》 これが実話ということがとても胸が痛いのですが、映画としては実にエンターテイメントとして面白くできていると思います。 ただ、完全無欠のヒーローがいるわけでも英雄になるキャラいるわけでもない(一応アルジュンがその役を担う形にはなりますが)ので人が徹底的に無慈悲に死んでいきます。 変な微格も何もなくただただ「殺戮」という作業的な工程として。もちろん反撃も脱出劇も失敗します。そして「神に栄光あれ」という非常に馬鹿げた思想から利用されてしまったテロリストたちの滑稽さも相まって、首謀者の卑怯さも浮き彫りにされ非常に胸糞が悪くなる展開。初めから自分で実行しろって話です。 話がそれましたが、どうやって脱出するか?いつどこから弾が飛んでくるかわからない緊張感も相まって2時間集中しっぱなしでした。 ただ清々しい緊張感ではなかったです。 このテロで犠牲になった人の冥福を祈りながら、2度とこうした馬鹿げたことが起こらないことを祈ります [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-11-03 04:22:01) |
10. エイリアン/ディレクターズ・カット
《ネタバレ》 もとの作品が面白いので大幅な点数が下がりようないんですが、実際、ディレクtっラーズカット、と謳われても、オリジナルとどこが違うの?感が一番強い作品だと思います。 もちろん、オリジナルとは違うんですけど、個人的に終盤「アレ」を発見するシーンは、ちょっと蛇足かなと感じてしまったので、元の点数から1点マイナスの8点ということで。 [DVD(字幕)] 8点(2021-05-31 21:49:27) |
11. カプリコン・1
《ネタバレ》 他の方もご指摘の通り、アポロの月面着陸偽装問題を彷彿とされるストーリーですが、それをゴシップのネタ止まりではなくしっかりと一級のサスペンスに仕上げたところがすばらしい。 前半はNASAの威信をかけて、カプリコン1号の火星地表着陸映像及び船内通信を偽造するというSFの形を借りたサスペンス調で話が進み、中盤より、計器の数値及び船内映像の些細な違和感から調査を始め、真実に迫る記者、機密漏洩を防ぐために追われる身となった3人の宇宙飛行士を交互に描き、後半、事態が収束し、圧巻のスカイ・チェイスへとなだれ込む構成は観ていて非常に魅力的。 確かに、記者を追う政府の手が若干手ぬるいような印象を受けたり、追われる3人の宇宙飛行士の場面になると若干トーンダウンしてしまう気もしたが、何より、実際にありそうな(そして大センセーションである)国家の陰謀をここまでスリリングかつエンターテイメント感満載で描いたことがすごいと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2011-03-14 02:01:29) |
12. ダイ・ハード4.0
《ネタバレ》 このご時世にこの続編って、どうなんだろう?と、若干不安がありました。 今まではマッチョメンな特殊部隊等が敵として登場していたのに対し、今回はスマートなハッカー軍団で、お前ら本当に強いの?こんなの「ダイ・ハード」じゃなくね?という感じが常に付きまとっていました。 で、結論を言いますと、やっぱり、「ダイ・ハード」な感じとはちょっと違うにしろ、とてもよく出来ていると思います。 マクレーンがもはや普通のオヤジではなく不死身超人になっているので、今までの感じとはかなり違うな~と思いましたが、トンネル内での、“悪態ついたブチ切れマクレーン”あたりから、本来の彼に戻ってきたように感じます。 ところどころに1を彷彿とさせる場面があったり、例の名言を最後に言ってくれたりで、シリーズのファンとしてはそれだけでも満足です。 1作目はアクション映画の最高傑作。その続編と云う事で、随分分の悪いものとなってますが、上手く現代風にアレンジされていて、新世紀のエンターテイメントとしてかなり良い出来をしているのではないかと思います。 まあ、とりあえず言えることは、今回も、題名に違わず“死ぬほど忙しい”映画でしたね、いろんな意味で。 [映画館(字幕)] 8点(2007-07-28 22:16:31) |
