121. スラムドッグ$ミリオネア
《ネタバレ》 マジット・マジティ監督のイラン映画みたいな作品かと思いましたが、クイズは、本や知識で身に付けて得た正解ではなく、全てが主人公の人生経験、告解にも繋がっているところが面白いです。 生涯通して一人の女性を愛し続けるなんて、もう邦画で作ったとしたらコメディになってしまうでしょう。 最後の問題で使われる携帯電話は最高の小道具でしたが「三銃士を読んだことがない」というのは度肝をつかれました…知ってたから出たんじゃないの?(笑) インド中で騒がれた弟に感銘を受けた兄の心境は、もう少し手を加えてもらいたかったけど、ラストの待ち合わせは二人にしかわからない場所というのはロマンティックですよね。 でも、ラストのダンスは絶対にいらないと思う。「踊るマハラジャ」じゃあるまいし、ひょっとして「座頭市」の影響でしょうか? 欧米映画でしょ? あれはバカバカしくて観てられない。カットすべき! [DVD(吹替)] 7点(2010-02-28 01:02:33) |
122. ターミネーター4
《ネタバレ》 世界中がスカイネット相手に戦争してるんだから群像劇になってもしょうがないでしょう。 本作は「ターミネーター3は、なかったことにしてくれ」という前提で作られたんですよね。 それにしてもジョン・コナーは、どんな設定にしてもマヌケにしか見えないのは何故でしょうか(笑)。きっとクリスチャン・ベールも出演を後悔してることでしょう。 サラ・コナーの写真やカイル・リースの成長の描かれ方が中途半端なのは、誰もが、今後シリーズ化するだろうと思うはず。 個人的には「パート5」はきっと3D映像になるのでは…なんて思います。今年は「アバター」もヒットしてることだし。 ジェイソンやフレディを目指して頑張れ、ターミネーター! 私はもう観ないけど。 [DVD(字幕)] 6点(2010-02-09 22:07:58) |
123. アバター(2009)
全くピンとこない作品でした。 映画が始まる前の立体映像には感動したけど、私にとって3Dの感動はそれだけ。 劇中何度も睡魔が襲い、目を開けていることだけで拷問を受けているようでした。 重たい眼鏡かけて3時間は長すぎる。特に私は自分の眼鏡と2重にかけていたので余計に大変でした。 これだけシンプルなストーリーなら90分くらいに編集できないでしょうか? 私は「タイタニック」は大作だと思いますが、本作はシンプルなストーリーでありがなら、普遍的な「ドラマ」が全く感じられません。 私はシナリオ重視の評価しか出来ないので、こういったユニバーサルスタジオで上映されるような娯楽作品は苦手なんです。 それから宗教的な要素がどうのこうのなんて事も言うつもりはありませんが、なんだか「エイリアン2」と「もののけ姫」を足して2で割って、それを10引いたような作品にしか思えませんでした。 現在HPに「アバターに関する批判に対しての反論」という文章が大きく掲載されていますが、その内容は全く個人的な偏見が入っていて、「アバター」を批判する人間は理解力がないみたいな内容で、読んでいるだけで不愉快でなりません。 まるで裸の王様を見て、「王様は裸だ」と言った人間は馬鹿……そんなふうに捉えてしまします。 因みに新宿バルトでは退席する際、「眼鏡が汚れすぎ」という声が沢山聞こえました。同感です。 私は観客動員数の貢献にカウントされることになりますが、本作を全く評価していません。 [映画館(字幕)] 3点(2010-02-07 15:39:57)(笑:2票) (良:3票) |
124. ブリジット・ジョーンズの日記
私はメグ・ライアンのラブコメみたいな映画を期待していたのですが、つまらない理由がわかりました。アメリカとイギリスは笑いのセンスが全く違うんですね。これからは製作国を注意して選ぶことにします。 それにつけても本作は、ある特定の女性を視点にした映画でしかないと訴えたいです。理解できない女性だって多いと思います。ただ無視されてるだけのはなし。 製作年が2001年でしょ。それが昨今「アラウンド40」に変貌しているのですね。 そう考えると20年後に「60歳になったブリジットジョーンズの日記」が支持されるのは間違いないことでしょう。 [DVD(吹替)] 1点(2009-10-17 08:35:23) |
