81. ラストエンペラー
広大な紫禁城や途方もない数の臣下など、中国ってのはやはりでかい。さすが華の中の華=中華思想のもつ国ですな。かつては世界を統括するほどの強大な力を持った大帝国だけに、その衰退もどことなく物悲しいもので、その大帝国の最後の皇帝、宣統帝・溥儀ってのは運命に弄ばれたなんと哀れな人物でしょう。その溥儀を演じるジョン・ローンも、彼の家庭教師を演じるピーター・オトゥールも、皆が皆役にはまった深みのある演技をしているし、ぐいぐいと引き込まれるストーリー展開など、長さを感じさせない演出などはすばらしいです。 7点(2004-01-10 03:12:00) |
82. フルメタル・ジャケット
さすがキューブリック!前編に渡って流れる狂気と、痛烈な皮肉の効いた台詞の数々、戦争の無情さ等等、ここまで引き込まれる戦争映画というのも珍しい。作品通してF言葉などの乱暴な言葉が非常に多いが、それがかえって狂気を上手く表現している。そしてエンド・クレジットの(ちょっとテンポの速い)ストーンズの【黒くぬれ!】も作品にマッチしまくってること!何度も言うけどさすがキューブリック!一味違うぜ! 8点(2004-01-05 01:48:45) |
83. カーツーム
1881年、スーフィーのムハンマド・アフマドがエジプト支配の打破とイスラムの改革を唱えマフディー(救世主)教団を組織し、ジハード(聖戦)を開始したのが“マフディー教徒の反乱”で、この映画はその戦いの決め手となったカーツーム(ハルトゥーム)の戦いをチャールトン・へストン、ローレンス・オリヴィエの2大スターがそれぞれ英国将軍、マフディーに扮した一大スペクタクル史劇です。全体としては、食料運搬のシーンや最後のカーツーム陥落のシーンなど、迫力の戦闘シーンも随所にありますが、今までの史劇スペクタクルの娯楽映画というよりは説明映画というような印象を受けます。ヘストン、オリヴィエともに深みのある演技をしてますが、個人的なことを言えばヘストンの髭とオリヴィエの“顔黒”は似合わないなぁと思いますが、スーダンの内乱という史実を知る上では充分に良い作品だと思います。 7点(2003-12-31 03:05:22) |
84. 小さな恋のメロディ
なんか懐かしい…勿論リアルタイムじゃないですよ。でも幼稚園くらいの時からビージーズとかを聴いてたんで、こういった音楽や映像を見るとどことなく“懐かしい”と思ってしまいます。勿論それだけじゃ無いですけど…。子供を対象にした恋愛映画ってあまり無いと思いますが、この映画は、子供の純な愛情を上手く表現してると思います。それにしても、【卒業】のサウンド・オブ・サイレンスといいこの映画のメロディ・フェアといい、この時代の映画には名曲が付き物ですな。 7点(2003-12-27 23:48:48) |
85. ナザレのイエス
“長い映画”というのが世の中にはありますが、この【ナザレのイエス】は、普通の長編作品なんかよりも遥かに長いです。完全版はなんと6時間11分!まあ元々がテレビ映画だったのでこの長さも納得ですが、流石にこの長さになってくると3時間を越えた辺りから疲れてきます。でもやっぱり1人の人物の辿った生涯の軌跡を全て映像化すると4時間じゃ足りないんでしょうか?いや、しかし、この映画、長いながら(長いからこそ?)とても見ごたえがありました。ロバート・パウエル、オリヴィア・ハッセー、ローレンス・オリヴィエ、アン・バンクロフト、アンソニー・クイン、イアン・ホルムなどの豪華な出演陣、そして、当時を見事に再現した建物、衣装、聖書に基づいて展開していく救世主、イエスの物語は、宗教などを超えた大きな“愛”が感じられました。なのでこの映画は、キリスト教の宣伝映画などといった考えを捨て、全ての人を愛した1人の男の物語として見ていただきたいと思います…といっても、こういうものを見るのは私のような物好きだけでしょうが…。 [DVD(字幕)] 8点(2003-12-25 04:17:02)(良:1票) |
86. スパイ・ゲーム(2001)
2時間少々が3時間近くに感じてしまった。時折表示される時刻や画面を縁取る様々な音楽などはいいんですが、スパイ映画というよりは主人公の過去の出来事を順に回想していくような作品で、どうもメリハリが泣く結構退屈な映画でした。でも、エンディングの、まんまとしてやられたというような展開は良かったと思うので、総合的に見てそれほどは悪い作品ではないと思います。 5点(2003-12-14 02:24:46) |