13. ショーン・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 一般的には「ドーン・オブ・ザ・デッド」のパロディとして認知されているんでしょうけど、正確には「ゾンビ」(原題DAWN OF THE DEAD)のパロディとみるのが正しいと思います。 ということで、本作を本当に楽しみたいならアヌビス三部作を見ていないと辛いと思います。 逆を言えば、それだけロメロ版ゾンビへの愛にあふれている、と言えるでしょう。 特に思い入れがある人なら冒頭、そしてエンドロール時の本家ゾンビの楽曲、ゴブリンのBGM、そして「We're commin' to get you Barbara!」あたりで歓喜の声を上げるでしょう(俺は上げましたw) もちろん、QueenのDon't Stop Me Nowに合わせてゾンビをぶん殴る場面や、“実は音楽を消したかっただけだったパパ”の場面等、笑える部分もあり、かと思えば後半、ゾンビになったママを撃たなければならない等のシリアスな展開や人間模様も描かれていますしゾンビも面白いようにゾンビらしく、見せるところはきっちり見せてくれるので、その作りの丁寧さ(と遊び心)が窺い知れます。 近年作られたゾンビ映画の中では最もゾンビらしいゾンビ映画でしょう。 [DVD(字幕)] 8点(2007-07-28 06:58:54) |
14. スナッチ
《ネタバレ》 こやつは確かに複雑。 始めからどんどん登場人物が出てきて、その上色々と交差してくるから、どんどん訳がわからなくなってくる。ある意味、そこらの群像劇よりも複雑なんではないだろうかと思う。 しかし、中盤に行くにあたり、次第に物語が収束していき、終盤にて一つに纏まると、ああ、こう言うことね、と痛快さが伝わってくる。 とてもセンス良いね~。 ミュージック・ビデオのような感じが無きにしも非ずだけど、全編を織り成す皮肉と脚本の妙で最後まで楽しめる作品。 [DVD(字幕)] 8点(2007-03-21 15:22:05) |
15. 三銃士(1973)
《ネタバレ》 キャストが本当に濃いっすね。 剣劇の場面は、今の作品のように様式美というか、スタイリッシュさという面を求める方には少々きついかもしれませんが、変に美化されていないのでリアリティがあり、迫力があります。 物語のほうも、話はいたって真面目なんですが、場面場面で雰囲気を崩さずに程よい加減でコメディのエッセンスが加えられているので、見ていてとても楽しいです。 それに、やっぱり個人的にはチャールトン・へストンの素晴らしさに尽きますね。 エンターテイメント性と物語性両方に優れた作品だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2007-02-01 01:06:17) |
16. ナイト・オン・ザ・プラネット
話的にはどーってことないものが多いけれども、それでも飽きさせないのは全て同じ宅シーン出来事ではなく、世界中の5つの都市のタクシーの中で話が展開されていく、っていう設定だからだと思う。普段はタクシーなんて乗らないけど、こういうタクシーなら乗ってもいいかも(笑)。 8点(2005-02-23 22:46:53) |
17. アレキサンダー
《ネタバレ》 「トロイ」「キング・アーサー」と来て、次は「アレキサンダー」ですが、個人的にはこの3本の中では明らかにこの作品が良く出来ていると思います。スペクタクルや俳優陣のキャッチーさから言えば、トロイに一歩譲ると思いますが、構成的には久しぶりの“史劇”と呼べるものを見た気がします。セットや衣装などは、この時期のことはさらっと流した程度だったので、あまり詳しいことは判りませんが、まあ史劇に多少の誤りは付き物、ということでそれほど気にはなりませんでした。それに、やはりこの手の映画の醍醐味といえば途方も無いエキストラを導入した戦闘シーンと、きらびやかで壮大なセットでしょう。昔と違って、多少CGに頼る事もありますが、やはりこうした“壮大なる金の無駄遣い”と思わせるようなものをまた見られるというのは史劇ファンにとってはたまりません(笑)。