125. その土曜日、7時58分
《ネタバレ》 85歳のシドニー・ルメット監督。やっぱりジジイが思いつくアイデアってこんなもんになってしまうんだろうな。 バカな兄弟が親の経営する宝石店に強盗に入る。ネタが古いよ! 時間軸をバラバラにして誤魔化したつもりのようだが、正直、こういうスタイルの映画は氾濫しすぎて、もうウンザリする。 正々堂々と順序良く作れよって言いたい。 兄弟がバカすぎて感情移入できない。 冒頭のセックスシーンは何の意味があったのだろうか? きっと、このシーンが何かに結び付くのだろうと思ったが何もなかったのには、かなりコケた。 テンポはいいので退屈はしなかった。 つまらないとは言わないが面白くもない。それだけの作品。 邦題のセンスも悪すぎるので年明けには記憶から消えてると思う。 [DVD(吹替)] 5点(2009-10-01 22:15:00)(良:1票) |
126. 蜘蛛女(1993)
この辛口映画レビューのサイトでは高得点なのは、何となく頷けてしまう。 テレビの上映時間が編集の関係から1時間半に短縮されていて、だいぶ端折っているように思えたが、似たような映画を挙げてみろと言われて、なかなか発見することができないオリジナリティがある。 破滅していく主人公は十分描かれているが、タイトルの蜘蛛女が、あまり出てこないこと、展開にも無理にありすぎて、本作に納得できない人がいるのも当然。 ゲイリー・オールドマンは若すぎて私は気付かなかった。 血も涙もない「蜘蛛女」。この女には魅力がある。こんな映画もたまにはいいのではないだろうか? 刺激がある隠れた逸品である。 [地上波(吹替)] 6点(2009-09-06 04:18:05) |
127. シンプル・プラン
《ネタバレ》 墜落した飛行機に残されていた大金をネコババしようとしたばかりに、次々と災難が降りかかってくる。 観賞し終わって、冒頭一番まともな主人公が一番殺人を犯しているところに、皮肉な運命を感じてしまう。 私は以前、傷害事件に会って、和解金として100万円を目の前に置かれたことがありました。 金なんかで絶対に許さないと心に誓っていた自分ですが、目の前の現金を見た時、無意識に顔がほころんでしまった記憶があります。 「欲」というのは潜在的なものも含まれていて、「罪の意識」を免れようとする気持ちも、現状に立たされないと自分がどういう行動に出るか断言できないのが、私の結論です。交通事故のニュースで「ひき逃げをして、怖くなって逃げた」という供述をよく耳にしますが、なんとなくわかります。 因みにDVDの裏ジャケには、「原作をスティーブン・キングが絶賛!」と書かれていましたが、映画の内容もキング色が見え隠れした仕上がりになっています。 退屈させない娯楽映画です。 [DVD(吹替)] 7点(2009-08-27 07:35:33) |
128. レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
《ネタバレ》 始めに言いますが、絶対に「タイタニック」を期待しないで下さい。 ジャケットに騙されないで下さい。 とはいえ、この二人はタイタニックの船上で大恋愛をして、実は二人とも助けられて生き残っていたんです。そして円満な家庭を築いたのです。その「成りの果て」がこれです。…なんて解釈はちょっと意地が悪いかな? 「他人の不幸は蜜の味」なんて言うじゃないですか? 特典のインタビュー映像では、「この二人は理想の生き方を追い求めるあまり大切な家庭までも壊してしまう悲劇」と答えていますが、私にはそう解釈できません。 エイプリルは始めから家庭なんかどうでもいいのです。女優になれなかった妥協なんです。「子供を仕方なく生んでしまった」というセリフは、どう考えても本音を口走ったとしか解釈できません。 「理想の生き方」…いえ、この夫婦は日常の不満な生活から生まれた「欲望」を満たしたかっただけだと思います。