87. わらの犬(1971)
バイオレンスの巨匠と謳われるだけあってさすがサム・ペキンパー。【卒業】や【真夜中のカーボーイ】もそうだがこの作品はダスティン・ホフマンの演じる主人公の変容ぶりが凄い。始めは暴力は許さないといういかにもな良識人なんだが、後半になると、まるで人が変わったように、青白い顔をさせて無表情で人を殺しまくる姿は必見! 7点(2003-12-13 04:24:33) |
88. 蝿の王
人間も所詮は動物。秩序や規則が存在したとしても、生きるか死ぬかの境地に立たされた場合はそんなのも全て無意味であり、ただ本能によって突き動かされるだけ。文明の恩恵を受けている我々からしてみればこれらは確かに異常であるが、それはただ僕たちが忘れてるだけで、これこそが本当に“生きる”ということなのかもしれない。 6点(2003-12-06 03:02:19) |
89. 穴(2001)
あらすじだけ読むと面白そうなんだけど、やはり見ると聞くとは大違いでした。穴に閉じ込められる連中も死んで当然のような連中だし、しかも自業自得というオチがなんともいえない… 4点(2003-12-04 01:44:06) |
90. ワン・プラス・ワン
【イマジン/ジョン・レノン】がジョンの生前の姿を撮影したドキュメンタリーだったのに対し、本作はR・ストーンズの【ベガーズ・バンケット】に収録されている【悪魔を憐れむ歌】のレコーディング風景を得延々と撮影したドキュメンタリー。ストーンズファンや音楽の好きな人は見ていて非常に貴重な映像ですが、そうでない人にとっては全く退屈この上ない映画でしょう。僕はストーンズファンなので普通に見れましたが、この映画は面白い面白くないの基準で計る映画ではないと思うので点数はあえて5点にしておきます。 5点(2003-11-23 16:11:17) |
91. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
《ネタバレ》 このテーマをここまでユーモアを交えて映像化したキューブリックはやはり只者ではない。さすがに核弾頭とともに飛んでいくシーンはある意味でインパクトがあった。そしてこの作品をキューブリックはどう落とすのかと思えば、「総督、立てます!!」(え!?)最期までユーモアと皮肉たっぷりの映画でした。 7点(2003-11-21 19:35:05) |
92. 時計じかけのオレンジ
皮肉の効いたストーリーやキューブリックらしい芸術品のような美しい映像、そしてマルコム・マクダウェルの演技など、これが30年以上も前の映画だとは信じられないくらい素晴らしい。 9点(2003-11-12 19:06:49) |
93. ドラキュラ(1992)
《ネタバレ》 時折挿入される登場人物の日記(原作小説が日記や新聞記事のみで構成されている)、“実はドラキュラ伯爵、太陽の下で活動可能”“霧や動物に変身するだけでなく、動物を使役したり、天候まで操っちゃう”等々、原作小説通りに映像化されているので、今までのドラキュラものの中では一番原作に忠実。 …なはずなんだが、すごく、すごく、すごく、物凄く煮え切らない作品。 実在のヴラド三世の逸話(妃のくだり)を上手く吸血鬼になる動機へと盛り込んだりと、評価できる部分もあるのだが、本作最大のマイナス要因はドラキュラ伯爵自身の描き方にある。 原作では、徹底的に悪の権化として描かれ、だからこそ彼の圧倒的な力やもたらす災厄に恐怖感が生まれていたのだが、映画では、死んだ妃に瓜二つのヒロインに恋し、あまつさえ恋の涙まで見せてしまうという、何ともしみったれた描かれ方。 さらに、ミナに血の洗礼を施す時でさえ、「俺やっぱ自信ないよぅ」と云った感じでとにかく歯切れが悪く苦笑いしてしまう。 そして、倒された伯爵の許にミナが行ってしまうという衝撃のラスト。 原作では伯爵のもたらす死の恐怖を止めるため、そしてその呪いを受けてしまった最愛のひとを救うためという目的があったのに、その絶対悪の許に行ってしまわれたんではテーマが霞んでしまうというかクインシーただの無駄死に(苦笑)しかも絶対的な光の守護者たるヘルシング教授さえもそのテーマを危ぶむような発言まで…。 アンソニーホプキンスは良いが、やはりゲイリー・オールドマンでは優男に見えてしまい(だからこそ選ばれたのだろうが)何とも映画が歯切れの悪い所で終わってしまっている。 原作ファンからすれば0点にしたいところだが、おしい点がいくつもあるので…5点。 [ビデオ(字幕)] 5点(2003-11-04 00:11:38) |