物語のほうはといえば、一番の盛り上がりである戦闘シーンが他と比べて少ない、という点で、そういったものを目当てで見に行った人には結構辛い3時間になると思いますが、その代わり、アンジーやホプキンスはなかなか素晴らしい演技を見せてくれてますし、アレキサンダー大王の心の葛藤など、人物に重点を置いた物語展開になっているので、ストーリーで楽しむ、という人にはなかなか良い出来だと思います。また、同性愛のことが描かれてるので、そういったものが嫌いな人にも受け付けられないと思いますが、そりゃ、この時代を描く上では仕方ないですよ。だってこの時代は完全な男性中心社会、神に似せて男が作られたと信じられてた世界なんですから、男の体=美しいもの=愛しいってな感じで式が成り立つわけですよ。なので、「なんだよこれ!?こんな○モ映画見に来たわけじゃねえぞ俺は(私は)!金返せよッ!」ってなことを思っていたとすればそりゃただその人の勉強不足って奴ですよ。聞く所によると、早々にラジー賞にノミネートされてしまったらしいですが、個人的には久々の“当たり”だと思います。 8点(2005-02-23 21:34:39)(良:1票) |
18. ラブ・アクチュアリー
大体のラブ・ストーリーってのは主人公が自分の趣味に合わなかったり、話の筋や展開が好みじゃなかったりして意見が凄まじく分かれるものだけど、その問題をこの作品は、誰も主役ではなく、また誰もが主役で在れる群像劇というスタイルをとる事によって見事に解決している。そのためヒュー・グラントやコリン・ファーズ等の大物役者があまりでしゃばらずに“オレ様映画”にならなかったこともポイント高し。それに個々のストーリーも、どこにでもあるありふれたものなためそれぞれに自分を置き換えたりと感情移入もしやすく、2時間少々充実した時間を過ごせる。ただ難を言えば、とりわけ最近の群像劇はやたらに登場人物が多すぎるので、誰が誰だかわからなくなったり、群像劇に慣れていない人が見るとてんでサッパリ意味が判らなくなってしまうという欠点はあるにしろ、僕が今まで見てきた恋愛映画の中では最上位に位置するものだし、なによりも世界には愛が満ちているという事を実感できたので、点数は文句なく8点。これはお薦めですよ。 8点(2004-08-11 19:14:35)(良:2票) |
19. 第三の男
《ネタバレ》 他の方々も仰ってますがとにかく光と影のコントラストが素晴らしい!建物の形状や人間の構造をすべて熟知しているかのごとく美しい。それにやはりここまで素晴らしいのはモノクロの映像という点。無駄な色がない分余計に光の当たり具合、影の付き具合が美しい。勿論それを捕えるカメラのアングルもまた素晴らしい。また誰もが一度は耳にしたことがあるであろうテーマ曲や、徐々に深まる謎、そしてラストのオーソン・ウェルズの息をも吐かせぬ逃走劇、映画の娯楽性と芸術性が見事に共存している映画です。 8点(2004-08-04 20:31:23) |
20. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 これは今までに類を見ないミュージカル。あえてカメラを固定せず、手持ちでしかもセピア色で描き出される映像はまるでドキュメンタリー映像を見せられているような気分になる。ミュージカル部分はそれとは対象に色が付き、導入部分が楽器ではなくプレス機の音や列車の通る音が徐々にリズムを刻み、それから様々な人々が歌い踊るというこれまた幻想的な映像である。あの裁判で、セルマは秘密を打ち明けて、真実を語っていれば、刑は減刑されたかもしれない。しかし、例えそうだとしても、“移民”である彼女には不利な立場であった事に変わりはない。信じた隣人に裏切られ、全てを失い、そして犯罪者の汚名を着せられる…なんと過酷な事だろうか。そかし、そこまでして彼女は息子の目を治すため、自らを犠牲にした。これは確かに後味が悪い。いや、それどころか冒頭からして暗い。しかし、それだけで切り捨てるには、あまりにも勿体無い映画だ。 8点(2004-06-10 19:03:29) |