その「欲望」はお互い、やりたいことが違っていただけで、二人は始めから愛し合ってなんかいなかったんだと思います。 男尊女卑が当たり前の50年代。この時代に本作が上映されていたら、まず批判されるのは妻のエイプリルだと思います。 あの時代に生きていた人がリアルタイムでこんな作品を観たいなんて思いませんよ。 この作品は「カッコーの巣の上で」と同じカラーを持っていると思います。 彼女は今風なんです。21世紀の現代的な女性なんです。 それがこの映画の失敗なんです。 ところで、私はよく宗教講話を聞いたりするのですが、「欲は次から次へ湧き上がってくるからキリがないんです」と欲望や邪念を否定的に捉える話をよく聞きますが、欲望ってそんなに悪いものなのでしょうか? 登場人物は、主役二人を中心に、正気なのか異常なのか、さらに精神病院から退院してきた若者まで混じり合って、複雑な交錯が織りなされていきます。意外と精神病患者の青年がもっともらしいことを言ったりする皮肉も描かれています。 ラストのエイプリルの朝食は、女優志願だった彼女の人生最後の演技だと私的に解釈しています。 ようやく自分を理解してもらえたと思う、勘違い男のデカプリオ。やはり50年代は男尊女卑が当たり前の時代なんです。 ですが、作品自体は人間の煩悩を追及した素晴らしい出来栄えだと思います。 私には意外な収穫です。 [DVD(吹替)] 9点(2009-08-06 05:48:26) |
129. フォー・ウェディング
《ネタバレ》 メインの男女二人をどう理解すればいいのでしょうか?一番可哀そうなのが、チャールズに告白したフィオナ。最後は、そっぽ向いたチャールズ皇太子とスナップ写真でくっつけられているんだから。これで笑うイギリス人の感性を疑います。 おめでたい「クソ煮込みうどん」映画です。 [DVD(字幕)] 1点(2009-07-30 18:14:54) |
130. 風が吹くとき
登場する老夫婦は核ミサイルに備えて必死に勉強している。にも関わらず、このような展開。 優しいタッチのアニメにじわじわ押し寄せる残酷描写。反核映画の最高峰だと思う。 もしも、このストーリーをサザエさん一家に当てはめたら日本での衝撃はもっと凄いだろうと思う。 字幕もよかったが、吹き替えでも観たくなる。 でも、デビッド・ボウイの曲はイマイチ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-29 05:03:04) |
131. トゥモロー・ワールド
《ネタバレ》 レンタルショップで10枚くらい並んであって、一枚だけまだ残っていたという理由だけで観ることにした。 裏ジャケの「子供が生まれなくなって十数年後の世界」には興味が沸いたが、この世界感、イギリス政府とテロリストの紛争はお互いに何を訴えたいの?って感じで、イマイチ呑み込めなかったです。 あれだけ撃ちあっておいて、赤ん坊の鳴き声一つで敵味方共に静まり返るというのも、なんだか「お涙頂戴」的で私には受け付けませんでした。 SFやアクションに人間愛を織り込むのって本当に難しいと思う。いろいろな映画を例に挙げているレビューが多く掲載されてますが、私には「キャシャーン」や「リアル鬼ごっこ」に近い映画にしか思えませんでした。 テンポはいいのですが、正直つまんなかったです。 [DVD(吹替)] 4点(2009-07-26 21:47:55) |
132. 下宿人(1926)
私の大好きなスパイク・リー監督の「サマー・オブ・サム」という映画が、この映画をそのまんま下敷きにしていたのにビックリしました。私の他に気づいた人いませんか? 是非、本作と合わせて鑑賞してみてください。面白い発見が沢山あります。本作は、サスペンスのジャンルかもしれませんが、やはりヒッチコックは面白い人間像を作る監督なんだと痛感しました。 公開当時は無声だったようですから、音を消してみるのもいいかもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2009-07-19 00:05:05) |
133. マンマ・ミーア!