94. 殺人療法(1995)
なんか、こういう超ブチ切れドクターの出てくるホラーって何気に多いよな…例によって例の如く、病院という限られた空間を舞台に、いかにも医者らしい手口で人を殺し、脳下垂体を抜き取るという完全にイってしまってる映画。しかし、病院という無意識に感じる恐怖や犯人との攻防戦などはしっかり描かれていて、映画としてはそれなりに楽しめる1本。 6点(2003-11-01 03:11:10) |
95. スターリングラード(2001)
超一流のスナイパー同士の戦いという感じだが、イマイチ戦争の生々しさを描ききっているわけでもなく、恋愛を重点的に描いてるわけでもないのでイマイチ面白みに欠けた。そもそも戦争モノに恋愛持ち込むなよ。作品通して一番共感できたのはケーニッヒ少佐くらいだな。 5点(2003-11-01 00:05:25) |
96. 普通じゃない
天国警察の所長は大天使ガブリエルですか…。まあ、確かに普通じゃないな。展開といい設定といい。しかし後半に行くにつれてどんどん無茶苦茶になっていくし、何よりストーリーが…タイトル通り“普通じゃない!”ものじゃなかったな…。 4点(2003-10-29 03:22:48) |
97. スペースバンパイア
《ネタバレ》 (2005年7月31日更新)つーことで、本日実に十数年ぶりの再見となるわけですが、しかしこれ、改めてみると面白いですね。物凄い壮大なテーマ曲とか、綺麗なおねぃさんに養分を吸い取られて見る見るミイラと化していくオス共の特殊メイクは今見ても充分気持ち悪い。というより下手なCGよりもずっとリアルで気持ち悪い。間違いなく小さな子どもが見たらトラウマになること請け合いです。そして脚本にダン・オバノンが参加してるせいか冒頭の宇宙船探索場面はエイリアン、そして後半はバタリアン風味と一度に2度美味しい仕上がり。最近ではめっきりこうした味のある作品を見かけなくなりましたが、出来ればもう1度、今の人々にこうした作品を作って欲しいもんです。 [地上波(吹替)] 7点(2003-10-28 15:48:42) |
98. ストレイト・ストーリー
アメリカの広大なトウモロコシ畑、そしてその道を行く時速12キロのトラクター、満天の星空、様々な人との出会い、そして、それらを縁取る穏やかな音楽。以外に感動はしないけれども、旅の途中で出会った人々とのコミュニケーション、そして、ゆっくりと、だが確実に目的地へと歩みいくトラクターの心地よいスピードがとても和やかで、時間を忘れさせてくれる。 6点(2003-10-27 03:06:19) |
99. 戦争のはらわた
いやはや、なんともけったいな邦題を付けたもんだ。そこらに埋もれてるB級ホラーじゃあるまいし“はらわた”はないんでないかい?どうも日本の配給会社はこうした意味不明な邦題を付けたがる癖があるようだ。しかし、この映画に至っては、はらわたという聞いていてあまり気分のいいものではない言葉を使うことによって、戦争の内包する残虐性だの邪悪性だのを表現したかったのであろうし、戦争映画として、本作は正に完璧なまでの完成度を誇っている。“シンドラーのリスト”に代表される殆どの戦争映画で邪悪の象徴のように描かれているドイツ兵の視点から物語が語られる本作は、登場するドイツ兵はみな人間味に溢れ、どちらかが善でどちらかが悪といった描き方ではなく、“殺らなければ殺られる、だから生き残るために殺す”という、戦争本来が持っている不条理な条件を時には悲惨に、時には激しく描いている。冒頭、そしてエンディングで流れる“小さなハンス”も、一見すると場違いな音楽に聴こえるかも知れないが、無邪気さゆえの残虐性というのが痛いほどに伝わってくる。手軽に見れる戦争映画といえば、“プライベート・ライアン”などの作品になるだろうが、真の戦争を描いた作品といえば間違いなくこの作品であろう。 9点(2003-10-23 00:47:36) |
100. トゥームレイダー
ゲームの映画化。展開が非常に早い、というか、舞台がころころと変わってストーリーが駆け足で過ぎていくようで、インディ・ジョーンズのような冒険の醍醐味を味わう暇が無い。それに、やっぱり面白い映画にはそれと一発で判るようなテーマ曲が必要だと思うんだが… 4点(2003-10-20 03:52:45)(良:1票) |