《ネタバレ》 サントラを聴いた時は、凄くいいと思ったのに、映画だと凄く下手な歌に感じたのは何故なんでしょう? 一回目は吹き替えで鑑賞したのですが、歌も吹き替えの人たちが歌っているのかと思うくらい、違和感を感じなかったです。 ミュージカルって、ストーリーの辻褄にこだわらない方がいいと思います。 その点は考慮して素直に楽しめましたが、ラスト、おばちゃん三人のメドレー2曲は衣装も含めて、ちょっと寒かったです。思わず目をそむけてしまいました。 日本のおばちゃんたちに影響及ぼしかねないので、ほどほどにしてもらいたいです。 [DVD(吹替)] 6点(2009-07-09 02:04:15) |
134. ハムレット(1990)
公開当時とても面白かった記憶があったのですが、未だにDVD化されていないことがわかって余計観たくなってしまいました。 ようやくレーザーディスクを手に入れて約20年ぶりに鑑賞……ウン、やはり面白いぞ! ウン!!! とりあえず内容に関しては映画そのものをはみ出してしまいそうなので省略。 この映画は、メル・ギブソン=マッドマックス・リーサル・ウェポン、ハムレット=ローレンス・オリビエという狭間に置かれてしまっているので、その先入観が抜けないと偏見が生まれてくると思います。 私にはそういった先入観が全くないので十分満足して鑑賞することができました。 何しろ字幕スーパーが「よくこれだけ省略出来たな……」と思わせるほど簡潔! ある意味、字幕作った人の勝利ってことかな? 私の文章をここまで読んでくれた人にはお勧めしますが、今もDVD化されてないなら、内心はそっと秘密にしておきたい気分です(笑) [レーザーディスク(字幕)] 9点(2009-05-04 23:52:32) |
135. バイオハザードII アポカリプス
どこを切り取っても退屈させない展開は上手く作ってあるなぁと思う。でも観終わって時間を無駄にしたような気分になったのは何故? 一作目で最高に可愛かったミラ・ジョヴォビッチ、本作ではウイルスと共にゴリラも入り始めている。 [地上波(吹替)] 5点(2009-04-25 21:12:03) |
136. フランケンシュタイン(1994)
《ネタバレ》 材料もシェフも一流なのにレシピを間違えたって感じ。 矛盾した点が多すぎて正直ついていけません。シナリオがただストーリーを都合よく追いかけているだけなので、ヴィクターとエリザベスの愛が全く伝わってきません。 怪物を蘇生した途端、この実験は間違いだったと思う心境も「え、なんで?」って疑問符を打ちました。それでも道具だけは捨てずに持っていたという段取りのよさ。 復讐を誓った怪物も散々子供まで殺しておいて、最後は「父だった」と……。一番可哀そうなのは訳もわからずに殺されていった身内ではないでしょうか。 期待していただけにガッカリです。 原作に忠実だからというのは言い訳になりません。私が観たものは「原作」ではなく「映画」なんですから。 それから蘇生シーンを観たとき、スピルバーグか何かの映画で、目覚まし時計と共に目玉焼きやトーストが焼けるシーンを思い出したのは私だけでしょうか?そこだけは可笑しかったです。 [レーザーディスク(字幕)] 4点(2009-03-21 05:35:10) |
137. オセロ(1995)
最近「スルース」をきっかけにマイブームがケネス・ブラナーになり「ヘンリー五世」と続けて鑑賞したのですが、本作は私の性に合っていました。 「オセロ」「リチャード三世」のような、コンプレックス、嫉妬、妬み、裏切り、そして猜疑心を織り交ぜたドロドロしたものは私の人生経験と重なる部分が多く共感が持てます。 特にブラナー演じるイアーゴのような人物には私自身何人も出会っています。こういう裏切り者は本当に見分けるのが難しい。仕事では男の悪魔が多く、恋愛になるとやはり女の悪魔のほうが多い…これは勿論私の持論です。 シェイクスピアは劇場でも鑑賞経験がありますが俳優の実力が判断される場ではないでしょうか。裏を返せばシェイクスピアを演じられる俳優はどんな作品においても信用出来るのではということです。 本作はDVD化もなっていないようだし、これだけ優れた作品を簡単に鑑賞できないのは非常に残念なことです。 個人的に本作は、メル・ギブソン主演の「ハムレット」、アル・パチーノ主演の「ヴェニスの商人」と共に押さえておきたい3大シェイクスピアムーヴィーです。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-03-21 04:24:01) |
138. ヘンリー五世(1989)
どのサイトを覗いても本作の評判が高いので、以前からずっと興味を抱いていた。 しかしDVDは廃盤、都内のレンタルショップを探してもなかなか見つけることができず、ようやくレーザーディスクを手に入れた。 感想は…というと、まあ「ヘンリー五世」自体、シェイクスピア史劇の中でもマイナーだし、それ以上でもそれ以下でもないというのが正直なところ。 若いケネス・プラナーが余計なアレンジをせず史劇を忠実に映像化したのは大きな功績だと思う。 しかし、そもそも内容が大英帝国の武勇伝、まさに「勝てば官軍、負ければ族軍」といった話しで、フランス軍を支配し、その国の娘まで食っちゃった英国の王様について、感動しろといわれても土台、異国民には無理な話である。 「神風」を信じて植民地支配を続けていた大日本帝国に感動する人とかいるのだろうか? そんな事まで考えてしてしまうと少々怖くなってくる。 それに「シェイクスピアだから」と言われたところでフランス人にとってはあまり面白い話とは言えないだろう。 とりあえず、あらすじを知らないで鑑賞しようと思うのはやめたほうがいい。 CGを使わない映像はやはり迫力がある。 [レーザーディスク(字幕)] 6点(2009-02-27 12:33:38)(良:1票) |
139. つぐない
《ネタバレ》 キーナ・ナイトレイと言われても知らない私にとっては何故このジャケット、このクレジットの順番なのかさっぱりわからない。 この映画は主人公は明らかに妹のブライオニーである。 13歳のブライオニー役を演じたシーアシャ・ローナンは「ペーパームーン」のテイタム・オニールに匹敵するほど魅力ある女優である。(モー娘の加護ちゃんに似てなくもないが…) シーアシャ・ローナンが出ているシークエンスだけ判断すれば間違いなく10点あげたいところ。 原作未読なので何とも言えないが、姉カップルと妹の人生が途中からつながらなくなってしまうため、特に男の戦場シーンには倦怠感を覚える。 タイトルの「つぐない(贖罪)」は妹の気持ちと判断していいと思うが、それなら全編妹の目線で話を進めないと、謝罪する気持が伝わらないと思う。 前半はモタついていてついていけない。早く本題入れよって思った。監督の音声解説を聞いてみたが、冒頭から「そんなの分かる訳ないじゃ~ん!」と言いたくなったのが率直な感想。 最近観る映画は偶然か、時間軸をずらして、先に結果を見せておいて後から「実はこうだったんですよ」というシーンを作るケースが多い。流行りなのか?本作もそうだ。なんだか誤魔化されているようで気分がよくない。ストレートに見せてほしかった。 似たような作品で、松本清張の「天城越え」(映画は田中裕子主演)を思い出した。あちらのほうが人間の本質をついていると思う。 [DVD(吹替)] 4点(2009-02-16 16:25:35) |
140. イースタン・プロミス
《ネタバレ》 評価が高いので期待したが、それほど傑作というほどのものではない。 フレンチ・フィルムノワール、香港ノワールに加え、タランティーノが好きそうな日本の任侠映画が混ざったかのようだ。悪く言えば全てハリボテである。 それらを観たことがない者にとっては斬新かもしれないが、中盤で裏切る床屋のオヤジなんかは、どう見ても「仁義なき戦い」の金子信夫だ。 物語は始めにナオミ・ワッツに感情移入させている。しかし川から上がった死体と運転手が娼婦に金を工面するシーンで、運転手が組織に潜入しているという複線だとわかってしまい、サスペンスの焦点が彼の方にズレてしまう。だからそれから先のナオミ・ワッツに全く危機感がなくなっている。 勢いあるファーストシーンの割には終盤さほど盛り上がらず、情だけに押されてしまう展開に物足りなさを感じる。 鑑賞後に、このクローネンバーグっていう人、どっかで聞いたことあるなぁ…と思ったら、「スキャナーズ」「ヴィデオドローム」「フライ」の監督じゃないですか? この人の映画久しぶりに鑑賞した。編集が上手く、観客を惹き込む独特の雰囲気は過去の作品と全く変わっていない。 これがスコセッシみたいに2時間半くらいだと減点だが、1時間40分で終わるので疲れなくていい。 本作を満足された方に「ギャングスター・ナンバー1」という映画をお勧めしたい。 [DVD(吹替)] 7点(2009-02-10 14:50:01) |